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第二部神殿的實習巫女 請把薇兒瑪給我

作者:SPT草包│2018-10-24 23:28:39│巴幣:0│人氣:399
本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~
以下犯上的書癡~為了成為圖書管理員而不擇手段~
作者:香月美夜
第二部神殿の巫女見習い ヴィルマをください
第二部神殿的實習巫女 請把薇兒瑪給我
原文連結

 さて、ルッツの問題が家庭内の会話不足ということで、何となく落ち着いた。まだ兄弟間の格差問題が残っている上に、ルッツがダプラとなって収入的に下剋上した今、更に面倒なことになる気もする。
 那麼,路茲的問題以所謂家庭內的對話不足之事,總算平息了。在兄弟間的差別問題還殘留著之上,路茲成了達普拉在收入上以下犯上的現在,也感覺會變成更加麻煩的事情。
 だが、両親と和解できたし、話し合う大切さを両親がわかってくれたようなので、後は何とかなるだろう。ルッツの生活環境が良くなったので、わたしは満足だ。
 但是,由於能與雙親和解,雙親好像明白了交談的重要,之後會想辦法解決的吧。由於路茲的生活環境變好了,我很滿足。

 そして、ルッツの問題が片付いた今、わたしが気になっているのは、母の体調不良である。わたしの虚弱体質がうつったのか、と疑わしく思ってしまうくらい、母は最近顔色が悪い。仕事にも行っているし、普通に家事もしているけれど、よく寝込んでいる。
 還有,路茲的問題解決的現在,我在意的是,母親的身體狀況不好。我的虛弱體質傳染了嗎,宛如懷疑的想著,母親最近臉色不好。雖然工作也有在去,家事也普通地做著,但經常臥床。

 今日の朝も顔色が悪く、ふらふらしているように見えた。わたしが起きる前に、父はすでに仕事に出ているようで、姿が見えない。母がいきなり倒れたらどうしようかと不安で仕方ない。
 今天的早上也臉色不好,看起來好像搖搖晃晃著。在我起床之前,父親似乎已經去工作了,沒看到身影。母親突然倒下要怎麼辦呢不安也沒辦法。

「母さん、まだ体調戻らないの? 大丈夫?」
「媽媽,身體狀況還沒恢復嗎? 不要緊嗎?」

 いまいち食が進まない母を見て、わたしが尋ねると、うーん、と母がしばらく考え込んだ後、「もう言っても大丈夫かしらね?」と呟いた。
 看著根本就沒有進食的母親,我詢問後,嗯、地母親暫時沉思之後,嘟噥著「已經說了也不要緊了嗎?」。

「マイン。母さんね、お腹に赤ちゃんがいるの。マインはお姉ちゃんになるのよ」
「瑪茵。媽媽呢,在肚子裡有小寶寶了。瑪茵要成為姊姊了喔」
「え? えぇ!?」
「咦? 咦!?」

 まさかの妊娠発覚だった。ビックリして母のお腹を見てみるが、まだぺったんこで赤ちゃんがいるようには見えない。
 竟然是懷孕暴露。嚇了一跳試著看著母親的肚子,但因還很平坦看不出像有小寶寶在。

 ……悪阻だったんだ。
 ……是孕吐。

 麗乃時代は恋愛経験さえもなかったので、当然のことながら、妊娠経験などあるわけがない。記憶の限りで周囲に妊婦もいなかったので、母が間近で初めて見る妊婦になる。
 由於麗乃時代連戀愛經驗也沒有,儘管是當然的事情,懷孕經驗等不可能有。由於以記憶為限在周圍也沒有孕婦,母親成為跟前且第一次看到的孕婦。

 ……のおおおおぉぉ! 自分には全く関係のないこととして、妊娠関係の本は何となくしか読んでないよ。ひっひっふー! とりあえず、悪阻の時は安静に、栄養とって、適度な運動を心がければいいんだっけ!? どうだっけ!?
 ……不! 作為對自己完全沒有關係的事情,懷孕關係的書只有無意中讀過喔。吸吸吐! 總之,孕吐的時候安靜地、攝取營養、注意適度的運動就好是吧!? 是怎樣呢!?

 麗乃時代も一人っ子だったわたしは、お姉ちゃんというものになったことがない。素敵なお姉ちゃんに憧れがあるけれど、なれるのだろうか? わたしがお姉ちゃんに。トゥーリみたいなお姉ちゃんに。
 麗乃時代也是獨生子的我,沒有成為過叫姊姊的東西。雖然有憧憬過出色的姊姊,但成為嗎? 我是姊姊。像圖麗的姊姊。

 期待と不安でわたしがぐるぐる考えているうちに、トゥーリは喜色に満ちた歓声を上げた。
 在我因期待和不安團團轉的思考著的時候,圖麗充滿喜色發出了歡呼聲。

「ホントに!? うわぁ! わたし、生まれてくる赤ちゃんのために服やおむつを縫うね!」
「真的嗎!? 嗚哇! 我,要為了出生的小寶寶縫製衣服及尿布呢!」

 すぐさま赤ちゃんのためにできることを探してくるトゥーリに焦って、わたしも自分ができることを慌てて探す。
 對馬上為了小寶寶尋找能做的事的圖麗著急了,我也慌張的尋找自己能做的事。

「わ、わたしだって……えーと、えーと……」
「即、即便是我……呃、呃……」

 赤ちゃんが生まれた時に贈る物を考えて一番に思い浮かんだのは一つだけだ。この家の中にない物。ここに来たばかりのわたしが一番に探した物。
 考慮著在小寶寶生下來的時候的贈禮最先想到的只有一個。在這個家裡面沒有的東西。剛來到這裡的我最先尋找的東西。

「わたし、生まれてくる赤ちゃんのために『絵本』を作るよ!」
「我,要為了出生的小寶寶製作『繪本』喔!」
「……エホン? 何それ?」
「……會本? 那是什麼?」

 トゥーリと母が揃って首を傾げた。ダメだ。絵本が通じないなんて。早く何とかしないと。
 圖麗和母親一致歪頭不解。不行了。繪本無法通什麼的。必須要早點想辦法解決。

「絵がついた本! 子供が読むための本を作るの!」
「附有圖的書! 製作為了小孩子能看的書!」

 わたしの説明に目を丸くしたトゥーリが弾けたように笑い始めた。
 圖麗對我的說明目瞪口呆像是綻開般開始笑著。

「あはははは、マインらしい」
「啊哈哈哈哈,好像瑪茵」
「赤ちゃんのために頑張ってくれるってことは、マインもいいお姉ちゃんになってくれそうね」
「為了小寶寶去努力的事,瑪茵也快要變成好姊姊了呢」

 弟だか、妹だか、まだわからないけれど、絶対にめちゃくちゃ可愛がる。トゥーリが仕事で培ったお裁縫技術を使って、服を作ってあげるなら、わたしはこれから生まれる弟妹のために知育玩具の作成に力を入れたい。
 是弟弟嗎,是妹妹嗎,雖然還不知道,但絕對會特別疼愛。如果圖麗使用以工作培養的裁縫技術,製作好衣服,我想要為了今後誕生的弟妹在益智玩具的作成上出力。

「……赤ちゃんのために頑張る。わたし、絶対にいいお姉ちゃんになるよ!」
「……努力為了小寶寶。我,絕對會成為好姊姊的喔!」

 わたしがそう宣言すると、今まで笑っていた家族が揃って困ったような顔になって、わたしをたしなめた。
 我如此宣言後,至今笑著的家人一致成了困惑似的臉,告誡著我。

「マインは張り切りすぎたら熱が出るから、ちょっと落ち着きなさい」
「因為瑪茵太過幹勁十足的話會發燒,請稍微冷靜點」
「そうだよ。母さんの体調が大変なんだから、マインは自分で体調管理ができるようにならなきゃ」
「就是啊。因為媽媽的身體狀況很嚴重,瑪茵必須要能自己管理身體狀況」
「……わかってる。頑張るよ」
「……知道了。會努力喔」

 殊勝な返事をしてみたものの、頭の中はどんな絵本を作るかでいっぱいだった。
 雖然試著做了可敬的回答,但腦袋裡面滿滿都是要製作怎樣的繪本呢。
 赤ちゃん向けの本にはどんなものがあっただろうか。確か、麗乃時代に住んでいた市町村の広報に載っていたプレゼント絵本はロングセラーの絵本だった。顔を伏せたページと顔と見せるページが交互に続く、いないいないばぁの絵本だったはずだ。
 小寶寶向的書是怎樣的東西有嗎。的確,在麗乃時代刊載在居住著的鄉市鎮的廣告上的禮物繪本是長期暢銷的繪本。低下頭的頁面和展示臉的頁面交互持續,應該是沒有沒有啪的繪本。

 ……でも、いないいないばぁ、って、ここでは何て言うんだろう?
 ……但是,是說、沒有沒有啪,在這裡要叫什麼呢?

 世界中に赤ちゃんをあやすために顔を隠して見せる動作があったから、多分ここにもあると思うが、赤ちゃんにかける言葉がわからない。そして、掛け声について、どうやって質問すればわかるのか。
 因為在全世界裡有為了哄小寶寶隱藏展現臉的動作,我想大概這裡也有,但不知道對小寶寶用的話語。還有,關於招呼聲,要怎麼提問才能明白呢。

 ……やっぱり母さんが話してくれた寝物語のうちの一つを絵本にしよう。そうしよう。
 ……果然將媽媽說過的睡前故事裡面的一個當作繪本吧。就這麼辦。

「うふふん、ふふん~。おはよう、ルッツ。今日はお店に寄ってから、神殿に行くね」
「唔哼哼、哼哼~。早安,路茲。今天順路去店鋪之後,再去神殿吧」

 迎えに来たルッツを鼻歌交じりに出迎えると、ルッツが不気味なものを見るように、一歩後ろに下がった。
 混雜著哼歌出迎來迎接的路茲後,路茲像是看到令人毛骨悚然的東西般,向後退了一步。

「いいけど、どうかしたのか? 気持ちが悪いくらい機嫌が良いな」
「雖然很好,但怎麼了嗎? 宛如讓人噁心的心情很好呢」
「んふふ~……。あのね、わたしね、お姉ちゃんになるの」
「嗯哼哼~……。那個呢,我呢,要成為姊姊了」
「マイン、早く荷物を取ってきなさい」
「瑪茵,請快點去拿行李」

 こめかみを押さえた母にそう言われ、わたしは寝室へと向かう。その間、母がルッツにこの状態になった理由を話していた。
 被壓著太陽穴的母親那樣說,我朝向臥室。那期間,母親對路茲說著造成這個狀態的理由。

「ルッツ、ごめんなさいね。お姉ちゃんになれることがよっぽど嬉しかったのか、この子、ちょっと浮かれすぎてて、今日は外に出さない方がいいかもしれないんだけど……」
「路茲,抱歉了呢。是成為姊姊的事情相當高興嗎,這孩子,有點興奮過頭了,雖然今天不出去外面就好了也說不定……」
「今日だけじゃなくて、エーファおばさんが赤ちゃん産むまで、このままだと思う。……マインって、なんか、ギュンターおじさんに似てるよな」
「我想不會只有今天,直到艾法阿姨生下小寶寶為止,都會是這的樣子。……是說瑪茵,總覺得,想相似君泰叔叔呢」
「そうね。浮かれようがそっくりだわ」
「是呢。興奮是很相像啊」

 困ったように眉を下げているが、それでも、幸せそうに母が笑う。
 雖像是為難般垂下眉毛,但儘管如此,母親也幸福似地笑了。

「お待たせ、ルッツ。じゃあ、母さん。いってきます。気分悪い時は無理しちゃダメだよ。母さんがちょっとでも楽にできるように、わたし、頑張って稼いでくるから」
「久等了,路茲。那麼,媽媽。我出門了。感覺噁心的時候勉強是不行的喔。因為為了媽媽也能稍微輕鬆,我,會努力賺錢」
「マイン、それ、今朝の父さんのセリフよ」
「瑪茵,那個是,今天早上的爸爸的台詞喔」

 母に笑われながら出発進行。まずは、ギルベルタ商会に向かう。お姉ちゃんになる報告をして、ついでに、孤児院用のカルタ板を発注しておくのだ。
 一邊對母親笑一邊出發前進。首先,朝向基魯貝路塔商會。報告成為姊姊了,順便,預先訂購孤兒院用的紙牌板。
 道中で、わたしはルッツに向かって、延々と絵本計画を述べていた。
 在途中,我轉向路茲,沒完沒了地敘述著繪本計畫。

「それでね、トゥーリは赤ちゃんのために服やおむつを縫うって言ったから、わたしは『絵本』作ることにしたの」
「因此呢,因為圖麗說了要為了小寶寶縫製衣服及尿布,我決定製作『繪本』」
「何だ、それ?」
「什麼啊,那個?」
「絵がついた、子供でも読みやすい本だよ」
「附有圖,即便是小孩子也容易閱讀的書喔」

 ふふん、と胸を張って説明すると、ルッツはハァと溜息を吐いて、軽く頭を振った。
 哼哼、地挺起胸膛說明後,路茲唉地嘆了一口氣,輕輕搖了搖頭。

「……あのさ、生まれたばっかりじゃ字なんて読めねぇだろ?」
「……我說啊,剛生下來字什麼的不會看的吧?」
「読み聞かせが大事なんだよ! わたし、いっぱい読んであげるんだ。絵本を作ろうと思ったら、まず厚めの紙が必要だよね? 赤ちゃんは何でも口に入れるって言うし、紙よりは薄い板が良いかな? それとも、布絵本? あ、でも、この辺りで『フェルト』は見たことないかも。それに、布絵本にしたらわたしの出番がないよね? ルッツ、どうしよう?」
「讀給別人聽是很重要的喔! 我,會讀一大堆的。想到要製作繪本的話,首先厚一點的紙是必要的呢? 小寶寶說是什麼都會放進嘴裡的,比紙還薄的板子會比較好嗎? 還是說,布繪本? 啊,但是,在這附近或許沒看過『毛氈』。而且,要做布繪本的話輪不到我出場呢? 路茲,怎麼辦?」

 わたしが見上げると、ルッツは困惑したように視線をうろうろとさせる。
 我抬頭看後,路茲像是困惑般讓視線徬徨不已。

「どうしようって……えーと」
「說要怎麼辦……呃」
「絵本を作るというのに、自分の出番がなくなったら、すごく悲しいでしょ? でも、紙の絵本は破られるし、噛まれるし、赤ちゃんの口にインクが入ることを考えたら、ああぁぁぁ! 危険すぎる!?」
「明明是叫製作繪本,卻變成輪不到自己出場的話,非常可悲對吧? 但是,考慮到紙的繪本被弄破、被咬、墨水進到小寶寶的嘴裡的話,啊啊! 太危險了!?」

 本を噛んで、口の周りをインクで汚した赤ちゃんの姿を想像して、わたしが頭を抱えていると、ルッツが呆れたように溜息を吐きながら、わたしの肩を軽く叩く。
 想像了因咬書、墨水髒汙了嘴巴的周圍的小寶寶的身姿,我抱頭煩惱著時,路茲一邊像是驚呆般嘆了一口氣,一邊輕輕拍我的肩膀。

「マイン、落ち着け。生まれるのは次の春だろ? すぐの話じゃないから」
「瑪茵,冷靜點。出生是下個春天吧? 因為不是馬上的話題」
「でも、試作品を作って、改良に改良を重ねて、完璧な物を贈りたいじゃない!」
「但是,不是該製作試作品,在改良上重複改良,想要贈送完美的東西!」
「マインが突っ走ると、たいてい碌な結果にならないし、ぶっ倒れるから。落ち着いて周りの意見を聞け。な?」
「瑪茵魯莽行事的話,大抵不會變成正經的結果,因為會趴倒下去。冷靜點聽聽周圍的意見。好嗎?」

 ルッツに諭されているうちに、ベンノの店に着いた。店の中にはいつも通りマルクがいて、きびきびと働いている。
 在被路茲告誡的期間,到達了班諾的店。在店裡面有如同往常的馬爾克在,乾脆俐落地工作著。

「マルクさん、ベンノさんいますか? 以前お世話になったジークの木工工房にカルタ用の板を再発注したいんです」
「馬爾克先生,班諾先生在嗎? 想要對以前關照過的吉克的木工工坊再訂購紙牌用的板子」
「こちらで承りますが、ずいぶんご機嫌ですね、マイン」
「雖可在這邊受理,但心情相當好呢,瑪茵」

 発注用の木札を取り出しながら、マルクがそう言った瞬間、ぐわっとテンションが上がっていくのが自分でもわかった。
 一邊拿出訂購用的木牌,一邊在馬爾克如此說的瞬間,情緒同時逐漸高漲起來是自己也明白的。

「うふふ~。マルクさん、聞いてください。わたし、お姉ちゃんになるんです。だから、赤ちゃんのための本を作ったり、カルタ作ったり、積み木作ったり、これからすごく忙しくなるんですよ」
「唔呼呼~。馬爾克先生,請聽我說。我,要成為姊姊了。所以,想製作為了小寶寶的書、想作紙牌、想作積木,今後會變得非常忙碌喔」
「ほぅ、赤ちゃんのための本ですか。せっかくですから、旦那様にもご自分で報告したらいかがでしょうか? お姉さんになるのでしょう?」
「哦,為了小寶寶的書嗎。因為很難得,自己向老闆報告意下如何呢? 成為姊姊了吧?」

 ニコリと笑ったマルクがそう言いながら奥の部屋に通してくれたので、ベンノに向かって駆けだし、報告する。
 由於笑嘻嘻的馬爾克一邊如此說一邊打通深處的房間,於是朝向班諾跑過去,做報告。

「ベンノさん、おはようございます。わたし、春になったらお姉ちゃんなんです。だから、『絵本』を作るんです」
「班諾先生,早上好。我到了春天的話就是姊姊了。所以,要製作『繪本』」
「あぁん?……ルッツ、翻訳」
「啊嗯?……路茲,翻譯」

 視線を上げたベンノはわたしではなく、ルッツに視線を向けてそう言った。
 提高視線的班諾將視線朝向並不是我、而是路茲如此說了。

「マインのお母さんに赤ちゃんができて、春に生まれるそうです。お姉ちゃんらしいことをしたいマインが赤ちゃんのための絵がいっぱいついた本を作ると張り切っています」
「瑪茵的媽媽有小寶寶了,似乎會在春天誕生。想做像姊姊的事情的瑪茵要製做滿滿都是為了小寶寶的圖的書而幹勁十足」
「子供に本だと? 読めないだろう?」
「為小孩子的書嗎? 無法讀的吧?」

 ベンノもルッツと同じことを言った。絵本は親子の絆作りに最適で、絵を見るだけでも楽しめるし、字に親しむこともできるのに、誰もこの素敵さをわかってくれない。
 班諾也說了跟路茲一樣的事。繪本是製造親子羈絆最適合且、就只是看著圖也會很快樂,明明能親近字,誰都不明白這份美好。

「読み聞かせが大事なんですよ! 小さい頃から字に慣れ親しむんです」
「讀給別人聽是很重要的喔! 能從小的時候開始習慣親近字」
「ふぅん。……コリンナへの祝いにも良いかもしれんな。その絵は誰が描くんだ?」
「呼嗯。……也可以當給柯琳娜的祝賀也說不定呢。那個圖要誰畫呢?」
「もちろん、愛をこめてわたしが描きますけど?」
「當然,是灌注了愛的我來畫就是了?」

 初めてできるわたしの弟か妹へのプレゼントだ。自作するに決まっている。わたしがそういうと、ベンノは即座に却下した。
 是能第一個給我的弟弟或妹妹的禮物。決定了要自製。我如此說後,班諾立即駁回。

「駄目だ。前の絵師を使え。子供の美的感覚が狂う」
「不行。使用之前的畫師。小孩子的美感會錯亂」
「ひどいっ!」
「好過分!」
「ひどくない。有用な忠告だ」
「不過分。是有用的忠告」

 絶対に絵師としてヴィルマを使うことを約束させられ、姉の愛を否定された気分になったわたしは、ちょっとむくれながら神殿に向かった。
 被約定了絕對要使用作為畫師的薇兒瑪,變成被否定姊愛的心情的我,一邊有點噘嘴一邊朝向了神殿。

「なぁ、マイン。これから先、絵本を作るつもりなら、絵師は確保しておいた方が良いんじゃないか? 一冊じゃ終わらないんだろ?」
「吶,瑪茵。今後,如果打算製作繪本,先確保畫師不是比較好嗎? 不會一本就結束吧?」
「確かに、一冊じゃすまないよね」
「確實,不會一本就結束呢」

 しかし、絵本を作るためにヴィルマに協力してもらうことになるなら、本格的にヴィルマをわたしの側仕えにした方が良いかもしれない。
 可是,如果會變成為了製作繪本請薇兒瑪協助的事,正式的讓薇兒瑪作為我的近侍會比較好也說不定。

「おはようございます、マイン様。ご機嫌麗しいようで何よりです」
「早上好,瑪茵大人。心情似乎很美麗那比什麼都好」
「おはようございます、フラン。あのね、お姉ちゃんになるんです……」
「早上好,弗蘭。那個呢,成為姊姊了……」
「マインは後。オレの報告が先だ」
「瑪茵等下。我的報告先」

 ルッツはわたしの話を遮って、フランにわたしの浮かれる原因と共に、いつ倒れてもおかしくない興奮状態であることを注意する。
 路茲打斷我的話,要弗蘭注意與我興奮的原因一起,何時倒下都不奇怪的興奮狀態的事。

「興奮しすぎて熱が出るかもしれないけど、一度熱を出さなきゃ興奮は収まらないだろうから、注意深く見つつ、放っておいていい」
「雖然太過興奮會發燒也說不定,但因為不發一次燒興奮無法平息吧,一面非常注意看著,一面放著不管就好」
「……かしこまりました」
「……謹遵吩咐」

 自分の部屋に向かっている間に、フランから「デリアにはなるべく言わないように」と注意された。
 在朝向自己的房間的期間,被來自弗蘭警告「盡量不要對蝶莉亞說」。

「どうしてですの?」
「是為什麼呢?」
「今のところ、神殿長は何も手を出してきていらっしゃいませんが、情報だけは確実に集めていらっしゃいます。マイン様がそれだけ楽しみにしていれば、妊婦や赤子は大きな弱点となると思われます。くれぐれもご注意ください」
「現在這時候,雖神殿長什麼都不插手,但只有情報是確實地在收集著。瑪茵大人那麼樣期待著的話,孕婦及嬰兒會被認為能成為大大的弱點。請千萬要注意」

 ざっと血の気が引いて行く。今の母や生まれてくる赤ちゃんに何かあったら、自制できる気がしない。
 唰地臉色逐漸發白。腺在的母親及生出來的小寶寶發生什麼的話,感覺不到能自制。

「マイン工房で新しい商品を生み出すのは良いことだと思います。その話題ならば特に問題ないでしょうが、弟妹に関する話題はお控えくださいませ。ここでは子供ができるというのはあまり歓迎されないことも多いのでございます」
「我認為在瑪茵工坊誕生出新商品是件好事。若是那個話題的話沒特別問題吧,但有關弟妹的話題請節制。在這裡所謂能有小孩子也有很多是不太被歡迎的事」

 花捧げや子供ができた灰色巫女の行く末を思い出さされたわたしは、キュッと唇を引き結んだ。浮かれた気分がしゅるしゅるとしぼんでいって、少し冷静になれた。
 被迫回想起獻花及能有小孩子的灰色巫女的末路的我,緊緊地拉緊了嘴唇。興奮的心情咻咻地萎靡了,稍微變冷靜了。
 フランはそんなわたしの気分を明るくしようと気遣ってくれたのか、話題を変える。
 弗蘭是打算讓那樣的我的心情開朗而擔心了嗎,改變了話題。

「マイン様が新しく作ろうとしていらっしゃる本は、絵が多いのですね? やはりヴィルマにお願いするのでしょうか?」
「瑪茵大人打算新做的書,是圖很多的嗎? 果然是要拜託薇兒瑪嗎?」
「えぇ、そのつもりです。ですから、わたくし、神官長にヴィルマを側仕えにしたいとお願いしようと思っているのですけれど……」
「對,是那個打算。所以,我,想著拜託神官長想讓薇兒瑪當近侍就是了……」

 わたしの言葉にフランが少し眉を寄せて考え込んだ後、「そうですね。先に神官長への報告と許可を求める方が良いでしょう」と言った。
 弗蘭對我的話語稍微皺起眉頭沉思之後,說了「說得也是呢。先向神官長報告和請求許可會比較好吧」。
 お願いがある旨を手紙にしたため、神官長に面談時間を取ってもらえるようにフランにお願いする。
 因為寫了有拜託意圖的信件,像是安排對神官長的面談時間拜託了弗蘭。
 手紙に目を通した神官長は執務の後、わたしを見て、声をかけた。
 瀏覽過信件的神官長辦公之後,看著我,發出了聲音。

「お願いとは何だ? 手短に済むことなら、今聞こう」
「拜託是指什麼? 若是簡短地結束的事,現在就聽」
「神官長、ヴィルマをわたしにください!」
「神官長,請把薇兒瑪給我!」

 わたしができるだけ手短にお願いしたら、神官長がこめかみを押さえた。
 我盡可能簡短地拜託之後,神官長壓著太陽穴。

「……君が何を言っているのか、全く理解できない。説明しなさい」
「……妳在說什麼啊,完全無法理解。請說明」
「絵が上手で、子供達の面倒見もいい、聖女のような笑顔の、おっとり可愛いヴィルマがわたしには必要なんです」
「畫很擅長且,小孩子們的照顧也很好,像聖女般的笑容,大方可愛的薇兒瑪對我是必要的」

 一生懸命にヴィルマの説明をしたが、神官長には伝わらなかったようだ。一層不可解そうな顔になって、フランに視線を向けた。
 雖拚命地做薇兒瑪的說明,但似乎無法傳達給神官長。成了越發不可理解般的臉,將視線朝向弗蘭。

「フラン」
「弗蘭」
「……ヴィルマを側仕えとする許可を頂きたく存じます」
「……想請薇兒瑪作為近侍的許可」

 呼びかけだけでフランは神官長の意図を察したようだ。すぐさまフランが説明を始める。
 只是呼喚弗蘭似乎就察覺到神官長的意圖。弗蘭馬上開始說明。

「ヴィルマはもともとクリスティーネ様の側仕えで、絵を得意とする灰色巫女でございます」
「薇兒瑪本來是克莉絲緹涅大人的近侍且,是把畫當作自豪的灰色巫女」
「あぁ、あの芸術好きな巫女見習いの……。ならば、絵よりも音楽を嗜んでいた見習いの方がマインの教養には役立つのではないか? 竪琴の名手がいただろう?」
「啊,那個喜好藝術的實習巫女的……那樣的話,比起畫將音樂當嗜好學習對瑪茵的教養比較有用不是嗎? 有豎琴的專家吧?」
「ロジーナでございましょうか?」
「是蘿吉娜嗎?」
「あぁ、そちらを側仕えにしなさい」
「啊,請把那邊當近侍」

 黙って聞いていれば、いつの間にかヴィルマではなくロジーナを側仕えにする話に変わっている。慌ててわたしはフランと神官長の間に割って入った。
 默默聽著的話,不知不覺間變成了把並非是薇兒瑪的蘿吉娜當近侍的話題。慌張的我插入弗蘭和神官長之間。

「神官長、わたくしに必要なのはヴィルマで、ロジーナではありませんけれど?」
「神官長,我需要的是薇兒瑪,並非是蘿吉娜就是了?」
「今の君に必要なのは教養だぞ?」
「現在的妳需要的是教養吧?」
「絵師です。音楽で『絵本』は作れません」
「是畫師。用音樂無法做『繪本』」
「エホンとは何だ?」
「會本是指什麼?」

 今日だけで一体何度目の質問だろうか。わたしは「絵がたくさん描かれた子供向けの本です」と同じように答えた。本が存在する貴族のもとなら、子供向けの絵本くらいは存在するだろう。
 光是今天一天到底是第幾次的提問了呢。我同樣回答「圖被畫了很多的兒童向的書」。若是書本存在的貴族身旁,如同兒童向的繪本是存在的吧。
 しかし、神官長は眉を寄せて、わたしを見た。
 可是,神官長皺著眉頭,看著我。

「……子供向けの本? 変わった物を作るのだな」
「……兒童向的書? 做了奇怪的東西呢」
「貴族の家ならば、子供向けの本もあるのではないですか?」
「若是貴族的家的話,不是也會有兒童樣的書嗎?」
「本自体が高価なのに、どう扱うかわからない子供の本などあるわけがなかろう。勉学に使う本ならば、知識が系統だって載っていればそれで良いだろう?」
「明明書本是昂貴的,不可能會有不知道該如何對待的小孩子的書之類的吧。若是為勤學使用的書的話,知識即便是系統的刊載著的話那樣就可以了嗎?」

 どうやら、子供向けの本というものは存在しないらしい。紙が高価で、書き写して作成するなら、字はきつきつに書きつめるだろうし、勉学に必要な図形やグラフならともかく、挿絵まで書き写しはしないだろう。
 看來,名為兒童向的書的東西似乎不存在。紙張因昂貴,如果是抄錄做成,字會密密麻麻地寫進去吧,若是勤學上需要的圖形或圖表姑且不論,就連插畫都不會抄錄的吧。
 わたしが子供向けの絵本が存在しない理由に一人で勝手に納得していると、神官長も何やら納得したらしい。
 我一個人擅自理解著兒童向的繪本不存在的理由時,神官長似乎也總算理解了。

「まぁ、よい。君が絵のついた本を作るならば、絵師を欲することは理解した。けれど、君に必要なのは教養だ。ヴィルマだけではなく、ロジーナも側仕えとして召し上げなさい」
「算了,也好。妳如果要做附有圖的書的話,想要畫師的事理解了。但是,對妳必要的是教養。並非只有薇兒瑪,蘿吉娜也請作為近侍收下」
「……そのような無駄なことはできません」
「……像那樣浪費的事做不到」
「無駄だと?」
「浪費嗎?」

 わたしが断ると、神官長はすぅっと目を細めてわたしを見据えた。しかし、二人も側仕えを増やす気はない。
 我拒絕後,神官長迅速地瞇起眼睛盯著我。可是,沒有增加兩位近侍的心情。

「ロジーナを側仕えにしても、わたくしは楽器を持っておりません。高価な楽器をわざわざ買わなければならないような催しが神殿にございますか? 平民と蔑まれているわたくしが貴族の元へと連れていかれて、楽器の演奏を披露するような機会がございますか?」
「就算讓蘿吉娜作為近侍,我也沒有擁有樂器。必須特地購買昂貴的樂器般的消遣是在神殿裡嗎? 平民且被輕蔑的我被帶往貴族的身旁,發表樂器的演奏般的機會會有嗎?」

 わたしは音楽には大して興味がないのだ。聞くのは嫌いではないが、自分で演奏したいとは思わない。演奏できるのは素敵だと思うが、練習時間に使う時間を読書に使いたい。
 我對音樂不太有興趣。雖聽著不討厭,但不認為會想自己演奏。雖認為能演奏很美好,但想將使用在練習時間上的時間使用在讀書上。
楽器が間違いなく高価なものなのに練習する気がない以上、はっきり言って、時間と金の無駄である。
既然樂器毫無疑問是昂貴東西那就沒有練習的心情,清楚地說,是時間與金錢的浪費。

「わたくしには高価な楽器を準備するお金もございませんし、必要性も感じません」
「也沒有為我準備昂貴樂器的錢,也沒感到並要性」
「なるほど。確かに楽器がなければ、練習もできないな」
「原來如此。確實若沒樂器的話,練習也做不到呢」

 ひとまず神官長は納得したように頷いた。ヴィルマを側仕えにする件は了承してもらえたので、わたしは満足して神官長の部屋を退室する。
 姑且神官長想是理解般點頭。由於讓薇兒瑪當近侍的事受到同意,我滿足的退出神官長的房間。

「では、フラン。午後からは孤児院へ行って、ヴィルマの意思を確認しましょう」
「那麼,弗蘭。從下午去往孤兒院,確認薇兒瑪的意思吧」
「ヴィルマの意思? 召し上げるのではないのですか?」
「薇兒瑪的意思? 不是要收下嗎?」

 わたしの言葉に、フランは不思議そうに目を瞬いた。
 對於我的話語,弗蘭不可思議似地眨著眼。

「……平民のわたくしに仕えたくないと思っているかもしれないでしょう?」
「……想著說不定會不想侍奉平民的我吧?」

 もともと、今仕えてくれているわたしの側仕えは命令されて決まったもので、フランもギルもデリアも、誰一人としてわたしの側仕えになりたいと望んでいた人はいなかった。平民に仕えるなんて、と文句を言われたのはそれほど前のことでもない。
 本來,現在來侍奉著我的近侍是被命令決定的東西,不論是弗蘭還是基魯或是蝶莉亞,不存在期望著有誰想要成為我的近侍的人。侍奉平民什麼的,被抱怨的也不是那麼以前的事情。

 今はせっかくうまく回っているのに、不満たっぷりで仕事をされると、その嫌な気分は周りにも伝染する。ヴィルマがわたしの側仕えになるのが嫌だと思うなら、今までと同じように絵の依頼をするだけでも問題はない。いつ、別の人にヴィルマが召し上げられるか、びくびくすることになるけれど。
 明明現在好不容易順利運轉著,讓其飽含不滿工作的話,那種討厭的心情也會傳染給周圍。如果薇兒瑪認為成為我的近侍很討厭,即便只是像與至今同樣般做畫的委託也沒問題。何時,薇兒瑪會被別人收下呢,雖然變成戰戰兢兢的事情。

 午後からわたしは孤児院へと赴き、ヴィルマを呼びだした。フランが一緒なので、食堂にしか入れないため、食堂で話をする。
 下午之後我親赴孤兒院,叫出了薇兒瑪。由於弗蘭是一起的,因為只能進入餐廳,就在餐廳談話。
 いつもは穏やかな茶色の瞳を優しく細めて、最近の孤児達の様子や孤児院で足りない物などの話をしてくれるヴィルマが、わたしとフランを見て、不安そうな表情になった。
 總是溫柔瞇起平靜的茶色眼眸,談起了最近的孤兒們的情況及在孤兒院不夠的東西之類的薇兒瑪,看著我與弗蘭,變成了不安似的表情。

「マイン様、何のお話でございましょうか?」
「瑪茵大人,是有什麼話要說嗎?」
「ヴィルマ、わたくしの側仕えになってくださいませんか? これは命令ではなく、意思を確認するものですから、断っても結構です」
「薇兒瑪,可否成為我的近侍呢? 因為這並非命令,是確認意思的東西,拒絕也是可以」

 わたしの言葉におろおろと周りを見回したヴィルマは軽く溜息を吐いて、目を伏せた。
 對我的話語倉皇失措地環顧周圍的薇兒瑪輕輕嘆了一口氣,低下頭。

「……大変ありがたいお話ですが、お断りさせていただきます。私よりロジーナをお引き立てくださいませ」
「……雖是非常令人感激的話,但請讓我拒絕。比起我還請提拔蘿吉娜」
「それは、やはり、わたくしが平民だから?」
「那個是,果然,因為我是平民嗎?」
「違います! そうではありません」
「不是的! 不是樣那」

 勢い良く頭を振ったヴィルマはちらりとフランに視線を向けた後、困ったように視線を逸らした。ものすごく言いにくそうに眉を寄せ、口を開く。
 氣勢良好的搖了搖頭的薇兒瑪將視線轉向弗蘭一眼之後,就像困惑般別開了視線。非常難以言說似地皺起眉頭,開了口。

「……私、青色神官に騙されて、花捧げへと連れ出されたことがございます。主であるクリスティーネ様が不在に気付き、助けてくださって事なきを得たのですが、あれ以来、殿方が苦手なのです。殿方が出入りするマイン様のお部屋に仕えるのは……」
「……我,被藍色神官騙了,有被帶出去獻花的事。身為主人的克莉絲緹涅大人發現不在,雖順利獲得救助,但那以來,不善於應付男性。在男性進出的瑪茵大人的房間侍奉是……」

 孤児院の院長室とは違って、貴族区域にある青色巫女の部屋は灰色神官の部屋が完全に主の部屋から離されているため、ヴィルマ自身は灰色神官と接することもなく、穏やかに過ごしていたらしい。
 與孤兒院的院長室不同,因為在貴族區域的藍色巫女的房間是灰色神官的房間完全被從主人的房間脫離,薇兒瑪本身似乎也沒跟灰色神官接觸,平靜地度過著。
 けれど、わたしの部屋は一階と二階で男女に分かれているけれど、外に出るにも一階を通らなければならないし、料理人の姿も見えれば、ベンノのような客人もいる。フランという灰色神官も当たり前のように二階へ出入りする。
 但是,我的房間雖然是以一樓和二樓被分為男女,但外出也必須要通過一樓,廚師的身影也會看到的話,像班諾的客人也在。名為弗蘭的灰色神官也像理所當然般的往二樓進出。

「ご命令であれば従いますが、意見を聞き届けてくださるなら、私はこのまま孤児院の女子棟で過ごしたく存じます。ここにいれば、子供達と女性だけですから」
「雖是命令就遵從,但如果能採納意見,我想就這樣在孤兒院的女子棟度過。因為在這裡的話,只有小孩子們和女性」

 男がいない環境から出たくないということらしい。ヴィルマの主張はわかったけれど、どうにも腑に落ちないことがある。
 似乎是所謂不想從不存在男人的環境出來的事情。雖然薇兒瑪的主張能明白,但無論如何都有令人費解的事。

「孤児院で過ごしていたら、花捧げの対象になるのではないの?」
「在孤兒院度過的話,不會成為獻花的對象嗎?」
「私のように地味な者に着目する青色神官はいませんわ」
「注目於像我般土味的人的藍色神官不存在喔」

 髪をきっちりとひっつめて、なるべく目立たないように本人はしているつもりなのだろうが、オレンジに近い金髪はよく目立つし、ふわんとした癒し系の笑顔は身形が地味な分、清楚さを増している。子供達の面倒を見ているヴィルマはまるで聖女様だ。着目しない青色神官ばかりではないと思う。
 雖然本人是打算整齊地將頭髮團起、就像盡可能不顯眼般那樣做著的吧,但接近橘色的金髮非常顯眼,輕柔的治癒系的笑容增添著衣著是土味的部分、清秀。照料著小孩子們的薇兒瑪簡直就是聖女大人。我認為並非盡是不會注目的藍色神官。

「いると思いますわ。わたくしは子供達を可愛がっているヴィルマをとても魅力的だと感じましたから」
「我認為在喔。因為我覺得疼愛著小孩子們的薇兒瑪非常有魅力」
「それは、マイン様が女性で、まだ幼いからですわ」
「那個是,因為瑪茵大人是女性且,還年幼喔」

 お褒め頂き光栄です、とはにかんだように笑うヴィルマは近いうちに、色好みの青色神官に連れていかれる気がする。
 像是受到稱讚很光榮,而羞怯般笑著的薇兒瑪感覺在近期內,會被好色的藍色神官帶走。

「では、ヴィルマ。神官長にお願いして、孤児院から出ることなく、身分だけ側仕えにすることができれば、わたくしの側仕えになってくださいますか?」
「那麼,薇兒瑪。拜託神官長,能做到不從孤兒院出來,只有身分作為近侍的話,能否成為我的近侍呢?」
「……願ってもないことですが、どうしてそこまで私を?」
「……雖也不是拜託的事情,但為什麼要為我做到那種地步?」

 ヴィルマは不思議そうにわたしを見て、首を傾げた。
 薇兒瑪不可思議似地看著我,歪頭不解。

「これから、わたくし、絵のたくさんついた子供のための本を作るつもりですの。絵の上手なヴィルマが絶対に必要なのです」
「今後,我,打算製作附有很多圖的為了小孩子的書。畫很拿手的薇兒瑪是絕對必要的」
「でしたら、ご命令なされば、簡単ですのに……」
「那樣的話,被命令的話,明明很簡單……」
「嫌な気分でお仕事をしてほしくはないのですもの」
「是不希望以討厭的心情工作的東西」

 わたし自身、誰かに命令されるのが好きではないし、側仕えなんて、主の部屋で住み込みで働くのだから、生活すべてが仕事になる。ずっと不満を持ったままでは、どこかで歪みが出てくるに違いない。
 我本身,沒有被某人命令的喜好,近侍什麼的,因為要住進主人的房間工作,所有生活都變成工作。依然一直保有不滿的話,肯定會在哪裡出現扭曲。

「ありがとうございます、マイン様。孤児院を出る必要がないならば、喜んでお役に立ちたいと存じます」
「非常感謝,瑪茵大人。若是沒有離開孤兒院的必要的話,會樂於想要派上用場」

 くすくす笑いながら、ヴィルマがそう言ってくれた。
 一邊偷偷笑著,薇兒瑪一邊如此說了。
 わたし、この笑顔を守るため、何としても神官長を説得したいと思います。
 我,為了守護這個笑容,想著無論如何都想說服神官長。

======================================================================
 母の妊娠発覚と同時に、マインがはっちゃけました。
 與母親的懷孕暴露同時,瑪茵喧鬧不已。

 次回は、増えた側仕えです。
 下回是,增加的近侍。
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