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第二部神殿的實習巫女 在神殿的家族會議

作者:SPT草包│2018-10-22 07:11:04│巴幣:0│人氣:192
本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~
以下犯上的書癡~為了成為圖書管理員而不擇手段~
作者:香月美夜
第二部神殿の巫女見習い 神殿での家族会議
第二部神殿的實習巫女 在神殿的家族會議
原文連結

 隣に立つ神官長が挨拶するのを聞いている間、わたしは手の中の小さな魔術具を見つめていた。特定の相手にしか声が通じなくなる盗聴防止用の魔術具で、本日の会談においてはわたしの声が神官長以外の人には聞こえないようにするために使われている。
 站在旁邊的神官掌聽到問候的期間,我凝視著手裡面的小小魔術具。以聲音變得只能透露給特定的對手的防止竊聽用的魔術具,被為了在本日的會談上我的聲音不會讓神官掌以外的人聽到而使用著。

 要は、余計な事を言わずに黙って見ていろ、という神官長の指示である。ルッツのフォローをしたいと訴えたら、「私が詳(つまび)らかにしなければならないのは、ここに集う当事者の思惑や意思だ。第三者が口を挟むと混乱する。特に、君は中立ではなく、ルッツの味方だと公言している。邪魔だ」と、言われた。
 重點是,別說多餘的事閉嘴看著,是所謂神官長的指示。申訴想要做路茲的援助的話,被說了,「我必須要清楚的是,聚集在這裡的當事者的想法和意思。第三者插嘴會混亂。特別是,妳並不中立,公開說過是路茲的伙伴。會礙事」。

 いつもの回りくどさはどこに行ったのか、とツッコミを入れたいレベルだ。
 平時的拐彎抹角去哪了呢,是想要加入那種吐槽的等級。
 わたしが会談の場に同席する条件がこの魔術具を握っていることだったので、今日のわたしはお人形のように座っていることしかできない。腹立たしいことに、ベンノもマルクも神官長の意見に賛成した。
 由於我在會談的場子同席的條件是握住這個魔術具,今天的我只能像是人偶般做著。令人生氣的是,不論班諾或馬爾克都贊成神官長的意見。

 席はテーブルを真ん中に、椅子が四角に設置されている。わたしと神官長が入室して一番奥の位置に座り、ルッツがわたし達の正面、そして、左右にルッツの両親とベンノとマルクという位置取りだ。
 座位是把桌子放在正中央,椅子被設置在四角。我和神官掌進入室內坐在最裡面的位置,路茲是我們的正面,然後在左右是名為路茲的雙親和班諾和馬爾克採用的位置。
 挨拶と簡単な自己紹介が終わると、最初はルッツの主張について神官長が述べる。これはルッツから神官長が直接聞いたもので、わたしも知らなかった家庭での出来事がまとめられていた。
 問候和簡單的自我介紹結束後,最初是神官長敘述關於路茲的主張。由於這個是神官長直接從路茲納聽到的東西,我也不知道的在家庭內的事情被總結著。

「……以上がルッツの訴えだ。ルッツ、これで間違いはないか?」
「……以上是路茲的申訴。路茲,就這樣沒有錯吧?」
「はい」
「是的」

 神官長に視線を向けられたルッツは、両親の様子を気にしながらコクリと頷く。わたしは心の中で精一杯ルッツの応援をする。
 被神官長朝向視線的路茲,一邊在意雙親的樣子一邊點點頭。我在心中竭盡全力聲援路茲。
 小さく震える拳をきつく握って、ルッツは口を開いた。
 緊緊握著小小顫抖的拳頭,路茲開口了。

「どんなに頑張っても、オレは認めてもらえないんだ。オレの望みはことごとく父さんに反対されて……」
「就算怎樣努力,都不會認同我。我的期望全部被父親反對……」
「甘ったれるな!」
「別恃寵而嬌了!」

 ルッツの父ディードおじさんが膝の上で拳をきつく握り締めて、ルッツを一喝した。
 路茲的父親迪多叔叔在膝蓋上緊緊握緊著全頭,大喝路茲一聲。
 突然の大音声にビクッとして、わたしの身体が椅子の上でぴょこんと浮く。普段、職人達を相手に指示を出していることで、慣れているのだろう。神官長の部屋どころか、貴族区域に響き渡りそうな野太い大声に、わたしの心臓が縮みあがった。
 對突然的大音量嚇了一跳,我的身體在椅子上輕微地浮起。因平時,把職人們當對象發出指示,習慣了吧。神官長的房間不用說,對像似要響徹貴族區域的粗野大聲,我的心臟縮得很厲害。

 怖いっ! すごいびびったから! 心臓に悪いから!
 好恐怖! 因為非常害怕! 因為對心臟不好!

 だが、心臓が縮みあがったのはわたしだけではなかったようだ。その場にいたみんなが顔を強張らせて、一斉にディードおじさんを見た。
 但是,心臟縮得很厲害的似乎並非只有我。在場的大家僵硬著臉,一起看著迪多叔叔。
 わたしはベンノからよく雷を落とされているが、外で常に張り上げているディードおじさんの迫力と声量は段違いだった。
 我雖經常被班諾大發雷霆,但經常在外面喊叫著的迪多叔叔的魄力與音量是相差懸殊。

「頑張った? 認めてもらえない? 甘ったれたことを言うな」
「努力了? 沒有被認可? 別說恃寵而嬌的事」

 いかつい肩をグッと動かし、身を乗り出すようにしてルッツに顔を向けると、ギョロリとした迫力ある目でルッツを睨む。怒声でなくても声が大きいし、低くて野太いので傍で聞いているだけでも十分に怖い。
 像是嚴厲使勁地轉動肩膀,探出身子將臉轉向路茲後,用有瞪大的魄力的眼睛瞪著路茲。由於就算不是用怒聲的聲音也很大、低沉粗野就只是在旁邊聽著也十分恐怖。

 全員の前で怒鳴られて青ざめたルッツが、泣きそうなところを必死に奥歯を噛みしめて堪えているのが、正面から見ればわかった。声を掛けたくてもかけられないもどかしさに、わたしも唇を噛みしめていると、わたしの隣に座っていた神官長が立ち上がる。
 在全員面前被怒吼臉色發白的路茲,雖死命地咬緊牙關忍耐著快要哭的地方,但從正面看就能明白。就算想發出聲音也不行令人著急,我也咬起嘴唇後,坐在我旁邊的神官長站了起來。
 ディードおじさんの野太い大声とは違う、低くてもよく通る声が静かに問いかけた。
 與迪多叔叔粗野的大聲不同,就算低也很清透的聲音靜靜地詢問著。

「ディード、貴方は甘ったれるな、と言ったが、それはどういう意味だ? それを説明しなさい」
「迪多,你所說的,別恃寵而嬌,那個是什麼意思? 請說明那個」
「ハァ? 甘ったれるな、と言った意味? ルッツは甘ったれたことを言っているだろう?」
「啥? 說了別恃寵而嬌,的意義? 路茲說了恃寵而嬌的事吧?」

 ディードおじさんはわけがわからないと言うように、腕を組んで首を傾けた。おじさんの中では、一言で済むはずのことをほじくり返されて困惑しているような顔になった。
 迪多叔叔像是在說不明白意義般,交叉手臂歪頭不解。在叔叔心中是,將應該用一句話結束的事情被挖了起來變成了困惑般的臉。

「頑張ったが認められないことが悔しいと訴えるルッツに、甘ったれるなと、貴方は言ったが、どの辺りが甘えているのか、私には理解できない。職人や下町の常識には疎いからな。私にわかるように説明しなさい」
「對努力了但沒被認可的事申訴悔恨的路茲,你雖說了,別恃寵而嬌,但哪邊恃寵而嬌了呢,我無法理解。因為職人及下城的常識很生疏呢。請讓我明白般做說明」
「あぁ、アンタにはわからんか。……説明、説明……難しいな」
「啊,你不懂嗎。……說明、說明……很難呢」

 ルッツ相手なら、なんでわからないんだ、と済ませてしまえても、貴族相手には済ませられない。基本的に短い命令文句で仕事も済んでしまうのだろう。ディードおじさんは眉を寄せて言葉を探す。
 就算若是以路茲為對象,為什麼不懂啊,就結束了,但貴族對象的話就無法結束。基本上工作也是用短短命令語句結束的吧。迪多叔叔皺起眉頭尋找話語。

「親の反対を押し切って、就いた職業だ。頑張るのは当たり前。洗礼式を終えてまだ季節さえ変わっていないのに、認めるも何もあるか? 後ろ盾も何もない仕事を選んで突っ込んでいったのは、そこのバカ息子だ。血反吐吐くほど努力しても、一人前にさえなれるかどうかわからんのに、何を言ってるんだ、という意味だが……今度はわかるか?」
「切斷父母的反對,就任職業。努力是理所當然的。結束洗禮式明明連季節都還沒改變,有要認可或什麼的嗎? 選擇後盾或什麼都沒有的工作一頭栽進去的是,那邊的笨蛋兒子。就算胃出血般努力著,明明就連能不能獨當一面都不知道,在說什麼啊,就是這種意思……這次明白了嗎?」
「あぁ、理解できた。そういう視点で見ると、甘ったれている、になるな。ルッツ、君にも理解できたか?」
「啊,能理解了。以那種視點看過後,就會變成、恃寵而嬌呢。路茲,你也能理解嗎?」

 ディードおじさんの指摘にルッツがグッと言葉を呑んで、悔しそうに歯を食いしばって、俯く。逆に、ディードおじさんは自分の主張を理解してもらえたことに、少しばかり安堵の色を見せた。
 路茲對迪多叔叔的指責咕地把話吞下,懊悔似地咬著牙、低頭。相反地,迪多叔叔對能理解自己的主張,稍微展現安心的臉色。

 貴族という神官長の地位を完全に利用した会合だが、こうして詳しく聞きだしてみると、おじさんの言葉にはきちんと意味があったことがわかる。ルッツの言葉を聞いただけではわからなかったことだ。
 雖是完全利用明為貴族的神官長的地位的聚會,但像這樣試著詳細探聽後,明白了叔叔的話語裡好好地有著意義。是只聽路茲的話語並不明白的事情。

「ルッツ、反論はないのか? ディードの意見が正しいと認めてしまって良いということか?」
「路茲,有沒有要反駁呢? 能說迪多的意見可以認為是正確的嗎?」

 神官長が静かな口調で促すと、ルッツはゆっくりと顔を上げて、両親を見た。
 神官長用平靜的語調催促後,路茲緩緩地抬起頭,看著雙親。

「オレは成果を認めてほしいなんて言ってない。せめて……。せめて、商人見習いになることを認めてくれたっていいだろう!?」
「我不會說希望認可成果什麼的。至少……。至少,可以來承認成為實習商人的事吧!?」
「……俺は勝手にしろ、と言っただろうが」
「……我說了,隨你去做吧」

 意味がわからないとばかりに。眉間の皺を深くして目を細めたディードおじさんが、ガシガシと頭を掻いた後、くいっと顎を上げてルッツを見た。その様子からは、未だに反対しているようには見えない。
 盡是不明白的意義。加深眉間的皺紋瞇起眼睛的迪多叔叔,猛烈地搔著頭之後,迅速抬起下巴看著路茲。從那個樣子,看不出好像還反對著。

「勝手にって……え? それって……?」
「說是隨便……咦? 那是說……?」

 混乱したようにルッツが首を傾げると、カルラおばさんが溜息混じりに解説してくれる。
 路茲像是混亂般歪頭不解時,卡露菈阿姨混著嘆息給予解說。

「父さんは父さんなりに認めてたってことだよ」
「是說爸爸是像爸爸那樣承認的事情喔」
「ちょ、母さん!? 知ってたんなら、教えてくれよ!」
「等、媽媽!? 如果知道,就告訴我吧!」
「アタシだって、この人の言葉を聞いたのは、今日が初めてだから知るわけないよ」
「即便是我,因為聽到這個人的話語,今天是第一次所以不可能知道吧」

 カルラおばさんが肩を竦めて首を振った。親子間、兄弟間だけではなく、夫婦間でも言葉が足りないらしい。「言葉にしなきゃわかるかよ……」とルッツは力が抜けたようにガックリと項垂れたが、わたしはルッツの意見に賛成だ。
 卡露菈阿姨聳聳肩搖了搖頭。並非只是親子間、兄弟間,即便是夫婦間似乎也是對話不足。雖路茲像是「不說誰知道啊……」脫力般突然垂下頭,但我贊成路茲的意見。
 よく考えてみれば、ルッツも家ではあまり自分の意見を言わなかったようなので、似た者ばかりが集まった家族なのかもしれない。
 試著好好考慮的話,由於路茲在家似乎也是不太會說自己的意見,盡是相似者聚集的家庭也說不定。

「ディード、それはルッツが商人見習いとして働くこと自体には異議がないということで良いか?」
「迪多,那可以算是對路茲作為實習商人工作本身沒有異議的事嗎?」

 神官長の質問にディードおじさんは、いちいち聞くなと言わんばかりの面倒くさそうな顔で頷いた。
 迪多叔叔對神官長的提問,用幾乎要說出別一個一個問的麻煩似的臉點頭。

「俺は商人が好きなわけじゃないし、何を好き好んでなるのか全くわからんが、親の反対を振り切って男が一度選んだ仕事なら、住み込み見習いだろうが、何だろうが、根性でやりきればいい。泣き事をぬかして、孤児院に逃げ込むな。みっともねぇ」
「我並不喜歡商人,雖然完全不明白嗜好些什麼呢,但如果是甩開父母的反對的男人一度選擇的工作,是住宿實習嗎,還是什麼呢,用毅力做下去就對了。別瞎扯哭的事情、逃進孤兒院。不像樣」

 ハッと嘲笑うように言いながら、ディードおじさんは言いたいことを言い終わったように乗り出していた身体を起こして、腕を組んだ。
 一邊像是哈地嘲笑般說著,迪多叔叔一邊像是說完想說的事情挺起探出的身體,交叉手臂。

 わたしは思わず「おじさん、違う! それ、わたしのせいだから! ルッツは逃げてなんてないから!」と叫んだけれど、誰にも聞こえなかったようだ。こちらを向こうとする人が誰もいない。
 雖然我不由得大叫「叔叔,不對! 因為那個,是我的錯! 因為路茲沒有逃避什麼的!」,但似乎誰都沒聽到。朝向這邊的人誰都沒有。
 唯一聞こえるはずの神官長を見てみれば、手首に鎖で魔術具を引っ掛けているだけで、握っていない。最初からわたしの声なんて聞く気ゼロだったらしい。ひどい。
 試著看看唯一應該聽到的神官長的話,就只是用鎖鏈將魔術具掛在手腕,沒有握著。似乎從最初就沒聽我的聲音之類的心情。好過分。

「孤児院に逃げ込むって、それはマインが……」
「是說逃進孤兒院,那個是瑪茵……」

 わたしと同じように反論しかけたルッツが慌てたように口を噤む。むぐぐっと一度唇を引き結んだ後、グッと顔を上げて、おじさんを睨んだ。
 像是跟我一樣要反駁的路茲驚慌般閉上嘴。唔咕咕地一度拉緊嘴唇之後,使勁地抬起頭,瞪著叔叔。

「だったら、どうして仕事で余所の街に行くのに許可してくれねぇんだよ!?」
「那樣的話,為什麼明明因工作要去別處的城鎮卻不給許可啊!?」

 今回、ルッツが家を出ることになった直接の原因は外に出るための許可が出ないことだった。街の外に出ることを目標に商人見習いになったルッツにとって一番耐えがたいことだったが、それも一言で切り捨てられる。
 這回,造成路茲離家出走的直接原因是拿不到為了外出的許可。對於成了將出去城鎮外面當目標的實習商人的路茲來說雖是最不堪忍受的事,但那也因一句話被割捨了。

「考えればわかるだろうが!」
「考慮過就懂了吧!」

 ディードおじさんが怒鳴るが、わからないからルッツは家出したのだ。やれやれ、と肩を竦めた神官長がまた口を出した。
 迪多叔叔雖怒吼,但因為不知道路茲離家出走了。哎呀哎呀、地聳聳肩的神官長再次插嘴了。

「わからないので、理由を述べなさい」
「因為不明白,請敘述理由」
「……またかよ」
「……又來了喔」

 げんなりとした顔でおじさんは、あ~、と唸る。こういうのは苦手だと言いながら、眉を寄せて口を開いた。
 叔叔用洩氣的臉,啊、地呻吟著。一邊說這種的很不擅長,一邊皺起眉頭張開了口。

「ルッツが商人になるのと、街を出るのは完全に別問題だろうが。街の外は危険だ。凶暴な獣もいるし、盗賊もいる。子供を連れて行くようなところじゃねぇ」
「路茲成為商人後,出城鎮去完全是另一個問題吧。城鎮的外面很危險。兇暴的野獸也在,盜賊也在。才不是能帶小孩子出去的地方」
「そのとおり! 危険すぎるよ」
「就是那樣! 太危險了喔」

 ディードおじさんとカルラおばさんの言葉にわたしはハッとした。わたしは近くの森に行くくらいしか街から出たことがないので、全く実感などなかったけれど、街の外は危険でいっぱいらしい。
 我對迪多叔叔和卡露菈阿姨的話語恍然大悟。由於我除了去附近的森林就不會從城鎮出去,雖然完全沒有實感之類,但城鎮的外面似乎危險滿滿。
 ここでは子供達だけで門を出て森へ採集に行くのが当たり前だ。街の中と同じように出て行っていたので、街の外が普通の親なら反対して当然の危険なところだとは思わなかった。
 在這裡只有小孩子們出到門外往森林去採集是理所當然的。由於像是和城鎮裡面一樣出去著,沒想過城鎮的外面是普通的父母的話會反對的當然的危險地方。

 それに、この街にはルッツが話を聞けるくらい普通に吟遊詩人や旅商人がいて、東門の方にある宿屋には旅の人が出入りしている。だから、旅をするのが大変だと言っても、徒歩だったり、馬や馬車を使ったりで交通の便が悪いくらいの認識でしかなかった。
 而且,在這座城鎮上就像聽路茲說過普通地有吟遊詩人和旅行商人在,在東門方向的旅館裡旅行的人出入著。所以,就算說旅行是很辛苦的,也只是以又是徒步、又是使用馬或馬車宛如交通很不便的認知。
 おまけに、いちばん身近な大人になるベンノが別の街に工房を作ると言って、余所の街に行って帰ってきたのを目の当たりにしていたから、大した危険を感じていなかった。
 再加上,因為成為最切身的大人的班諾說了要在別的城鎮成立工坊,在眼前去了別處的城鎮回來,沒有感受到多大的危險。

 ……わたし、まだここの常識が全然わかってないんだなぁ。
 ……我,還完全不了解這裡常識呢。

 そろそろ二年になるけれど、知らないことばかりだ。わたしが溜息を吐く横で、神官長は軽く眉を寄せて首を傾げた。
 雖然差不多要到兩年了,淨是不知道的事情。在我嘆了一口氣的旁邊,神官長輕輕皺眉感到疑問。

「全く危険がないというわけではないだろうが、ベンノが向かう先は東門を出て、馬車で半日も行けば着くところだ。徒歩ならともかく、馬車ならば心配いらないだろう?」
「雖然並非說是完全不危險,但班諾朝向的目的是出了東門,用馬車也只要半天就能到的地方。若是徒步姑且不論,馬車的話就不用擔心了吧?」
「必要ない」
「沒有必要」

 ディードおじさんはハッキリとそう言いきる。ルッツはカッとしたように顔を紅潮させて、おじさんを睨んだ。
 迪多叔叔清楚地如此斷言。路茲像是猛然般脹紅了臉,瞪著叔叔。

「仕事だって言ってんだろ!」
「說過了是工作吧!」
「落ち着きなさい、ルッツ。ディード、必要ないと言うのはどういうことだ?」
「請冷靜點,路茲。迪多,說沒有必要是怎麼一回事?」

 手でルッツを制止し、神官長はディードおじさんに説明を促す。さすがにおじさんも神官長に問われることを予想していたらしく、視線をベンノとマルクに向けた。
 用手制止路茲,神官長催促迪多叔叔說明。畢竟叔叔似乎也預想到被神官長詢問的事,將視線轉向班諾和馬爾克。

「そこの男は余所に工房を作るのに、ルッツを連れて行きたいと言ったんだ」
「那邊的男人說了要在別處成立工坊,想要帶路茲去」
「それが?」
「那是?」
「あのな、たった3年契約のダルアの、しかも、見習いに何の勉強が必要だと言うんだ?」
「那個啊,只是3年契約的達魯亞,而且,還對實習說需要什麼的學習?」

 ダルア契約した見習いは日本で言うと3年契約の見習いアルバイトのようなものだ。基本的にさせるのは単純作業で基礎を叩きこむのがメインだ。店や工房ができあがった後、オープン作業に駆り出されることはあっても、出店のための契約や工事に携わることはない。
 做達魯亞契約的實習在日本來說是像3年契約的實習打工般的東西。被認作基本的是以單純的作業灌輸基礎的主要工作。商店或工坊完成了之後,就算有被開業作業驅使的事,也不會參與為了分店的契約或工程。

 わたしはルッツの夢が余所の街に行くことだと知っていたから、夢が叶ってよかったね、と思っていたけれど、これも普通に考えるとダルアの仕事ではない。ダプラや後継ぎの仕事だ。ルッツがしなければならない仕事ではない。
 因為我知道路茲的夢想是去別處的城鎮,雖然想著、夢想實現太好了呢,但那個也是普通地考慮後並非是達魯亞的工作。是達魯拉或繼承人的工作。並非是路茲必須要做的工作。
 必要ない仕事のために危険な街の外に行く必要はないと言うディードおじさんの意見は、筋が通っている。
 說著為了沒有必要的工作去到危險的城鎮外面沒有必要的迪多叔叔的意見,條理分明。

 わたしと神官長が揃ってベンノに視線を向けると、ベンノは軽く溜息を吐いて、ディードおじさんを見た。
 我與神官長一致將視線轉向班諾後,班諾輕輕嘆了一口氣,看著迪多叔叔。

「ですから、先日もお話させていただいたように、私は、今後の店の展望とルッツの能力を考えた結果、ルッツを跡取りとして教育したいと考えています。余所の街での工房開設を見せるのもその一環であるし、そのための養子縁組を望んでいるのです」
「因此,就像前幾天也讓我說過的,我是,考慮到今後的商店的展望和路茲的能力的結果,考慮著想將路茲作為後嗣來教育。展現在別處的城鎮的工坊開設也是作為那個個一環,期望著為了那個的收養養子」
「フン、話にならんな」
「哼,不像話」

 ディードおじさんはベンノの申し出をぴしゃりと撥ね退けた。そう言った後、周りを見回して、「これも理由が必要か?」と呟く。
 迪多叔叔啪嚓地撥掉了班諾的申請。那樣說之後,環視周圍,嘟噥著「這個也需要理由嗎?」。
 神官長は「もちろんだ」と答え、申し出を断られたベンノも、ディードおじさんを見据えて頷いた。
 神官長回答「當然的」,被拒絕申請的班諾也是,盯著迪多叔叔點頭。

「理由があるならぜひともお伺いしたいです。失礼ながら、商売をしているわけでもない貴方ではルッツの後ろ盾にはなれない。養子縁組は店だけではなく、ルッツにとっても利になる契約のはずですから」
「如果有理由還望務必請教。儘管很失禮,但並非在做著生意的你無法成為路茲的後盾。因為收養養子並非只有商店,應該會成為對路茲來說有利的契約」

 ベンノの言葉にディードおじさんは軽く一度目を伏せる。その後、ギョロリとした目をベンノに向けた。
 迪多叔叔對班諾的話語一度輕輕低下頭,那之後,將瞪大的眼睛朝向班諾。

「アンタ、子供がおらんだろう?」
「你,沒有小孩子吧?」
「……ですから、後継ぎとしてルッツを考えているのですが?」
「……因此,考慮著作為繼承人的路茲就是了?」

 子供がいないことが断る理由になるのか、と訝しげにベンノが眉を寄せる。ベンノの場合、子供がいないから養子縁組を考えているのだ。
 沒有小孩子的事能成為拒絕的理由嗎,班諾懷疑地皺起眉頭。班諾的情況,因為沒有小孩子考慮著收養養子。
 しかし、ディードおじさんは「そういう意味ではない」と言った後、ゆっくりと息を吐いた。
 可是,迪多叔叔說了「並不是那種意思」之後,緩緩吐了一口氣。

「アンタの言うとおり、俺ではルッツの後ろ盾にはなれんし、アンタがルッツの能力を買ってくれるのはありがたいとは思う」
「如你所言,我成不了路茲的後盾,想著你看重路茲的能力令人感激」

 言葉を探すように視線を彷徨わせた後、ルッツとベンノを交互に見た。
 像是尋找言詞般徬徨著視線之後,交互看著路茲和班諾。

「アンタは経営者としては立派だろうし、商売人としても有能だろうよ。ルッツのことで面倒をかけても、それに付き合うだけの度量も寛大さもある。だが、親にはなれん」
「你做為經營者很優秀,作為生意人也很能幹吧。就算因路茲的事添麻煩,也有著不論只是作陪那些的肚量還是寬大。所以,當不了父母」

 ベンノのことを罵るわけでも不当な評価をしているわけでもなかった。それでも、駄目だと言う。「親にはなれん」と言う意味がわからない。
 即便罵著班諾的事也並沒有作不當的評價。儘管如此,也說是不行。不明白說是「當不了父母」的意義。

「ベンノが親になれないというのはどういう意味か、説明しなさい。何か悪い評判でもあるとでも言うのか?」
「說班諾當不了父母是什麼意思,請說明。即便有什麼不好的聲望曾經說過嗎?」

 神官長の言葉にディードおじさんは、う~ん、と唸った。「悪い評判があれば楽なんだが」と言いながら、息を吐いて、真っ直ぐにベンノを見る。
 迪多叔叔對神官長的話語,嗚~嗯、地呻吟了。一邊說「有不好的聲望的話雖然很輕鬆」,一邊吐了一口氣,筆直地看著班諾。

「いくら仕事の評判が良くても、養子にする理由の一番に店の利益を上げるようなヤツが親にはなれん。親になるというのは利益で考えることじゃない。違うか?」
「就算無論工作的聲望多好,成為養子最大的理由是提高商店利益般的傢伙是當不了父母。所謂成為父母才不會以利益作考量。不是嗎?」

 ベンノがハッとしたように軽く目を見張った後、苦い笑みを浮かべた。
 班諾像是恍然大悟般輕輕張大已經之後,浮現了苦澀的笑容。

「なるほど。おっしゃるとおり、確かに、私にとって最優先するのは店の利益だ」
「原來如此。如您所說,的確,對我來說最優先的是商店的利益」

 ルッツを確保することが、店にとって、ベンノにとって一番利益になるから養子縁組を考えた。もちろん、ルッツの性格や有能さもそこには加味されているだろうけれど、店を継がせるための後継ぎだから、利益が最優先だ。
 因為確保路茲的事,對商店來說、對班諾來說會成為最大利益所以考慮收養養子。當然,雖然路茲的性格及能幹也在那裡被調為了吧,但因為是為了繼承商店的繼承人,利益才最優先。
 商人ならば当たり前の姿勢だが、それが親の姿勢ではないと糾弾されれば、ベンノには反論できないに違いない。
 雖然是若是商人的話理所當然的姿勢,但被糾正那並非是父母的姿勢的話,班諾肯定無法反駁。

「養子縁組を拒否された理由はわかりました。だが、私は真剣にルッツの将来性を買っています。養子縁組ではなく、ダプラ契約なら、頷いて頂けるのでしょうか?」
「明白了被拒絕收養養子的理由。但是,我是認真地看重路茲的指望性。並非是收養養子,如果是達普拉契約,可以點頭嗎?」

 ダルアがアルバイトや契約社員なら、ダプラは店を任される幹部候補生のような扱いだ。店からの保障も待遇も仕事内容も全く変わってくる。
 如果達魯亞是打工或契約社員,達普拉就像被託付了商店的幹部候補生般的對待。不論是來自店家的保障還是待遇或工作內容完全都改變了。

「ずいぶんと気が早いとは思うが?」
「想必相當性急就是了呢?」
「気が早いとはどういう意味だ?」
「性急是什麼意思?」

 神官長の言葉に、ディードおじさんは面倒そうな表情を隠そうともせずに肩を竦めた。
 對於神官長的話噢,迪多叔叔沒有隱藏麻煩似的表情聳聳肩。

「普通はダルア契約で仕事する様子を数年間見た後で、ダプラとして契約するかどうか考えるもんだ。洗礼式から季節も変わってないような見習いだぞ、ルッツは」
「普通是在以達魯亞契約觀察數年間工作的情況之後,要不要做達普拉的契約而考慮的東西。是季節從洗禮式之後都還沒改變般的實習喔,路茲」

 ディードおじさんが難色を示すと、ベンノは意外そうに眉を上げた。
 迪多叔叔表現出面有難色後,班諾意外似地揚起眉毛。

「洗礼式からは季節も変わってませんが、私がルッツと係わるようになってからは一年ほどたっていますが?」
「打從洗禮式後雖季節也沒有改變,但從我與路茲變得有牽連之後經過一年左右就是了?」
「そうなのか?」
「是那樣嗎?」
「えぇ。見習い一人を抱え込むのは店側に負担となるのはご存知でしょう? 縁も義理もないルッツを当初は採る予定がなかった。私はルッツを見習いにするに当たって、すぐには達成できないような課題を与えました。しかし、ルッツは私の予想以上の結果を残しました」
「對。承擔起一位實習會對店家方面造成負擔您是知道的吧? 當初沒有採用緣分或情義都沒有的路茲的預定。我把路茲當成實習,給予了無法馬上達成的課題。可是,路茲留下了超出我的預期的結果」
「ほぉ……」
「哦……」

 初めて聞いたと言わんばかりの顔でディードおじさんがベンノの話を聞いている。
 迪多叔叔用幾乎要說出第一次聽到的臉聽著班諾的講話。
 わたしの記憶が確かならば、あの頃は紙を作る職人にならなっても良いとおじさんが言っていたはずだ。もしかしたら、紙を何のために作っていたかということは聞いていなかったのだろうか。ルッツが言っていなかったのだろうか。
 如果我的記憶是確實的話,那個時候叔叔應該說過就算沒能成為造紙職人也可以。莫非,所謂是為了什麼而造紙沒有聽過嗎。路茲沒說過嗎。

「ルッツには商人の家で育っていない不足分を必死に埋める努力も、忍耐力もあります。余所に取られる前に手元に置いておきたいと考えていますし、真剣に教育するなら、なるべく早くしなければならないのです。努力は買っていますが、ルッツには基礎がないので」
「不論是路茲死命地填補不在商人的加成長的不足部分的努力,還是忍耐力都有。如果考慮到在被別處拿走之前想先放在身邊,認真地教育,就必須要盡早。由於雖看重著努力,但路茲沒有基礎」
「よかろう」
「好吧」

 そう言った後、ディードおじさんは神官長が立ち上がりかけたのをちらりと見て、自分から付け加えた。
 如此說了之後,迪多叔叔看了一眼站起來的神官長,親自追加了。

「……いくら力になってやりたくても俺では商売人の後ろ盾にはなれん。いずれ店を任されるほど立場を見込まれているなら、その契約はルッツのためになるだろう」
「……就算多麼想要成為力量我也當不了生意人的後盾。若是被指望著能將哪家店託負般的立場,那個契約會變為是為路茲好吧」
「では、商業ギルドで早速手続きいたしましょう」
「那麼,立刻在商業公會辦手續吧」

 マルクがニコリと笑って言い添えると、ディードおじさんはものすごく嫌そうに顔をしかめた。
 馬爾克笑嘻嘻地補充說後,迪多叔叔非常討厭似地皺起了臉。

「これだから商人は……」
「正是如此商人……」
「……父さん」
「……爸爸」

 ルッツの口から小さな呟きが漏れた。
 從路茲的嘴裡洩露了小小的嘟噥。
 切り上げ口調で言葉を断ち切っていた父親の言葉の意味を知って、自分にかけられていた愛情を知って、感極まったのだろう。ディードおじさんとよく似た色合いの翡翠のような目から、ほたりほたりと涙を落とす。
 用結束的語氣打斷了話語知道了父親的話語的意思,知道了被賦予給自己的愛情,感激不盡了吧。從與迪多叔叔非常相似色調翡翠般的眼裡,撲簌簌地掉著淚。

 カルラおばさんも静かに泣いていたが、間に挟まれた形になってしまったディードおじさんはものすごく居心地悪そうに二人から視線を逸らして、ガシガシと頭を掻く。普段は言わずに済ませていることを全部喋らされてしまった照れくささが、今になって込み上げてきたような顔になった。
 卡露菈阿姨雖靜靜地哭著,但成了被夾在中間的形式的迪多叔叔心情非常不好似地從兩人那別開了視線,猛烈地搔著頭。雖將平時不說就能搞定的事情全部被迫說出很難為情,但時至今日變成了淚眼汪汪似的臉。

「ルッツ! 謝れ!」
「路茲! 道歉!」

 日に焼けてわかりにくいが、多分赤くなっている顔で、突然そう叫んだ。
 用難懂是日照,但大概是變成了紅色的臉,突然如此大叫。

「……ディード、それではわからない」
「……迪多,不明白那個」

 溜息混じりの神官長の指摘に、おじさんはうぐぐっと一瞬言葉に詰まった後、ルッツに向かって怒鳴った。
 對於混著嘆息的神官長的指責,叔叔嗚咕咕地一瞬間語塞之後,朝向路茲怒吼了。

「お前の勝手な誤解で暴走したせいで、これだけの人数を振り回したんだ。誠心誠意謝れ!」
「因你擅自誤解而暴走的緣故,隨意指使了這些人數。誠心誠意道歉!」

 ディードおじさんの言葉がぐさっと胸を突いた。これだけの人数を振り回したのは、ルッツではなく、むしろ、わたしだ。
 迪多叔叔的話語直刺胸中。隨意指使了這些人數的,並非路茲,不如說,是我。

「す、すみませんでした!」
「非、非常對不起!」

 声が届かないまま、わたしはルッツと一緒に謝った。ルッツの両親はルッツを見ているが、神官長とベンノとマルクの視線はわたしの方を向いている。
 聲音依然無法傳達,我和路茲一起道歉了。路茲的雙親看著路茲,神官長和班諾和馬爾克的視線朝向著我的方向。

「ほれ、帰るぞ、バカ息子」
「夠了,回去吧,笨蛋兒子」

 ルッツが駆け寄っていくと、ディードおじさんがゴンと一発ルッツの頭にゲンコツを落とす。殴られて「いてぇ」と言って涙を拭いながらも、ルッツはちょっと嬉しそうにおじさんの隣に並んだ。
 路茲跑過去後迪多叔叔叩地落了一發拳頭到路茲的頭上。儘管被打而說了「好痛」擦著淚,路茲也有點高興似地並列在叔叔的旁邊。

「俺も言葉が足りなかったようだ。……その、助かった」
「我似乎也說得不夠。……那個,幫大忙了」

 ディードおじさんは照れくさそうな顔で神官長にそう言った後、くるりと背を向けて部屋を出た。カルラおばさんがルッツの手を取って、手を繋いで歩いていく。
 迪多叔叔用為難情似的臉如此對神官長說了之後,迴轉背脊出了房間。卡露菈阿姨拉起路茲的手,牽著手走了出去。



「旦那様、私達も商業ギルドへ参りましょう」
「老爺,我們也前往商業公會吧」
「神官長、本日は誠にありがとうございました。お陰さまで、無事に解決したようです」
「神官長,今天非常誠摯地感謝。托您之福,平安地解決了」

 たらたらと長い口上と共に、ベンノは退室の挨拶をして部屋を出て行った。ルッツ達を追いかけて、商業ギルドでダプラ契約をするのだろう。
 與嘮嘮叨叨地長長聲明一起,班諾作了離開房間的問候從房間出去了。追趕著路茲他們,是要在商業公會作達普拉契約的吧。
 ベンノとマルクが退室してしまうと、部屋に残されたのはわたしと神官長だけになり、灰色神官が椅子の片付けなどをするために出入りし始めた。
 班諾和馬爾克離開房間後,被留在房間的成了只有我和神官長,灰色神官為了做椅子的整理之類開始進出。

「必ず全ての言い分を詳らかにするように。片方の言い分だけ聞いていたのでは見方が歪む」
「必定要清楚全部的說法。只聽過單方面的說法看法會扭曲」
「はい」
「是的」

 わたしが声にならない声を発して頷くと、神官長は鎖で繋がっていた魔術具を手の平に握りこんだ。
 我發出成不了聲音的聲音點頭後,神官長將用鎖鍊繫著的魔術具握進手掌裡。

「あの家族が壊れなくて良かったな」
「那個家族沒有壞掉太好了呢」
「え?」
「咦?」

 突然の言葉にわたしが目を瞬かせて見上げると、神官長は「君が言ったことだろう?」とあまり感情を感じさせない無表情の中、少し嫌そうに眉を寄せる。
 我對突然的話語眨著眼抬頭看後,神官長說著「妳說過的吧?」不太感覺到感情的無表情之中,稍微討厭似地皺著眉頭。

「家族と和解させて、ルッツを家に戻す。それが君にとって最良の結末だったのだろう?」
「讓路茲和家人和解、回家。那是對妳來說最好的結尾吧?」

 神官長の言葉に、わたしはルッツの嬉しそうな泣き顔を思い出した。家族に理解されないと歯を食いしばっていたルッツが嬉し涙を流しながら、おじさんとおばさんと一緒に帰っていった姿に、わたしも目の奥が熱くなってくる。
 對於神官長的話語,我回想起路茲高興似的哭臉。對不被家人理解咬著牙的路茲一邊高興流著淚,一邊和叔叔與阿姨一起回去的身影,我也是眼底變熱了起來。

「うん、よかった。……ホントによかった……」
「嗯,太好了。……真的太好了……」

 誰も彼も言葉が少なすぎるせいで、こじれにこじれていただけで、家族として、親子としての情がなかったわけではない。ルッツが家族の元に戻れてよかった。
 因不論是誰話語都太少了,就只是鬧著彆扭。並不是沒有作為家人、作為親子的情義。路茲回到家人的身邊太好了。

「泣き止みなさい。……これでは私が泣かせたようではないか」
「請停止哭泣。……這樣不就像是我讓妳哭了嗎」

 灰色神官がチラチラと様子を伺ってくる視線に気付いた神官長が苦い顔になる。
 注意到灰色神官隱隱約約地窺視情況的視線的神官長化為苦澀的臉。

「これは、嬉し涙だからいいんです」
「這個是,高興的淚水所以是可以的」
「まったく君は……」
「真是的妳啊……」

 わたしが青の衣の袖で涙を拭こうとすると、神官長はものすごく困った顔でハンカチを貸してくれた。
 我打算用藍衣的袖子擦去淚水時,神官長以非常為難的臉借給了手帕。
 ハンカチには名前が刺繍されていて、わたしは神官長の名前がフェルディナンドということを知った。
 在手帕上被繡上了名字,我知道了神官長的名字叫費爾迪南多的事。

======================================================================
 ルッツの家出は終了し、ダルアからダプラになりました。
 路茲的離家出走結束了,從達魯亞變成了達普拉。

 次回は、ヴィルマを側仕えにします。
 下回是,讓薇兒瑪當近侍。
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