本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~以下犯上的書癡~為了成為圖書管理員而不擇手段~
作者:香月美夜
第二部神殿の巫女見習い 祭りの後第二部神殿的實習巫女 祭典之後
原文連結「バカ! 届いてねぇよ!」「笨蛋! 沒丟到啦!」
ルッツがぎょっと目を見張ったとおり、わたしが投げたタウの実は土の部分に届かず、ギリギリ石畳の隅に叩きつけられ、パン! パパパン! と弾けた。 路茲大吃一驚如同睜大了眼睛,我投之的濤之果沒有到達土壤的部分,勉勉強強被打到石板路的角落,啪! 啪啪啪! 地炸裂。
赤い実が割れた瞬間、小さい種が辺りに広く飛び散って、いきなり何本もの芽がむくむくっと顔を出し始める。土の部分に飛んだ種は芽を出し始めたが、石畳の上に落ちたものは急速に枯れて行き、発芽した物はあっという間に足首辺りまで成長してきた。 紅色果實裂開的瞬間,小小的種子廣泛飛散到附近,突然好幾根芽蠢蠢欲動地開始探出頭來。雖然飛到土壤部分的種子開始發芽,但掉落到石板路上的東西急速地逐漸枯萎,發芽的東西轉眼間成長到了腳踝附近。
「うわっ!」「嗚哇!」
「わわっ!?」「哇哇!?」
「これはすぐに成長する。膝くらいになったら次々と刈っていくんだ!」「這個會馬上成長。長到膝蓋左右的話就要不斷地去割掉!」
腰が引けている孤児達に指示を出しながら、ルッツがにょきにょきと成長していくトロンベをきつい眼差しで見据える。 一邊對瑟瑟發抖的孤兒們發出指示,路茲用強烈的眼神盯著一個個冒出成長著的特隆貝。
「フラン、マインを回収して後ろの方で待機!」「弗蘭,回收瑪茵在後方待機!」
ルッツの指示と同時にわたしはフランに抱き上げられて戦線離脱だ。刃物を全く持っていないわたしにできることはみんなの応援くらいだ。 在與路茲的指示同時我被弗蘭抱了上來脫離戰線。完全沒拿刀具的我能做的事情是宛如大家的聲援。
「みんな、頑張れー!」「大家,加油!」
「かかれ!」「架起!」
ルッツは鉈のような刃物を握って、一番奥の方へと飛び散った物を刈りに走った。ルッツに続いて走り、一番にトロンベを刈ったのはギルだ。 路茲握著柴刀般的刀具,跑去割掉往最裡面飛散的東西。接著路茲奔跑,最先割掉特隆貝的是基魯。
「ていっ!」「嘿!」
ギルが持っている刃物がブチッという音と共に、細い枝を切る。無造作な切り方でも枝が簡単に切り落とせたことと、切られた枝がそれ以上は成長しない様子を見た孤児院の子供達が一斉にトロンベに切りかかった。 基魯拿著的刀具與名為噗嘰的聲音一起,砍著細小樹枝。即便是隨意的砍法樹枝也無法簡單地砍下來,看到被砍的樹枝不會再繼續成長的孤兒院的小孩子們一齊砍著特隆貝。
「マイン様、これは何でしょうか?」「瑪茵大人,這個是什麼呢?」
フランから神官長にどれだけ情報が流れるだろうか。これはもしかしたら、お説教フラグだろうか。大騒ぎではなく、神殿の外ではよくあることとして何とか誤魔化せないかな、と必死で頭を回転させる。 會從弗蘭那流入多少情報到神官長那裡呢。這個或許,是說教旗吧。不能想辦法瞞騙作為並非是大騷動,在神殿外面是經常發生的事情嗎,地死命運轉著腦袋。
「高級紙の材料です。これでいつもの紙よりずっと高価な物ができますね」「是高級紙的材料。用這個能做出比平時的紙還昂貴的東西呢」
嘘は言っていない。でも、フランが聞きたい答えではないはずだ。フランが何か言いたげに口を開くと同時にギルの声が響いた。 沒有說謊。但是,應該不是弗蘭想聽的答案。在與弗蘭想說什麼而開口的同時基魯的聲音響起。
「そこまで成長するとナイフじゃ無理だ。退け! オレがやる!」「成長到那樣的話小刀是不可能的。退後! 我來幹!」
わたしがバッと振り返ると、ギルがナイフを持った女の子を下がらせて、自分達の太股辺りの高さに伸びた枝を刃物でザンザンと切り落としているのが見えた。嬉々として森に行っているギルの成長が目に見える。 我猛然回過頭後,看到基魯讓拿著小刀的女孩子退下,將長到他們自己大腿附近高度的樹枝用刀具嚓嚓地砍落下來。歡歡喜喜去了森林的基魯的成長看在了眼裡。
「よっしゃ! やったぜ!」「太好了! 做到了!」
ガッツポーズしたギルがこちらを向いて、ニカッと得意そうな笑みを見せた。これは後で褒めろ、というアピールだな、と理解して、軽く頷いておいた。 做出贏了的姿勢的基魯朝向了這裡,展現出得意似的露齒笑容。理解了,那是名為之後要稱讚、的請求呢,先輕輕點頭。
「……もう残ってないな?」「……已經沒有殘留了呢?」
ルッツの言葉に周りを見回していた子供達が大きく頷いた。 對路茲的話語環視著周圍的小孩子們大大點著頭。
「どうする、ルッツ? これ、いくつか置いておいて、また成長させる?」「怎麼了,路茲? 這個,先放幾著,再讓它成長嗎?」
せっかくの高級素材が比較的安全に刈れるのだから、この機会を逃すのはもったいない、とわたしが提案すると、ルッツは頭を横に振った。 因為是難得的高級素材能比較安全地割掉,讓這個機會跑掉很可惜,我如此提議後,路茲左右搖了搖頭。
「あと一つか二つ分だけ刈ったら、あとは予定通り投げ合いっこにしようぜ。土から離したタウの実はカラカラに干からびて枯れるし、まだ森を探せばあるだろうから、取りに行けばいい」「只要再割一個或兩個的份的話,之後是如同預定的來互相投擲吧。離開土壤的濤之果會乾巴巴的乾涸枯萎,因為再搜尋森林就有吧,去拿就好了」
「みんな、悪いけれど、もうちょっと刈ってもらっても良いかしら? これで作った紙はとても高級なものになるの。孤児院に回せる費用が増やせるわ」「大家,雖然很抱歉,但再稍微割一些可以嗎? 用這個製作的紙張會成為非常高級的東西。回到孤兒院的費用會增加喔」
「マイン様、費用が増えたらどうなるんですか?」「瑪茵大人,費用增加的話會變成怎樣呢?」
お金に関しては全くと言っていいほど、知識がない子供達が不思議そうな顔をする。彼らにとって生活に必要な物は全て神の恵みだ。 有關錢可以說是完全沒有般,沒有知識的小孩子們做出不可思議般的表情。對他們來說生活上必要的東西全部是神的恩惠。
世の中、何をするにもお金がかかるということも、孤児院で作っているスープの代金も、実はまだ子供達が自分達で賄えているわけではないということも説明はしたが、理解できていないだろう。 雖然名為不論是所謂世間中,要做什麼也都是要花錢的事情,還是在孤兒院裡製做著的湯的貨款,其實還並不是小孩子們他們自己能供應的事情也說明了,但無法理解吧。
「費用が増えたら、自分達で作れるご飯が増えます。それから、冬の薪が孤児院のために買えるようになります」「費用增加的話,你們自己製作的飯也會增加。還有,冬天的柴薪變得能為了孤兒院買了」
「よし、やろう!」「好,做吧!」
孤児院の薪の割り当てはそれほど多くなく、暖炉があるのが女子棟は食堂だけで、男子棟は大部屋一つだけ。そして、薪が切れたら、石造りの建物は一気に冷たくなるので、日中も団子のように固まっているようになるらしい。 孤兒院的柴火分配並沒那麼多,有暖爐的女子棟只有餐廳,男子棟只有大房間一個。然後,由於柴火用完的話,石造的建築物會一口氣變冷,整天裡似乎會變得像是糰子般凝固著。
金銭的に切り詰めなければならない環境で、冬の食料と暖房は切実な課題である。 以在金錢上必須要削減的環境裡,冬季的食品和暖房市確實的課題。
子供達がやる気になったので、そのあと3個分のトロンベを刈り取った。トロンベの枝だけで籠がいっぱいになったし、なるべく早く皮に加工しなければならないので、トロンベ狩りは終了となった。 由於小孩子們變得有幹勁,那之後收割了3個份的特隆貝。只有特隆貝的樹枝的籃子變得滿滿的,由於必須要盡可能早點加工成皮,狩獵特隆貝就終止了。
「じゃあ、残りのタウの実をぶつけ合って遊ぶか?」「那麼,要互相砸剩下的濤之果來玩嗎?」
ルッツの提案に、意欲的にトロンベを刈っていた子供達が目を瞬いて首を傾げる。 對路茲的提議,積極熱情地割著特隆貝的小孩子們眨著眼歪著頭。
「えぇ? 残りも全部紙にしなくて良いの?」「咦? 不把剩下的也全部做成紙可以嗎?」
「ぶつけて遊んでなくなったら、また拾いに行けばいいさ。今日みたいに」「不是要砸來玩的話,再去撿就可以了啊。就像今天」
ルッツの言葉に子供達は歓声を上げた。今日のタウの実拾いが相当楽しかったようだ。羨ましい。 小孩子們對路茲的話語發出的歡呼聲。今天撿拾濤之果似乎相當快樂。好羨慕。
何回もトロンベが芽を出したせいで、雑草が枯れて掘り返されたようにぼこぼこになった土をある程度均し、ちょっと浮いた石畳を上から踏みつけて元通りにした。 由於特隆貝發芽好幾次的緣故,某程度弄平雜草枯萎像是被挖起來般變得坑坑疤疤的土壤,從上面踩住稍微浮起來的石板路做成如同原樣。
「この辺り、雑草が完全になくなっているけれど、それはどうしようもないよね?」「雖然這附近,雜草完全變不見了,但那是沒有辦法的呢?」
「そうだな。でも、この季節ならすぐに草なんて生えてくるさ」「沒錯呢。但是,若是這個季節草什麼的會馬上生長吧」
「……除草の手間が省けたと前向きに考えるようにいたしましょう」「……就當成像是省去了除草的功夫的正向思考吧」
星結びの儀式が終わったところだし、こんな裏側を見に来るような青色神官はいないので、特に問題はないだろうと結論付けた。 由於星結的儀式剛結束,沒有會來看這樣的反面的藍色神官,加上了沒什麼特別問題吧的結論。
「オレはタウの投げ合いを仕切ってやるから、マインは着替えて来い。顔色が悪い。そろそろ熱が出るぞ」「因為我要隔開濤的互投,瑪茵去換衣服。臉色不好。就要發燒的吧」
「うん、確かに身体がだるくなってきたかも。寒気がする」「嗯,確實身體說不定變得疲倦起來。覺得發冷」
「デリアが風呂を準備しているはずですから、すぐに身体を温めましょう」「因為蝶莉亞應該正在準備著浴池,馬上讓身體暖和吧」
フランがそう言ってわたしを抱き上げた。スタスタと歩くフランの肩越しにタウの投げ合いを始めた子供達の様子が見えた。二手に分かれて、きゃあきゃあと歓声を上げながら、タウの実を投げ合っている姿は、下町の子供達と全く変わらない。孤児院にもう少し娯楽を取りこんであげたいと思う。 弗蘭如此說把我抱了上來。越過匆匆忙忙走著的弗蘭的肩膀看到開始互相投擲濤之果的小孩子們的樣子。被分成兩邊,一邊發出呀呀地的歡呼聲,一邊互相投擲濤之果的身姿,與下城的小孩子們完全沒變。想著想要再拿些娛樂進來在孤兒院。
「もー! 何をしてるんですの!? 孤児と遊んで体調を崩すなんて、青色巫女のすることではありませんわよ!」「真是的! 是做了什麼啊!? 因與孤兒遊玩而讓身體狀況垮掉之類的,並不是藍色巫女做的事情唷!」
でろんとフランにもたれかかって部屋に戻ると、目を三角にしたデリアがいた。風呂場までフランに連れて行ってもらった後は、フランを追い出したデリアが生乾きの服を剥ぎ取って、準備されていた湯船の中へ放り込まれる。 軟趴趴地掛趴在弗蘭上回到房間後,有吊起眼角的蝶莉亞在。被弗蘭帶去浴場之後,把弗蘭趕出去蝶莉亞脫去半乾的衣服,被放進被準備好的澡盆中。
少し温めだったお湯に熱いお湯を足してもらって、丁度良い温度に調節してもらった。「ずいぶん熱いお湯がお好みなのですね」とデリアが小さく呟いた後、キッとわたしを睨む。 麻煩在稍微溫熱的熱水裡加入熱的熱水,麻煩調節成剛剛好的溫度。蝶莉亞小小嘀咕著「相當喜歡熱的熱水呢」之後,直瞪著我。
「身体が冷え切っているから熱いお湯が欲しくなるんですわ! 身体が弱いなら、水遊びなんてするものではありません。それくらいご存じでしょうに! もー!」「因為身體冷起來而變得想要熱的熱水呢! 如果身體虛弱,不要做玩水之類的東西。那些是知道的吧! 真是的!」
「……デリア、ちょっと静かにして。せっかくいいお湯なんだから」「……蝶莉亞,稍微安靜一下。因為是很難得的熱水」
温かいお湯で全身を温められる環境にホッと息を吐く。 因溫暖的熱水在暖和全身的環境裡放心地吐氣。
「あたしが準備したんだから当然ですわ」「因為是我準備的當然的喔」
「えぇ、デリアの言うとおり。デリアのお陰でとても心地良いわ。ありがとう」「嗯,蝶莉亞所言甚是。多虧了蝶莉亞感覺非常舒服喔。謝謝」
わたしは未だに井戸で水を汲むことができないので、一人でお風呂を準備するなんてできないのだ。 由於我還做不到用水井打水,一個人準備洗澡是辦不到的。
「言われたことをしただけですもの。ギルじゃあるまいし、仕事に感謝の言葉なんて……」「只是做了被說的事情。又不是基魯,對工作感謝的話語之類的……」
ブツブツ言っているが、照れているだけだとわかっている。 雖是碎碎念說著,但能明白只是害羞。
クスと小さく笑いを漏らした後は、肩までお湯につかって、わたしはトロンベの事を考えた。 流露出小小的偷笑之後,泡浸熱水到肩膀,我思考著特隆貝的事情。
以前はほとんど発芽寸前だったせいだろうか、それとも、わたしが魔力や身食いに関する知識が全くなかったせいで意識されなかったのか、魔力の流れはほとんど感じなかった。 是以前幾乎是發芽前夕的緣故嗎,還是說,因我完全沒有有關魔力及身噬的知識的緣故而沒被意識到嗎,魔力的流動幾乎沒有感覺。
今回はハッキリとタウの実に向かって魔力が流れて行くのを感じた。水風船状態のタウの実を発芽させるには、奉納で小魔石2~3個分くらいの魔力が必要だと思う。 這次清楚地感覺到魔力朝向濤之果流了過去。要讓水球狀態的濤之果發芽,我認為必須要用奉獻小魔石2~3個份左右的魔力。
身食いが持っている魔力の量にもよるが、タウの実を使えば、身食いで死ぬ子供は減ると思う。まず、身食いという病気が周知されることが大事だし、必ずトロンベが発生するので、刈りとれるだけの人数が周囲にいることが必要な条件になる。 想著雖也要根據身噬持有的魔力量,但使用濤之果的話,因身噬而死的小孩子會減少吧。首先,名為身噬的疾病要被眾所周知是很重要的,由於特隆貝必定會發生,只有割取的人數要在周圍會變成必要條件。
ついでに、刈り取った枝はマイン工房が引き取れればありがたいなぁ、と皮算用してみた。 順便說下,割取的樹枝瑪茵工坊能領回的話就感激不盡了,試著打此如意算盤。
ただ、ルッツが言っていたことが事実ならば、タウの実は保存できないようだ。土から離すと春なら半日ほどで水がなくなってカラカラになり、水分たっぷりになった夏の実でも一日二日でカラカラに乾燥してしまうらしい。石畳に落ちた種が発芽することなく急速に枯れてしまったように。 只是,如果路茲說的事情是事實的話,濤之果似乎無法保存。從土壤離開後春季的話以半天左右水就會變不見變得乾巴巴,即便是水分變得充滿的夏季果實似乎也會因一天兩天乾巴巴地乾燥了。就好像掉落到石板路上的種子無法發芽急速地枯萎般。
トロンベが育っていくのと同じように土の上に置いておけば、いきなり枯れはしないと思うが、風や雨でどこかに流されて、秋に突然街中でトロンベが発生するのも怖い。 雖認為先放置在與特隆貝成長相同的土穰之上的話,是不會突然枯萎的,但因風或雨被沖到哪裡,在秋季特隆貝突然在城鎮裡發生也很可怕。
「……とりあえずベンノさんに報告かな?」「……總而言之要向班諾先生報告嗎?」
春から秋の初めまではトロンベを自分の意思で採集可能になったことを報告して、トロンベに関する情報収集と身食いに対するタウの実の使い方の情報拡散をお願いしてみよう。 報告從春季直到秋季之初變得能以自己的意思採集特隆貝的可能,試著拜託有關特隆貝的情報收集和應對身噬的濤之果的使用方法的情報擴散吧。
思考が一段落したので、ざっとお風呂から上がった。次の瞬間、頭がくらりとした。熱が出たのか、のぼせたのかわからない。 因思考靠一個段落,唰地從澡堂出來。下個瞬間,腦袋暈眩起來。不明白是發燒了嗎,還是腦袋充血了呢。
頭を押さえてその場にペタンと座り込むと、デリアが悲鳴を上げかけた口を押さえて、手早くわたしの全身を拭い始めた。ところどころ拭いきれてないままにブラウスとスカートを着せると、バタバタとフランを呼びに行く。 按著頭當場輕輕地坐下不動後,蝶莉亞發出悲鳴摀著嘴,俐落地開始擦拭我的全身。依然到處都還沒擦完就穿上襯衫和裙子後,吧嗒吧嗒地去呼喚弗蘭。
「マイン様!」「瑪茵大人!」
「……あ~、寝台に布団入れなきゃダメだったね。板の上でいいから寝かせて」「……啊~,床架上還沒放入棉被不行呢。因為在地上就好讓我睡吧」
フランが抱き上げたまま、板が剥き出しの寝台に寝かせるべきかどうかで右往左往しているのを見て、そう言うとフランは丁寧に寝かせてくれた。 看到弗蘭仍然抱了上來,應不應該在露出板子的床架上讓我睡而東跑西跑著,如此說後弗蘭小心地讓我睡了。
「デリア、ルッツを呼んできて。フランは外に出られるように着替えてくれるかしら? 早目に帰った方が良さそう……」「蝶莉亞,把路茲叫過來。弗蘭為了能去到外面去換衣服吧? 提早回去似乎比較好……」
「かしこまりました」「謹遵吩咐」
子供達と一緒にタウの投げ合いをしていたルッツは当然ぐしょ濡れなので、わたしはフランに抱き上げられて帰宅した。 由於與小孩子們一起做著互相投擲濤的路茲當然濕透了,我被俘藍抱了上來回家了。
祭りで集中砲火を食らって神殿で服を着替えた、というルッツの説明に母はやっぱりね、と溜息を吐いた。側仕え失格だと深刻な顔で謝るフランには「マインを星祭りになんて出したら、こうなることはわかっていたわ。数日間は寝込むから、神官長によろしく伝えてくださいね」と軽く言って、わたしをベッドに放り込む。 對所謂在祭典吃下集中砲火在神殿換了衣服,的路茲的說明媽媽是果然呢、地嘆了一口氣。對以近侍失格的嚴重表情道歉的弗蘭輕輕說了「讓瑪茵去星光祭之類的話,會有這種事是明白的喔。因為要臥床數天,還請傳達給神官長呢」,將我放進床裡。
「ずぶ濡れになったお祭りは楽しかったの?」「變得相當濕了祭典很快樂嗎?」
「……うん。ビックリすることがいっぱいあったけど、孤児院の子達もみんな笑ってた。よかったよ」「……嗯。雖然有滿滿嚇一跳的事情,但孤兒院的孩子們大家都笑了。太好了唷」
ルッツや家族の見立ては正しく、わたしは結局熱を出して三日間寝込んだ。見舞いに来てくれるルッツにタウの実やトロンベについての報告をベンノに頼むと、「詳しいことを話し合いたいから、熱が下がったら神殿に行く前に店に来い」という返事が返ってきた。 路茲及家人的判斷是正確的,我結果是發燒臥床了三天。對來探望的路茲把關於濤之果及特隆貝的報告委託給班諾後,返回了所謂「因為想商議詳細的事情,退燒的話在去神殿之前來店裡」的回覆。
「ベンノさん、おはようございます」「班諾先生,早上好」
「また面倒を起こしやがったな」「又惹麻煩了呢」
いきなり不機嫌そのものの赤褐色の目でじろりと睨まれて、わたしはうっと怯んだ。 突然被用不愉快的那種東西的紅褐色的眼睛瞪了一眼,我嗚地膽怯了。
「……め、面倒って、いつどこに出るのかわからなかったトロンベの出現するのを待つことなく、採れるようになったんですよ? 最初から人数を揃えておけば、簡単に全部刈りとれるから安全だし、褒められることじゃないですか?」「……麻、麻煩,不用等待不知道何時何地特隆貝會出現,變得能更採集了唷? 因為從最初就先備齊人數的話,就能簡單地全部割走很安全的,不是能稱讚的事情嗎?」
「それに関しては、確かに。タウの実がトロンベの種だと判明して、トロンベが安定供給できるようになるのは喜ばしい。だが、付随してくる面倒の方が多いだろう?」「有關那個,確實。濤之果判明是特隆貝的種子,特隆貝變得能夠安定供給是很可喜。但是,隨附而來的麻煩會很多吧?」
「そうなんですか?」「是那樣的嗎?」
付随してくる面倒に関して、全く思考が向いていなかったわたしに、ベンノは「やっぱり考え無しか」と呟くと、わたしの隣に立っていたルッツに視線を向ける。 對有關隨附而來的麻煩,完全沒有思考的傾向的我,班諾嘟噥著「果然沒有考慮嗎」後,將視線朝向站在我的隔壁的路茲。
「ルッツ、悪いが、マインの到着が遅れることを神殿に知らせてきてくれ。その後は呼ぶまでマルクについていろ。お説教には時間がかかるからな」「路茲,很抱歉,去告知神殿瑪茵的到達會延遲。那之後到呼喚之前都去跟著馬爾克。因為說教會花時間呢」
「はい、旦那様」「是的,老爺」
ルッツが苦笑して、「頑張れよ、マイン」と慰めにもならない激励の言葉を残して退室していく。 路茲苦笑著,留下「加油吧,瑪茵」安慰也當不成的激勵的話語退室去了。
味方がいなくなった部屋の中、ベンノがトントンと軽く指先で机の上を叩いた。 變成沒有自己人的房間裡面,班諾咚咚地輕輕用手指敲打桌子上面。
「ルッツから聞いた。タウの実が魔力を吸い取って一気に成長してトロンベになったと。間違いはないか?」「從路茲那聽到。濤之果會吸收魔力一口氣成長變成特隆貝。沒搞錯嗎?」
「ないです」「沒有」
「魔術具の代わりにはなりそうか?」「是能成為魔術具的代替嗎?」
冬の間、タウの実が手に入らないことが不安要素だけれど、わたしの場合、タウの実が20個くらいあれば、次の春まで魔力が溢れて死ぬことはないと思う。身体が成長すれば魔力量も増えるらしいので、成人する頃にはいくつくらい必要になるかわからない。 我認為雖然冬季期間,濤之果無法獲得會是不安要素,但我的場合,濤之果有20個左右的話,直到下個春季都不會魔力滿溢而死。由於身體成長的話魔力量似乎也會增加,在長大成人的時候不知道會變成需要幾個。
「……なると思います。だから……」「……我認為可以。所以……」
「それ、絶対に漏らすな」「那個,絕對不能洩露」
「え?」「咦?」
厳しい表情でベンノが言った。身食いを助けるために、タウの実の使うことについて情報の拡散をお願いしていたわたしは、ベンノの言葉が信じられなくて、大きく目を見張った。 班諾用嚴峻的表情說了。拜託了關於為了幫助身噬、濤之果的使用的情報擴散的我,無法相信班諾的話語,大大的睜大了眼睛。
「魔力の管理は貴族の管轄だ。森で簡単に拾える実が高価な魔術具の代わりになると知れば、貴族社会や神殿の在り方がひっくり返る恐れがある。変な伝わり方をしたら、多分、お前が潰される」「魔力的管理是貴族的管轄。知道在森林裡簡單撿到的果實能成為昂貴的魔術具的代替的話,貴族社會或神殿應有的樣子有可能會顛覆。做了奇怪的傳播的話,大概,妳會被弄垮」
「……でも、黙っていたら、平民の身食いはずっと助からないままですよ?」「……但是,沉默地話,平民的身噬就依然一直無法得救了唷?」
せっかくお金をかけなくても、助かる方法が見つかったのに、知らせることができなければ助かる者も助からない。 明明發現了難得就算不花錢,也能得救的方法,若無法得知的話能得救的人也無法得救。
「あぁ、そうだな。だが、身食いの子供をどうやって選別する? 俺にはわからないが、身食い同士なら、傍から見てわかるのか?」「啊,是那樣呢。但是,要如何來區分身噬的小孩子呢? 我雖不知道,但同為身噬的話,從旁來看能明白嗎?」
ふるりと頭を振った。わたしが会ったことがある身食いはフリーダだけだが、見ただけでフリーダが身食いだとか、魔力を持っているなんてわからなかった。誰が身食いかわからなければ助けられるはずもない。 搖了搖頭。我有見過的身噬雖只有芙莉妲,但只是看無法明白芙莉妲是身噬啦,擁有著魔力之類。若不明白誰是身噬就應該無法被幫助到。
「生まれた子供全員にその実を握らせて、魔力を持っているかどうか識別することは可能かもしれない。だが、魔力持ちだとわかった時点で貴族に取り上げられるだろう。判別と同時に取り上げられると分かれば、誰が識別させようとする? 少なくともお前の家族は連れて行かないだろう?」「把那個果實給生下來的小孩子全員握著,識別有沒有擁有魔力是可能的也說不定。但是,在明白擁有魔力的時間點上互被貴族拿走吧。明白在與判別的同時會被拿走的話,誰會打算要識別呢? 至少妳的家人是不會帶去的吧?」
ぐっと言葉に詰まった。家族と離れたくないわたしは魔術具に頼らないで延命する術が欲しいと思っていた。それは貴族を避けるためだ。大々的に識別すれば、それは貴族の知るところになるだろう。それでは意味がない。 咕地頓時語塞。不想與家人離開的我思考著想要不依靠魔術具而能延命的方法。那是為了避開貴族。大大地識別的話,那個會變成貴族的認知吧。那樣就沒意義了。
そして、大々的に周知するのでなければ、身食いに関することもタウの実で助かることに関しても情報が伝わるわけがない。 還有,若不能大大地眾所周知,不論有關身噬的事情還是有關用濤之果得救的事情情報都無法流傳。
「生まれてすぐの子供を大々的に集めるのでなければ、熱を出した子供を連れて来いというのか? 身食いならばタウの実で治るが、他の病気なら、残念でした、と追い返すのか? そんな判別をしていたら、逆に妙な病気をもらうし、治せなかった親からは無駄な憎しみを買う」「若無法大大地聚集馬上生下來的小孩的話,所謂將發燒的小孩帶來呢? 如果是身噬的話就用濤之果醫治,如果是其他疾病,很遺憾、地歸還嗎? 做了那種判別的話,反過來得到奇怪的疾病,會招致來自無法醫治的雙親無端的憎惡」
あの子の病気は簡単に治したのに、どうしてウチの子は、と言われるのは目に見えている。わたしは自分では考えられなかったベンノの予想図にギュッと拳を握った。 被說明明那孩子的疾病簡單地痊癒了,為什麼我家的孩子不能,是能看到的。我對自己無法考慮到的班諾的預想圖緊緊地握住了拳頭。
「それに、貴族を頼らず身食いが成長することで、周囲が困ることになる可能性は全くないのか? 大きな魔力を持って、知識なく育った身食いが正しく魔力を扱うことができるのか? 魔術具を買うことができない貴族の子供を預かって魔力を集めることで、神具を動かしていた神殿の在り様はどう変わる? 魔力を独占している貴族社会自体が揺らぐことにはならないのか?」「而且,因沒有依靠貴族的身噬成長了,周圍會變得為難的可能性完全沒有嗎? 擁有大大的魔力,沒有知識養育的身噬能做到正確的處理魔力嗎? 以聚集著保管了無法買下魔術具的貴族的小孩的魔力,驅動著神具的神殿的應有樣子會怎樣改變呢? 獨佔著魔力的貴族社會本身不會造成動搖嗎?」
「……わかりません」「……我不知道」
立て続けに並べられたどの疑問にもわたしは明確な答えを返すことはできなかった。社会情勢、政治の仕組み、この世界における魔力の扱いさえ、わたしは知らない。 對被持續列舉的哪個疑問我都無法返回明確的答案。連社會情勢、政治的結構、在這個世界裡的魔力的處理,我都不知道。
「どれだけいるのかわからない身食いを助けるためとしては、あまりにも余波が大きすぎる。とりあえず、今はお前が神殿から追い出されたり、魔術具を命の盾として脅されたりする状況になったりしても、こっそり生きていける手段を得たと思って、黙っていろ。事が大きくなりすぎている。少なくとも俺の手には負えん」「作為為了幫助不知道有多少的身噬,餘波太過於龐大了。總而言之,想想現在妳獲得就算又是被神殿趕出去,又是變成被做為生命之盾的魔術具威脅的的狀況,也能偷偷活下去的手段,沉默吧。事情變得大過頭了。至少我的手負荷不了」
ベンノの手に負えないことが、わたしの手に負えるわけがない。中央での粛清が終わって、貴族の大規模な配置変換が終わって、貴族が少ないながらも情勢が落ち着いてきた矢先に混乱を撒き散らしたいのか、と問われれば、答えはノーだ。そんな面倒な事はしたくない。 班諾的手負荷不了的事情,我的手也負荷不了。想要在正當在中央的肅清結束了,貴族大規模的配置變換結束了,貴族儘管少情勢也安定下來的時候散播混亂嗎,被問了的話,答案是不。不想要做那種麻煩事。
「森でトロンベを採るくらいなら、今までと同じだから誤魔化しも効くだろうが、身食いの判別や延命については黙っていた方が良いと俺は思う」「雖如果能在森林採集特隆貝,因為與至今相同能有效欺瞞吧,但關於身噬的判別及延命我認為沉默著會比較好」
「……はい」「……是的」
わかっていても助けられるはずの命が助けられないことに、不満が残る。わたしの表情に不満がハッキリと出ていたのだろう、ベンノが困ったように肩を竦めた。 對就算明白卻無法幫助應該能得救的性命,殘留著不滿。不滿清楚地表現在我的表情上了吧,班諾像是為難般的聳聳肩。
「そんな顔をするな。……お前の目に映る範囲内に身食いがいて、こっそり助けられるなら助ければいい。それを貴族に感付かれるなと言っているだけだ。お前は貴族社会に宣戦布告できるのか? 本を作った時の顧客は基本的に貴族だぞ?」「別做出那種表情。……在映入妳眼中的範圍內有身噬,偷偷地能幫就幫就好。雖然說別讓那個被貴族感覺到。妳能對貴族社會宣戰佈告嗎? 製作書本的時候的顧客基本上是貴族嗎?」
ベンノの言葉の最後にわたしはちょっとだけ笑った。笑ったことで、ほんの少し気分が浮上した。苦しんでいる身食いが目の前にいれば、助ける。見えないところまでは関知しない。今までどおりのスタンスで行けばいい。 我對班諾話語的最後只是稍微笑了。由於笑了,些許的心情浮現。痛苦著的身噬在眼前的話,就幫忙。看不到的地方不會干預。以如同至今的態度去做就好。
「せめて、一般市民が気軽に本を読めるようになるくらい識字率が上がってからじゃないと宣戦布告なんてできませんね。そんな面倒なこと、する気もないですけど」「至少,一般市民變得能輕鬆愉快看書般識字率不提高的話宣戰佈告之類的不會做呢。那種麻煩事,沒有心情做就是了」
わたしがベンノの軽口に乗ると、ベンノもフッと表情を緩めた。 我搭上班諾的俏皮話後,班諾也呼地放鬆了表情。
「まぁ、確かに一般市民が本を読めるようにするのは面倒だな」「算了,確實要使一般市民能看書是很麻煩的呢」
「面倒なのはそっちじゃなくて、宣戦布告ですよ。本を普及させたいんですから、識字率を上げる計画は当然ありますって」「麻煩的才不是那邊,是宣戰佈告唷。因為想要讓書本普及,提升識字率的計畫當然有」
せっかく神殿にいるのだ。いずれ孤児院を利用して、寺子屋ならぬ神殿教室を開催するつもりだ。手始めに孤児達への教育をする過程で、灰色神官を教師役に育てあげる。そして、わたしにわかる範囲で印刷技術を開発して、聖典を元にした教科書を作る。聖典を印刷して布教するのであれば、神官長も文句は言わないはずだ。 難得在神殿裡。打算早晚要利用孤兒院,召開不是私塾的神殿教室。起先以做著給孤兒們的教育的過程,將灰色神官培育為教師角色。然後,用我明白的範圍開發印刷技術,製作將聖典當基礎的教科書。有印刷聖典傳教的話,神官長應該也不會抱怨的。
「どうです、完璧でしょう?」「如何,很完美吧?」
うふふん、とわたしが胸を張ると、ベンノは何故か頭を抱えてしまった。 唔呼呼、地我挺起了胸膛後,班諾不知道為何抱頭煩惱著。
「お前の計画だから穴だらけだとは思うが、それはいい。……なぁ、マイン。お前、本以外の事に頭を使えないのか?」「雖然認為因為是妳的計畫而盡是漏洞,但那個很好。……喂,瑪茵。妳,對書本以外的事都沒在用腦的嗎?」
「はい、多分」「是的,大概」
本以外の事に使ったことがないので、使えるかどうかわからないというのが一番正しいけれど、と付け加えたら、ベンノは「残念すぎる」と、深い、深い溜息を吐いた。 雖然所謂由於沒有使用在書本以外的事上,不知道能不能用是最正確的,但附加的話,班諾是「太遺憾了」地,深深的、深深的嘆了一口氣。
失礼な! とむくれるわたしに「事実だ」と笑っていたベンノがスッと表情を変える。真剣な表情で、心もち声を潜めるのは、真面目な話がある時だ。 對真失禮! 地生氣的我笑著說「是事實」的班諾迅速地改變了表情。用認真的表情,略為低壓聲音,是有認真的話的時候。
「トロンベをなるべく独占できるようにタウの実については黙秘ということでいいな?」「關於能盡量獨佔特隆貝的濤之果是名為緘默的事情可以嗎?」
「はい」「是的」
「では、先日渡した課題一覧の最後の項目について、お前の意見が聞きたい」「那個,關於前幾天交付的課題一覽的最後項目,想聽聽妳的意見」
……あぁ、そのためにルッツを使いに出したのか。 ……啊,是因此而讓路茲出去跑腿嗎。
お説教のためと言いながら、ルッツを外に出した意図がわかって、わたしはコクリと唾を呑みながら、ベンノを見つめた。 明白了一邊說是為了說教,一邊讓路茲出去外面的意圖,我一邊咕嚕地吞了口水,一邊凝視著班諾。
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トロンベ、大量GETです。 特隆貝,大量獲得。
久し振りに熱出して倒れました。 久違地發燒倒下了。
次回は、ルッツの行く道についてです。 下回是,關於路茲的出路。