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第二部神殿的實習巫女 路茲的憤怒與基魯的憤怒

作者:SPT草包│2018-07-26 16:19:51│巴幣:6│人氣:171
本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~
以下犯上的書癡~為了成為圖書管理員而不擇手段~
作者:香月美夜
第二部神殿の巫女見習い ルッツの怒りとギルの怒り
第二部神殿的實習巫女 路茲的憤怒與基魯的憤怒
原文連結

「今日は荷物がいっぱいだな」
「今天行李很多呢」

 朝、迎えに来てくれたルッツが、籠の中に積まれた布の包みを見て、軽く肩を竦めながらそう言った。
 早上,來迎接的路茲,看著被堆放在籃子裡面的布包,一邊輕輕聳肩一邊那樣說。
 森に行く時に使う籠の中には、布に包まれた服が大量に入っている。フランとデリアとギルの服に、わたしの青の衣と帯、それから、昨日買ったばかりのわたしの3点セットだ。
 在去森林時使用的籃子裡面,大量放入了被用布包裹的衣服。弗蘭與蝶莉亞與基魯的衣服,我的藍色衣服與腰帶,然後昨天剛買的我的3點組合。

 昨日買ったのは民族衣装っぽくて可愛いんだけれど、継ぎ接ぎもなくて、綺麗な刺繍までされていて、だらりと長い袖にレースまで付いている。この辺りの子供が着るような服ではない。そんな服を着て、うろうろしていたら、どんな言いがかりを付けられるかわからない。
 昨天買的雖然只是民族服飾般很可愛,但沒有縫補,連美麗的刺繡也繡著,在鬆散的長袖上加上了蕾絲。並不是這附近的小孩子穿著般的衣服。穿著那種衣服,徘徊著的話,不知道會被怎樣找碴。

 家族にも注意された結果、わたしはルッツと同じようにいつもの普段着でベンノの店まで行って、ルッツの倉庫で着替えさせてもらうことにした。
 家人也被注意的結果,我就像跟路茲一樣用平常的便服去到班諾的店,在路茲的倉庫讓我換衣服。
 北の方で活動していると、どうしても服装や持ち物一つ一つが高価になっていく。そこでは当たり前に使われている物だから、仕方ない。けれど、よく気を付けないと、普段から高価なものを持っていると知られたら、家までの往復が危険になる。
 在北邊活動的話,無論如何服裝或攜帶品一個一個都變得昂貴起來。因為是在那裡被理所當然的使用著的東西,沒有辦法。但是,不好好留意的話,被知道了擁有著從平時到昂貴的東西的話,到家的往返會變得危險。

 洗礼式が済んだばかりの子供が着ている見習い服は、親が新しいものを準備するのが常なので、目を付けられることは少ないが、大きくなっても新しい服を着ていたら、多分、物取りに目を付けられる。ベンノに頼んでわたしのための荷物置き場も準備した方が良いかもしれない。
 由於洗禮式剛結束的小孩子穿著的實習服,是父母準備好的新東西很平常,很少被矚目,就算長大也穿著新衣服的話,大概,會被竊賊注目。說不定拜託班諾也準備為了我的行李放置場比較好。

「そういうわけで、できれば格安のお部屋をわたしにも貸してくれませんか?」
「因為如此,可以的話能不能也租給我廉價的房間嗎?」

 ルッツが自分の部屋で着替えている間、わたしは奥の部屋で待たせてもらうことになり、ベンノに部屋を貸してほしいと頼んでみる。
 路茲在自己的房間換衣服的期間,我變成要待在深處的房間,試著拜託班諾希望能租房間。
 木札と格闘していたベンノは、ものすごく難しい顔になって、わたしを睨んだ。
 與木牌格鬥著的班諾,化為非常為難的表情,瞪著我。

「部屋を貸すのはいいが、格安となったら屋根裏部屋だぞ?……お前、荷物を置いたり、着替えたりするためだけに、毎回屋根裏まで上がれるのか?」
「租房間是可以,但說是廉價的話是閣樓房間喔?……妳,只是為了放置行李、更換衣服,每次都要能爬上閣樓嗎?」

 自分の家の5階でも息切れしている現実を思い出して、うっ、と怯んだ。
 回想起即便是自己家的5樓都會氣喘的現實,唔、地膽怯了。

「ゆっくりゆっくり上がれば、大丈夫だと思います」
「慢慢地慢慢地爬的話,我認為沒問題」
「全く大丈夫そうに見えんな。むしろ、神殿に部屋はないのか? お前に客が来た時はどうするんだ?」
「看上去不完全不要緊,不如說,在神殿沒有房間嗎? 客人來的時候對於妳是怎麼做的?」
「客?」
「客人」

 魔力をこめるのと本を読むためだけに神殿へと通う予定だったわたしに来客の予定はない。理解できなくて首を傾げると、ベンノがペンを置いてこちらを見た。
 僅僅只是為了灌注魔力跟看書而預定往來神殿的我沒有來客的預定。無法理解而歪著頭後,班諾放下筆看著這邊。

「ルッツを迎えに出した時でも、本来なら、お前の部屋に通されるはずだろう? 前はどうだった?」
「即便是出來迎接路茲的時候,本來的話,應該會透過妳的房間吧? 之前是怎樣呢?」
「……ルッツは門前で待たされて、灰色神官が図書室まで呼びに来ました。えーと、つまり、図書室をわたしの部屋にできないか交渉した方が良いってことですか?」
「……路茲要在門前等候,灰色神官會來到圖書室呼叫。呃,也就是說,能不能把圖書室作為我的房間來交涉會比較好嗎?」
「どうしてそうなる!?」
「為什麼會變那樣!?」
「そうなったらいいのにな、って願望が口からつるっと」
「變那樣的話明明很好,是說願望要說出口嗎」

 高価な本が並んだ図書室が自分の部屋になることがないことはわかっている。ただの願望だ。
 我明白陳列昂貴的書本的圖書室是無法變成我的房間的。就只是個願望。

「ハァ。もういい。……お前が部屋を持っていないなら、今日は神官長に申し出て、部屋を借りろよ」
「唉。夠了。……妳沒擁有房間的話,今天就對神官長提出,借房間吧」
「へ? 今日?」
「哎? 今天?」
「お前の体調管理について、フランと話をするのが、今日のルッツの仕事だ」
「關於妳的健康狀況管理,跟弗蘭談話的,是今天的路茲的工作」
「わかりました。神官長に相談してみます」
「我明白了。會試著跟神官長商量」

 話が少し落ち着くと、ベンノは机の上のベルを手にとって鳴らした。すると、奥の扉から下働きの女性が顔を出す。
 談話稍微沉靜後,班諾將桌子上的鈴拿在手上鳴響。於是,雜工的女性從深處的門扇探出頭來。

「お呼びですか?」
「您叫我嗎?」
「着替えを手伝ってやれ。マイン、そこの衝立を使っていいから着替えろ。お前に屋根裏は無理だ」
「去幫忙換衣服。瑪茵,因為可以使用那邊的屏風。閣樓對於妳是不可能的」

 え? ここで着替えろって言うんですか!?
 咦? 說是在這裡換衣服嗎!?

 喉まで上がってきた言葉を、わたしは呑みこむ。ベンノは女性に命じた後、ペンを取って仕事を始めてしまったし、女性はてきぱきと衝立を広げて着替える場所を確保し始めた。当たり前のように準備されて、戸惑うわたしの方がおかしいみたいな雰囲気に、どうにも上手い断り文句が思い浮かばない。
 我將爬到喉嚨上的話語,吞了下去。班諾對女性吩咐之後,拿起筆開始了工作,女性俐落地展開屏風開始確保換衣服的地方。被理所當然般地準備,不知失措的我對好像很奇怪的氛圍,怎樣都想不起來好好拒絕的語句。

「……あの、ベンノさん。お気遣い頂かなくても、ゆっくり上がれば大丈夫ですよ?」
「……那個,班諾先生。就算不勞您操心,慢慢爬上去的話也不要緊唷?」
「出発前に、ただでさえ少ない体力を使うな」
「在出發前,就連只是些許的體力都別用」

 わたしにとっての小さな抵抗は、ベンノの一言で粉砕されてしまった。
 對於我來說的小小的抵抗,被班諾的依據化粉碎了。
 一応心配されているわけだし、気遣いだし、幼女だし、恥ずかしくないと思えば恥ずかしくない……? いやいや、恥ずかしいですから!
 姑且是被擔心的緣故,是被操心,是幼女,不認為丟臉的話就不丟臉……? 不不,因為很不好意思!

「あの……」
「那個……」
「着替えはどれですか? これですか?……はい、準備できましたよ。こちらへどうぞ」
「要換的衣服是哪個呢? 這個嗎?……好,準備好了喔。請往這邊」
「ルッツが来る前に支度は終わらせろよ」
「在路茲來之前讓打扮結束吧」

 断る間もなく、着替えるための準備ができてしまった。わたしは諦めて衝立の方へと向かう。
 沒有拒絕的期間,為了換衣服的準備已經做好了。我放棄了朝向屏風的方向。

「……じゃあ、ありがたく使わせていただきます」
「……那個,由衷感謝能讓我使用」

 恥ずかしい時間は早く終わらせてしまいたい。衝立の裏で下働きのおばさんに手伝ってもらいながら、さっさと着替える。バッとワンピースを脱いで、ブラウスを羽織ったら、太股まで長さがあるから、もう誰かに見られても平気。
 想要讓丟臉的時間快點結束。在屏風的背面一邊請雜工的阿姨幫忙,一邊快速換衣服。迅速脫掉連衣裙,披上襯衫的話,因為有到大腿的長度,已經就算被誰看到都沒事了。

 おばさんには大量にある小さいボタンを止めるのを半分くらい手伝ってもらい、スカートの長さとウエストを調節してもらい、ボディスを締める紐をくくってもらった。最後にベンノにもらった髪飾りを付けて、着替えは完了だ。
 請阿姨幫忙固定一半左右有著大量的小小鈕扣,調節裙子的長度跟腰圍,綁好勒緊背心的繩子。最後加上在班諾那領取的髮飾,換衣服完成了。

「ベンノさん、終わりました。ありがとうございました」
「班諾先生。結束了。非常感謝」

 脱いだ普段着を畳んで手に抱えて、衝立から出ると、顔を上げたベンノが上から下までゆっくりとわたしを見る。
 疊起脫掉的便服抱在手上,從屏風出來後,抬起頭來的班諾從上到下慢慢地看著我。

「……まぁ、それらしく見えるな」
「……不錯,看起來像那個呢」
「え? え? それらしいって、お嬢様っぽいですか? 可愛いですか?」
「咦? 咦? 看起來像那個是說,大小姐的樣子嗎? 可愛嗎?」
「黙っていたら、の話だ」
「是閉上嘴的話,的話題」
「ぬ?」
「呶?」

 わたしが口を閉じて普段着を籠に入れていると、マルクがルッツを連れて入ってきた。
 我閉上嘴將便服放進籃子裡後,馬爾克帶著路茲進來了。

「失礼します、旦那様。おや、マイン。着替えは終わっていたのですね?」
「失禮了,老爺。喔呀,瑪茵。換衣服結束了嗎?」
「ベンノさんが手伝ってくれました」
「班諾先生幫忙了」
「……旦那様?」
「……老爺?」
「マイン、この阿呆! 省略しすぎだ! 俺はマチルダを呼んだだけだ」
「瑪茵,妳個呆瓜! 省略過頭了! 我只是呼叫了瑪姬露妲」

 ベンノがガシガシと頭を掻きながら、衝立を片付けているマチルダを視線で示した。あぁ、とマルクが納得したように頷き、見習い服に着替えたルッツを前に押しやる。
 班諾一邊猛烈地搔著頭,一邊用視線表示正在收拾屏風的瑪姬露妲。啊、地馬爾克像是理解般點頭,把更換成實習服的路茲推到前面。
 ベンノはちらりとルッツを見て、ルッツの手に木札があるのを確認して軽く頷いた。
 班諾看了一眼路茲,確認到在路茲的手上有木牌輕輕點頭。

「では、ルッツの本日の仕事は、神殿に赴き、マインの側仕えであるフランとマインの体調管理について話をすることだ。報告してもらうことについてのまとめは終わっているか?」
「那麼,路茲今天的工作,趕赴神殿,跟身為瑪茵的近侍的弗蘭做關於瑪茵的身體狀況管理的談話。關於收到的報告的彙整結束了嗎?」
「はい、旦那様」
「是的,老爺」

 マルクと同じように一礼したルッツがわたしの籠を持って、部屋を出る。ちゃんと店員らしい言動になっているのを見て、ちょっとだけ授業参観の親の気持ちがわかった気がした。
 像是跟馬爾克一樣施做一禮的路茲拿著我的籃子,離開了房間。看著好好地變成了像是店員的言行,感覺稍微有點能明白教學觀摩的父母的心情。

 あぁ、ルッツも成長したなぁ。
 啊,路茲也成長了呢。

「ルッツ、姿勢や言葉遣いがすごく良くなったね」
「路茲,姿勢或措辭變得非常好了呢」
「まだまだだけど、これも仕事だからな」
「雖然還遠的很,但因為這也是工作呢」

 フッとルッツは誇らしそうな笑みを浮かべた。頑張る自分を誇れるのはすごいことだと思う。わたしも見習わないといけない。
 噗地路茲自豪似地浮現了笑容。我認為自豪努力的自己是很厲害的事情。我也是不學習不行。

「ルッツが店で丁寧な言葉を使うように、わたしも神殿ではお嬢様っぽい言葉遣いしなきゃいけないんだよね」
「就像路茲在店裡使用禮貌用語,我在神殿也必須要用大小姐般的措辭呢」
「……できるのか?」
「……做得到嗎?」
「ベンノさんも不合格とは言わなかったから、それほど変じゃないと思う。でも、馴染むように練習しなきゃダメなんだよ。……神殿で言葉遣い変えた時、似合わなくても笑わないでね」
「因為班諾先生也沒說不合格,我認為沒那麼奇怪。但是,要像熟悉般不練習不行唷。……在神殿改變措辭時,就算不適合也別笑喔」

 ルッツに笑われたら、馴染んでいないわたしのお嬢様言葉なんて簡単に崩壊する。
 被路茲笑的話,我不熟悉的大小姐用語什麼的會簡單地崩壞。

「……オレも丁寧に喋らなきゃダメか?」
「……我也必須禮貌地說嗎?」
「ベンノさんはビックリするくらい貴族に対する言葉を使いこなしていたよ。丁寧くらいは心掛けた方が良いかも?」
「班諾先生是宛如嚇了一跳般把對於應貴族的用語運用自如唷。說不定宛如有禮般留心會比較好?」
「お、おぉ……」
「喔、喔……」

 わたしが神殿に行くと、側仕えが全員門の向こうの広場で待っていた。何の連絡もしてないのに、なんで? と思っていたら、ギルベルタ商会から使いが出されたとルッツが教えてくれた。自宅に帰る時も先触れが必要らしい。貴族社会って面倒くさすぎる。
 我去到神殿後,近侍全員在朝向門的廣場等待著。明明什麼聯絡都沒做,為什麼? 那樣想著的話,請教從基魯貝路塔商會被派出跑腿的路茲。似乎回到自家時也需要預告。是說貴族社會麻煩過頭了。

 さて、なんて挨拶すればいいんだろう?「おはよう」?「ただいま」? うーん……。
 那麼,要做什麼招呼才好呢?「早安」?「我回來了」? 嗯……。

「ふふん、困ったでしょ?」
「哼哼,很傷腦筋對吧?」
「へ?」
「哎?」

 神殿ではお嬢様言葉で対応する予定だったのに、デリアに出鼻を挫かれた。間の抜けた声を出して首を傾げるわたしの前へ、デリアを押し退けるようにしてフランが出てきた。
 明明預定在神殿要用大小姐用語來對應,被蝶莉亞重挫了一開始。往發出糊塗聲歪著頭的我前面,弗蘭像是推開蝶莉亞般出來了。

「お帰りなさいませ、マイン様。ご無事の御帰宅、心よりお待ちしておりました」
「您回來了,瑪茵大人。平安無事的歸宅,衷心的等候著您」
「フラン、ただ今戻りました。留守中、変わりはなかったかしら?」
「弗蘭,我回來了。看家中,有沒有變化呢?」

 気を取り直して、わたしはフランに声をかける。フランは両手を胸の前で交差させ、軽く腰を落とした。
 重新振作,我向弗蘭打招呼。弗蘭讓雙手在胸前交叉,輕輕把腰放低了。

「万事恙無く」
「萬事無恙」
「何が恙無くよ! 客人を連れてくるのに、側仕えがいないなんて。すっごく恥をかいたでしょ? ふふん、いい気味」
「什麼無恙唷! 明明把客人給帶來,近侍不在什麼的。很丟臉對吧? 哼哼,活該」

 胸を張っているところ非常に残念かもしれないが、わたしは恥を掻いた覚えはない。むしろ、フランの有能さがわかって、余計な事をしでかす子がいなくて助かったと思っている。
 挺胸的地方非常可惜也說不定,但我不覺得丟臉。不如說,明白了弗蘭的能幹,不會是惹出多餘的事情的孩子我認為得救了。

「……フランがいてくれたわ」
「……有弗蘭啊」
「フン! たった一人でできることなんて、たかが知れてるわ。花を捧げることもできないじゃない。客人だって、さぞガッカリしたでしょうね」
「哼! 只有一個人能做到的事情什麼的,多少會知道吧。獻花不也做不到。就連客人,想必會很失望對吧」

 花を捧げるって何さ? 文脈から考えても知りたくないけど。ベンノさんは神官長と面識を得て、贈り物が気に入られて、マイン工房の利益配分について主導権を握ったから、大満足だったみたいだけど?
 獻花是什麼? 雖然就算從上下文思考也不想知道。因為班諾先生獲得與神官長相識,禮物被看中,關於瑪茵工坊的利潤分配握有主導權,好像很滿足就是了?

 よくわからないが、デリアはわたしに困ったと言わせたいらしい。面倒なので、こんな会話はさっさと終わらせるに限る。
 不太明白,但蝶莉亞很想讓我說傷腦筋。因為很麻煩,這種對話快點讓它結束最好。

「あー、うん。困った。すごく困ってる」
「啊,嗯。傷腦筋。非常傷腦筋」
「ふふん。でしょう?」
「哼哼。對吧?」
「マイン様、何に……」
「瑪茵大人,什麼……」
「デリアが面倒で困ってる。まさに今」
「因蝶莉亞很麻煩而傷腦筋。正是現在」

 フランはわたしの言葉に納得したように目を伏せた。わたしはルッツの背負っている籠の中に入ったままの服に視線を向けた後、デリアを見て、ゆっくりと首を傾げた。
 弗蘭像是理解了我的話語般低下了目光。我將視線朝向依然放入路茲背負的籃子裡面的衣服之後,看著蝶莉亞,慢慢地歪著頭。

「デリアは一体どうしたら真面目に働く気になるの?」
「很在意蝶莉亞到底要怎樣才會認真的工作?」
「あたしがあんたのために働くわけないでしょ!? バッカじゃないの! 頭悪すぎ」
「我是不會為了妳工作的吧!? 是不是笨蛋啊! 腦袋壞掉了」

 デリアは勝ち誇った笑みを浮かべて、踵を返すと、どこかへ去っていく。挨拶の一つもなく、やりたい放題なので、これから先、追い払うことになっても罪悪感も覚えずに済むし、いっそ清々しい。
 蝶莉亞浮現誇示勝利的笑容,翻轉腳跟後,往某處離去了。由於招呼一個也沒有,想做就做到滿,今後,就算變成轟走罪惡感也記不住就結束了,乾脆清爽。

「……なぁ、マイン。何だ、あれ?」
「……吶,瑪茵。什麼啊,那個?」
「一応側仕え」
「姑且是近侍」
「ハァ? 側仕えってあんなのでも務まるのか?」
「啥? 是說近侍即便是那種的也能擔任嗎?」

 呆然とした様子でルッツが去っていくデリアの背中を指差した。丁寧な言葉を使おうと思っていた決意が崩れたらしい。気持ちはわかる。わたしも一度気合入れ直さないと、お嬢様言葉に戻れそうにない。
 路茲以茫然的樣子用手指著離去的蝶莉亞的背後。想著要使用禮貌用語的決意似乎崩潰了。心情能明白。我也不重新鼓起幹勁的話,似乎就回不去大小姐用語。

「失礼とは存じますが、彼女は例外でございます」
「雖然明知失禮,但她是個例外」

 自分の仕事を侮辱されたと受け取ったのか、フランが即座に反論する。本来の側仕えがフランみたいな優秀な人の仕事なら、確かに、神殿長の愛人を目指すデリアは例外かもしれない。
 是理解了被侮辱了自己的工作嗎,弗蘭立即反駁。如果原本的近侍是像弗蘭的優秀的人的工作,的確,以神殿長的愛人為目標的蝶莉亞說不定是例外。

「フランは優秀な側仕えなの。デリアは問題あるけれど……」
「弗蘭是優秀的近侍。蝶莉亞雖然有問題……」
「ふーん。あんなんばっかりじゃないんだな。よかった」
「哼。並非淨是那種的呢。太好了」

 ルッツがそう言って納得してくれた直後、もう一人の問題児がしゃしゃり出てきた。ビシッとルッツを指差して睨む。
 緊接著路茲那樣說並理解了之後,另一位問題兒童不知死活地出現了。用力用手指著路茲瞪著。

「お前こそ、勝手に神殿へ入って来て、何だよ?」
「你才是,擅自擅自進入神殿來,搞啥啊?」
「……誰?」
「……誰?」

 ルッツが嫌そうに顔をしかめた。けれど、自分と同じような背恰好で、この場にいるということで、ギルが何者か見当はついているはずだ。
 路茲厭惡似地皺著臉。但是,與自己相同似的身高體型,所謂在現場這件事,基魯應該是在猜測是什麼人。

「側仕え」
「近侍」
「こちらも例外と考えてください」
「這邊也請考慮是例外」
「まともなの、お前だけってことか!? 何だ、それ!?」
「正經的,就只有你嗎!? 什麼啊,那個!?」

 フランがすぐさまギルも例外だと言ったけれど、フォローのしようがない。例外の方が多いわたしの側仕えしか見たことがないルッツにとっては、まともなフランの方が少数派になってしまう。
 雖然弗蘭馬上說基魯也是例外,但沒有獲得支持。對於路茲來說就只能看到例外還比較多的我的近侍,正經的弗蘭變成了少數派。
 頭を抱えるわたしとフランの前で、ギルがルッツに向かって吠えた。
 在煩惱的我與弗蘭面前,基魯朝路茲吼了。

「さっきから何だよ、お前! 部外者のくせに!」
「從剛才開始搞啥啊,你! 部外者的習氣!」
「マインの関係者、ルッツだ。主にマインの体調管理をしている。今日は旦那様の意向により、マインの側仕えと体調管理について話をしに来たんだけど、挨拶一つまともにできない側仕えって……」
「是瑪茵的關係者,路茲。主要做著瑪茵的身體狀況管理。雖然今天是根據老爺的意向,跟瑪茵的近侍來做關於身體狀況管理的談話而來,但一個招呼都無法正經做到的近侍……」

 貴族相手に挨拶しなければ、と気負っていたルッツにとって、ものすごい肩透かしだっただろう。
 對於不能跟貴組對象打招呼的話,地振奮著的路茲來說,是很厲害的閃躲吧。

「ごめんね、ルッツ。わたしがまだ主として未熟だから」
「抱歉,路茲。因為我做為主人還不成熟」
「それを支えるのが側仕えの役目だろう? 与えられた仕事が満足にできないヤツは必要ないだろ? やる気がないヤツなんて切り捨てろよ。さっきの女なんて、マインを困らせることしか考えてなかったぞ」
「支持那個的是近侍的任務吧? 被給予的工作無法滿足的傢伙不需要吧? 沒有幹勁的傢伙什麼的割捨掉吧。剛才的女人什麼的,只考慮要讓瑪茵傷腦筋吧」

 ルッツの言うとおりなのだが、向こうが指定して付けられた側仕えなので、そう簡単に辞めさせることもできないのだ。
 雖然就像路茲所言,但由於對面是被指定配給的近侍,是沒辦法那麼簡單地被辭退。

「まぁ、おバカ加減に助けられている部分もあるから、今はいいよ」
「算了,因為也有被笨蛋加減幫助的部分,現在很好唷」
「おバカ加減?」
「笨蛋加減?」
「デリアは神殿長の回し者だから。何をしたのか、わざわざ報告してくれるだけ、隠れてこっそり何かされるよりはよっぽどマシなの」
「因為蝶莉亞是神殿長的間諜。做了什麼嗎,只要特意去報告,比起被偷偷隱藏了些什麼還好很多」

 わたしの手に負えない人が付けられるより、マシだ。ルッツは「面倒だな」と呟き、肩を竦める。
 比起被配給了我管束不住的人,還要好。路茲嘟噥著「真麻煩呢」,聳著肩。

「……おい、チビ。お前、オレ達のこと、バカにしてるのか?」
「……喂,矮子。妳,把我們,當成笨蛋了嗎?」

 ギルが目を三角にして、わたしとルッツを睨んだ。ギルがチビと言う以上、わたしのことを指しているのだろうと思うが、返事をしてやる義理はない。
 基魯吊起眼角,瞪著我跟路茲。基魯既然說是矮子,我認為正是在指著我的吧,沒有回答的情理。

「フラン、お願いがあるのだけれど」
「弗蘭,雖然有個請託」
「何でございましょう?」
「是什麼呢?」
「無視するな! バカにするな!」
「別無視我! 別當我笨蛋!」

 ギルが叫びながら、わたしの腕を力任せに引っ張った。体格も違う、腕力も違うギルが力任せに引っ張れば、4~5歳の体格しかないわたしなんて簡単に振り回される。
 基魯一邊叫喊,一邊用全力拉者我的手臂。體格不一樣,力氣也不一樣的基魯用力拉扯的話,只有4~5歲的體格的我什麼的被簡單地舞弄。

「ひゃっ!?」
「呀!?」

 横に飛ばされかけたのを、そこにいたルッツが抱きしめる形で庇ってくれた。ルッツを下敷きに転んだわたしは、一瞬何が起こったのかわからなくて、しぱしぱと目を瞬く。
 被拽飛到側邊,在那邊的路茲以緊抱的形式給予了庇護。將路茲壓在下面跌倒的我,一瞬間不明白是發生了什麼嗎,一再地眨著眼。
 ゆっくりと周りを見ると、わたしと向き合って話をしていたフランは息を呑んで手を伸ばしたが、届かなかったようで、手を伸ばしたままこちらを見ている。ギルはまさかわたしが簡単に飛ばされると思っていなかったのか、自分の手とわたしを驚いたように見比べていた。
 慢慢環視周圍後,與我面對面說話的弗蘭屏息伸出了手,但好像沒搆到,依然伸出了手看著這邊,基魯是沒有想過沒想到我會簡單地被拽飛嗎,好像吃驚般比較著自己的手跟我。

「マイン、怪我はないか?」
「瑪茵,沒受傷嗎?」
「ルッツが庇ってくれたから平気。ルッツは?」
「因為給路茲庇護了沒事。路茲呢?」
「ん。アレはお前の側仕えなんだよな? 躾が足りないんじゃないか?」
「嗯。那個是妳的近侍之類的嗎? 教養不是不夠嗎?」

 いつもどおりに声をかけたはずなのに、ルッツの目が怒りに燃えて、わたしを見た。少しだけ瞳の色が薄くなっている。ルッツがものすごく怒っているのがわかって、わたしは一瞬怯んだ。
 明明應該是發出了如同往昔的聲音,路茲的眼神憤怒地燃燒著,看著我。瞳孔的顏色些微地變薄了。能明白路茲是很厲害地生氣著,我一瞬間畏怯了。

「躾なんて全然足りてないけど、そんな時間も労力も愛情ももったいなくて……わたし、体力も腕力もないし」
「雖然教養什麼的完全不夠,但那種時間勞力與愛情都很浪費……我,沒有體力或力氣」
「じゃあ、マインの代わりにオレがやる」
「那麼,代替瑪茵我來做」

 静かにそう言いながら、ルッツはわたしを立たせて、怪我がないことを確認した上で、フランにわたしを預ける。
 一邊靜靜地那樣說,路茲一邊讓我站起,在確認了沒有受傷之後,把我委託給弗蘭。
 直後、ルッツはギルに飛びかかり、ガッと思い切り拳で殴りつけた。
 緊接著,路茲朝基魯飛撲過去,鏘地盡情用拳頭毆打。

「このバカ! マインが怪我したらどうするんだ!?」
「這個笨蛋! 瑪茵受傷的話要怎麼辦啊!?」

 下町の子供同士の小競り合いはよくあることだが、相手をよく見てケンカしなければならないという暗黙のルールがある。何に関しても身体が資本の下町で、やり過ぎは御法度なのである。
 下城的小孩之間的小衝突是常有的事情,但有著所謂必須要好好看著對象來吵架的默契。在就算關乎些什麼身體就是資本的下城,有著禁止做過頭。

 今回、明らかにギルはやりすぎた。口で言う分には、ルッツも肩を竦めて言葉の応酬で終わっただろう。しかし、ウチの家族やベンノから「マインを守れ」と言われているルッツの前で手を出してしまった。それも、主であるはずのわたしに対して。
 這次,明顯是基魯做過頭了。在用嘴說的份上,路茲也會聳著肩用話語應付來結束吧。可是,在被從我家的家人與班諾說了「保護瑪茵」的路茲面前出手了。而且也是,對身為主人的我。

「いきなり何するんだよ!?」
「突然幹什麼啦!?」
「それはこっちのセリフだ! 側仕えが主に手を上げるなんて何をするんだ、このバカ!」
「那個是這邊的台詞! 近侍對主人動手什麼的是要做什麼,這個笨蛋!」

 手を出したギルはやり返されて当然なので、わたしはルッツがギルを殴りつけるのを黙って見ていた。これでギルが大人しくなってくれたらいいなぁ、と思いながら。
 由於出手的基魯被反擊是當然的,但我沉默地看著路茲毆打基魯。一邊想著,就這樣基魯能變成大人的話就好了呢。

「マイン様、あの、ルッツ様を止めなくては……」
「瑪茵大人,那個,不阻止路茲大人的話……」
「どうして? ギルを躾けるのは主の役目なのでしょう? ルッツが代わりにしてくれるんですって。助かるわ。わたくし、腕力も体力もないから」
「怎麼了? 管教基魯是主人的任務對吧? 是說路茲代替我去做了。幫大忙了啊。因為我,沒有力氣或體力」

 やる気もないけれど、と心の中で付け加えていると、おろおろしたようにフランがわたしと平手でぶたれているギルを見比べた。
 雖然也沒有幹勁、地在心中附加著時,像是驚慌失措般弗蘭比較著我和被打成平手的基魯。

「躾ですよ? 反省室で反省させるとか、神の恵みを一回禁じるとか……」
「是管教吧? 讓他在反省是反省之類,禁止一次神之恩惠之類……」
「反省室?」
「反省室?」
「その、暴力はいけません」
「那個,暴力是不行的」

 どうやら、躾にも下町と神殿では大きな違いがあったようだ。
 看來,在教養上下城與神殿似乎有著很大的不同。

「ルッツ、それくらいにして」
「路茲,做得差不多了」
「まだわかってないぞ、こいつ。なんで殴るんだって言ってるくらいなんだから」
「還不明白喔,這傢伙。因為甚至都說為什麼要打他」
「神殿では手を上げちゃいけないんだって」
「因為在神殿動手就是不行」
「ハァ? 躾だろ?」
「啥? 是管教吧?」
「ここでは違うらしいよ」
「在這裡似乎不一樣唷」

 わたしの言葉にルッツはチッと舌打ちしながらパッと手を離した。
 路茲一邊對我的話語嘖地咋舌一邊啪地放開了手。
 最初にグーで殴られた以外は、平手だったようで、ギルに目立った怪我はない。
 在最初被用拳毆打了以外,似乎是平手,基魯沒有顯眼的創傷。

「ったく。やらなきゃいけないことをやってない上に、マインに怪我をさせるなんて最悪だ。こんな側仕え、危なくてマインの側に置いておけねぇよ。解雇しろ」
「真是。在不能做必須做的事情之上,讓瑪茵受傷什麼的是最壞的。這種近侍,危險得別放在瑪茵身旁唷。解雇吧」
「やってないのはそのチビだって一緒だ! 与えるべきものを与えてないだろ!」
「沒做的那個矮子也是一起的! 沒有給予應該給予的東西吧!」

 ギルが頬を押さえながら立ち上がって、わたしを睨んだ。
 基魯一邊按著臉頰一邊站起來,瞪著我。
 どうやら、また何か、わたしの知らない常識があるらしい。
 看樣子,又有些什麼,似乎有著我不知道的常識。

「ねぇ、フラン。わたくしが与えるべきものって何かしら?」
「喂,弗蘭。我應該給予的東西是什麼?」
「何って、お前、そんなことも知らないのかよ!? この常識知らず!」
「什麼,妳,那種事情都不知道嗎!? 不知道這個常識!」

 フランより先にギルが叫んだ。ギルがぎゃあぎゃあ叫ぶと全然話が進まない。わたしに神殿の常識がないことなんてわかりきっているのに、それしか叫べないなんて、頭が悪すぎる。
 基魯比弗蘭先叫喊了。基魯呱呱叫地對話完全沒有進展。明明顯然知道我沒有神殿的常識什麼的,只會大叫什麼的,腦袋太爛了。

「ギルって、ホントにバカだよね?」
「基魯,是真的笨蛋吧?」
「何だと!?」
「妳說什麼!?」
「……だって、自分で言ったじゃない。わたしには常識がないって。それなのに、なんでわたしが知っているって思うの? 平民出身のわたしが神殿の常識を知らないことなんて、最初からわかってたことでしょ? 今更何を期待しているの?」
「……可是,你自己不是說了。我沒有常識。儘管如此,為什麼會認為我知道? 平民出身的我不知道神殿的常識什麼的,是從最初就知道的吧? 事到如今才在期待什麼?」
「ぐっ……」
「咕……」

 ギルは言葉に詰まったようで、わたしを睨んで歯ぎしりする。
 基魯似乎語塞了,瞪著我咬著牙。
 ルッツがギルからわたしを庇うように前に立って、ギルに向かった。
 路茲像是從基魯納庇護著我站在前面,朝向基魯。

「お前、与えるべきものって、偉そうに何言ってるんだよ? 仕事もしてないヤツが何かもらえると思ってるのか!? 何もしてないのに、何かもらえるなんて考える方がどうかしているぜ」
「你,說著應該給予的東西,偉大似地說些什麼啊? 工作也不做的傢伙還想著要收到些什麼嗎!? 明明什麼都沒做,卻在考慮收到些什麼之類的很不正常喔」
「神様からの恵みは平等に与えられる物だろ! 階級が上がれば恵みを先に頂けるようになるけど、全ては平等だ! 仕事なんて関係ない!」
「來自神明大人的恩惠是被平等給予的東西吧! 雖然階級上升的話就能先收到恩惠,但一切都是平等! 工作什麼的沒有關係!」
「ハァ!?」
「啥!?」

 ギルの言っている意味がわからなくて、わたしはルッツと顔を見合わせた後、隣に立っているフランに声をかけた。
 不明白基魯所說的意義,我跟路茲面面相覷之後,對站在隔壁的弗蘭出聲了。

「フラン。教えてもらっていいかしら? わたくしが与えるべきものというのは何?」
「弗蘭。可以請教一下嗎? 所謂我應該給予的東西是什麼?」

======================================================================
 ルッツがブチきれました。
 路茲暴怒了。
 目の前の暴力にフランがおろおろしています。
 弗蘭對眼前的暴力倉皇失措著。

 次回は、与えるべきものです。
 下次是,應該給予的東西。
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