創作內容

1 GP

第一部士兵的女兒 歐拓商談室

作者:SPT草包│2017-05-03 22:31:37│巴幣:2│人氣:304
本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~
以下犯上的書癡~為了成為圖書管理員而不擇手段~
作者:香月美夜
第一部兵士の娘 オットー相談室
第一部士兵的女兒 歐拓商談室
原文連結

 外に出るとあまりにも積もっている雪に唖然とする。冬の間は基本的に引きこもりなので、わたしが外に出ることはほとんどない。自分の身長より高く積もっている雪を見ると、どうしてもポカーンとしてしまう。
 出到外面後對太過推積著的雪啞口無言。由於冬季期間基本上是閉門不出的,我幾乎沒有出來過外面。看到堆積著比自己的身高還高的雪後,無論如何也愣住了。
 大通りに出る細い路地までは雪かきされていて、人がどうにか通れる程度の道ができているが、横に積もっている雪が倒れてきそうで怖い。
 就連出到大街上的細小巷道都被鏟過雪,雖然做出了人算能通過的程度的道路,但堆積在一旁的雪似乎要倒了的恐怖。

「マイン、ほら」
「瑪茵,來吧」

 父が屈んで両手を広げてくれたので、わたしはおとなしく抱き上げられて、父の首にしがみついた。この雪の中をわたしが歩いていたら、父は交代の時間までに門に着けないだろう。
 由於父親給彎下腰張開了雙手,我乖乖地被抱了起來,緊緊抓住父親的脖子。我走在這種雪中的話,父親直到交接的時間都到不了的門的吧。
 父に抱き上げられると、雪より上に顔が出た。冷たい風が吹くと、一面に広がっている白のきらめきが海のように波立ったのが見えた。
 被父親抱起來後,臉探出了比雪還上面。冷風吹起的話,一整面擴散開來的白色輝煌看起來就像是大海掀起了波浪。

「父さんは大通りの雪かきもするんだっけ?」
「爸爸也做了大街的剷雪?」
「お貴族様の馬車が通れるようにな」
「為了讓貴族大人的馬車通過呢」
「……こんな雪の中を移動しなくても良いのにね」
「……明明就算不在這種雪中移動也可以呢」

 これだけ雪が積もっているのだから、大通りを行き交う人は少ないとわたしは思っていたが、足早に行く人々が予想以上に多かった。
 因為這種程度的雪堆積著,雖然我認為往來大街的人沒多少,但快步走著的人們超出預期的多。

「こんなに雪が積もっているのに、外へ出てる人が多いんだね」
「明明堆積著這樣的雪,往外頭出去的人很多呢」
「たまの吹雪が止んだ時間帯だからだろう? 吹雪いている時はさすがに少ないぞ」
「因為是少有的暴風雪停止的時間帶吧? 風雪交加的時候畢竟沒多少喔」

 そんな会話をしているうちにチラチラと雪が降り始めたので、父はやや急ぎ足になった。
 由於在做著那樣的對話的時候雪隱隱約約地開始下了,父親稍稍變成疾走。

「降り始めた。急ぐぞ、マイン。しっかりつかまれ!」
「開始下了。要加快了,瑪茵。緊緊抓住!」
「ふきゃあ! 落ちるぅ!」
「呼呀啊! 要掉了!」

 わぁわぁ騒いでいるうちに門に着いた。パタパタと雪を払いあった後、早速宿直室に向かう。
 在哇哇喧鬧的時候到達了門。互相輕輕拍打地撢去雪之後,趕快往值班室去。
 軽くノックしてドアを開けると、暖炉の前には机があり、大量の資料を積み上げながら計算をするオットーの姿があった。
 輕輕打開敲過的門後,在壁爐前有著桌子,有著一邊堆積起大量的資料一邊做著計算的歐拓的身影。

「オットー、待望の助手を連れてきたぞ。暖炉の前を空けろ」
「歐拓,我把期望的助手帶過來了喔。空出壁爐的前面」
「班長、ありがとうございます! 待っていたよ、マインちゃん」
「班長,非常感謝你! 正等著喔,小瑪茵」

 ざざっと机の上の資料を片付けながら、オットーはわたしが仕事をする分のスペースを空けてくれる。ものすごい笑顔で歓迎されたことから考えても、かなり仕事が積み上がっているに違いない。
 一邊迅速地整理著桌子上的資料,歐拓一邊給空出我能工作的空間。就算從被用非常可怕的笑臉歡迎這件事來考慮,也肯定是推積起了相當的工作。
 トートバッグから石板と石筆を取り出して、わたしは少し高い椅子によいしょっと座った。
 從手提包裡拿出了石板與石筆,我奮力地坐到稍微高的椅子上。

「じゃあ、マインちゃん。この部署の計算が合っているかどうか、確認を頼むよ」
「那麼,小瑪茵。這個部門的計算是不是正確呢,拜託妳確認喔」
「はい」
「好的」

 まず、この山を片付けないと相談どころではないようだ。ドンと積まれた資料を見て、わたしは石筆を構えた。
 首先,不收拾這堆山似乎不是能商量的地方。看著咚地被堆積的資料,我架起石筆。

 しばらく、黙々と計算を続ける。オットーが計算機を弾く音とわたしが石筆を動かす音だけが響いていた。
 暫時,默默地繼續計算。只有歐拓彈著計算機的聲音與我動著石筆的聲音響起著。
 コンコンとノックの音が響いた後、若い兵士が入ってきた。
 叩叩地敲打聲響起之後,年輕的士兵進來了。

「失礼します。オットーさんに質問がありまして……」
「失禮了。有疑問要問歐拓先生……」
「マインちゃん、質問だって」
「小瑪茵,說是有疑問」

 計算機と資料から目を離さず、オットーがわたしを指名した。
 沒有從計算機與資料移開目光,歐拓指名了我。

「え? わたしですか? ちょっと待ってください。この計算だけ……」
「哎? 我嗎? 請稍等一下。只有這個計算……」

 わたしは筆算を終えると、答えの確認をした印を付けて、顔を上げた。
 我結束筆算後,加上確認了答案的記號,抬起了頭。
 若い兵士は鬼気迫る迫力で計算機を動かしているオットーとわたしを見比べた後、軽く溜息を吐いて羊皮紙を取り出した。
 年輕的士兵比較了以鬼氣逼人的魄力動著計算機的歐拓與我之後,輕輕嘆了一口氣拿出了羊皮紙。

「これ、お願いします」
「這個,拜託妳了」
「何ですか?……あぁ、貴族の紹介状ですね。今って士長はいますか?」
「是什麼呢?……啊,是貴族的介紹信呢。是說現在士長在嗎?」
「いえ、今日は夜番だったと……」
「不在,今天是晚班……」
「じゃあ、部長の印章をもらって、早目に城壁へ向かえるように手配してください。この雪の中の長旅だったら、普段は温厚なお貴族様でも気が立っている可能性があるので、処理は迅速に」
「那麼,取得部長的印章,為了早點往城牆去請做安排。由於在這種風雪之中長期旅行的話,即便平時是敦厚的貴族大人也會有焦躁的可能性,處理要迅速」
「はっ!」
「是!」
「もし、待たせるようであれば、すぐに火に当たれる待合室に入ってもらって、温かいお茶でも出してあげた方が良いかもしれません」
「如果,似乎有要等待的話,馬上請入點了火的等候室裡,說不定即便是溫暖的茶也端上來會比較好」
「わかりました」
「我明白了」

 敬礼をして、若い兵士が部屋を飛び出していった。わたしも敬礼を返すと、計算の続きに取り掛かる。
 敬了禮,年輕的士兵飛出了房間。我也返還敬禮後,著手計算的後續。

「ホント手慣れてきたねぇ」
「真的熟練了呢」

 計算する手を休めずにオットーが言った。わたしも石筆を動かしながら答える。
 無法讓計算著的手休息的歐拓說了。我也一邊動著石筆一邊回答。

「対処の仕方は同じですからね」
「因為對應的辦法是一樣呢」

 門の仕事はお役所仕事だ。基本的な対処方法は同じだ。一度マニュアルを覚えれば、よほどの例外でない限りは対応できる。
 門的工作是官署工作。基本的對應方法是一樣的。將說明書記住一次的話,除非是相當的例外都能對應。

 しばらく計算していると少し疲れてきた。計算確認の出来た分をまとめて、ん~っと大きく背中を伸ばしていると、オットーもきりが付いたようで資料をまとめ始めた。
 暫時做著計算後稍微累了起來。彙整做好計算確認的分,嗯~地大大伸著懶腰後,歐拓似乎也告了一個段落開始彙整著資料。

「さすがに疲れたな。一度休憩しようか?」
「畢竟是累了呢。要休息一下嗎?」
「はい」
「好」

 オットーが食堂から熱いお茶をもらってきてくれた。それを少しずつ飲みながら、わたしはオットーに相談し始めた。
 歐拓從餐廳那把熱茶給拿了過來。一邊一點一點喝著那個,我一邊開始跟歐拓商量。

「……と、そういう話をしている時に母が言ったんです。マインの面倒を見ながら、仕事ができるほど見習いという立場は甘くない。マインの面倒を見ることに気を取られて仕事が中途半端になるわよって」
「……像這樣,在說著那種話題的時候母親說了。說是所謂一邊照料著瑪茵,一邊能做到工作般的實習的立場可不輕鬆。工作被照料瑪茵給分心是會變得半途而廢的喔」

 母の言葉にオットーは当たり前だと言う顔で頷いた。
 歐拓對母親的話語用說著理所當然的表情點著頭。

「その通りだろう? 半人前以下の見習いが他人の面倒を見ながら……なんて、中途半端になるだけだ。ルッツが本気で商人を目指すなら、マインちゃんの面倒なんて見ていられないはずだ」
「就是那樣對吧? 半人分不到的實習一邊照料其他人……什麼的,就只會變得半途而廢呀。如果路茲是當真以商人為目標,小瑪茵的照料之類的就應該不需要呀」
「……やっぱりそうですよね」
「……果然是那樣呢」

 今は見習いではないから、店でやる仕事はなく、商品を持ちこんでいるだけだ。だから、ルッツはわたしの体調を見ながら一緒に行動できる。
 因為現在並不是實習,沒有在店裡做工作,就只是將商品帶進去。所以路茲能一邊看著我的身體狀況一邊一起行動。
 見習いになって、仕事をするようになれば、とてもわたしの体調を気遣うなんてできるはずもないし、そんな重荷を背負わせるわけにはいかない。
 成為了實習,變得能做工作的話,非常操心我的身體狀況之類的也應該做不到,不可以讓他背負那種重擔。

 どうしようかな、と考えていると、オットーが静かな目でわたしをじっと見ながら聞いてきた。
 要怎麼做呢,那樣考慮著時,歐拓用安靜的眼神一邊目不轉睛地看著我一邊說了起來。

「なぁ、マインちゃん。君は本気で商人になるつもりなのか?」
「吶,小瑪茵。妳當真打算成為商人嗎?」
「今のところ、その予定です。商品になりそうな物がいくつか思い浮かんでいるので……」
「眼下,是那樣預定。由於想到了幾個似乎能成為商品的東西……」

 商業ギルドに属していないと売買ができないので、わたしが商売に係わっていくことだけは決定事項だ。
 由於不屬於商業公會就不能做買賣,我只有有關經商的事情是決定事項。

「商品の売買はともかく、ベンノの店に入るのは止めておいた方が良いよ」
「商品的買賣姑且不論,最好先停止進入班諾的店喔」

 一応わたしの見習いはベンノが決定したことだ。今、わたしは仕事をすることに関して不安を感じているけれど、オットーがベンノの店は止めろと言う理由が知りたい。
 姑且我的實習是班諾決定的事情。現在,雖然說關於我工作的事情感到了不安,但想知道歐拓說班諾的店禁止的理由。

「どうしてですか?」
「是為什麼呢?」
「あの店は急成長している店だ。誰も彼も躍起になって仕事をしている。激務すぎて、マインちゃんの体力でできると思えない」
「那家店是急速成長著的店。不論是誰都竭力做著工作。太過繁忙,我不認為以小瑪茵的體力能做到」

 軽く肩を竦めて述べられた理由は、わたしが不安に思っていることで、先日、ベンノからも指摘されたことだった。
 由於輕輕聳著肩被陳述的理由,是我認為不安的事情,也是前幾天,被來自班諾所指摘的事情。

「……実はベンノさんにも言われました。本当に仕事ができるのかって」
「……其實也被班諾先生說過了。說是真的能工作嗎」
「計算ばかりしたり、書類の確認ばかりしたりする仕事もあるけれど、商人の仕事は納期もあるからいつ体調を崩すかわからない子には任せにくい」
「雖然說也有光做著計算、光做著文件的確認的工作,但商人的工作因為也有繳納期限很難交給不知道何時會弄垮身體狀況的孩子」
「確かにそうですね」
「確實是那樣呢」

 ベンノはわたしが持っている情報をいかに商品化するか、利益を得るかということを考えて、わたしを他の店にやりたくないと思っていることはわかる。けれど、実際に店で働く事を考えると、わたしの体力、腕力の無さは致命的だ。
 班諾思考著所謂如何將我擁有的情報做到商品化呢、獲得利潤呢,明白是在想著不想讓我去其他店家。但是,實際上考慮在店裡工作的事情後,我沒有體力、腕力是很致命的。
 毎日仕事に来られるかどうかがわからないくらい健康状態に不安がある社員なんて、日本でも雇ってもらえないと思う。わたしが経営者でも、そんな社員はいらない。
 宛如不知道能不能每天來工作對健康狀態有著不安的員工之類的,我想即便是日本也不會受到雇用。即便我是經營者,也不要那種員工。

「本来なら子供に言うようなことじゃない厳しい意見になると思うけど、聞きたいかい?」
「本來的話雖然認為會變成並非是該跟小孩子說的嚴厲意見,但想聽嗎?」

 オットーが少しばかり首を傾げてわたしの反応をじっと窺う。オットーに相談したのはわたしに過保護に接する人からは出てこない客観的な意見が欲しかったからだ。
 歐拓目不轉睛地窺視著稍微疑惑不解的我的反應。跟歐拓做商量是因為想要來自接連過度保護我的人提不出來的客觀意見。
 何を言われても良いように机の下でグッと両手を握りしめて、わたしはゆっくりと頷いた。
 像是就算被說了什麼都可以在桌子下方使勁地緊握住雙手,我緩緩地點點頭。

「お願いします」
「拜託你了」
「マインちゃんが店に入らない方が良いと思う一番の理由はね、人間関係だ。店の中の人間関係がめちゃくちゃになる。入って来たばかりの見習いが体調を崩して休んでばかり、体力的に楽な仕事ばかりでは、どう考えても他の人の不満が溜まるだろう?」
「認為小瑪茵最好不要進入店裡最大的理由呢,是人際關係。店裡面的人際關係會變得亂七八糟。剛一進來的實習弄垮了身體狀況而休息,盡是體力上輕鬆的工作,就算如何考慮其他人的不滿都會累積的吧?」
「……はい」
「……是的」

 体力的に問題があるとは言っても、そんな贔屓を目の当たりにするのは面白くないし、すぐには表に出なくても間違いなく問題になる。
 就算說體力上有問題,親眼看到那種偏袒並不有趣,就算沒有馬上表現出來毫無疑問也會成為問題。
 ルッツの就職を決めるために必死になっていたので、自分が見習いになった後のことをよく考えていなかった。
 由於為了決定路茲的就業而變得拚命起來,沒有好好考慮自己成為實習之後的事情。

「それに……給料面でも問題が出てくると思うよ?」
「而且……我想在薪水方面也會出現問題喔?」
「へ? 給料ですか?」
「咦? 薪水嗎?」

 給料に関する問題については、今まで全く考えたことがなかったので、妙な声が出てしまった。
 由於關於有關薪水的問題,至今完全沒有考慮過,發出了奇怪的聲音。
 首を傾げるわたしに、オットーが軽く溜息を吐いた。
 對歪頭不解的我,歐拓輕輕嘆了一口氣。

「店に莫大な利益をもたらすと分かりきっているマインちゃんと、ただの見習いを同額で雇えるわけがないだろう?」
「不可能用同等金額雇用給店家帶來十分明顯的莫大利潤的小瑪茵與、只是個實習的吧?」
「給料自体は同じで、商品の利益を別枠で頂くことになると思いますけど」
「由於薪水本身一樣,雖然想過會變成用其他項目來領取商品的利潤」

 職の安定のために紙の利益はもらわない契約にしてあるが、その後に出す商品についてはきっちり利益を取るつもりだ。無料で全ての情報を渡すつもりなんてない。
 雖然有為了職業的安定而做了不獲取紙張利潤的契約,但在那之後關於拿出的商品是打算適當地取得利潤的。沒有打算免費交付全部的情報之類的。

「別枠で利益を渡すにしても、入ったばかりの見習いが勤続十数年のベテランより下手したら給料が高くなるんだ。正直面倒なことになると思う」
「就算用其他項目來交付利潤,剛進來的實習比連續工作十幾年的資深者還笨拙薪水卻變得很高。老實說我認為會變成麻煩的事情」
「ぅああぁぁ」
「啊啊」

 お金が係わると確かに人間関係はこじれやすい。オットーの指摘はもっともだ。そして、人間関係が崩れると、店自体が立ち行かなくなる可能性も高くなる。店を作るのは結局人だ。
 關係到錢後人際關係確實容易鬧彆扭。歐拓的指摘很正確。然後,人際關係崩潰後,商店本身變得無法經過的可能性也會變高。開設商店的畢竟是人。

「確かに、どういう方向から考えても、わたし、店にいない方が良いですね」
「確實,就算從哪種方向來考慮,我,不在店裡比較好呢」

 オットーの意見はいちいちもっともで、反論の余地がない。わたしが見習いとしてベンノの店に入ることはもめごとの種にしかならない気がしてきた。
 由於歐拓的意見一個一個都很正確,沒有反駁的餘地。感覺到了我作為實習進入班諾的店只會成為糾紛的火種。

「あとさ、俺にはもう一つ懸念があるんだけど」
「還有啊,我還有一個擔憂就是了」
「何でしょう?」
「是什麼呢?」

 ここまで色々な事柄を並べられたら、後はもう何でもこい、という気分で、わたしは先を促した。
 由於至此被羅列著各式各樣的事由的話,之後就是所謂夠了放馬過來、的氣氛,我催促著後續。
 少しばかり顔を寄せて、声をひそめて、オットーが口を開く。
 稍微湊近臉龐,壓低聲音,歐拓開口了。

「結局、マインちゃんの病気は身食いだったんだろう?」
「結果,小瑪茵的疾病是身噬對吧?」
「オットーさん、知っていたんですか?」
「歐拓先生,是知道的嗎?」

 わたしがぎょっと目を見開くと、オットーは軽く頭を振って否定する。
 我大吃一驚地睜開了眼睛後,歐諾輕輕搖了搖頭否定了。

「いや、俺は知らなかったけど、もしかしたらって話はベンノから聞いてた。はっきりわかったのはコリンナが、身食いって病気知ってる? って聞いてきたから」
「不,雖然我不知道,但難道說是的談話是從班諾那聽到。清楚明白的是柯琳娜,因為說了說是身噬的疾病知道嗎? 而聽到過」
「コリンナさんが?」
「柯琳娜小姐嗎?」
「この間、珍しく取り乱したベンノがそんなことを言っていたらしい。身食いの症状が出て、店で倒れて死にかけたんだって? あの数日間は班長の取り乱しようもひどかったんだ。コリンナの話と班長の態度で、身食いで倒れたのが君だと判断した」
「最近,罕見慌亂著的班諾似乎說過那種事情。說是身噬的症狀出現了,在店裡倒下瀕死著? 那幾天裡班長的慌亂也很厲害呀。由於柯琳娜的話與班長的態度,我判斷因身噬倒下的是妳」
「……その節はご心配とご迷惑をおかけしました」
「……那個時候讓您擔心且添麻煩了」

 予想以上に広範囲に話が広がっているようだ。ベンノの店で倒れてギルド長の家に運ばれたのだから、かなり目立ったことに違いはないだろう。
 似乎展開著超出預期的廣範圍談話。因為在班諾的店倒下被搬到公會長的家裡,肯定是相當顯眼的事情吧。

「班長は治ったと思っているみたいだけど、ベンノの話では身食いって治らないらしいね?」
「雖然班長好像認為治好了,但依班諾的話身噬似乎治不好呢?」
「……はい」
「……是的」

 魔術具で身食いの熱を減らしてくれたけれど、これはまた増えていくものだ。フリーダからもまた溢れそうになるまでに一年ほどだと言われている。
 雖然說用魔術具可以減去身噬的熱,但這個是會再次逐漸增加的東西。從芙莉妲那被說過到再次變得快要溢出為止約一年。

「治らないってこと、班長に話した?」
「治不好的事情,跟班長說了嗎?」
「いいえ、まだです。治ったと喜んでいる家族には言いにくくて……」
「不,還沒有。很難對高興於治好的家說……」

 魔術具の値段や命の期限など言いにくいことが満載で、身食いについてはそれとなく話題を逸らし続けているのが現状だ。わたしも身体の中の変な熱が勝手に増えて、溢れると死ぬくらいしかわかっていないので、詳しい話がしにくいというのもある。
 由於魔術具的價錢或生命的期限等很難說的事情滿載,關於身噬委婉地持續著岔開話題是現狀。由於我也是只知道身體裡面奇怪的熱擅自地增加著,溢出來後好像就會死,也有所謂詳細的話很難描述。

 オットーは厳しい顔でゆっくりと首を振った。
 歐拓用嚴峻的臉緩緩地搖了搖頭。

「ちゃんと報告した方が良い。班長は治ったと思っているから、仕事に就いても大丈夫だと考えていると思う。現状認識をきちんとした上で、仕事についても相談した方が良い。適当に行動すると、色々なところに迷惑をかける結果になる」
「好好報告比較好。我想因為班長認為治好了,考慮著就算關於工作也不要緊了。在適當地認識現狀之上,關於工作最好也商量下。敷衍地行動後,會造成在各種地方添麻煩的結果」
「わかりました」
「我明白了」

 今まで思いついたまま、行当りばったりで行動して周囲に迷惑をかけてきたわたしとしては、オットーの言葉を粛々と受けるしかない。
 作為至今一想到、就毫無計畫地行動著而給周圍添麻煩了的我,只能肅靜地接受歐拓的話語。

「それからさ、生きるために魔術具が必要で、貴族に渡りを付けたいなら、マインちゃんはギルド長の店に行った方が良い。ベンノの店は大きいけど、まだ新興だ。ベンノがいくら頑張っても、歴史と伝統っていうのは重いし、そう簡単にひっくり返るようなものじゃない」
「還有就是啊,由於為了活著需要魔術具,如果想跟貴族交涉,小瑪茵最好去公會長的店。班諾的店雖然大,但還是新興的。就算班諾如何努力,所謂的歷史與傳統是很沉重的,並不是那麼簡單地就能反轉過來的東西」
「それはそうですけど……」
「那個雖然說得沒錯……」

 わたしが言葉を濁すと、オットーは軽く眉を上げた。
 我含糊其辭後,歐拓輕輕揚起眉毛。

「ベンノの店じゃなければ困るようなことがある?」
「若不是班諾的店的話會有傷腦筋似的事情嗎?」
「ベンノさんのお店じゃないと困ることはないんですけど、わたしが苦手なんです。ギルド長の押しの強さや商人としてのやり方が」
「雖然沒有不是班諾先生的店舖會很傷腦筋的事情,但我很不擅長。公會長的強迫或作為商人的做法」

 強引なのは商人として必要な素質なのかもしれないが、命がかかっている魔術具の値段を安く言って、騙そうとするような行動がどうしても好きになれない。感謝はしているが、お近付きにはなりたくないのだ。
 雖然強硬說不定是作為商人必要的素質,但將攸關性命的魔術具的價錢說便宜了,好像打算要欺騙的行動無論如何都喜歡不了。雖然做了感謝,但不想要變得親近。

「そんなのベンノだって同じだろ?」
「那樣的就連班諾都一樣吧?」
「うーん、ベンノさんも強引なところはあるし、お金にがめついし、すぐに人のことを試そうとするんですけど、わたしの悪いところに気付かせて、成長させようとしてくれているのがわかるんですよ」
「對,班諾先生也有強硬的地方,對錢唯利是圖,雖然馬上就打算要測試人,但讓我注意到我不好的地方,讓它做出了成長是明白的唷」
「へぇ」
「哦」

 ニヤニヤと嫌な感じの笑みを浮かべるオットーにわたしはうっと小さく息を呑んだ。この会話はベンノに筒抜けになると思って間違いないだろう。
 我對浮現討厭的感覺獨自傻笑著的歐拓嗚地小小喘不過氣來。這個對話我認為毫無疑問會洩露給班諾的吧。

「それに、わたし、貴族に飼い殺しにされながら生きたいかどうか、まだ決心できていないんです」
「而且,我,是不是想一邊被貴族眷養到死一邊活著呢,還沒下定決心」

 やっと家族と一緒に生活していたいって思い始めたところで、どういう扱いされるかわからない貴族に飼い殺されても生きたいとは考えられないのだ。
 由於終於開始認為想跟家人一起生活著了,就算被不知道會被怎麼處置的貴族眷養到死也想活著是沒考慮過的。
 フリーダが言っていたように、家族と生きて朽ちるか、貴族に飼い殺されても生きるかを選ぶなら、今の時点では家族を選びたいと思っている自分がいる。
 就像芙莉妲說過的,如果要選擇是跟家人活著到腐朽呢,還是就算被貴族眷養到死也要活著呢,在現在的時間點上有著認為想要選擇家人的自己。

「まずは、マインちゃんが自分の生き方を決めなきゃ話にならないな。貴族との繋がりを求めて店に入るんじゃないんだったら、尚更、店に入る以外の選択肢を考えた方が良い。俺は正直なところ、マインちゃんが考えて、ルッツが作るなら、権利や利益の取り決めだけをきっちりすれば、マインちゃんが店に入る必要はないと思っている」
「首先,小瑪茵不決定自己的生存方式就無法對話呢。不進入尋求跟貴族的聯繫的店的話,更應該,考慮進入店以外的選項會比較好。我老實說,如果小瑪茵思考,路茲製做,適當地做到權利或利潤的商定的話,我認為小瑪茵沒必要進入店裡」

 オットーの言葉にわたしは大きく頷いた。確かに、一緒に行動して働くことしか考えていなかったが、わたしにできることが考えることだけなら、店に入る必要はないかもしれない。
 我對歐拓的話語大大點著頭。確實,雖然只考慮過一起行動並工作,但如果我能做的事情只有思考件事,沒有進入店裡的必要也說不定。
 なるほど、と小さく頷くわたしに、オットーは爽やかすぎて逆に胡散臭そうな笑みを浮かべた。
 對原來如此,地小小點頭的我,歐拓浮現太過清爽到反而可疑似的笑容。

「そうだなぁ。家の中で自分の体調に合わせてできる手紙や書類の代筆みたいな仕事をしながら、商品の開発だけするのはどうだい? 商品はベンノに売りつけて、体調が良い時にここの仕事を手伝うような、今までの生活と変わらない仕事形態にした方が、身体のためには良いと思うよ」
「也是呢。一邊做著能在家裡面配合自己的身體狀況像是信件或文件的代筆的工作,一邊只做商品的開發如何? 商品推銷給班諾,在身體狀況好的時候幫忙這裡的工作一樣,雖然做著與至今的生活毫無改變的工作型態,但我認為為了身體著想是很好的喔」
「……考えてみます」
「……我會試著考慮」

 わたしの身体のためには現状維持が一番でしょうけど、その胡散臭い笑顔の意味が非常に気になります。
 雖然為了我的身體維持現狀是最好的,但非常在意那個可疑笑容的意義。

「まぁ、ご家族とよく話し合うことだね」
「算了,跟家人好好交談吧」
「そうします」
「會做的」
「じゃあ、休憩はおしまい。続きやろうか」
「那麼,休息結束了。要繼續做嗎」

 オットーによってコップを片付けられたわたしは、石板を取り出してカツカツと筆算で計算間違いがないか確認していく。
 被由歐拓收拾走杯子的我,拿出了石板嘎吱嘎吱地用筆算逐一確認計算有沒有搞錯呢。

 家族と話……かぁ。寿命があと一年だなんて知ったら、父さんが発狂しそうで怖いんだよね。
 跟家人談……嗎。知道壽命還有一年之類的的話,爸爸似乎會發狂而很可怕呢。


「マイン、帰るぞ」
「瑪茵,回去嘍」

 交代を終えた父が宿直室に迎えに来てくれた時には計算のしすぎで、頭がくらくらしていた。目を閉じていても数字が頭に次々浮かんでくる。
 在結束交接的爸爸過來值班室迎接的時候計算做過頭,腦袋暈眩不已。就算閉上眼睛數字也一個一個在腦袋裡浮現出來。

「助かったよ、マインちゃん」
「幫大忙了喔,小瑪茵」

 ずっと計算機を使っていたオットーは実に元気で、計算だけをする事務仕事でもわたしには無理かもしれないと思わざるを得ない。
 由於一直使用著計算機的歐拓實在有精神,即便只做計算的事務工作我說不定也不行不得不這麼想。

「父さん、寒くない?」
「爸爸,不冷嗎?」

 少し吹雪いている帰り道、父はわたしを抱き上げたうえでコートを着ているので、わたしは温かいが、父はすごく寒いのではないかと思う。
 稍微風雪交加的歸途,由於父親把我抱了起來在上頭穿上了外套,雖然我很溫暖,但我認為父親不會非常冷嗎。
 しかし、父は笑顔で首を振るだけだ。
 可是,父親只是用笑容搖了搖頭。

「マインがいるから、寒くない。むしろ、あったかいぞ」
「因為瑪茵在,不會冷。不如說,很溫暖喔」
「そう」
「是喔」

 家族大好きで、娘馬鹿な父に、身食いの話をしたらどんな反応をするだろうか。この笑顔が凍りつくような気がする。
 因為最喜歡家人,對溺愛女兒的父親,說了身噬的話題的話會做出怎樣的反應呢。感覺這個笑容似乎會凍結。
 怖いが、これ以上避けて通れない話題だ。
 雖然害怕,但卻是再逃避就無法溝通的話題。

「どうした、マイン? 何か暗いぞ?」
「怎麼了,瑪茵? 有些陰鬱喔?」
「……父さん、話があるの。わたしの病気のことで」
「……爸爸,有話要說。是我的疾病的事情」

 その言葉だけで、父の笑顔も足取りも凍りついた。口元を引き締めて、普段見たことがない真面目な顔でわたしをじっと覗きこむ。
 只因那些話語,不管父親的笑容還是腳步都結凍了。緊繃著嘴角,用平時沒見過的認真表情目不轉睛地窺探著我。
 軽く一度目を伏せた後、父は何かから逃げるように足早に歩き出した。
 輕輕低下一次頭之後,父親像是要從什麼裡逃離般快步開始走著。

「家に帰ってから聞こう。母さんも交えてな」
「回到家後再聽。媽媽也加入吧」
「ん」
「嗯」

 何を予感したのか、わたしを逃がすまいとするように、ぎゅっとわたしを抱き上げている父の腕に力がこもった。
 是預感到什麼了嗎,像是不打算放我走般,在緊緊地把我抱上來的父親的手腕上注入了力量。

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 実際マインにお仕事は無理だと思うのですよ。
 我認為實際上要瑪茵工作是不可能的唷。
 オットーさんは胡散臭い笑顔で現状維持を押してきました。
 歐拓先生用可疑的笑容強行維持現狀。

 次回は家族と身食いの話です。
 下回是家人與身噬的話題。
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