創作內容

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第二部神殿的實習巫女 藍衣與不同的常識

作者:SPT草包│2018-02-06 15:29:20│巴幣:2│人氣:247
本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~
以下犯上的書癡~為了成為圖書管理員而不擇手段~
作者:香月美夜
第二部神殿の巫女見習い 青い衣と異なる常識
第二部神殿的實習巫女 藍衣與不同的常識
原文連結

「ルッツ~!」
「路茲~!」

 ルッツの顔を見た瞬間、自分の常識が通じる場所に戻ってきた安堵で身体の力が抜けていくのを感じた。わたしは階段を駆け降りると、迎えに来てくれていたルッツの腕にギューっとしがみついて、頭をぐりぐり押し付けた。
 看到路茲的臉的瞬間,感到了因回到了自己的常識能通的地方的安心而身體脫力了。我跑下樓梯,緊緊地抓住來迎接的路茲的手臂,將頭壓上去轉個不停。

「もう疲れたよ、ルッツ」
「已經很累了唷,路茲」
「あ~、ちょっと顔色が悪いな。お疲れさん」
「啊~,臉色有點不好呢。辛苦了」

 ルッツがポフポフと頭を軽く叩いて労ってくれる。
 路茲輕柔地拍拍頭給予慰勞。
 わたしが今日したのは本を読むことだったが、側仕えは側にいるのが仕事らしく、基本的に誰かが近くに立っていて、ずっと見られていた。
 雖然我今天做的只是看書,但近侍待在身邊好像是工作,基本上誰都站在附近,一直被看著。

 わたしは本に没頭すると周りのことなど気にならなくなるのが常だったが、フッと我に返る度に誰かの視線を感じるというのは、かなり居心地が悪いものだった。視線が痛いというか、重いというか、絶えず見張られているという状態が負担で、疲れた。
 雖然我經常埋頭於書中而變得不會注意到周遭,但說到每次忽然返回自我就感到某人的視線,那是身處感相當不好的東西。該說視線很痛嗎,還是說沉重呢,因名為不斷地被監視的狀態是種負擔,很累了。

 貴族って、すごいね。慣れるの、どれくらいかかるんだろう?
 話說貴族,好厲害呢。到習慣,要花很久的吧?

 家に帰って寝られるだけ、わたしは幸せかもしれない。これが「おはよう」から「おやすみ」まで続いたら、発狂しそうだ。
 回家就只能睡覺,我很幸福也說不定。這個從「早安」到「晚安」持續的話,似乎會發狂。

「ねぇ、ルッツ。今からベンノさんに会いたいんだけど、お店にいた?」
「喂,路茲。雖然說現在起想見班諾先生,但在店舖嗎?」
「オレが出る時に丁度帰って来てたから、今なら多分いるんじゃないか? 何かあったのか?」
「因為我在出來的時候剛好回來了,現在的話大概在的不是嗎? 發生了什麼嗎?」

 心配そうなルッツに、わたしはふるふると首を振った。
 對擔心似的路茲,我左右搖起了頭來。

「商業ギルドでお金下ろして、神官長に寄付金を持っていかなくちゃいけないんだよね。早目が良いと思って……」
「要在商業公會領錢,必須要將捐款拿給神官長呢。我認為提前會比較好……」
「ふぅん。じゃあ、行くか」
「呼嗯。那麼,要去嗎」

 ルッツがそう言うと、何故か側仕え三人組がついて来ようとした。神殿の中ならともかく、外まで一緒に来られたくない。見張られたくない。
 路茲那樣說後,不知為何近侍三人組打算跟過來。如果是神殿裡面姑且不論,不想在外面也一起來。不想被監視。

「……別に来なくていいよ?」
「……不用特別過來也可以唷?」
「そういうわけにはまいりません。私は側仕えですから」
「那樣說是不行的。因為我是近侍」
「そうよ! 側仕えもなく、誰かに会うなんてあり得ないわ」
「沒錯唷! 近侍也沒有,要去見誰什麼的是不可能的喔」

 フランばかりかデリアまでが「あり得ない」と言うのだから、どうやら、青色神官が誰かと会う時には側仕えを連れていくのが常識らしい。頭の中にメモしておく。
 正因為不光弗蘭就連蝶莉亞也說了「不可能」,看來,藍色神官在跟誰見面時會把近侍帶去似乎是常識。在腦袋裡面事先筆記起來。

「ふぅん。行かなくていいんだったら、一抜けた。オレ、腹減ってるから」
「呼嗯。不能去也可以的話,去掉一個。因為我、肚子餓了」

 やはり、側仕えとしての常識にも疎いらしいギルは恨めしそうにわたしを睨んでそう言うと、くるりと背を向けていなくなった。
 果然,作為近侍的常識似乎也很生疏的基魯怨恨似地瞪著我那樣說後,並沒有把背轉一圈過去。
 しかし、他の二人は神殿に戻ろうとしない。譲歩して、連れていけるのはフランだけだ。それでも、いっそ側仕えなんていない方が気楽だし、行く場所はいつも出入りしているギルベルタ商会だし、ルッツがいるから役に立たなそうな側仕えは必要ない。
 但是,其他人兩不打算回神殿。作為讓步,能帶去的只有弗蘭。即便如此,乾脆近侍什麼的沒有還比較輕鬆,去的地方是總是進出著的基魯貝路塔商會,因為有路茲在不需要派不上用場似的近侍。

 ……追い払っちゃっていいかなぁ?
 ……可不可以攆走啊?

「ねぇ、デリア。ベンノさんとの話がまとまったら、寄付金を持って戻ってきますって、神官長に伝えてくれない? ちゃんと伝わらないと困るの。頼むね」
「喂,蝶莉亞。跟班諾先生達成協議的話,會把捐款帶回來的,能不能傳給神官長呢? 不好好轉達會傷腦筋的,拜託了呢」
「ふぅん、困るの。わかったわ。ちゃんと伝えてくるわね」
「呼嗯,會傷腦筋的。知道了。會去好好轉達的呢」

 ニヤァとデリアがわかりやすい笑みを浮かべた。握りつぶすか、そのまま神殿長に報告に行くか、どちらかだろう。
 奸笑的蝶莉亞浮現簡單一種的笑容。會隱瞞嗎,會就那樣去報告給神殿長嗎,是哪邊的吧。
 今日、わたしが見た中で一番楽しそうな笑顔でデリアが踵を返して神殿へと入って行く。
 蝶莉亞用今天、我所看過的裡面最快樂似的笑容返轉腳跟進入神殿去了。
 無事にデリアを追い払えたことに安堵の息を吐いていると、不満そうにフランが顔をしかめて、デリアの背中とわたしを見比べた。
 對平安無事趕跑蝶莉亞吐了一口安心的氣候,不滿似地弗蘭皺著一張臉,不斷看著蝶莉亞的背後跟我。

「マイン様、神官長への伝言なら私が行きます。デリアを同行させてください」
「瑪茵大人,如果是要給神官長的傳言我會去。請讓我跟蝶莉亞同行」
「フラン、わたしはデリアに頼んだの。側仕えが付いてなきゃいけないって言うなら、フランが同行すればいいでしょ?」
「弗蘭,我是拜託蝶莉亞的。如果說近侍不跟來不行,弗蘭同行的話就可以了吧?」

 フランはハッキリと不満を顔に出して、首を振った。
 弗蘭清楚地在臉上顯示出不滿,搖了搖頭。

「しかし、あれでは神官長に伝わるかどうか……」
「但是,以那個會不會轉達給神官長……」
「……今はルッツが一緒だから、フランもあっちに行って良いよ? 確かに、神官長に伝わってないと困るし」
「……因為現在路茲會一起,弗蘭去那邊也可以唷? 的確,沒轉達給神官長會很困擾」

 そう言って、わたしはルッツと手を繋いで歩き始めた。
 那樣說後,我跟路茲牽起手開始邁步。
 しばらく神殿の出入り口でうろうろしていたフランだったが、結局、神官長に報告する方を優先させたようだ。踵を返して、中へ入って行った。
 雖然是暫時在神殿的出入口轉來轉去的弗蘭,結果,似乎報告給神官長還比較優先。反轉腳跟,往裡面進去了。

「マイン、いいのか? あれって体調管理を覚えるヤツじゃねぇの?」
「瑪茵,可以嗎? 那個不是要記住身體狀況管理的傢伙嗎?」

 ルッツが後ろを振り返り、誰もいなくなった神殿の入り口を見て首を傾げる。
 路茲回顧身後,看著變成誰都不在的神殿入口感到不解。
 そういえば、側仕えに体調管理をさせるという話があったなぁ、と思いながら、わたしは大きく息を吐きだした。
 這麼說來,有過名為讓近侍做身體狀況管理的對話呢,一邊那樣想,我一邊吐出了大大一口氣。

「……うーん。神殿側に付けられた候補その1だけど、難しいと思うよ。まず、本人にやる気がないから」
「……唔嗯。雖然被神殿那邊配給的候補是那之一,但我認為很難。首先,因為本人沒有幹勁」
「はぁ?」
「啥?」
「神官長に仕えていたかったのに、多分、わたし付きになれって言われたんだと思う。何をしていても嫌々って雰囲気が出てるんだよね。わたしが神官長以上の主になれれば、変わるかもしれないけど、それって絶望的じゃない?」
「明明服侍著神官長,大概,我認為是被說了配給我。就算做了什麼也會出現厭惡的氛圍吧。我成為神官長以上的主人的話,雖然搞不好會改變,但那個不是絕望的嗎?」
「マインが主か……。威厳とか貫禄とか、全然ないもんな」
「瑪茵是主人……。威嚴也好氣派也罷,是完全沒有的東西呢」

 ルッツがからかうようにそう言って、ひひっと笑った。わたしも声を上げて一緒に笑う。居心地の良さにホッとした。
 路茲戲謔般那樣說著,嘻嘻地笑了。我也發出聲音一起笑了。因心情很好而放下心了。


「マルクさん、こんにちは。ベンノさんはいますか?」
「馬爾克先生,你好。班諾先生在嗎?」

 ルッツがドアを開けている途中で、マルクの姿が見えたのでいつものように手を振った。マルクがわたしを見た瞬間、顔色を変えた。
 在路茲打開門的途中,因看到馬爾克的身影而像往常般揮著手。馬爾克看到我的瞬間,臉色大變。

「……マイン、早く中に入ってください」
「……瑪茵,請快點進入裡面」
「へ?」
「哎?」

 いつになく焦った様子のマルクが急いでわたし達を店の中に招き入れた。
 一反常態著急的樣子的馬爾克快速把我們招呼進店裡面。
 特に約束なく店に立ち寄った場合、いつもならわたし達を店内で待たせて、まず、ベンノにお伺いを立ててから、奥の部屋に通される。けれど、今日は血相を変えて、奥の扉を開けながらベンノに向かって声をかけ、わたし達を押し込むようにして部屋に通した。
 沒特別約定就順路去商店的場合,若是平時會讓我們待在店裡,首先,因為要去請示般諾,才讓我們進去裡頭的房間。但是,今天變了臉色,一邊打開裡頭的門扇一邊向班諾發出聲音,想是壓著我們進去般進去房間。

「旦那様、マインが店に来ました。すぐにこちらに通します」
「老爺,瑪茵來店裡了。馬上會經過這邊」
「なんだ、マルク? マインが来たくらいで、そんなに慌て……」
「怎麼了,馬爾克? 就算瑪茵來了,也不用那麼驚慌……」

 マルクが即座にドアを閉めるのを耳にしたのか、ベンノがからかうような口調で顔を上げる。ベンノの目が、わたしに固定された瞬間、目が見開かれて、吊り上がった。
 馬爾克即刻關上門能聽到嗎,班諾以戲謔般的語調抬起了頭。班諾的眼睛,被我固定的瞬間,眼睛被撐開,吊了上來。

「くぉらっ! マイン! このバカ!」
「喂! 瑪茵! 妳這笨蛋!」
「ひゃんっ!」
「嚇啊!」

 突然の大声にぎょっとして思わず耳を押さえて座りこむ。ルッツも「ひっ!?」と息を呑んで飛び上がった。
 因突然的大聲嚇了一跳不由自主地壓著耳朵坐了下去。路茲也「唏!?」地深吸一口氣跳了起來。

「え? え? ベンノさんまで何ですか!?」
「咦? 咦? 就連般諾先生也是為什麼啊!?」
「この考え無し! なんて恰好で来るんだ!? まさか神殿からここまでその恰好で歩いてきたのか!?」
「妳這無腦笨蛋! 為何以那模樣過來呀!? 難到從神殿到這裡都是用那個模樣走過來的嗎!?」
「……そうですけど、何か問題ですか?」
「……雖然是那樣沒錯,有什麼問題嗎?」

 わたしは自分の恰好を見下ろして首を傾げた。ルッツも一緒に首を傾げる。
 我俯視著自己的模樣感到不解。路茲也一起感到疑問。
 問題の根本が理解できていないわたしとルッツを見て、ベンノはガシガシと頭を掻いて、マルクはこめかみを押さえた。
 看著無法理解問題的根本的我跟路茲,班諾用力地搔著頭,馬爾克壓著太陽穴。

「マイン、お前が着ているのは青い巫女服だな?」
「瑪茵,妳穿著的是藍色巫女服對吧?」
「はい」
「是的」
「普通、青い巫女や神官は貴族だ」
「普通,藍色巫女和神官是貴族」
「そうですね」
「沒有錯呢」
「貴族っていうのは、移動に馬車を使うんだ。徒歩で街をブラブラすることはあり得ない。何故かわかるか?」
「所謂的貴族,是使用馬車來移動。以徒步在城市裡晃來晃去是不可能的。知道是為何嗎?」

 ベンノの質問にわたしは首を傾げた。数回乗った馬車を思い出す。ガクガク揺れて、乗り心地が悪い。けれど、平民が滅多に乗れるようなものではないので、憧れの目で見られるし、手っ取り早くステータスを見せつけることができる。
 我對班諾的提問感到不解。回想起數次搭乘馬車。顛簸不已搖晃著,乘坐感不好。但是,由於是平民並不常搭乘的東西,被用憧憬的眼神看著,能直接了當早點顯示地位。
 車と言う移動手段を当たり前に持っていた麗乃時代に車を使うのは、買い物に行くので荷物が多くなるとわかっている時や長距離を移動する時、天気が悪くて歩くのが面倒な時だった。
 在理所當然地擁有著名為車的移動手段的麗乃時代使用車子是,明白要去買東西而行李很多的時候和移動長距離的時候,天氣不好走路很麻煩的時候。

「えーと……見栄っ張りで歩くのが面倒だから?」
「呃……因為裝飾門面走路會很麻煩?」
「違うっ! 貴族がフラフラ外を歩いていたら、営利目的で誘拐されるからだ! お前も誘拐されたくなかったら、神殿以外でそれを着るな!」
「不對! 因為貴族晃來晃去走在外面的話,會以營利為目的被誘拐的呀! 妳也不想被誘拐的話,別再神殿以外穿著那個!」
「は、ははは、はいぃっ!」
「是、是是是、是的!」

 わたしはその場で青い巫女見習いの服を脱ぎ始めた。下にはここの見習い服を着ているので、帯を解いて、青い衣をペイッと脱いだら、終了だ。
 我當場開始脫起藍色實習巫女的衣服。由於下面穿著這裡的實習服,解開帶子,撩起藍衣脫掉的話,就結束了。
 わたしはずっと貧乏人の子供として育ってきた。営利目的の誘拐なんて考えたこともなかった。
 我一直作為貧困人的孩子養育起來。沒考慮過營利目的的誘拐什麼的。

 そうか。わたしはこの青い服って制服みたいなものだと思ってたけど、他の人にとっては「わたしは貴族です。お金持ってます」って札を首から下げて歩いているようなものだったんだ。
 對啊。雖然我想過這件藍衣就好像制服般的東西,但對其他人來說是從頭垂下「我是貴族。有錢人」的牌子走路著般的東西。

 ベンノはわたしが丁寧に畳んで抱えた青い固まりを、複雑そうな顔で見遣りながら、疲れきったような深い溜息を吐いた。
 班諾一邊以複雜的表情眺望著、我仔細地抱著藍色的團塊,一邊疲憊般地深深嘆了一口氣。

「それで……一体何の用だ、マイン? 俺達を驚かせるためだけに来たわけじゃないだろ?」
「然後……到底有什麼事,瑪茵? 並不只是為了讓我們驚訝才來的吧?」
「はい、お願いがあってきました。ベンノさん、これから一緒に商業ギルドへ行って、その後、神殿へ行ってくれませんか?」
「是的,有請託。班諾先生,現在起一起去商業公會,那之後,能不能去神殿呢?」
「何のために?」
「為了什麼?」

 わけがわからないと言わんばかりにベンノが首を傾げた。
 班諾幾乎要說出不明白意義般感到不解。

「寄付金の小金貨5枚を下ろして、運ぶのに、ついて来て欲しいんです。神官長の許可は取ってます」
「要領捐款的小金幣5枚,搬運的說,希望能跟來。取得了神官長的許可了」
「何故、俺が?」
「為何,是我?」
「今まで高額取引って全部カードで済ませたけど、神官長はギルドカードなんて持ってないし、わたしはそんな金額を持ち歩くのって怖いし、神官長にそう訴えたら、側仕えに任せろ、なんてビックリするようなこと言うし」
「雖然至今高額交易全部用卡片完結,但神官長沒擁有公會卡片什麼的,我帶那種金額走路的話很恐怖,那樣訴諸神官長的話,交給近侍,說了多麼嚇人般的事情」

 わたしの文句にベンノはぐぐっと眉を寄せた。
 班諾對我的抱怨更加皺起眉頭。

「どこがビックリするんだ? それは側仕えの仕事だろう?」
「哪裡嚇人啊? 那個是近侍的工作吧?」
「……およそ、全く、完膚なきまでに、信用できない側仕えに大金任せるなんて怖いことできませんよ」
「……大概、幾乎、會體無完膚,委託鉅款給無法信任的近侍什麼的是很恐怖的事情做不到唷」

 わたしがそう言うと、ベンノは赤褐色の目を丸くして、何度か瞬いた。
 我那樣說後,班諾圓睜著紅褐色的眼珠,眨了好幾次。

「基本的に考え無しで、何でもかんでも、まぁ、いいやで済ませて、騙されても懲りずにギルド長のところに出入りするお前が信用できない? どんな相手だ、それは?」
「基本上毫無想法,不管怎樣,算了,說完了,就算被騙也不會記取教訓進出公會長的地方的妳無法信任? 是怎樣的對象呀,那個?」

 ギルド長のところに出入りするのは、わたしにとっての利益があるからだ。砂糖やレシピの取引もするし、騙されはしたが命を救ってもらったことに違いはない。もちろん、個人的にお金を預けられるほど、ギルド長やフリーダを信用しているわけではない。取引相手なら、まぁ、いいやってレベルである。
 進出公會長的地方,是因為對我有著利益。也做了砂糖和食譜的交易,被騙是承蒙拯救了性命沒有不同。當然,被個人保管著金錢的程度,並不是信任著公會長和芙莉妲。如果是交易對象,算了,是能說完的等級。
 側仕えは「困らせてやると」正面きって宣言されたのに、信用なんてできるはずがない。
 明明被近侍正面宣言「讓妳傷腦筋」,信任什麼的應該做不到。

「側仕えとして付けられたうちの一人は神殿長の回し者で、一人は神官長の回し者。最後の一人は嫌がらせで付けられたって感じの問題児なんです。神殿内で周りをうろうろされるくらいならともかく、お金を預けるなんて無理です」
「作為近侍被配給的裡面的一人是神殿長的內應,一人是神官長的內應。最後的一人感覺是因刁難而被配給的問題兒童。如果在神殿裡面讓他在周圍轉來轉去姑且不論,保管金錢什麼的不可能」
「お前、予測はしていたが……かなり嫌われているな」
「妳,雖然有預測過……相當被討厭著呢」

 ベンノの的確な指摘にわたしは小さく呻いた。
 我對班諾正確的指摘小小呻吟著。

「うっ……。前は、半年くらいの命だし、本さえ読めたら、別に嫌われてても大して問題ないって思ってたんですけど、これがずっと続くと面倒ですよね」
「唔……。之前,是半年左右的性命,只要能看書的話,雖然認為就算特別被討厭也沒多大問題,但這個一直持續就很麻煩了呢」
「そういう意味では状況が変わったからな。回し者に関しては、表面上だけでも関係改善していくしかない。完全に信用するんじゃなくていいから、ここは任せられるって部分を探せ。……問題児は獣と向き合う要領で躾けろ」
「那樣說的意義是因為狀況改變了呢。有關內應,即便只有表面上也只能去改善關係。因為不必完全能信任就好了,這裡會尋找被委託的部份。……為題兒童以與野獸相對的要領管教」

 ギルの見た目と獣という単語に、木の上の方で手を叩いてキャッキャッと騒ぐ貧相な子ザルが思い浮かんだ。
 對基魯的外觀與名為野獸的單詞,想起了在樹上那邊拍著手喧鬧騷動的寒酸小孩。

「獣と人間は違うでしょ?」
「野獸與人類不一樣吧?」
「大して変わらん。言うこと聞かなきゃ鞭で叩いて、言うことを聞けば餌を与える。誰が主か、叩きこめば良い」
「沒多大改變。說的事情沒聽到就用鞭子敲打,有聽到說的事情話就給予飼料。誰是主人呢,敲進去的話就可以了」

 信頼関係云々ではなく、服従させろということらしい。
 不是信賴關係云云,似乎是所謂讓他服從的事情。

「……そんなのに時間取られるくらいなら、本が読みたいんですけど」
「……如果要被拿走那樣的時間,想要看書就是了」
「面倒くさがるな! これから先、貴族社会で側仕えが使えない方が大変だぞ!」
「別嫌麻煩! 今後,在貴族社會不使用近侍會很辛苦的喔!」
「うぐぅ……。前向きに検討します」
「唔咕……。會積極地檢討」

 ハァ、と溜息を吐いたベンノが頭の中をリセットするように軽く頭を振った。
 唉、地嘆了一口氣的班諾為了重置腦袋中的內容而輕輕搖了搖頭。

「話が逸れたな。ところで、寄付金を持っていくのはいつの話だ?」
「別岔開話題。話說回來,將捐款帶過去是說的是何時?」
「ベンノさんの予定を聞いて決めるつもりですけど? ベンノさんの都合が良かったら、お金持って戻ってくるって側仕えには神官長へ伝えてもらって……」
「雖然打算聽過班諾先生的預定後再決定? 班諾先生的情況好的話,帶錢回去請近侍轉達給神官長……」

 わたしの言葉と共にベンノの顔色が一瞬で変わった。
 班諾的臉色與我的話語一同一瞬間改變了。

「……それは今すぐに持参しますと言っているに等しいっ! マルク、すぐに準備しろ! 神殿に向かう!」
「……那個等同在說即刻帶過去! 馬爾克,馬上做準備! 朝向神殿!」
「かしこまりました!」
「謹遵吩咐!」

 真っ青になったマルクが部屋を飛び出していった。
 變得鐵青的馬爾克飛出了房間。

「え、えと、じゃあ、すぐ商業ギルドに……」
「呃、呃,那麼,馬上向商業公會……」
「時間の無駄だ。わざわざ行く必要はない。カードを出せ」
「浪費時間。沒必要特意過去。拿出卡片」

 カードを合わせた後、ベンノは「神殿に行くんだから、青い服を着ておけよ」と言い残して、奥の扉から上に駆け上がって行った。
 合併卡片之後,班諾留言「因為要去神殿,先將藍衣穿上吧」,從裡頭的門扇往上跑上去了。

 わたしはついさっき脱いだばかりの青い衣を手にとって、もう一度着直す。帯を締めて、項垂れた。
 我將剛才才脫掉的藍衣拿在手上,再重穿一次。綁好帶子,低著頭。
 こんなことになるとは考えてもいなかった。わたしがただ側仕えを追い払いたいと思って言ったことで、とんでもない面倒事を持ちこんでしまった。
 變成這種事情就算考慮也沒用。我只是想著想要趕走近侍才說的事情,卻帶回了意想不到的麻煩事。

「……どうしよう、ルッツ」
「……該怎麼辦,路茲。」

 約束の仕方も、ちょっとした言葉の意味合いも、所属する団体が変われば全く違うものになる。そんな簡単な事くらい知っていたのに、わかっていなかった。
 無論是約定的工作,還是微微的話語意思相同,所屬的團體改變的話就會變成完全不一樣的東西。明明知道那種簡單的事情,卻無法明白。
 ルッツはポンポンとわたしの頭を軽く叩いて慰めてくれる。
 路茲砰砰地輕拍我的頭給予安慰。

「貴族のことなんて、オレ達にはわかんねぇからなぁ」
「因為貴族的事情什麼的,我們也不知道呢」
「……うん」
「……嗯」
「今回失敗したのは仕方ないけど、マインも悪いところを直せ」
「雖然這次失敗了沒有辦法,但瑪茵也要修正不好的地方」
「悪いところ?」
「不好的地方?」

 わたしが首を傾げると、ルッツは少し厳しい目でわたしを見ながら大きく頷いた。
 我感到不解後,路茲用稍微嚴厲的目光一邊看著我一邊大大點著頭。

「マインが何より本のことを好きで、ずっとずっと本を読んでいたいことは知ってるけどさ、それより先に、周りの人に色々聞いて少しでも早くそこでの生き方を覚えなきゃダメだ」
「雖然知道瑪茵比什麼都還喜歡書本、一直一直都想要看書呀,但在那之前,要聽周圍的人的各種事情不多少快點記住在那邊的生活方式不行」
「生き方?」
「生活方式?」
「……オレも商人の世界は知らないことだらけだ。周りにとっては当たり前ってことが、オレにはわからない。だから、小さいことでも一々聞いてる。そうしたら、他の見習いにしても、マルクさんにしても、ちゃんと教えてくれる。マインも面倒がらずに聞かなきゃ、いつまでたっても覚えないぞ」
「……我也是商人的世界盡是不知道的事情。對於周圍是理所當然的事情,但我卻不知道。所以,即便是小事情也一一聽著。那樣做的話,就算對其他實習,就算對馬爾克先生,也會好好教導。瑪茵也是別嫌麻煩而不聽,就算經過多久都不會記住的喔」

 ルッツの言葉が胸に響く。
 路茲的話語在胸中迴響。
 職人の息子として生きてきて、自分の意思で商人の世界に突っ込んだルッツが、店に馴染むために全力で取り組んでいることを知っている。それなのに、本読みたさとはいえ、ルッツと同じように自分から神殿の世界に飛び込んだわたしは、神殿の常識に馴染むための努力をしていない。
 作為工匠的兒子活著。以自己的意思突入商人的世界的路茲,知道為了適應店家而全力致力著。儘管如此,說是想看書,就跟路茲一樣自己跳進了神殿的世界裡的我,沒有做到為了適應神殿常識的努力。

「オレは、商人として生きたいから頑張ってるつもりだ。マインも神殿で本が読みたいなら、まず、神殿のやり方を覚えろよ。大丈夫。マインならできるって。頭良いんだからさ」
「因為我、想作為商人而活打算要努力。瑪茵如果也想在神殿看書,首先,要記住神殿的做法。不要緊。如果是瑪茵就能做到。因為頭腦很好呀」
「良くないよ。考え無しだもん。ルッツの方がすごいって」
「不好唷。是無腦笨蛋咩。路茲那邊才較厲害」

 わたしの頭が良いはずがない。わたしはベンノの言うように考え無しなのだ。昔から、知識はあっても、その先に繋がらないと言われてきた。
 我的頭腦應該不好。我就像班諾說的沒在考慮。從以前,就算有知識,也被說了在那之前連不起來。

「考え無しでも、マインはいつだって自分の目標に向かってまっしぐらだから、心置きなく本を読む目標のためなら、マインはどんなことでもできるだろ? 安心して本が読めるように頑張れ」
「因為即便沒在考慮,瑪茵任何時候也朝向自己的目標勇往直前,如果是為了毫無顧慮看書的目標,瑪茵什麼樣的事情都能做到吧? 為了安心看書努力吧」
「うっ……。ルッツはわたしを理解しすぎだよ」
「嗚……。路茲太過了解我了唷」

 ちょっと前向きな気分になった時、階段を下りてくる足音が響いてきた。ギッと奥の扉が開いて、涼しげな素材ではあるが、長袖の衣装を着たマルクが出てくる。
 變得稍微積極的心情的時候,響起了下樓梯的腳步聲。嘰地裡頭的門扇打開了,有著涼快的素材,專著長袖的服裝的馬爾克出來了。

「お待たせしました」
「讓您九等了」

 マルクは普段の執務服とは違い、振り袖かと言いたくなるくらい布を使った長い袖がひらひらする白の上着を着ていた。縁に青を基調とした刺繍がされていて、上着の丈は膝くらいだった。
 馬爾克是跟平時的辦公服部一樣,穿著使用了想說是振袖嗎的布的長袖子飄來飄去的上衣。在邊緣被刺著以藍色作為基調的刺繡,上衣的長度是膝蓋左右。
 その下は比較的ピッタリとした細身の白いズボンだ。洗礼式の晴れ着をもっと豪華にした感じだ。布の質も上質のもので、明らかに貴族対応の服だとわかる。
 那下面是比較剛好的細長白褲子。感覺比洗禮式的盛裝更加豪華。由於布的質料也是優質的東西,能明白明顯是對應貴族的衣服。

「待たせたな」
「久等了呢」

 マルクの後から出てきたベンノは、マルクの服より袖が長くて大きい白の上着を着ていて、その着丈が足首ほどまであった。刺繍の豪華さはマルクとは比べ物にならず、さらに、その上から薄手のマントを羽織っている。マントは肩に青い宝石のついた金細工のブローチで止められていて、手には花のような物を持っている。
 從馬爾克的後面出來的班諾,穿著袖子比馬爾克的衣服還長的大大白色的上衣,那個衣服長度有到腳踝的程度。刺繡的豪華是跟馬爾克無法比較的東西,更加地,從那上面披著較薄的披風。披風在肩膀被用附上藍色寶石的黃金細工胸針固定,在手上拿著花般的東西。
 少し癖のあるミルクティーのような色の髪は、ポマードのようなもので固められていて、まるで別人のように見えた。
 稍微翹起的奶茶般的顏色的頭髮,被用髮臘般的東西固定住,簡直就像看到別人。

 服装だけでもこれだけの準備をしなければならない貴族との対応に、ゴクリと息を呑んだ。全く知らない世界に飛び込んでしまったことに、わたしの方が怖気づいてしまう。他人を不用意に巻き込むような発言をするべきではなかった。
 對於即便只有服裝不做到這樣的準備就無法與貴族對應,咕嚕地吞了一口氣。對跳進了完全不知道的世界裡,我害怕起來。不應該做出沒準備就將其他人捲進來般的發言。

「ベンノさん、ごめんなさい。わたしが無知なせいで、巻き込んじゃって……」
「班諾先生,對不起。由於我的無知,而捲了進來……」
「そう気に病むな」
「別那樣發愁」

 わたしが駆けよるとベンノは手に持っていた花の飾りを「新作だ」と言いながら、簪の側に挿しこんで、いつもと同じような不敵な笑みを浮かべた。
 我跑過去後班諾將拿在手上著花之裝飾一邊說「是新作」,一邊插進髮簪的側邊,浮現出與平時同樣的無畏笑容。

「窮地の中にこそ好機ありが俺の信条だ。貴族的なやり取りをこなしつつ、無事に寄付金を渡すことができれば、ギルベルタ商会の迅速で上質な対応を印象付けることができる。行くぞ」
「正因在困境之中才有良機是我的信條。能一面處理貴族的交流,一面平安無事地交付捐款的話,就能以基魯貝路塔商會的迅速來添加優質對應的印象。走吧」

 自信のありそうなベンノの発言に嘘はなかった。
 有自信似的班諾的發言不是謊言。
 店の中にどういう命令系統があるのか知らないが、ベンノとマルクが着替えて店へと出た時には、寄付金の小金貨が詰まっている両手に収まるくらいの宝石箱のような木箱と、くるくると巻かれた布と、小さい壺と、布に包まれた包みが3つずつ準備されていた。
 雖然不知道在店裡面有著怎樣的命令系統,但在班諾與馬爾克換好衣服離開店舖的時候,捐款的小金幣裝進雙手大概能容納的寶石箱般的木箱與,被層層捲起的布與,小罐子,與被布包著的包裹各3個被準備好了。
 そして、店の外には大人が4人は乗れる大きな馬車がきっちりとした服を着た御者付きで待っている。
 然後,在店外面能搭乘大人4人的大型馬車搭配穿著正好的衣服的車夫在等待著。

 いつの間に!?
 什麼時候!?

 ポカーンとしているわたしをベンノがいつもと違って、恭しい態度で抱き上げて、馬車に運ぶ。
 班諾與平時不同將驚呆的我,以恭敬的態度抱了上去,送進馬車。
 お金がかかっているとわかる馬車に座らされたわたしが、不安になってベンノを見上げると、ベンノはピンと額を弾いた。
 被迫坐上能明白是花了大錢的馬車上的我,變得不安而仰望著班諾後,班諾突然彈了我的額頭。

「今のお前は貴族だ。慣れている俺が何とかするから、お前は何かあってもうろたえずに笑え。堂々としていろ。絶対に俯くな。できるか?」
「現在的妳是貴族。因為習慣了的我會想辦法解決,妳就算發生什麼也別驚慌要笑。堂堂正正的。絕對別低頭。能做到嗎?」
「……やります」
「……會做」

 馬車の窓からルッツが見えた。頑張れ、と口が動いているのがわかって、わたしはルッツにわかるように大きく頷いた。
 從馬車的窗戶看到路茲。能明白嘴上加油吧、的動著,我像是明白了般對路茲大大點著頭。

 マルクが乗りこみ、扉が締められると、馬車はゆっくりと動き始める。
 馬爾克乘坐近來,門扇被緊閉後,馬車緩緩地開始動了。
 ガタンガタンとわたしの心と同じように不安定に揺れながら、初めて見る貴族の社会へと進んでいった。
 一邊嘎嗒嘎嗒地像是跟我的內心一樣不安定地搖晃著,一邊往初次見到的貴族社會前進著。

======================================================================
 ベンノとルッツからお説教されました。
 被班諾與馬爾克說教著。
 そして、貴族対応仕様のベンノ&マルクです。
 然後,是貴族對應辦法的班諾與馬爾克。

 次回は、神官長とベンノの対面です。
 下回是,神官長與班諾的見面。
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