2.ヒーロー伝説(英雄傳說)
休日に街を歩いていたら、
子どもたちと一緒に掃除をしているアデニウムと会った。
掃除を終えた彼女と、 お茶をすることにしたのだった。
在假日於街上散步時,
遇到了跟孩子們一起打掃的沙漠玫瑰。
在她打掃結束後,決定跟她喝杯茶。
ロータスレイクでは、 子どもたちのヒーローであるというアデニウム。
本人は、 心当たりはないと言うが……。
なぜ、 そんなことになったのだろう。
在蓮花湖,沙漠玫瑰被孩子們視作英雄。
其本人,則說完全沒有頭緒……。
為何,事情會變成這樣子。
何もないのに、 いきなりヒーローと呼ばれることはないだろう。
大勢の前で、 特に子どもたちの前で、
活躍をしたことがあるのではないだろうか。
明明什麼都沒做,應該是不會無緣無故被當成英雄的吧。
在大庭廣眾面前,尤其是在孩子們的面前,
是否曾有過活躍的時候。
アデニウム:
いや、 ないな。
私は友達も少なかったし、 昔からこんな感じだったから
ひとりでいることが多かったんだ。
ああでも……いや、何でもない
沙漠玫瑰:
不,沒有。
我的朋友本就不多,因此從以前開始就是這種感覺
經常都是一個人。
啊不過……不,沒什麼
何だろう? 何か思い出したのか。
是什麼? 想到什麼了嗎。
アデニウム:
いや、本当に大した話じゃない。
ましてヒーローの話とは関係のないことだ
沙漠玫瑰:
不,真的是沒什麼大不了的事情。
更何況是是跟英雄的事無關
それでも構わないから、アデニウムの話か聞きたい。
そう伝えるとアデニウムは、一つ頷いて口を開いた。
即便如此也無所謂,想聽看看沙漠玫瑰的事情。
沙漠玫瑰點了點頭,開口說了出來。
アデニウム:
まだ花騎士になる前のことだ。
子どもたちが害虫に襲われていて……。
助けるために、 囮になって引きつけたことがある
沙漠玫瑰:
那是我成為花騎士之前的事情了。
孩子們遭到了害蟲的襲擊……。
為了救他們,我曾作為誘餌吸引害蟲離開
花騎士でもないのにか、 それは……。
原來不是花騎士的事啊,那麼……。
アデニウム:
無謀と考えるか、 勇気があると考えるか……。
私にはどちらでもいいんだ。
子どもが──子どもじゃなくても、 泣いていたら助けるのは当たり前だ
沙漠玫瑰:
不論是有勇無謀,還是因為勇氣……。
對我而言怎樣都行。
孩子──即便不是孩子,因為哭泣而去救人也是理所當然的
気負いもなく、そう言い切るアデニウム。
……引きつけた害虫から逃げ切ったのだろうか。
毫無氣勢,如此斷言的沙漠玫瑰。
……後來吸引了害蟲後逃掉了嗎。
アデニウム:
いや、逃げ切れず、何匹かは倒したか、そこまでだった。
囲まれて、死を覚悟したよ
沙漠玫瑰:
不,沒能逃脫,只打倒了幾隻後,就到此為止了。
被包圍之後,做好了赴死的覺悟
だが、 今は無事でいる、 ということは……。
但是,如今平安無事,也就是說……。
アデニウム:
ああ、 絶体絶命の場面で、 花騎士に助けられた。
それがきっかけで、私は花騎士にスカウトされたんだ
沙漠玫瑰:
恩,在這絕境之中,被花騎士救了一命。
就是以此為契機,我被發掘成花騎士了
なるほど……それだけの勇気と胆力、そして、
花騎士でもないのに害虫を倒す強さ。
自分も、そんな人物を見たらスカウトするかもしれない。
原來如此……有著如此的勇氣與膽量,
還有明明不是花騎士卻能打倒害蟲的強度。
換作是我,看到這樣的人說不定也會想要發掘他呢。
もしやそれがヒーロー伝說の始まりなのでは。
難道這就是英雄傳說的起始嗎。
アデニウム:
それはない
沙漠玫瑰:
沒那回事
返ってくるのは、やはり端的な言葉だ。
だが、アデニウムの言うことが本当なら、
子どもたちにはまさにヒーローだ。
這麼一說又回到了原點。
不過,如果沙漠玫瑰說的是真的話,
對孩子們來說簡直就是英雄。
アデニウム:
格好よく救い出したのならまだしも、
実際には死めところだったわけだからな。
ヒーローとは程遠い
沙漠玫瑰:
如果是毫髮無傷的被救出來就還好,
但實際上是差一點就要死的。
與英雄相差甚遠
アデニウム:
……と、そういうことだ。
本当に心当たりはないんだ。
慕ってくれている子どもたちには、
少しだけ申し訳なく思う
沙漠玫瑰:
……就是這麼一回事。
真的毫無頭緒。
對於仰慕我的那些孩子們,
略感歉意
困惑気味のため息をつくアデニウム。
好かれるのはいいことだと思うが。
沙漠玫瑰充滿困惑的嘆息著。
我覺得被人喜歡是件好事。
アデニウム:
それは否定しない。
……そういえばハナイも、私を持ち上げているな
沙漠玫瑰:
這點我不否認。
……這麼說來花藺她,也是一直很喜歡我
ハナイは、同じロータスレイクの花騎士で、
アデニウムに憧れている。
しかし、それも理由かあってのことだ。
花藺,同樣也是蓮花湖的花騎士,
憧憬著沙漠玫瑰。
但是,這也是有理由的。
アデニウム:
そうかもしれないが、
私は特別なことはしていない。
ただ、自分の心に従って動いているだけだ
沙漠玫瑰:
或許是這樣吧,
我並沒有做出什麼特別的事情。
只是,順從自己的心而去行動而已
心に従った結果、 他人を助けているのだから、
それは、 アデニウムが優しい心を持っている、 ということだ。
順從心情,並且幫助別人,
那就是,沙漠玫瑰有顆溫柔的心,就是這樣。
アデニウム:
ぐっ……本当に団長は……。
凜々しいとか、かっこいいとかは言われても、
そんな風に言われたことはないぞ……
沙漠玫瑰:
唔……團長真的是……。
雖然曾被說是傲慢、帥氣之類的話,
可是我可沒被那樣說過……
なぜか動摇したように目を逸らすアデニウム。
それにしても、噂の届いていない、ここブロッサムヒルでも、
子どもたちに懐かれていたようだが。
沙漠玫瑰不知為何驚慌失措的移開視線。
話說回來,即便在茂盛之丘沒有傳聞,
好像還是被孩子們親近了。
アデニウム:
あれは、ただ、泣いていたから……。
別に、私は子ども好きなわけではないんだ。
子どもはよく喋るから、大変だし……
沙漠玫瑰:
那是因為,只是,哭泣著而已……。
並不是因為我很喜歡小孩子。
經常跟小孩子們說話,很辛苦的……
確かに、普段の彼女は寡黙な印象だから、
子どものペースに付き合うのは大変だろう。
しかし、今はけっこう喋ってくれているが……。
確實,平時的她給人留下了沉默的印象,
要跟上小孩子的步調打交道很辛苦的吧。
不過,現在說話也是說得挺多的……。
アデニウム:
……こんなにたくさん他人と喋ることは滅多にない。
団長が特別なんだ
沙漠玫瑰:
……很少在別人的面前說話。
團長是很特別的
特別か……。
特別嗎……。
アデニウム:
い、 いや、 変な意味はないんだ…… !
普段は、 あまり人から話しかけられる方ではないからな
沙漠玫瑰:
不,不,沒有什麼奇怪的意思……!
只是,平時不太會像這樣被人搭話而已
確かに、あまりそういう場面を見た記憶はない。
的確,我不記得見到過這種場面。
アデニウム:
ああ、 私に寄ってくるのは子どもと……。
あとは団長くらいだ
沙漠玫瑰:
啊,來找我的幾乎都有孩子跟過來……。
剩下的就只剩團長你了
一見、寡黙でとっつきづらく見えるのか。
話してみれば、気の優しい女性なのに……。
乍看之下,看起來是個沉默寡言又難以接近。
話說回來,明明是個心地善良的女性……。
アデニウム:
……そういうことを言うから、団長は変わっているというんだ
沙漠玫瑰:
……居然說出這種話來,團長真的是好奇怪啊
アデニウムはなぜか、少し赤面しているようだった。
不知為何,沙漠玫瑰似乎有些臉紅。
アデニウム:
一人で旅をしていることが多かったから、
あまり人と、 特に大人とは話し慣れていないんだ。
その……すまないな、 私の話は面白くないだろう?
沙漠玫瑰:
因為我經常獨自旅行著,
我不太習慣跟人,尤其是特別的人說話。
那個……抱歉,跟我聊天很沒意思吧?
いや、とても楽しい。
話も面白いし、アデニウムのような魅力的な女性と話をしているのだから。
不,非常開心。
故事也很有趣,而且還是跟沙漠玫瑰一樣有魅力的女性在聊天。
アデニウム:
あっ、う……また、そういうことを……。
本当に変な男だ……
沙漠玫瑰:
啊,……又是,這個樣子……。
真是個奇怪的男人……
そういえば、一人で旅することが多いのは、
花騎士としては珍しい気はする。
說起來,獨自旅行的情況比較多,
作為花騎士來說,感覺很稀奇。
アデニウム:
ああ、 私は……情報を集めるのが任務だからな。
ロータスレイクは開国したばかりだ、
害虫についても、 他国についても、 情報が必要だ
沙漠玫瑰:
啊,我啊……因為任務是收集情報的關係。
畢竟蓮花湖才剛開國而已,
不論是害蟲還是其他國家,都需要情報
アデニウム:
本当は今日も、図書館に行く途中だったんだ。
途中で泣いている子どもを見つけてしまって、
……なぜか、こうなっているのだが……
沙漠玫瑰:
其實今天,原本是要去圖書館的。
結果發現了在路上哭的孩子,
……不知為何,事情就變成這樣了……
図書館か。
お目当ての本があるのだろうか、と聞くと、
聞き覚えのある書名を言われた。
圖書館啊。
有沒有想要的書呢,
例如很多人知道的書名之類的。
各囯の地理や名產についての本だ。
それなら確か、執務室にあったはずだ。
すぐ必要な本ではないし、自分が貸そうか。
如果是關於各國地理跟名產的書的話。
那應該辦公室裡面就有。
如果不是馬上需要的書的話,可以過來借。
アデニウム:
団長の……部屋に?
それは…………うーん……
沙漠玫瑰:
團長的……辦公室?
這樣的話…………嗯……
珍しく悩むアデニウム。
女性を部屋に誘う、というのはいきなりすぎたか。
沙漠玫瑰難得煩惱了起來。
邀請一位女性到辦公室裡面,是不是太突然了。
アデニウム:
なつ、 そ、 そういう意味じゃない!
……そうだな、では、ありがたく借りることにする
沙漠玫瑰:
啊,不,不是那個意思啦!
……這樣啊,那麼,我就不客氣的跟你借好了
しばらく迷った末に、
アデニウムはなぜか顏を赤くして、そう言ったのだった。
稍微猶豫了一會兒,
沙漠玫瑰不知為何紅著臉這麼說著。