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第二部神殿的實習巫女 與神官長的密談

作者:SPT草包│2018-08-24 22:34:53│巴幣:2│人氣:211
本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~
以下犯上的書癡~為了成為圖書管理員而不擇手段~
作者:香月美夜
第二部神殿の巫女見習い 神官長との密談
第二部神殿的實習巫女 與神官長的密談
原文連結

 子供達を助けたいと決めたものの、帰宅中のわたしにできる事はほとんどない。ルッツやフランと話し合い、今日はとりあえず、「命大事に」を合言葉に、こっそり動くことにした。
 雖然決定了想要幫助小孩子們,但回家中的我能做的事幾乎沒有。與路茲及弗蘭商議,今天暫且,將「生命大事」當口號,打算偷偷行動。

 あそこにいる子供達がどれだけ消化できるかわからなかったので、スープの上澄みにパンをちぎって入れてふやかしたパン粥を作って、ギルに裏口から差し入れてもらうことにする。
 由於不知道在那裡的小孩子們能消化掉多少,在湯的上清湯裡撕碎麵包放入浸泡做成麵包粥,打算請基魯從後門送入。
 表からフランが神の恵みを持って行って、裏からギルがこっそり持って行けば、多分気付かれずに小さい子達にご飯を食べさせることができるはずだとフランは言った。
 弗蘭說了弗蘭從表面拿神的恩會過去,基魯從背面偷偷地拿去的話,大概不會被注意到應該能將飯給小小的孩子們吃吧。

「ギルが一番気にかけていましたから、率先して動いてくれるはずです」
「因為基魯最為掛心,應該會率先行動」
「オレの服を一つ、ギルにやるから汚れ仕事に使えって言ってやれ」
「因為基魯會做,去說將我的一件衣服用在髒工作上」

 今日できるのは、これだけだが、今夜のうちにあの子達が飢えて死ぬことはないだろう、と思えるだけで少し気が軽くなった。
 今天能做的,雖然只有這個,但在今夜裡那些孩子們不會餓死吧,就只是那樣想心情就稍微變輕鬆了。
 ホッと表情を緩めるわたしと違って、フランは表情を引き締めて、わたしを見つめる。
 與放心地舒緩了表情的我不同,弗蘭緊繃著表情,凝視著我。

「マイン様、神殿長は孤児を救うことに難色を示す可能性が高いので、デリアには十分お気を付けください」
「瑪茵大人,由於神殿長對拯救孤兒表示難色的可能性很高,對蝶莉亞還請充分注意」
「……神官長はいいの?」
「……神官長可以嗎?」

 神殿長だけではなく、神官長もかなり難色を示すと思うが、それについてフランはどう思っているのか。
 雖說我認為並非只有神殿長,神官長也表示相當的難色,關於那個弗蘭是怎樣想的呢。

「神官長には私からお話しておきます。孤児院の処置や神官巫女に対する扱いに、歯痒い思いをしていたのは神官長も同じですから」
「神官長的話由我來說。因為孤兒院的處置或對於神官巫女的對待,有著令人焦急的想法神官長也是一樣」
「え? とてもそうは思えなかったけれど?」
「咦? 雖然非常不那麼認為?」

 わたしが首を傾げると、フランは少し驚いたように目を見張った後、仕方なさそうな顔で目を伏せた。
 我歪頭不解後,弗蘭像是稍微吃驚般睜大了眼睛之後,用沒辦法似的臉低下了頭。

「デリアの言葉を聞いていらっしゃいましたか? 神殿長の方が強いのですよ。そして、神官長は揚げ足を取られぬように、本音を深く隠してしまわれますから、大変わかりにくいですが、今の神殿に苛立ちを感じておられます」
「有聽到蝶莉亞的話嗎? 神殿長那方還比較強大喔。而且,因為神官長為了不被挑毛病,深深地將真心話隱藏起來,雖然非常難懂,但對現在的神殿感到了焦躁」
「……わたしには全然わからないけど」
「……雖然我完全不明白」

 あの話し合いのどこを聞けば、神官長が苛立ちを感じているのがわかるのだろうか。フランは心の声も聞きとれるというのだろうか。
 是明白聽到那個協議的哪裡的話,神官長會感到焦躁吧。弗蘭是所謂能聽到心聲吧。
 わけがわからず頭を捻っていると、ルッツが軽く肩を竦めた。
 扭著不明白意義的頭後,路茲輕輕聳了聳肩。

「マインには通じてないって、神官長に報告がいるな」
「瑪茵無法理解的話,就別對神官長報告了」
「そのようです。貴族特有の婉曲さをマイン様も勉強しなければなりませんね」
「就是那樣。瑪茵大人也必須要學習貴族特有的婉轉呢」

 できが悪い子を見る、生温かい二人の視線がとても痛かったです。
 看著做不好的孩子,溫和的兩人的視線非常的痛。



 数日の間、ギルにこっそり差し入れをしてもらいながら、わたしはフランと二人で神官長にどう報告すれば要求が通りやすいか話し合った。ルッツの意見も聞いたし、マイン工房の話になるので、「また面倒な事を」と嫌な顔をするベンノも巻き込んだ。
 數日之間,一邊請基魯偷偷地去送入,我一邊與弗蘭兩個人商議著要怎麼對神官長報告要求才能容易通過。也聽了路茲的意見,由於變成瑪茵工坊的話題,做出討厭的表情說「又是麻煩事」的班諾也捲入了。

 わたしとしては一刻も早く神官長から許可を取りつけて、孤児院の改革に挑みたかったのだが、「この考え無し!」とベンノに怒られた。
 作為我是早一刻也要從神官長那取得許可,雖然想試著挑戰孤兒院的改革,但被班諾「這個無腦笨蛋!」地發怒了。

「一直線にぶつかるな! 貴族相手の時は回り道で面倒に思えても、事前準備と根回しが必須だ! むしろ、それで全てが決まる。いきなり行っても会ってくれるかどうかさえ定かではないんだぞ」
「別直線衝撞! 貴族對象的時候就算因繞道而認為很麻煩,也必須要事前準備和事先疏通! 不如說,因此而全部決定了。就算突然過去連能不能見面都不清楚吧」
「ベンノ様のおっしゃるとおりでございます。マイン様はいつも決めたらすぐに行動されますが、本来、重要な話がある場合は、事前にある程度の情報や要求を伝え、面会の予約を取ります。貴族と話し合うのに、性急さは不要。できるだけ時間を取って、自分に有利なように水面下で準備しておくものでございます」
「如同班諾大人所言。瑪茵大人總是決定的話馬上行動,但本來,有重要對話的場合,會在事前傳達某程度的情報或要求,取得會面的預約。明明是與貴族協商,不要性急。盡可能佔用時間,為了對自己有利要在水面下事先準備」

 孤児達の様子に驚いて神官長に直訴した事も、「どうしても」とわたしが何度も頼んだから場を整えたけれど、本来はマナー違反だとフランには諭された。神官長側の受け入れ準備や情報の伝達がうまく行えないと言う。
 對孤兒們的樣子吃驚而對神官長直接訴諸的事情也是,雖然因為我說了「無論如何」拜託了好幾次才準備了場所,但被弗蘭告誡本來是違反禮儀的。說是神官長側的接納準備或情報的傳達無法好好進行。

「今回は丁度良い機会でござますね。マイン様、貴族への面会予約や根回しなどをよく見て、覚えてくださいませ。これからは必要になります」
「這次正好是機會呢。瑪茵大人,請好好看著、記住對貴族的會面預約或事先疏通。今後會變得需要」

 色々話し合った結果として、まず、わたしが孤児院の院長に就任して、マイン工房の資産を使って、工房整備という名の改革をすることにした。
 作為各式各樣商議的結果,首先,我就任孤兒院的院長,決定要做以使用瑪茵工坊的資產、整備工坊為名的改革。

 洗礼前の子供達を洗って、孤児院の徹底掃除。それから、男子棟の地階を工房にして、料理にも紙作りにも使えるように、竈の設置や道具の運び入れをする。
 清洗洗禮前的小孩子們,孤兒院的徹底打掃。還有,將男子棟的地下室當作工坊,為了不論料理或造紙都能使用,要做爐灶的設置及用具的搬入。
 孤児院にいる人を班分けをして、紙作り兼森の採集班、孤児院の家事班、神殿のお仕事班に分けて、一月ほどはローテーションを組ませて、全て経験させる。その後は希望を聞いて、班分けのし直し。職業選択の自由だ。
 將在孤兒院的人分班,分成造紙兼森林的採集班,孤兒院的家事班,神殿的工作班,一個月左右組成輪班,讓他們全部經驗。那之後聽聞希望,重新分班。自由選擇職業。

 必要になる服や道具を洗い出し、ベンノを通して買い付けも行わなければならない。
 清查變得必要的衣服及用具,也必須透過班諾去採購。
 その資金を作るために、ルッツとラルフに頼んで、木製のハンガーを作ってもらった。肩の丸みを大事にした、わたしが知っている形のハンガーだ。「古着屋で見た十字のハンガーより服を傷めないよ」と紹介すると、ベンノは目をギラギラさせて食いついた。
 為了製做那個資金,拜託路茲和拉魯夫,請求製做木製的衣架。慎重地做出肩膀的圓潤,是我所知道的形狀的衣架。介紹為「比起在舊衣店裡看到的十字衣架還不傷衣服唷」後,班諾目光閃閃地上鉤了。
 まいどありがとうございます。
 多謝光顧。

「マイン工房孤児院支店の最終目的は何だ?」
「瑪茵工坊孤兒院分店的最終目的是什麼?」

 ベンノがわたしを見ながら、問いかけてくる。ここで答えが出なかったら、また「考え無し」と怒られるのだ。
 班諾一邊看著我,一邊詢問著。在這裡答不出來的話,又會被罵「無腦笨蛋」。

「孤児院の生活費の確保です。神の恵みで不足する分を自分達で稼いで、必要分の食料を買えるようになればいいと思ってます」
「孤兒院的生活費的確保。讓他們自己賺到用神的恩惠還不足夠的部分,我認為能買到必要份的食物就行了」
「食料だけでいいのか?」
「只要食物就行了嗎?」
「生活に最低限必要なものはだいたい神殿から与えられているので、食費分の利益が出ればそれでいいと思います」
「由於生活上最低限度必要的東西大致會被神殿施予,我認為拿出伙食費份的利潤那樣就可以了」

 ベンノの質問に答えていると、ルッツが紙の値段と食料に必要な値段を書き出して計算し始めた。
 回答班諾的提問後,路茲寫出紙的價格和食物上必須的價格開始做計算。

「……食費だけなら意外と簡単に達成できそうだな」
「……如果只有伙食費意外地能簡單達成呢」

 ルッツは金がないなら、森で採ってくればいいと言ったけれど、孤児院の規模を考えると、あんまり森から大量に長期間採集するわけにもいかない。工房としてお金を稼げるようになるとわかっていれば、軌道に乗るまでの食費は工房の費用から出せる。
 雖然路茲說過如果沒有錢,去森林裡採集就好,但考量到孤兒院的規模後,不太能從森林大量地長期採集。明白能賺到作為工坊的資金的話,直到上軌道前的伙食費都能從工坊的費用裡出。

「マインが金を出すんだったら、採集を覚えさせる意味はないんじゃないか?」
「瑪茵出錢的話,不就沒有記住採集的意義了嗎?」
「紙を作るついでに、森での採集を覚えて欲しいだけ。知っていれば、飢えて死ぬ前に何か食べられるようになるでしょ? 知らないとわたしみたいに毒キノコ採っちゃうかもしれないし」
「只是想要在製造紙張順便,記住在森林裡的採集。知道了的話,在餓死之前就會變得知道什麼是能吃的對吧? 不知道的話就會像我一樣採到毒蘑菇也說不定」
「マインは毒キノコ率が高かったからな……」
「因為瑪茵採到毒蘑菇的機率很高呢……」

 フランはある程度話がまとまったところで神官長に裏からこっそり手を回し、非公式とはいえ、孤児院の院長就任とマイン工房孤児院支店に関する了承を取りつけてくれた。そのうえで、わたしと公的に話をする予約も取りつけてくれた。
 弗蘭以彙整到某程度的話題從背面偷偷地對神官長採取措施,雖說非正式,但有關孤兒院的院長就任和瑪茵工坊孤兒院分店上取得了諒解。此外,我與公家的對話也取得了預約。
 正式に面会を求める時は数日前に書面でお願いしなければならないようで、わたしはその書式を教えられ、お手紙を書いた。
 正式地尋求會面時似乎必須要在數天前用書面請託,我被教導了那個格式,寫了信件。

……貴族、めんどくさ。
……貴族,好麻煩。

 神官長から招待状が届いた頃には、ギルの暗躍のお陰で子供達の体調が良くなってきていた。食欲が出て、スープ以外にも固形食が少し食べられるようになり、少しずつ動きが活発になってきたと報告を受けた。糞尿だらけの部屋の掃除している間に、彼らを丸洗いしても大丈夫そうな健康状態になってきたようだ。
 在來自神官長的邀請函送到的時候,托基魯暗中活動的福小孩子們的身體狀況變好了起來。食物出來,變成好像湯以外的的固體食物也能少少被吃掉般,接到活動一點一滴地變得活潑起來的報告。在做著盡是屎尿的房間的打掃期間,似乎變成就算將他們整個洗一洗也不要緊般的健康狀態。



 神官長に指定された3の鐘が鳴った後、わたしはフランと共に神官長の部屋へと足を運んだ。わたしの部屋では、ギルやルッツがいつでも動き出せるように準備している。
 被神官長指定的3之鐘響了之後,我與弗蘭一同提腳去往神官長的房間。在我的房間,基魯及路茲為了無論何時都能開始行動而做著準備。

「神官長、お時間を頂いてありがとう存じます」
「神官長,非常感謝能借用時間」
「君か。……こちらに来なさい」
「是妳嗎。……請來這邊」

 すでに人払いされていたようで、神官長の部屋にはアルノーしかいなかった。いつものように執務机へと向かおうとしたら、反対側にあるベッドの方へと神官長が足を進める。
 似乎已經讓旁人迴避了,在神官長的房間裡只有阿魯諾。像往常一樣打算朝向辦公桌的話,神官長起腳往在相反側的床的方向。

「神官長!?」
「神官長!?」

 アルノーが驚いたような声を上げた。フランも目を丸くしている。わたしはわけがわからないまま、神官長の後ろについていく。
 阿魯諾發出驚訝般的聲音。弗蘭也目瞪口呆。我依然不明白理由,跟在神官長的後面過去。
 神官長がベッドの天幕をバサリと退けて、わたしを手招きした。ベッドの更に奥? と首を傾げながら近付いてみると、天幕の向こうにもう一つの扉が見えた。
 神官長大力地挪開床的圍帳,將我招來。一邊歪頭不解 床的更裡面?一邊試著接近的話,在圍帳的對面看到另一扇大門。

「君との話はここで行う」
「與妳的對話在這裡進行」

 まるで指紋認識でもさせるように神官長が扉に手をかざした途端、青白く輝く魔法陣が浮かび上がり、神官長の中指にはめられている指輪の宝石が赤く光った。指輪の赤の光が魔法陣を一巡りすることで光がおさまる。
 簡直就像是指紋辨識也能做般神官長剛一把手舉到大門上,藍白色閃耀的魔法陣就浮了上來,被戴在神官長中指上的戒指的寶石閃著紅光。戒指的紅光繞行魔法陣一圈光芒就平息了。

「ここには側仕えも入れない。マイン、来なさい」
「在這裡近侍也進不來。瑪茵,請過來」

 カチャと扉を開けて、アルノーもフランもつれずに神官長が部屋の中に入って行く。わたしは暗い部屋を見て、一瞬不安になってフランを振り返った。フランは小さく頷くことで、わたしを促した。
 喀嚓地打開大門,阿魯諾或弗蘭都不帶地神官長進入房間裡面去了。我看著黑暗的房間,一瞬間變得不安回頭看弗蘭。弗蘭小小點頭,催促著我。

「し、失礼いたします」
「失、失禮了」

 わたしが中に入って扉が閉まった瞬間、真っ暗だった部屋に窓が出現して、眩しい光が入りこんでくる。まるでシャッターが開くように窓が出現した。
 我進入裡面的大門關閉的瞬間,在漆黑的房間裡窗戶出現了,耀眼的光芒進來了。簡直就像快門打開般出現了。

「わっ!?」
「哇!?」

 目元を押さえ、目が慣れるまで待っていると、神官長がごそごそと動いている音がする。ゆっくりと目を開けると、真っ暗だった部屋がまるで大学の研究室のような部屋になっていた。
 捂著眼睛,直到眼睛習慣之前都在等待著時,神官長發出窸窸窣窣地行動著的聲音。緩緩地睜開眼睛後,漆黑的房間簡直變成了像是大學的研究室般的房間。

 机や棚の上には巻物や羊皮紙の資料が散乱し、本が数冊積み上げられている。見たことがない器具だけれど、何となく理科の実験道具のようなものが棚に並んでいた。部屋の隅には休憩用だろうか、長椅子があり、そこにも資料が散乱していた。
 在桌子及架子上卷軸及羊皮紙的資料散亂著,書本數冊被堆積起來。雖是沒見過的器具,但總覺得好像理科實驗器具般的東西在架子上排列著。在房間的角落是休息用的嗎,有長椅子,在那裏也有資料散亂著。
 側仕えによってきっちりと片付けられている、いつもの部屋とは違う、神官長の完全なるプライベートスペースだった。
 與經由近侍被整齊地整理著、平時的房間不同,是神官長完全的私人空間。

「ここは一定以上の魔力がないと入れないようにしてある。今の神殿には君以外に入れる者はいないだろう。密談にはちょうど良い」
「這裡是做成沒有一定以上的魔力是無法進來的。在現在的神殿不存在妳以外的進入者吧。在密談上正好」
「すごい隠し部屋ですねぇ。魔術の結晶って感じで……」
「好厲害的隱藏房間呢。感覺是魔術的結晶……」

 神官長は長椅子の上に積み上がっている資料をザッと退けながら、わたしを見た。
 神官長一邊將堆積在椅子上的資料粗略地挪開一邊看著我。,

「……君の部屋にもあるだろう?」
「……在妳的房間也有吧?」
「そうなんですか。初めて知りました」
「是那樣嗎。第一次知道」

 ベッドの天幕なんて退けたことがなかったし、ベッドも枠があるだけで布団ははいっていない。倒れた時のことも考えて、布団くらいは入れておいた方が良いかもしれない。
 床的圍帳什麼的沒有挪開過,床也只有框架棉被沒有放入。倒下的時候的事情也考慮過,棉被之類先放入比較好也說不定。

「扉に魔力登録をしなければならないから、君には使えないだろうが」
「因為必須要在大門上做魔力登記,妳是無法使用的吧」
「魔力登録?」
「魔力登記?」
「そんなことはどうでもよろしい。本題に入ろう。そこに座りなさい」
「那種事怎樣都好。進去正題吧。請坐在那裡」

 話を打ち切って、神官長は物を退けたばかりの長椅子を指差した。自分は机のところにある椅子を持ち出して、座る。
 切斷話題,神官長用手指著才剛挪開東西的長椅子。自己拿出在桌子的地方有著的椅子,坐下。
 すっと上げられた顔は、フランと同じような感情を感じさせない無表情ではなく、眉間にくっきりと皺を刻んだ難しい顔だった。
 迅速地被抬起的臉,並非是與弗蘭同樣般感覺不到感情的無表情,是在眉宇間清楚地刻著皺紋面有難色。

 ……これは、お説教?
 ……這個是,說教?

 ここ数日、フランに叱られ続けているわたしは、本日の用件を悟った。もしかして、ここを使うのは、側仕えには見せない方が良いレベルで説教されるからだろうか。フランに助けを求めても、この部屋は二人だけで、助けてくれる人なんていない。
 這幾天,持續被弗蘭訓斥的我,領悟了今天的要事。莫非,使用這裡是,因為要用不會被近侍看到比較好的等級說教吧。就算向弗蘭求助,這個房間只有兩個人,不存在給予幫助的人之類的。

「あ、ああ、あの、神官長。どうしてここで話をするのでしょうか?」
「那、那那、那個,神官長。為什麼要在這裡說話呢?」
「君に貴族的で婉曲な言い回しを求めても無駄だというフランの進言を受けたからだ」
「因為接到弗蘭說的就算要求妳用貴族的委婉表達方式也沒用的進言」

 じろりと神官長がわたしを睨む。無表情でちょっと冷たい印象を与えるタイプの顔なので、眉間に皺を刻んで不機嫌な顔をされると非常に怖い。雷を落とすベンノとは違って、足元からどんどん凍って行くような冷気を発する怒り方だ。
 神官長瞪了我一眼。由於是給予了因無表情而有點冷淡印象的類型的臉,被做出因在眉宇間刻著皺紋而不愉快的臉的話非常恐怖。與大發雷霆的班諾不同,是從腳邊不斷地發生逐漸結凍般的冷氣的生氣方法。

「実際、君は先日もかなり重要な事や際どいことを何も考えずに口にしていたではないか。あの場には用事があって訪れていた神殿長の側仕えがいたのだが、気付いていたか?」
「實際上,妳前幾天不是將相當重要的事情及驚險事情什麼都沒考慮就說出口了嗎。雖然在當場是有事來訪的神殿長的近侍在,但沒注意到嗎?」
「全く気が付きませんでした」
「完全沒注意到」
「神殿長の側仕えがいる場で、神殿長の行いを非難するなど、よくあんなことを……と、こちらの命が縮むような会話だった事も、理解できていないようだな?」
「在神殿長的近侍在的地方,譴責神殿長的行為之類,經常將那樣的事情……且,是會縮短這邊的命般的對話的事也是,似乎無法理解呢?」
「……も、申し訳ありません」
「……非、非常抱歉」

 わたしはわかってくれない神官長に少しでもわかってもらおうと思っていたが、神殿長のやり方を非難するだけものになっていて、神官長も側仕えも、その場にいる人はみんな肝を冷やしていた、ということらしい。
 我雖想著對於不能理解的神官長多少也能理解,但會變成只是譴責神殿長做法的東西,不論神官長或近侍,在當場的人大家都嚇破了膽,似乎該那麼說。

「せめて、青色神官の顔と名前、それから、その側仕えの顔くらいは覚えなさい。警戒しなければならない相手のことを知らずにどうする? 君は迂闊すぎる」
「至少,請記住藍色神官的臉和名字,還有,那個近侍的臉之類。不知道必須要警戒的對手要怎麼辦? 妳太粗心了」

 呆れ果てた神官長の顔は、ベンノが見せる顔に似ている。わたしはどこに行っても叱られる立場にあるようだ。
 驚呆了的神官長的臉,很相似班諾展現的臉。我似乎有著就算到了那裡都會被責備的立場。

「……ベンノさんにも考え無しとよく言われています」
「……也經常被班諾先生說是無腦笨蛋」
「そういえば、警戒心がないとも、騙されても懲りないとも言っていたな。ベンノの意見には全面的に賛同する。青の巫女見習いとして貴族側に立つのだから、君は貴族のやり方を学び、覚えなければならない」
「這麼說來,不論沒有警戒心,還是就算被騙也不會懲罰都說過呢。班諾的意見全面地贊同。正因為作為實習藍色巫女站在貴族側,妳必須要學習、記住貴族的做法」
「はい」
「是」

 神官長の意見は完全にわたしの立場を心配してのものだった。フランが言っていたように、本音が隠れすぎていてわからなかったけれど、神官長は神殿長からわたしを守ってくれているらしい。
 神官長的意見是完全地擔心著我的立場的東西。就像弗蘭說過的,雖然真心話隱藏太多無法明白,但神官長似乎從神殿長那保護著我。

「君にはこちらの隠れた意図を汲み取る気がないし、どの意見も真っ直ぐすぎて隠す気がないようだが、これは貴族社会では命取りになる。あんな風にひやひやしながら話をするのは真っ平だ。こちらの意図が通じているかどうかも全くわからないので、他に聞かれたくない話を君とする時は、ここを使うのが最善だと判断した」
「妳無法領會這邊隱藏的意圖,哪個意見都太過直率毫不隱藏的話,這在貴族社會上是會致命的。像那樣一邊提心吊膽一邊對話絕對不幹。由於完全不了解這邊的意圖能不能通達,與妳說著不想被其他人聽到的話時,我判斷使用這裡是最好的」
「本当に申し訳ございませんでした」
「真的是非常對不起」

 神官長が本音を言わなければ、わたしに通じないので、ここで話をすることになったようだ。お手数おかけしますが、腹を割って話せるのは助かります。
 由於神官長不說真心話的話,我就無法通曉,似乎變成要在這裡說話。雖然費事,但能開誠佈公的說話真是幫大忙了。

「フランから連絡があったが、君は孤児院の院長になると決めたようだな? あの時は責任を持てないと言っていたようだが、本当に大丈夫なのか?」
「雖有來自弗蘭的聯絡,但妳似乎決定要當孤兒院的院長嗎? 那個時候好像說過無法承擔責任,真的不要緊嗎?」

 わたしの内心まで探るような強い光を持った瞳に真っ直ぐ覗きこまれて、わたしは背筋を伸ばす。助けると決意だけは固めた。やる気だけでも伝えたくて、真っ直ぐに目を見返した。
 被擁有著探尋直達我內心般的強光的眼眸筆直地窺視進來,我挺直背脊。只有幫忙的決心是堅固的。即便只有幹勁也想傳達,筆直地看了回去。

「正直言うと、責任を持つのはまだ怖いです。でも、あのままにしておけないので、助けられるなら助けたいと思います」
「老實說,承擔責任還是很可怕。但是,由於無法就那個樣子放著不管,我認為能幫就幫」
「ふむ。君に覚悟があるなら、構わない」
「嗯。如果妳有覺悟,沒關係」

 あっさりと許可されて、わたしは肩透かしを食らったような気分で神官長を見る。
 爽快地被許可了,我以期望落空般的心情看著神官長。

「え? いいんですか?」
「咦? 可以嗎?」
「非公式ながらフランを通じて、了承の返事を与えてあるはずだが?」
「儘管非正式但透過弗蘭,應該有給予了諒解的回應吧?」
「それは、聞いてましたけど、前の話し合いの時とずいぶん違うのでビックリして……」
「那個,雖然聽過了,但由於與之前協商的時候相當不同而嚇了一跳……」
「婉曲にすると伝わらないのだから、仕方あるまい」
「因為委婉的話無法傳達,沒有辦法吧」
「ぅあ、申し訳ありません」
「哇,非常抱歉」

 何度目かわからないが謝っていると、神官長は数枚の紙を持ってきた。それに軽く目を通した後、わたしに目を向けた。
 不知道是第幾次道歉了後,神官長拿了幾張紙過來。而且輕輕地瀏覽之後,將目光轉向了我。

「フランから一通り聞いたが、要領を得ない。フランも完全には理解できていないようだ。商人独特の言い回しや暗黙の了解で話が進むと言っていたからな。孤児院の院長に就任して、一体何をするつもりか、説明しなさい」
「雖然有從弗蘭那聽一遍,但不得要領。弗蘭似乎也完全不能理解。因為說過是用商人獨特的表達方式及默契的了解進行著話題呢。就任孤兒院的院長,到底是打算做什麼,請說明」

 わたしはみんなと打ち合わせた内容を説明する。
 我將與大家協議的內容做說明。

「孤児院をマイン工房にします。まずは、工員となる子供達の栄養状況の改善と工房である孤児院の大掃除をして、仕事道具を設置します。それから、栄養状態を改善するために、自分達で料理できるようになってもらう予定です。スープだけでも自分達で作れるようになれば、神の恵みと合わせて、栄養状態がかなり改善できると思うのです」
「將孤兒院當作瑪茵工坊。首先,要做成為員工的小孩子們的營養狀況改善和身為工坊的孤兒院的大掃除,設置工作用具。還有,為了改善營養狀態,要變得像是能請他們自己料理般的預定。即便只有湯能變得像是他們自己能做的話,與神的恩惠配合,我認為營養狀態能相當改善」
「なるほど。この孤児院全員を側仕えにすると言うのは何だ?」
「原來如此。說是要將這個孤兒院全員作為近侍是什麼?」

 神官長がじろりとわたしを見た。
 神官長看了我一眼。

「……わたくしの側仕えなら、お使いとして神殿の外に出せるので」
「……如果是我的近侍,由於能作為跑腿去到神殿外面」
「それだけの理由なら止めておきなさい。他に青色が入ってきた時に側仕えにする人材がなくなるし、全てを囲ってしまったら不用意な対立を生む。院長のお使いとして外に出せばいいだろう」
「如果只是那個的理由還請停止。在其他藍色進來時會造成沒有能作為近侍的人才,將全部圈起來的話會產生沒準備的對立。作為院長的跑腿去到外面就好了吧」
「わかりました」
「我知道了」

 子供達を神殿から出すことができるなら、別に側仕えにする必要はないのだ。わたしは頷いて、了解する。
 如果能讓小孩子們從神殿裡出去,就沒必要特地作為近侍了。我點點頭,了解了。

「子供達の栄養状態が整ったらどうする?」
「小孩子們的營養狀態完備的話要怎麼做?」
「植物紙を作ってもらいます。以前はわたくしとルッツだけで作っていたので、やり方を教えれば、子供でもできるはずです」
「請求製做植物紙。由於以前只有我與路茲在製做,教導作法的話,小孩子應該也能做」
「植物紙か……」
「植物紙嗎……」

 ちらりと神官長が机に積まれている紙の束を見遣る。そういえば、ベンノが贈った物で、神官長が一番喜んでいたのは植物紙だった。
 神官長眺望一眼被堆在桌子上的紙束。這麼說來,班諾所贈送的東西裡,神官長最喜悅的是植物紙。

「横流しはしませんし、マイン工房で作られたものはギルベルタ商会が売るという契約魔術がすでに結ばれているので、取り上げる事はできませんよ」
「不會倒賣的,由於已經結下名為在瑪茵工坊製做的東西是基魯貝路塔商會來賣的契約魔術,無法奪走唷」
「商人らしい良い判断だ。たとえ見つかっても、神殿長に取り上げられることがないなら良い。紙を売ってどうするんだ?」
「是像商人的好判斷。譬如就算被發現,也不會被神殿長奪走的話很好。賣了紙要怎麼做?」

 少しだけつまらなそうに目を細め、神官長は話を進める。
 只是有點無聊般那樣瞇起了眼睛,神官長推進著話題。

「商品を売って、足りない分の食料を自分達で買えるようになってもらいます。そうすれば、わたくしが食費を持つ必要がなくなりますし、青の神官や巫女の増減で飢えるという事はなくなるはずです」
「賣了商品,就能讓他們自己買到不足夠部分的食物。那樣的話,我就沒必要帶著伙食費了,所謂因藍色神官或巫女的增減而飢餓的事情應該會沒了」
「基本的に他に対して無関心な君がそれをする理由は? 何の得もなく、面倒を抱え込みはしないだろう?」
「基本上對其他都不感興趣的妳做那個的理由是? 是不會擔負起,什麼都得不到的麻煩吧?」

 そこが一番大事なところだ、と神官長が視線を強めてわたしを見つめる。わたしもじっとりとした目で神官長を見返した。
 那邊才是最重要的點,神官長加強視線凝視著我。我也用安詳的目光看回神官長。

「わたくしが心置きなく読書するために決まっているじゃないですか」
「我是為了能心無旁騖地讀書才決定的不是嗎」
「何だと?」
「妳說什麼?」

 理解できないというように、神官長が目を見張った。
 好像在說無法理解般,神官長睜大了眼睛。

「壁を隔てた向こうで子供が飢え死にするってわかっていたら、気になって仕方ないんです。本に没頭しているうちは良くても、読むのを止めた瞬間にあの光景が蘇ってきて、罪悪感や気持ち悪さに耐えきれなくなるんです」
「在明白了小孩子在隔了面牆的對面餓得要死的話,會在意也沒辦法。就算埋頭於書中時還好,在停止閱讀的瞬間那副光景就會復甦,會變得無法忍受罪惡感及難受」
「つまり、読書の障害排除のためだけに、孤児院の院長となり、工房を運営するということか?」
「也就是說,是所謂的只是為了讀書的障礙排除,成為孤兒院的院長,營運工坊嗎?」
「その通りです」
「就是那樣」

 わたしが大きく頷くと、神官長はこめかみを押さえた。
 我大大點頭後,神官長壓著太陽穴。

「君は……予想以上の馬鹿者だ」
「妳是……超出預期的笨蛋」
「よく言われます」
「經常被說」
「……もういい。期間は? 許可を与えて、どのくらいで軌道に乗る予定だ?」
「……已經夠了。期間呢? 是給予許可,要用多久能上軌道的預定?」
「あらかた準備は終わっているので、今の季節なら、一月ほどあれば、紙を作って、売って、ある程度の食料が買えるようになると思います」
「由於基本上準備結束了,若是現在的季節,有一個月左右的話,我認為就能製做紙張,賣掉,購買某程度的食物」
「ほぅ?」
「哦?」

 今回はずいぶん事前準備がしっかりしているな、と神官長が呟いた。
 這次事前準備做得相當堅實呢,神官長嘟噥著。
 ベンノとフランが計画に穴がないか、商人側と貴族側の目で何度も確認したので、問題ないはずだ。一番の不安要素がわたしだと明言されたことは記憶に新しい。
 由於班諾和弗蘭用商人側和貴族側的眼光,確認了好幾次計畫上有沒有漏洞呢,應該沒有問題。最不安的要素被名言了是我的事情記憶猶新。

「よろしい。許可しよう」
「好的。准許了」
「ありがとうございます。フランは神官長なら、きちんと話を通せばわかってくれる、って言っていました。ベンノさんも神官にしてはイイ目をしているから、相談するなら神官長にしろ、って。……どうして神官長は他の神官と違うんですか?」
「非常感謝。弗蘭有說過,如果是神官長,好好地透過對話就能明白。班諾先生也說了,因為作為神官有副好眼神,如果要商量,就找神官長。……為什麼神官長與其他神官不同呢?」

 これは間違いなく外で聞いたら叱られる質問だろうな、と思いながら尋ねると、案の定、神官長に「この部屋以外では聞いてくれるな」と溜息混じりに言われた。
 這毫無疑問是在外面問的話就會被斥責的提問呢,一邊那樣想一邊詢問,果然,被神官長混著嘆息說「別在這個房間以外打聽啊」。

「詳しく話すつもりはないが、君と同じく、私もここの神殿で育ったものではない。貴族社会で育ち、理由があって神殿に入っている。だからこそ、神殿長のやり方が鼻につくこともあるが、今対立するのはあまり得策ではない。君もこれ以上怒りを買わないように気を付けなさい」
「雖不打算詳細說,但於妳相同,我也不是在這個神殿裡成長的。在貴族社會成長,有理由進入神殿。正因為如此,雖也有神殿長的做法讓人討厭,但現在對立並不太是上策。妳也是為了不要在這之上惹人生氣還請當心」
「……孤児院の運営って、怒りを買いませんか?」
「……是說孤兒院的營運,會惹人生氣嗎?」

 孤児が自分達で稼ぐなんて、今までのやり方に真っ向から対立する。わたしが恐る恐る尋ねると、「何を今更」と鼻で笑われた。
 孤兒他們自己賺錢之類,對至今為止的作法會從正面對立。我戰戰兢兢地詢問後,被用鼻子笑說「事到如今算什麼」。

「一応、私が押しつけたという体裁は取るつもりだが、あまり派手な事をしてくれるな。君の場合、我々とは常識が違いすぎて一体何をするか、見当がつかない。何をするにも私に報告するように。それから、フランの言う事をよく聞くように。いいな?」
「姑且,雖然我是打算採取所謂壓住了的樣子,但別做出太過華麗的事情。妳的場合,對我們來說是常識太過不同到底要做什麼呢,無法估計。像是做了什麼都要跟我報告。還有,要能好好聽弗蘭說的話。可以嗎?」
「はい」
「是」

 神官長に何度も「報・連・相」の念押しをされた後、わたしは神官長の隠し部屋を出て、フランと一緒に自分の部屋に帰る。
 被神官長「報告.連略.商量」的叮囑好幾次之後,我離開神官長的隱藏房間,與弗蘭一起回到自己的房間。
 ギルとルッツが期待に満ちた目で出迎えてくれた。
 基魯與路茲用滿懷期待的目光來迎接了。

「マイン、どうだった?」
「瑪茵,怎樣了?」
「いっぱい怒られた。貴族らしさを真剣に学べって。考え無しで迂闊って……」
「被滿滿地發怒。認真地學習貴族樣。說了無腦笨蛋且粗心……」
「それって、孤児院の院長はダメだったってことか?」
「那是說,孤兒院的院長不行了嗎?」

 不安そうにルッツとギルが顔を曇らせた。わたしは慌てて首を振る。
 不安似地路茲與基魯表情黯淡。我驚慌地搖搖頭。

「ううん、院長にはなったよ。マイン工房は大丈夫。でも、わたしって、どこに行っても怒られるんだなぁって……」
「不是,成為院長了唷。瑪茵工坊不要緊。但是,我,就算去哪都會被生氣呢……」
「まぁ、マインだからな」
「哎呀,正因為是瑪茵呢」

 ポンポンと軽くわたしの頭を叩き、ルッツは小さく笑った。
 砰砰地輕輕敲著我的頭,路茲微微的笑了。




 孤児院の改革に取り掛かる前に、わたしにはしなければならないことがもう一つ残っている。
 在著手孤兒院的改革之前,我必須要做的事情還留有一個。
 デリアとの話し合いだ。神殿長に情報を流す事が仕事だというデリアに口止めをしておきたい。
 是與蝶莉亞交談。想要事先對說著將情報流給神殿長是工作的蝶莉亞封嘴。

 いくら隠しておこうと思っても、他の側仕えがうろうろし、ベンノやルッツが出入りして、孤児院でわいわいしていれば、デリアが気付かないはずがない。けれど、工房の仕事が軌道に乗るまでは、神殿長に邪魔されたくはないのだ。
 就算想著能事先隱藏多少,但其他的近侍轉來轉去,班諾或路茲進出著,在孤兒院大聲囔囔的話,蝶莉亞應該不會沒注意到。但是,工坊的工作直到上軌道之前,不想被神殿長打擾。
 デリアも助けられるなら助ければいい、と言っていたので、孤児達を助ける事自体には賛成してくれると思う。さすがに、助ける準備が整ってきた今の状況で、死んでしまった方が良いとは言わないだろう。
 由於蝶莉亞也說了,能幫的話去幫就好,我想對幫助孤兒們這事本身是贊成的。畢竟,以幫助的準備就緒了的現在的狀況,不會說死了還比較好吧。

 視線を合わせ、わたしはデリアに正直に頼むことにした。神殿長の側仕えに会ったことも報告してくれるデリアには、婉曲なやり方よりも、真っ直ぐにお願いした方が良いと思ったからだ。
 讓視線相對,我決定老實地拜託蝶莉亞。因為對於見了神殿長的近侍也會報告的蝶莉亞,比起委婉的作法,我認為筆直地拜託會比較好。

「あのね、デリア。わたくし、洗礼前の子達を助けるつもりでいます。だから、神殿長に邪魔されたくないの。デリアにはしばらく黙っていて欲しいと思っています。デリアも助けられるなら、あの子達を助けたいって思っていますよね? お願いできないかしら?」
「那個呢,蝶莉亞,我,打算幫助洗禮前的孩子們。所以,不想被神殿長打擾。我想著希望蝶莉亞暫時沉默。蝶莉亞也想過能幫的話,也想幫助那些孩子們吧? 能不能拜託呢?」

 しばらくの沈黙の後、デリアはギュッと目を閉じて、思い出したものを振り切るように頭を振った。
 暫時的沉默之後,蝶莉亞緊緊地閉上已經,想是要甩開回想起來的東西搖了搖頭。

「……あたし、孤児院に行きたくないです。思い出したくないし、係わりたくないの」
「……我,不想去孤兒院。不想回想起來,不想有關係」
「えぇ、知ってるわ。だから、デリアはここで料理人の見張りをしていてくれればいいの。ちょっとだけ見ない振りをしていてほしいだけ。お願いできる?」
「嗯,我知道喔。所以,蝶莉亞能在這裡做著廚師的看守就行了。只是想要假裝稍微看不見。能拜託嗎?」

 食材の管理や料理人の監視は絶対に必要なので、誰かが必ず部屋に残っていなければならない。孤児院に行きたくないデリアにその仕事を任せれば、デリア自身は孤児院に向かう必要はない。
 由於食材的管理及廚師的監視是絕對必要的,必須要有某人必定要留在房間裡。將那件工作委託給不想去孤兒院的蝶莉亞,蝶莉亞本身沒有朝向孤兒院的必要。

「いいわ、黙っててあげます。でも、これはマイン様のためじゃなくて、子供達のためなんだから。あたしがほだされたとは思わないでちょうだい」
「可以喔,我會沉默。但是,因為這並非是為了瑪茵大人,是為了小孩子們。請不要認為我被束博了」

 ちょっとだけホッとしたような顔を、つーんと横に向けながら、デリアは一応黙っていてくれるという約束をしてくれた。胸を撫で下ろして、わたしもデリアに約束する。
 一邊把稍微有點放下心般的臉,裝模作樣地轉向側邊,蝶莉亞一邊做了說是姑且會沉默的約定。撫胸鬆了一口氣,我也對蝶莉亞約定。

「ありがとう、デリア。絶対に助けてきますね」
「謝謝妳,蝶莉亞。絕對會幫助的呢」
「べ、別にあたしは頼んでないです。でも、やる以上、失敗したら許さないんだから」
「我、我沒特地拜託。但是,因為既然做了,失敗的話無法原諒」

 態度はつんけんしているけど、どうやらデリアにも期待されていると考えていいよね?
 雖然態度冷淡傲慢,但是看來可以考慮也被蝶莉亞期待著呢?

======================================================================
 神官長にも怒られて、デリアの口止めも終わりました。
 神官長也生氣了,蝶莉亞的封口也結束了。
 これで準備完了です。
 這樣就準備完成。

 次回は、マイン工房孤児院支店が始動します。
 下回是,瑪茵工坊孤兒院分店啟動。
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