31番目のお妃様第31位王妃殿下
作者:桃巴
31番目の妃*26第31位妃子*26
原文連結漫畫生肉 夜会での笑みの応酬は、色んな思惑を持ち、さらに色んな思惑を封じる。そんな高度な技術をフェリアは実践し習得していく。 晚宴上的笑容應對帶有各種意圖,更封藏著各種意圖。菲莉亞靠實踐逐漸學會那種高度的技術。
サブリナはそれを目の当たりにし、その清楚で可憐な顔を歪ませていた。公爵が戻ってきて、小声で指摘するまで自身で気づかぬほどであった。 薩布莉娜親眼看到那點,扭曲著那清秀且憐愛的臉。是直到公爵回來了、小聲的指責為止自己都沒注意到的程度。
「サブリナ、引いた方がいい」「薩布莉娜,妳最好退出」
公爵はフェリアに感じ取った大きな器を驚異に思った。感覚でわかるものなのだ、こういうことは。下働き時代に得た感覚だ。人には身分とは違う格がある。公爵は、フェリアから発せられる格を肌で感じ取っていた。公爵はつと視線をブッチーニ侯爵に向けると、公爵の感じているものがわかるのか、神妙な面持ちで目礼を送ってきた。公爵も目礼で返す。淑女が笑みでの会話をするならば、紳士は目で会話をする。それが、社交界、貴族界の習わしであり、身に付けるべき技である。 公爵驚異地思索從菲莉亞身上感受到的大大器量。是用感覺就明白的東西那回事。是在部屬時代獲得的感覺。以人來說有著與身份不同的品格。公爵以肌膚感受到了來自菲莉亞所散發的品格。公爵突然將視線朝向布奇尼侯爵後,是明白公爵感覺到的東西嗎,以奇妙的神色送來注目禮。公爵也回以注目禮。如果淑女是以笑容對話的話,那紳士就是以眼神對話。那就是社交界、貴族界的習俗,是應該掌握的技巧。
「サブリナ、彼の嬢は格が違う」「薩布莉娜,那位姑娘品格不同」
サブリナをなだめる公爵の言葉は、サブリナを反対に荒立たせるだけだ。女とはそういう生き物である。 公爵勸說薩布莉娜的話語,只是讓薩布莉娜更為惡化。所謂的女人就是這種生物。
「父上、私があの田舎者に劣ると言うのですか?! 格? 格ならば私が上でしょう。毛並の違う者だからでしょう、未知の者への恐怖です、父上が感じているものは。目を覚ましてください。私は退きません」「父親,那是說我比那個鄉下人還劣等嗎?! 品格? 品格的話是我在上吧。正因為是出身不同吧,父親所感覺到的東西是對未知者的恐懼。請醒醒吧。我不會退出」
サブリナは気づいていない。ミミリーと同じセリフを吐いたことに。目を覚ませ……ミミリーも同じセリフを茶会で吐いていた。 薩布莉娜沒有注意到。說出與米蜜莉同樣的台詞。醒醒…………米蜜莉也在茶會上說出過同樣的台詞。
荒事の次の一手を考えるサブリナの顔は、氷のように冷たく、しかし、憎悪にのまれた劣情の顔であった。 薩布莉娜思考暴力行為下一手的臉,像冰般寒冷,可是,卻是充滿憎惡的卑劣心情的臉。
***
ビンズはやっとだとの思いで、フェリアを呼びに夜会会場に向かう。そのビンズの横を足早に過ぎる存在に、ビンズはこめかみに手を置いた。 賓茲以終於到了的思緒,走向晚宴會場呼喊菲莉亞。對快步經過賓茲那旁邊的存在,賓茲把手放在太陽穴上。
「王様、どちらへ」「國王陛下,您要去哪」
「フェリアを迎えにだ」「迎接菲莉亞」
答えはわかっていたが訊かずにはいられなかった。 雖然知道答案卻不得不詢問。
夜会会場では、フェリアが自分の番であるとわかっているため、痛い足を動かして面談部屋に続く扉に歩む寸前であった。 在晚宴會場,菲莉亞因為知道要輪到自己了,挪動疼痛的腳就要走到接著面談房間的門扇前。
そこに王マクロンが現れる。フェリアを敵視する令嬢らは、31番目の存在を忘れて王が戻ってきたと、フェリアに誇った笑みを向けていた。『お前、相手にされていないわよ。忘れられているわよ』との笑みだ。 國王馬庫隆在那裡出現了。敵視菲莉亞的千金們將國王忘記第31位的存在回來了的誇耀笑容轉向菲莉亞,。是『妳沒被當成對象喔。被忘記了喔』的笑容。
「フェリア、さあ行こう」「菲莉亞,好了走吧」
マクロンはフェリアの元に歩み、フェリアをサッと横抱きにした。夜会会場に悲鳴が上がる。色んな感情の入り雑じった悲鳴だ。フェリアを蔑む者とひそかに応援する者では、悲鳴の音色は違う。 馬庫隆走到菲莉亞的身邊,迅速地把菲莉亞橫抱起來。晚宴會場發出尖叫。是摻雜了各種感情的尖叫。藐視菲莉亞的人與偷偷地聲援菲莉亞的人,尖叫的音色不一樣。
フェリアは突然のマクロンの登場と、横抱きにされた状況に顔を真っ赤に染めていた。 菲莉亞因馬庫隆突然的登場、與被橫抱的狀況讓臉染得通紅。
「足は痛いか?」「腳很痛嗎?」
「あ、歩けますわ!」「還、還能走唷!」
「そうはいかぬ。王城の不始末の責は我にあるからな」「那可不行。因為朕有不注意王城的責任呢」
「支えて……支えていただくだけでいいのですが」「只要……只要支撐著我就好了」
「長い時間待った足がうまく歩を運べるとは思わんよ。甘んじて……抱かれていろ」「朕不認為長時間待著的腳能好好移動腳步喔。情願……被抱著吧」
最後のセリフは、フェリアの耳元で告げられた。フェリアにだけ言った言葉であるが、その声は淑女らと同じように、周りにかろうじて聴こえる色気のある小声でだ。その色気とセリフで、幾人かの女性たちは悶絶していた。 最後的台詞被告知在菲莉亞的耳邊。雖是只對菲莉亞說的話,但那聲音與淑女們一樣,是周圍勉勉強強聽得到帶有色氣的小聲。因那色氣與台詞,幾位女性們昏厥了。
マクロンとフェリアが二人だけの世界を作り、夜会会場から出ていった。ビンズはやっちまったなと、小さく息をもらす。それから気を取り直して…… 馬庫隆與菲莉亞做出只有兩個人的世界,從晚宴會場離開了。賓茲小小嘆息說完蛋了呢。然後重新打起精神……
「皆様、長きに渡る意向面談も最後の31番目のお妃様となりました。今しばらく……しばらくお待ちを」「各位,漫長度過的意向面談也來到最後的第31位王妃殿下了。現在暫時……稍稍等候」
ビンズは深く頭を下げて退室した。しばらくはしばらくだと、最後に暗に示した。今までの妃より時間を取るとの言いまわしである。 賓茲深深低下頭退出房間。在最後暗示著暫時就是暫時。是比至今為止的妃子還要花更多時間的說法。
フェリアを抱き、面談室に入ったマクロンはそのままの状態で椅子に座る。 抱著菲莉亞進入面談室的馬庫隆就以那個狀態坐在椅子上。
「あ、あの?」「那、那個?」
「ん?」「嗯?」
「おかしくはありませんか?」「不會很奇怪嗎?」
「気にするな」「不用在意」
「気にします!」「我很在意!」
マクロンは真っ赤な顔がひかぬフェリアに笑い出す。フェリアは潤んだ瞳でマクロンを睨んだ。 馬庫隆對滿臉通紅還未消退的菲莉亞笑了出來。菲莉亞以濕潤的眼眸瞪著馬庫隆。
「王様、いたずらが過ぎますよ」「國王陛下,您戲弄過頭了喔」
ビンズが若干怒った顔で発した。 賓茲以些許憤怒的表情說著。
「親族も後見人もいないフェリア様と、二人だけの時間を持つことは、本当は憚られることです。辛うじて、フェリア様はお渡りの事実がありますから許されますが、あのように夜会から連れ出すなど、反対にフェリア様への風当たりが強くなると思わ與ないのですか?!」「與親人或監護人都沒有的菲莉亞大人,擁有只屬於兩個人的時間其實是被忌諱的事情。好不容易才因為菲莉亞大人有過夜的事實而被允許,但像那樣從晚宴裡帶出來,難道不認為對菲莉亞大人的風口會反過來變強嗎?!」
ビンズは段々語気が強くなっていった。フェリアとマクロンが仁王立ちのビンズをポカーンと見ている。それに気づいたビンズが、しまったという顔になり、ばつが悪そうに頭を下げた。 賓茲的語氣漸漸變強。菲莉亞與馬庫隆呆呆地看著抱胸而立的賓茲。注意到那點的賓茲一臉糟糕了,尷尬似地低下頭。
「あの、ビンズ。風当たりって、私、特に感じておりませんよ。目前の魔獣の吐く咆哮に比べたら、ぜんっぜん気にも止めませんわ」「那個、賓茲。我沒有特別感覺到風口唷。跟眼前的魔獸吐出的咆哮相比的話,我完全不在乎喔」
今度はマクロンとビンズが口をあんぐりと開けた。 這次換馬庫隆與賓茲大大地張開了嘴巴。
「そういう、危機的直の風でなく……というか、はぁ」「該說不是那種危機性的……直接的風嗎,唉」
ビンズはもう覇気がない。フェリアはやはり規格外である。 賓茲已經沒有了霸氣。菲莉亞果然是規格外。
「戦っている対象が人以上の獣なら、夜会に集う者など、フェリアにとって猫ぐらいのものだろうな。まあ、とりあえずビンズよ、出ていけ」「如果戰鬥的對象是人以外的野獸,聚集在晚宴上的人對菲莉亞來說就是貓般的東西呢。算了,總之賓茲唷,出去外面」
ビンズの覇気が戻る。 賓茲的霸氣回來了。
「二人っきりにするわけにはいかないですから!!」「我不可能會讓你們兩個人獨處的!!」
マクロンはすかさず舌打ちした。 馬庫隆緊接著咋舌。
「フェリア様、ご意向をお願いします」「菲莉亞大人,請說出意向」
ビンズがフェリアを促した。マクロンが嬉しそうにフェリアを見つめる。 賓茲催促著菲莉亞。馬庫隆高興似地注視著菲莉亞。
「あ、えっと……その、す、すぅ」「啊、呃……那個,喜、喜」
もじもじ 扭扭捏捏
もじもじ 扭扭捏捏
フェリアがマクロンの胸元の服を掴むと、それに向かって 菲莉亞抓住馬庫隆胸口的衣服後轉向那裡。
「好き」「我喜歡你」
マクロンの胸に投下された爆撃発言は、マクロンのみならずビンズにも大いなる打撃を与えたのだった。 朝馬庫隆的胸膛投下的轟炸發言,不僅僅是馬庫隆也給了賓茲重大的打擊。
「あのですね、フェリア様? お気持ちは十分に、ええ十二分にわかりましたし、わかっております。いちお、ご意向……つまり、後宮に残りたいかどうかのご意向をお訊きしております」「那個呀,菲莉亞大人? 妳的心情我十分、不十二分地明白、瞭解了。姑且,意向是……也就是詢問是否想留在後宮裡的意向」
ビンズは、訊くまでもないとは思うがお妃選びの規則に乗っ取って、訊ねるしかなかった。 賓茲連詢問都不用的想法篡奪了選王妃的規則,只能詢問了。
「残るだろ、フェリア?」「要留下吧、菲莉亞?」
「はぃ、マクロン様」「是的、馬庫隆大大人」
マクロンを見つめそう言ってから、恥ずかしそうにビンズをちらりと見たフェリアを、マクロンは引き戻す。ソッとフェリアの顎に触れて。 注視著馬庫隆如此說之後,馬庫隆把害羞似地瞄了一眼賓茲的菲莉亞拉了回來。輕輕地觸碰菲莉亞的下巴。
「我も好きだ」「朕也喜歡妳」
微笑み合う二人を残し、ビンズは退室した。退室せざるをえなかった。あんな甘い空間にいる無粋な存在とならぬように。いや、甘すぎて吐き気が…… 賓茲留下互相微笑的兩人退出房間。不得不退出房間。為了不成為待在那樣甜蜜的空間裡不懂風趣的存在。不對,太過甜蜜都要吐了……
***
「では、王様より発表いたします」「那麼,就由國王陛下來發表了」
ビンズが夜会会場で声を張り上げた。王マクロンが夜会に戻ったにも関わらず、ざわつきがおさまらないのは、フェリアを大事に抱え戻ってきたからで、さらに用意させた椅子に宝物のように優しく座らせたからである。ビンズはやけくそ気味に叫んだのだ。 賓茲在晚宴會場提高音量。無關國王馬庫隆重回到了晚宴上,嘈雜沒有平息是因為慎重地抱著菲莉亞回來了,並且是因為像寶物般體貼的讓她坐在被準備好的椅子上。賓茲自暴自棄地呼喊著。
そして、マクロンが口を開く。 然後,馬庫隆開口了。
「意向は全て通す!「意向全部通過!
今回の妃選びは候補が揃わず長きに渡り、皆には迷惑をかけた。這次的選妃沒湊齊候補而漫長地度過了,給大家添麻煩了。
本来の帰国期間を過ぎ、冬の悪路を進まざるをえない国や辺境地の妃より、妃は辞退するが滞在を延ばしてほしい旨や、国内事情により避難地として滞在させてほしい等の様々な意向が上がっている。また、王都での商業計画を実行中の者も、今しばらくの猶予を申し出ておる。來自錯過原本的回國期間,不得不走冬天險路的國家及邊境地的妃子,雖辭退妃子但希望延長滯留的主旨,以及由於國內事情而希望作為避難地讓其滯留等的各種意向呈了上來。還有正在王都實行商業計劃中的人現在也提出了暫時的寬限。
全ての意向は受け入れよう。朕接受所有的意向。
ただし! 最大は九ヶ月までである。都合がつけば随時退城していただく。また、我の足は我の意思により妃邸に向かう。我の訪問がない者は、我の意向を汲め。但是! 最多只到九個月。情況允許的話隨時都可退城。還有,朕的腳會依據朕的意思前往妃子宅。朕沒訪問的人要體察朕的意向。
以上だ」以上」
ビンズは何とか表情を変えずに耐えた。長老らも表情を変えずに、頷いていた。互いの顔をたてるには、この結論しかないであろう。 賓茲總算表情不變地忍住了。長老們也表情不變地點著頭。彼此樹立的臉上就只有這個結論吧。
夜会会場は再びざわつき出す。妃や親族、後見人らは口々に今後の身の振りを囁きあっていた。 晚宴會場再次開始嘈雜。妃子及親族、監護人們異口同聲地互相低語著今後的謀生路。
マクロンはビンズに合図を送った。ビンズは頷く。 馬庫隆對賓茲送了暗號。賓茲點頭。
「夜会を解散とします。おのおのの邸にお戻りください。親族、後見人の方々は、閉門の時間までお妃様と邸宅にてご歓談できます」「晚宴解散了。請回到各自的宅院裡。親族、監護人的各位可以跟王妃殿下在宅邸裡歡談到關門時間」
ビンズの発言後、誰よりも素早く動いたのはマクロンである。フェリアを再度抱き抱えて颯爽と夜会会場を後にした。 賓茲的發言後,比誰都還迅速行動的是馬庫隆。再度懷抱起菲莉亞颯爽地離開了晚宴會場。
これほどまでに王マクロンの意向を見せつけられれば、諦めもつくだろう。その反面、サブリナのように激情を抱く者もいる。それに追随する者も。低位の者に頭を下げたくはないと、同じ思いで結束していくだろう。 國王馬庫隆的意向被展現到這個程度的話,也只能放棄了吧。另外一面,也有像薩布莉娜一樣懷有激情的人。而且也有追隨者。是以不想跟下位者低頭的同樣想法團結起來的吧。
その夜、サブリナ邸では幾人かの妃らが集結していたのだった。 那一夜,在薩布莉娜宅裡集結了幾位的妃子們。