31番目のお妃様第31位王妃殿下
作者:桃巴
31番目の妃⑨第31位妃子⑨
原文連結漫畫生肉 フェリアは熟睡一夜で元気を取り戻す。勢いよくドアを開けると、心配気な騎士ら三人が目の下にうっすらと隈を作って立っていた。 菲莉亞因熟睡一晚而取回了精神。猛然地打開門後,憂心的三位騎士們在眼睛下面形成了薄薄的黑眼圈站立著。
「あれ?」「奇怪?」
「フェリア様、良かったです。昨日の夕刻から出てこないものですから、心配いたしました。お腹すいておりませんか? 腕は悪いですが、作ってあるので食べてください」「菲莉亞大人,太好了。因為從昨天的黃昏就沒有出來,我們很擔心。肚子會不會餓? 雖然本事不好,但有做了請吃吧」
フェリアは目を見開いた。こんな風に心配されて、瞳がうるうると揺れだした。あたたかい気持ちになると、涙が出るのはなぜだろう。フェリアは、ありがとうと潤んだ声で答える。騎士らが嬉しそうに笑顔になった。 菲莉亞睜大了眼睛。像這樣被擔心著,眼眸濕潤地開始搖曳。化為溫暖的心情後,為何會流出淚來呢。菲莉亞、用濕潤的聲音回答了謝謝。騎士們變成了高興似地笑臉。
「フェリア様は、今日はのんびりしてください。たまにはいいではないですか。ね」「菲莉亞大人,今天請悠閒自在點。偶爾為之不是很好嗎。對吧」
ゾッドの提案にフェリアは口を尖らせながら頷いた。邸から椅子を引っ張りだして座る。朝陽がやわらかくフェリア邸を包んだ。 菲莉亞對佐多的提案一邊嘟起嘴一邊點頭。把椅子從宅院裡拉出來坐。朝陽柔和地包圍著菲莉亞宅。
騎士らが作った朝食を食べていると、いつもの朝食を食べに来る騎士たちがフェリア邸に訪れた。 吃著騎士們做的早飯時,總是來吃早飯的騎士們造訪了菲莉亞宅。
「お見舞いです」「這是慰問」
手に持っているのは花だ。フェリアは目をパチパチさせた。お見舞いなんてもらった覚えがないのだ。騎士が差し出した花を、受け取る。黄色のガーベラだ。フェリアの好きな元気な色の黄色である。お日様色の黄色である。 拿在手上的是花。菲莉亞眨呀眨著眼睛。不記得收到過什麼慰問。收下騎士遞出的花。是黃色的非洲菊。是菲莉亞喜歡的有精神的顏色的黃色。是太陽公公的黃色。
「ありがとう! お見舞いははじめてなの。嬉しいわ」「謝謝! 慰問是第一次呢。我很高興喔」
その言葉に花を贈った騎士らが驚き慌てる。はじめての存在が自分たちでいいのかとの焦りだ。本来ならお妃様へのお見舞いは王様が贈るものだろう。しかし、王様のお越しはこの31番目のお妃邸にはまだない。仕方のないことだ。さらに、侍女もいなければ妃の不調が王に届くわけもない。騎士らは眉を下げた。不遇のフェリアをおもんぱかって。 送花的騎士們對那句話驚慌失措。第一次的存在是他們自己可以嗎的焦躁。本來的話給王妃殿下的慰問是國王陛下所贈送的東西吧。可是,國王陛下的蒞臨還沒來到這座第31位王妃宅。是沒有辦法的事。並且,侍女也沒有的話妃子的狀況不好也無法傳達給國王。騎士們垂下眉毛。憂慮著待遇不佳的菲莉亞。
そんなことなど思ってもいないフェリアは、嬉しそうにガーベラを眺めているのだった。 沒有在想那種事的菲莉亞,只是高興似地眺望著非洲菊。
***
二ヶ月が過ぎた。最後の一ヶ月が始まる。マクロンは、フッと息を吐き出して15番目の妃邸へ赴いた。やはり、予想通りであったが、いざこざを起こした妃らは内密の通知を承知せず、王との最後の交流を望んだ。よって、マクロンは赴く。 兩個月過去了。最後一個月開始了。馬庫隆呼地吐出一口氣趕赴第15位妃子宅。果然,雖是預料之中,但引發風波的妃子們不答應秘密的通知,期望著與國王的最後交流。因而、馬庫隆赴約了。
「おはよう、ミミリー嬢」「早安,米蜜莉小姐」
マクロンは名を口にした。ビンズの忠告を受けての行動である。ミミリー侯爵令嬢は、瞳にいっぱいの涙をためてマクロンに頭を下げた。 馬庫隆將名字說出口。是接受賓茲忠告的行動。米蜜莉侯爵千金在眼眸裡噙滿了淚水對馬庫隆低下頭。
「先日の御無礼お許しくださいませ」「請原諒我前幾天的無禮」
頬に伝う涙をマクロンは見つめる。気にするなとも許すとも答えられないのは、妃候補に求めるものが、それを許容できないからだ。 馬庫隆凝視著順著臉頰的淚水。不能回答別介意或我原諒,是因為向妃子候補所求之物不能容許那點。
「マクロン様、王様……私が間違っておりました。どうか、お許しを」「馬庫隆大人,國王陛下……我做錯了。還請原諒我」
そう言って、ミミリーは膝を崩した。マクロンはこの芝居がかった侯爵令嬢の行動に、ため息しか出ない。許しを得ることしか頭にないようだ。謝ること、間違っていたことを認識すること、どうすべきであったかを見つけること、対処すること、それをマクロンに報告することによって、はじめて許しの言葉が紡がれるべきなのだ。 如此說後,米蜜莉跪了下來。馬庫隆對這位裝模作樣的侯爵千金的行動只能嘆息。似乎腦中只有得到原諒。認知該道歉的事、做錯了的事,找到、處理應該怎麼做的事,經由把那些報告給馬庫隆,應該能開始編織原諒的話語。
「妃としてこの邸にいる立場のそなたである。妃に求めるものをそなたが持ち合わせていないのは、明らかである。……そなたは、我に許しを乞う以外に何をした? 失敗の対処もできていない。件のあれは、我に対する無礼でない。「作為妃子待在這座宅院裡的立場的妳。妳不帶有向妃子所求之物是很明顯的。……妳除了對我乞求原諒以外做了什麼? 也沒能做到失敗的處理。 那件事不是對朕的無禮。
誰に謝り、(20番目の妃に)要對誰道歉,(對第20位妃子)
自身の間違いを気づき、(しきたりを軽んじた行いを)注意到自身的錯誤,(輕視慣例的行為)
どうすべきであったかを見つけ、(自我を抑えること)找到應該怎麼做,(抑制自我)
妃候補のそなたがどう対処するか(責任をとる行いを自ら言えるか)妃子候補的妳該怎麼處理呢(親口說出承擔責任的行為嗎)
自分に妃としての資質がないことを気づき得るか……そなたが自身を叱責し身を引く姿勢を見せたなら、我はそなたを許したであろう」能注意到自己沒有作為妃子的資質嗎……妳若能斥責自身展現脫身的姿態,朕是會原諒妳的」
マクロンはそこで一息ついた。侯爵令嬢は顔を真っ赤にさせ、ぷるぷると体を震わせている。頬に伝っていた涙は消えている。怒りや悲しみ、悔しさなどがごちゃ混ぜになったような瞳でマクロンを見ていた。そこに一瞬、すがるような色の見え隠れしている。 馬庫隆在那喘口氣。侯爵千金滿臉通紅、身體微微顫抖著。順著臉頰的淚水消失了。用變成了混合憤怒及悲傷、懊悔等等般的眼眸看著馬庫隆。在那裡依賴般的神色一瞬間若隱若現著。
「我は、そなたミミリー侯爵令嬢に妃辞退を求む。我は今日をもってこの邸に来ることはない」「朕要求妳米蜜莉侯爵千金辭退妃子。朕今日不會來到這座宅院」
侯爵令嬢は首を横に振った。いいえ、いいえと小さな声で呟いている。いいえ、いいえ、私が選ばれぬわけはないわ……マクロンにはそう侯爵令嬢の心の内が聞こえる。 侯爵千金左右搖著頭。不是、不是地小聲嘟囔著。不是、不是,我不會沒被選上的……馬庫隆聽到了如此的侯爵千金的內心。
「三ヶ月の……交流……、妃の意向の確認……、辞退しなければ、ここに居れますよね。妃選び三ヶ月後は、妃の意向が通るしきたりですもの!」「三個月的……交流……,妃子意向的確認……若不辭退的話,就能待在這裡了呢。選妃子三個月後,是了解妃子意向的慣例!」
侯爵令嬢は足掻く。なりふり構わず足掻く。件の令嬢と取っ組みあいの乱闘をした如く。つまり、マクロンの言葉は侯爵令嬢の心には届かなかったということだ。 侯爵千金在掙扎。不介意服裝的掙扎。如同做著與事件的千金互相扭打在一起的亂鬥。也就是說,是所謂馬庫隆的話語沒有傳達到侯爵千金的心裡這件事。
「浅ましいな」「真悽慘呢」
マクロンは足掻く侯爵令嬢に冷たく言い放った。 馬庫隆冷冷的對掙扎的侯爵千金斷言了。
「再度告げる。我は今日をもってこの邸に来ることはない。そなたの意向が通ろうが、我はここには来ない。残りの九ヶ月、日にちこそ指定されるが、我の意思で妃と交流することがしきたりだ」「再次告知。朕今日不會來到這座宅院。妳的意向雖會了解,但朕不會來這裡。剩下的九個月,儘管日期會被指定,但依朕的意思與妃子交流才是慣例」
マクロンの意志、つまり、ここ15番目の妃邸には来ないと言うことだ。侯爵令嬢は青ざめ、いいえ、いいえ、と首を横に振る。マクロンはきびすを返した。 馬庫隆的意思,也就是說,是所謂不會來到這個第15位妃子宅這件事。侯爵千金臉色鐵青,不是、不是地左右搖著頭。馬庫隆轉身離去。
「お待ちを! マクロン様!」「請稍等! 馬庫隆大人!」
マクロンは振り向くことなく邸を後にした。 馬庫隆頭也不回的離開了宅院。
今夜にでも、警護騎士からの報告が来るだろう。15番目の妃はきっと辞退しない。そうマクロンは予想した。今夜は当たり散らすか……それとも、侯爵に伝を出し圧力をかけてくるか。マクロンはすでにこの令嬢の名を使わない。ビンズには悪いが、それがマクロンの妃たちへの線引きである。 即便在今晚,來自護衛騎士的報告也會來吧。第15位妃子一定不會辭退。馬庫隆如此預料了。今晚會遷怒於人嗎……還是說,去施加會傳給侯爵的壓力呢。馬庫隆已經不使用這位千金的名字了。雖然對賓茲很抱歉,但那就是對馬庫隆的妃子們的劃分。
未だマクロンが心を込めて呼ぶ名はいない。 還沒有馬庫隆會真心誠意呼喊的名字。