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第一部士兵的女兒 給路茲的報告

作者:SPT草包│2017-05-12 15:57:44│巴幣:2│人氣:286
本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~
以下犯上的書癡~為了成為圖書管理員而不擇手段~
作者:香月美夜
第一部兵士の娘 ルッツへの報告
第一部士兵的女兒 給路茲的報告
原文連結

 家族会議の次の日は、みんなどことなくぎくしゃくしていた。父の笑顔がどことなく寂しそうだったり、母が何度も抱きしめてきたり、トゥーリがいきなり泣き出したりしていた。
 家族會議的隔天,大家哪裡都有著齲齒著。做出又是父親的笑容哪裡都很寂寞似的,又是母親緊抱了好幾次,又或者是圖麗突然哭了出來。
 けれど、日が経つにつれて、家族会議以前と特に変わらない普通の生活にだんだん戻っていく。
 不過,隨著日子過去,不斷地逐漸回到與家族會議以前沒特別改變的普通生活。

「マインはやらなくていいよ。わたしがやるから」
「瑪茵可以不用做唷。因為我會做」
「えぇ? わたしだってやるよ。やらなきゃできるようにならないってトゥーリが言ったのに」
「哎? 我也是會做的唷。明明圖麗說過必須要做才不會變成做不到」

 自立のためにわたしのお手伝いを奨励していたトゥーリが、やたら仕事を取り上げようとし、わたしに対してさらに過保護になった以外は元通りと思って間違いない。
 獎勵著為了自立的我的家務幫忙的圖麗,一昧的拿走了工作,除了對我變得更加過度保護了以外肯定是認為照舊。


「うわぁ、晴れた! 今日はパルゥ採りに行かなきゃ!」
「嗚哇,放晴了! 今天必須要去採葩乳!」

 今朝はそんなトゥーリの声に起こされた。
 今天早上被那樣的圖麗的聲音叫醒。
 まだ薄暗い空だけれど、雲がほとんどないらしい。わずかに入ってくる光を見て、トゥーリが天気の確認のために窓を開けたので、外の冷たい空気が一気に入ってきた。
 雖然還是昏暗的天空,但雲似乎幾乎沒有了。由於看到些許進來了的光芒,圖麗為了確認天氣而打開窗戶,外面寒冷的空氣一口氣進來了。

「トゥーリ、寒い」
「圖麗,好冷」
「あ、ごめん、ごめん」
「啊,抱歉、抱歉」

 窓を閉めて、トゥーリは早速朝食に取り掛かる。わたしもバタバタと慌ただしい家族の中で朝食を食べた。
 關上窗戶,圖麗立即著手早餐。我也慌慌張張匆匆忙忙地在家人之中吃著早餐。
 朝食をさっさと食べ終わった父も母も籠やら薪やら準備をしている。玄関に色々と並べ始めた父が、もしゃもしゃとパンを咀嚼するわたしを振りかえった。
 急忙地吃完早餐不論父親或母親都在準備著籃子啦木柴啦。在玄關開始排列著各式各樣的父親,回頭看向咀嚼著蓬蓬的麵包的我。

「マインはどうする? 門で待っているか?」
「瑪茵要怎麼辦? 在門等待著嗎?」
「うーん、わたしもパルゥ採りに行ってみようかな?」
「不,我可以試著去採葩乳嗎?」

 トゥーリの話から察するに、パルゥという木は綺麗系の不思議植物らしい。きらきら光ってぐるぐる回ってとても綺麗って表現がよくわからなかったので、ちょっと実物を見てみたい。
 從圖麗的話裡推測,稱為葩乳的樹木似乎是美麗系的不可思議的植物。由於不太明白所謂閃閃發光著團團旋轉著非常漂亮的表現,稍微想看看實物。
 そんな純粋な興味から口にしたわたしの言葉に家族全員が目を釣り上げた。
 家族全員對因為那種純粹的興趣而說出口的我的話語豎起了眼睛。

「ダメだ! マインは家で留守番か、門で助手をするかどちらかだ」
「不可以! 瑪茵要在家當看家者嗎、還是在門做助手呢要選哪一個呢」
「パルゥ採りは大変だから、マインには無理よ。絶対に熱を出すわ」
「因為採摘葩乳很辛苦,瑪茵是不行的喔。絕對會發燒喔」
「そうだよ! 木登りが下手だし、雪の中を歩けないのに無理だよ」
「沒錯唷! 明明爬樹很笨拙、又不能走在雪中不行的唷」

 冬の森に入るパルゥ採りへの同行は家族全員から却下された。確かに、雪の中を歩いて門まで行けないわたしには、雪の森で採集なんてできるわけがない。
 進入冬季的森林同行去採集葩乳被來自家族全員給駁回了。的確,對無法走在雪中走到門為止的我來說,是不可能在冰雪的森林裡採集之類的。

「……わかった。パルゥ採りはお昼までなんでしょ? だったら、門でお手伝いして待ってるよ」
「……知道了。採摘葩乳是到中午為止對吧? 這樣的話,會在門做幫手等著唷」

 トートバッグを準備して、わたしは門へ行く準備をした。
 準備好手提包,我做著要去門的準備。
 父が休みならオットーも休みではないかと思ったのだが、この時期オットーはほぼ毎日門に顔を出しているらしい。
 雖然想說如果父親休息歐拓是否也休息呢,但這個時間的歐拓似乎差不多每天都在門露臉。

 少し大きめのそりにパルゥ採りに使う荷物とわたしを乗せて、家族は出発した。
 在稍微大點的雪橇上乘載著使用於採摘葩乳的行李與我,家人出發了。
 街中の人達がパルゥを採りに言っているというのも間違いではないくらい多くの人が南門を目指して、そりを引いていく。
 宛如所謂說著全城裡的人們都要採摘葩乳都不為過的很多人以南門作為目標,拉著雪橇過去。
 空気は肌に刺さるほど冷たいけれど、パルゥ採りへの期待に胸を膨らませている人々の雰囲気はお祭りのような高揚感があって、わたしまでわくわくしてしまう。
 雖然說空氣像刺著皮膚般冰冷,但對去採摘葩乳的期待鼓脹滿懷的人們的氛圍有著像是祭典的高昂感,就連我都興奮不已著。

「悪いが、マインを頼む。昼までオットーの手伝いだ」
「不好意思,但瑪茵拜託了。中午之前是歐拓的幫手」
「はっ!」
「是!」
「みんな、頑張ってパルゥを採ってきてね」
「各位,去加油採集葩乳來喔」

 わたしは門で下ろされて、森へと向かう家族を見送ると、顔なじみの門番さんに挨拶しながら、宿直室へと向かった。
 我在門被放下,目送朝向森林去的家人後,一邊對熟識的門衛先生打招呼,一邊朝向值班室去。

「オットーさん、おはようございます」
「歐拓先生,早安」
「あれ? マインちゃん? 班長は休みだよな?」
「奇怪? 小瑪茵? 班長不是休息嗎?」

 不思議そうに目を瞬くオットーに、わたしは小さく笑いながら頷いた。
 對不可思議似地眨著眼睛的歐拓,我一邊小小笑著一邊點頭。

「はい、今日は晴れているので、パルゥ採りに行きました。わたしは門でお留守番しつつ、お手伝いです」
「是的,由於今天很晴朗,去採集葩乳了。我一面在門當看家者,一面當幫手」
「あぁ、なるほどね。じゃあ、お昼までか」
「啊,原來如此呢。那麼,是到中午嗎」

 すぐに事情を察したらしいオットーがニッコリ笑って、計算確認をする資料を横に積み上げ始めた。
 似乎馬上察覺情況的歐拓笑瞇瞇著,開始在一旁堆疊起要確認計算的資料。
 お仕事するための場所を空けてくれているオットーに、わたしは先日の相談のお礼を言う。
 我對給空出為了做工作的地方的歐拓,道謝了前幾天的商量。

「オットーさん、先日はありがとうございました」
「歐拓先生,前幾天非常感謝你」
「何?」
「什麼?」
「えーと、仕事に関する相談に乗ってもらったことです。家族に身食いの話もして、在宅の仕事を探すことにしました。春になったら、ベンノさんにも相談しようかと思って……」
「呃,是接受參與有關工作商量的事情。也對家人做了身噬的談話,決定尋找在家工作。到了春天的話,我想也要跟班諾先生做商量……」
「うん。まぁ、マインちゃんの体調が大事だし、ベンノの方に心当たりがなかったら、こっちから在宅の仕事をお願いすることもできるから、いつでも言って」
「嗯。也是,小瑪茵的身體狀況很重要,班諾那邊沒線索的話,因為也可以從這邊請求在家工作,隨時都能說」
「はい!」
「好的!」

 少し黒いものを感じさせる笑顔がやはり気になるが、きちんとお礼を言えたので、スッキリした気持ちでわたしは計算に取り掛かった。
 讓人感受到有點黑的東西果然很在意,但由於好好道謝了,我用清爽的心情著手計算。


 お昼を過ぎるころに家族が森から帰ってきたので、わたしはまたそりに乗って家に帰る。今日は三人で採ったので、パルゥが6つも採れたらしい。去年と違って、搾りかすにも利用価値があるので、母が張り切った結果だ。
 由於在過了中午的時候家人從森林回來了,我又搭乘上雪橇回家。由於今天是用三個人採摘,葩乳似乎被採摘了6個。跟去年不一樣,由於果渣也有利用價值,是母親幹勁十足的結果。

 母がお昼ご飯の準備をしている間にわたし達はパルゥ搾りをする。
 在母親做著午飯準備的期間我們做著榨取葩乳。
 トゥーリが薪用の中から一番細い枯れ枝に暖炉の火を付けて、パルゥにツンと押しつけた。次の瞬間、その部分だけ、プチッと皮が破れる。
 圖麗從木柴用的裡面在最細的枯枝上點上壁爐的火,滋地戳進葩乳裡。下個瞬間,只有那個部分,噗嘰地表皮破了。

「マイン、出てくるよー!」
「瑪茵,出來了唷!」
「はーい」
「好的」

 とろりとした白い果汁をこぼさないように器へ取っていく。甘い匂いにうっとりしながら、パルゥの汁を採り終わったら、トゥーリが父に汁を採り終わったパルゥを渡した。
 為了不會灑出而把作為濃稠的白色果汁取出進容器裡。一邊陶醉於香甜的氣味,一邊採取葩乳的汁液結束的話,圖麗將採取汁液結束的葩乳交給父親。
 父は実を潰して、油を取る。圧搾用の重りが使えるので、父に任せておけばあっという間に油が搾れるのだ。
 父親砸爛果實,取油。由於使用了壓榨用的秤錘,事先委託給父親的話轉眼間油就被榨好了。
 油を絞った後の搾りかすは料理の役に立つので、4つ分はウチに置いておき、あとの2つ分をルッツの家に持っていって、卵と交換してもらうことにした。
 由於絞油之後的果渣有料理的用處,4個份先放置在家裡,將之後的2個份帶去路茲的家裡,決定接受跟雞蛋做為交換。

 昼食の後、搾りかすと一緒に新作パルゥレシピも持っていく。せめて、オーブンがあれば、グラタンやピザができるけれど、鉄板と鍋しかない状態ではできる料理が限られてくる。
 午餐之後,與果渣一起新作的葩乳食譜也帶過去。至少,雖然說有烤箱的話,能做到奶油焗菜或披薩,在只有鐵板與鍋子的狀態下能做到的料理被限制住了。

「こんにちは、ルッツ。卵と交換してください。ついでに、新作レシピはいる?」
「你好,路茲。請跟雞蛋交換。順便說下,新作食譜需要嗎?」
「よぉ、マイン。新作は嬉しいけど、人手がいないから、すぐに作るのは無理だな。入って待ってろよ」
「喲,瑪茵。雖然新作很高興,但因為沒有人手,馬上製做是不可能的呢。進來等待吧」

 せっかく新作レシピを持ってきたけれど、おにいちゃん達は不在らしい。
 雖然說難得帶來了新作食譜,但大哥哥們似乎不在。

「おにいちゃん達はどこに行ったの? 晴れてるし、そり遊び?」
「大哥哥們去了哪裡呢? 是放晴了,玩雪橇去了?」
「あの子達は小遣い稼ぎの雪かきに行ったよ」
「那些孩子們去剷雪賺零用錢了喔」

 わたしは参加したことがないから知らないけれど、重労働な雪かきは子供達の良い小遣い稼ぎの場にもなっているらしい。
 雖然說我因為沒參加過而不知道,但體力勞動般的剷雪似乎變成了小孩子們很好賺零用錢的地方。

「なんでルッツはいるの?」
「為何路茲會需要?」
「パルゥを絞らなきゃ、このまま放っておいたら溶けるだろ?」
「若不絞榨葩乳,就這樣放著不管的話會融化對吧?」

 確かにパルゥも放っておけないけれど、小遣いが手に入らない家の手伝いをルッツに押し付けたようにしか見えなくて、少しもやもやとした気分になる。ルッツとおばさんが何も言わないなら、部外者のわたしが口出しすることではないけれど。
 雖然說的確葩乳不能放著不管,但只看得出來像是將無法獲得零用錢的家裡幫忙強押給了路茲,變成了稍微有所疙瘩的氣氛。如果路茲跟阿姨什麼也都沒說,局外人的我無法插嘴就是了。

 せめて、パルゥ搾りを手伝いたいけれど、パルゥを搾るのは基本的に力仕事で、わたしの出番はない。ダンダンとハンマーで潰していくルッツと、搾っていくカルラおばさんを見ているしかできない。
 雖然說至少,想幫忙搾取葩乳,但絞榨葩乳基本上是勞力活,沒有我的出場。只能做到看著一次次地用鐵鎚敲爛著的路茲與,絞榨著的卡露菈阿姨。

 ぼんやりと作業を見ていたわたしは、ルッツに家族会議の報告をしていなかったことを思い出した。ベンノの店に入らないと決めたことはルッツに報告しておかなければならないことだ。
 呆呆地看著作業的我,回想起沒有跟路茲做家族會議的報告。是決定不進入班諾的店這事必須要先跟路茲報告。

「あのね、ルッツ。わたし、ベンノさんのお店に入るのを止めることにしたの」
「那個呢,路茲。我,決定停止進入班諾先生的店」
「はぁ!? なんでだよ!?」
「啥!? 是為何唷!?」

 ハンマーを振り上げたまま、ルッツが目を見開いてこっちを向いた。カルラおばさんも軽く目を見張ってこっちを向いた。
 依然揮舉著鐵鎚,路茲張大了眼睛朝向這邊。卡露菈阿姨也輕輕張大了眼睛朝向這邊。

「うーん、母さんも言ってたでしょ? ルッツの足手まといになるって。それに、わたしの体力じゃあ、どう考えても仕事にならないもん。オットーさんに相談したら、他にも色々指摘されたんだよ」
「嗚嗯,媽媽也說過對吧? 會成為路茲的累贅。而且,我的體力,就算如何考慮也沒有能成為工作的東西。跟歐拓先生商量之後,也被指摘了其他各式各樣的唷」
「色々って何だよ?」
「各式各樣是什麼唷?」

 ダンダンとハンマーを再び動かしながら、ルッツが視線で続きを促した。
 一邊一次次地再次動起鐵鎚,路茲一邊用視線催促著後續。

「うん。入ったばかりの見習いが熱出して休みまくるのって、一緒に働く周りの人にどう思われる?」
「嗯。剛一進入的實習就發燒休息個不停,會被一起工作的周圍的人怎麼想呢?」
「……あぁ。それは……」
「……啊。那個是……」

 少しばかり納得したような声を出しながら、ルッツはパルゥを叩く。カルラおばさんはぎゅっときつくパルゥを絞りながら、目を細めた。
 一邊發出稍微理解般的聲音,路茲一邊敲打葩乳。卡露菈阿姨一邊緊緊地緊絞著葩乳,一邊瞇起了眼睛。

「あまり休まれると周りに迷惑だし、教育の時に休んで困るのは自分だからねぇ」
「因為太常休息是會麻煩到周圍的,在教育的時候消息而困擾的是自己呢」
「そうなの。……それに、わたし、まだ色々な商品作るつもりだから、その利益をもらっていたら、結構な金額になるでしょ? 休みは多いのに、給料をいっぱいもらう見習いって、お店の人間関係を壊すんじゃないかって」
「那種的。……而且,因為我,還打算製做各式各樣的商品,收到那些利潤的話,會變成相當高的金額對吧? 是說明明休息很多,卻收到滿滿的薪水的實習,說是不會破壞掉店鋪的人際關係嗎」
「……そうだな」
「……也是呢」

 ルッツは眉を寄せて納得したように頷いたが、おばさんは少しばかり驚いたように目を見張った。
 雖然路茲皺起眉頭像是理解般點著頭,但阿姨稍微像是吃驚般張大了眼睛。

「まぁ、このお給料に関しては、ルッツにも関係してくると思うんだけど、真面目に仕事していれば、多少は違うと思う。詳しくはベンノさんにも相談してみた方が良いと思うんだけど」
「反正,有關這份薪水,雖然說我認為跟路茲也有關係,但認真地做著工作的話,我想多少會不一樣。我認為詳細試著跟班諾先生商量會比較好」
「あぁ、春になったら、きちんと相談しようぜ」
「啊,到了春天的話,會好好商量喔」

 給料と利益を別々にして、こっそりもらうくらいのことはできると思う。今だって、ギルドカードを合わせるだけで、お金をもらえるのだから。
 將薪水與利潤分別開來,我想能做到像是偷偷地收到這種事。因為即便是現在,就只是合起公會卡,就能收到錢。

「店に行くのを止めるなら、マインは洗礼式の後、どうするんだ?」
「如果要停止去店哩,瑪茵洗禮式之後,要做什麼呀?」
「わたしの場合、身食いがどうなるかもわからないから、家で手紙や書類の代筆をしながら、商品作ったり、門のお手伝いしたり……今までとあまり変わらない生活にしようって、家族と話したの」
「我的場合,因為不知道身噬會變怎樣呢,一邊在家做著信件或文件的代筆,一邊又是製作商品、又是門的幫手……說是過著與至今不怎麼改變的生活,跟家人談過的」
「そっか。マインの身体にとってはその方が良いかもしれないな」
「是喔。對瑪茵的身體來說那個方法很好也說不定呢」

 ルッツが賛成してくれたので、わたしはホッと安堵の息を吐いた。それと同時に、カルラおばさんの表情も明るくなる。
 由於路茲給予了贊成,我放心地吐了一口安心的氣。在與那同時,卡露菈阿姨的表情也變明朗了。

「おや、まぁ。マインが行かないなら、ルッツも行く必要がなくなったじゃないか。これで職人になれるね」
「喔呀,這樣。如果瑪茵不去,路茲是不是也變得沒有去的必要了呢。這樣就能成為工匠了呢」

 わたしがベンノの店に行くのを止めるのと、ルッツが止めることにどんな関係があるというのだろうか。首を傾げたわたしと違って、ルッツは心底ホッとしたと言わんばかりのおばさんの声に、キッと眉を吊り上げた。
 是所謂我停止去班諾的店後,路茲停止的事情有著怎樣的關係吧。跟疑惑不解的我不一樣,路茲對幾乎要說出打心底放心了的阿姨的聲音,猛地豎起了眉毛。

「ハァ!? 何言ってんだよ、母さん!?」
「啥!? 是在說什麼唷,媽媽!?」
「何って何だい?」
「是說什麼是什麼?」

 全くわけがわからないという表情のカルラおばさんに、ルッツは軽く舌打ちしながら怒鳴った。
 對所謂完全不知道的表情的卡露菈阿姨,路茲一邊輕輕地咋舌一邊怒吼。

「オレが商人になりたいんだよ! マインは関係ない! むしろオレが巻き込んでいたんだ!」
「是我想要成為商人唷! 瑪茵毫無關係! 不如說是我捲了進來!」

 ルッツの言葉におばさんはぎょっとした顔で、信じられないとばかりにルッツを凝視する。
 阿姨對路茲的話語用大吃一驚的表情,不可置信地只凝視著路茲。

「なんだって!? じゃあ、まだ商人になるつもりかい?」
「你說什麼!? 那麼,還打算成為商人嗎?」
「当たり前だろ! 本当は旅商人になりたかったけど、旅商人から市民権の話を聞いて、街の商人になることにしたんだ」
「理所當然的吧! 雖然正確來說是想成為旅行商人,但是聽到來自旅行商人的市民權話題,而做出成為城市的商人」
「ルッツ、アンタそんなこと言わなかったじゃないか!」
「路茲,你那種事情不是沒說過嗎!」
「言ったさ! オレの話を聞いてなかったか、覚えてないんじゃないか!?」
「說過了! 沒聽到我的話嗎,不是沒記住嗎!?」

 本当に話が通じてなかったみたいだ。カルラおばさんは、まるで初めて話を聞いたような顔で、ルッツを見ている。
 真的好像是話語沒通達。卡露菈阿姨,用簡直像是第一次聽到這話的表情,看著路茲。
 親子の会話を邪魔しない方が良いだろうと、わたしは余計な口出しをせずに、様子を見守ることにした。
 不要打擾親子的對話比較好吧,我不插多餘的嘴地,關注著狀況。

「……アンタが旅商人になりたいというのは聞いていたさ」
「……所謂你想成為旅行商人是有聽過呀」

 カルラおばさんが困ったように眉を寄せて、弱々しく頭を振った。自分の予想と違うところに真実があって戸惑っているように見える。
 卡露菈阿姨像是傷腦筋地皺著眉頭,無力的搖了搖頭。看起來像是在與自己的預想不一樣的地方有著真實而困惑著。

「でも、そんなのは子供の戯言じゃないか。夢物語と一緒でなれるわけがない、全く現実味のない話じゃないか。まさかルッツが本気で目指しているとは考えていなかったよ。そのうち、ちゃんと現実を見るようになると思っていたんだ」
「但是,那種的不是小孩子的蠢話嗎。不可能跟夢想故事混為一談,不是完全沒有現實味的說話嗎。沒考慮過怎麼可能路茲會當真作為目標喔。近期內,我認為變得要能好好地看清現實」

 カルラおばさんの言葉も無理はないと思う。森や最寄りの農村に行く以外、街の外に出ることさえ滅多にないのが街の住人だ。
 我認為卡露菈阿姨的話語也不是不合理。是除了去森林或最近的農村以外,連出去城市的外面都並不常的城市居民。
 旅商人なんて、ぶらりと立ち寄る異邦人で、将来の目標にするような対象ではない。子供の戯言だ。早く現実を見ろ、と思ったカルラおばさんの思考は、ここでは普通の考え方だろう。
 旅行商人什麼的,是隨意地順路過去的外國人,並非是作為將來的目標般的對象。是小孩子的蠢話。認為快點看清現實,的卡露菈阿姨的思考,在這裡是普通的想法吧。

「……オレは本気で旅商人になりたかったんだ。この街を出て、知らない街に行ってみたい。話でしか聞いたことがない物を実際に自分の目で見てみたいと思っていたし、今でも思ってる。夢はまだ変わってないんだ」
「……我是當真想成為旅行商人呀。想試著離開這座城市,去不認識的城市。我思考著想試著實際用自己的眼睛去看只聽過談話的東西,現在也在想著。夢想還沒改變呀」
「ルッツ、お前……」
「路茲,你……」

 カルラおばさんが座っていたお尻を浮かして、何か言おうとした。表情から考えても批判するような何かを。
 卡露菈阿姨騰起坐著的臀部,打算要說些什麼。就算從表情考慮也是要做批判般的什麼。
 しかし、ルッツはおばさんが口を開くより先に言った。
 但是,路茲比阿姨開口還先說了。

「でも、旅商人だった人に言われたんだ。市民権を捨てるのは馬鹿のすることだって。旅商人に見習いなんてないから、オレには無理だって」
「但是,被是旅行商人的人說了。說是捨棄市民權是笨蛋做的事情。因為沒有旅行商人實習之類的,對我來說是不可能了」
「それはそうだろうよ」
「那個是當然的喔」

 少し安心したようにカルラおばさんが息を吐いて、ドスンと座り直す。
 像是稍微放下心的卡露菈阿姨呼了一口氣,咚地重新坐好。
 よほど、旅商人というのは忌避される職業らしい。色んなところに行けるのも楽しそうだな、と呑気に思っていたわたしには、やはりここでの常識が全然足りていないようだ。
 所謂的、旅行商人似乎是相當被忌諱的職業。對去到各種地方也似乎很快樂、而認為很悠閒的我來說,果然在這裡的常識似乎完全不足夠。

「旅商人の見習いになるんじゃなくて、一から旅商人になろうか考えていた時に、マインが言ってくれたんだ。旅商人にはなれなくても、街の商人になることはできる。商人になって、他の街に買い付けに行くくらいはできるようになるかもしれないって。それは旅商人になるより、現実的で実現可能な将来だった」
「無法成為實習旅行商人,在從頭考慮著要成為旅行商人嗎的時候,瑪茵說了。就算無法成為旅行商人,也可以成為城市的商人。說是成為商人,搞不好變得像是能去其他的城市收購。那個比起成為旅行商人,是在現實上可能實現的將來」
「まぁ、旅商人よりはね……」
「也是,比起旅行商人呢……」

 疲れたような声でカルラおばさんはそう言って、肩を竦めた。まさか本気で息子が旅商人になるつもりだったとは思っていなかったようで、軽くショックを受けているようだ。
 卡露菈阿姨用累了般的聲音那樣說,聳了聳肩。似乎不認為怎麼可能當真兒子打算要成為旅行商人,似乎受到了輕微的衝擊。

「だから、オレは見習いにしてほしいって商人に頼んだんだ。マインの知り合いの知り合いだから、最初は断られかけたけどさ」
「所以,我說了希望做為實習而委託了商人。因為瑪茵的相識而相識,雖然最初被拒絕了啊」
「……だろうね」
「……也對呢」

 この街の見習い制度から考えると、ルッツが商人見習いになれる確率はほとんどなかった。
 從這座城市的實習制度考慮的話,路茲成為實習商人的概率幾乎沒有。
 だから、多分、商人になりたいと言っても、おばさんは適当にしか聞いていなかったのだろう。下手したら、商人見習いになれるとルッツが報告した時も話し半分にしか聞いていなかったのかもしれない。
 所以,大概,就算說想要成為商人,阿姨也只是適當地聽聽就算了吧。笨拙的話,路茲報告著成為實習商人的時候也只聽了一半的話也說不定。

「でも、条件が出されて、条件を達成すれば見習いにしてくれるって約束してくれた。オレはもうマインと一緒に条件を達成したし、見習いになる許可ももらってる。マインがいてもいなくても、オレは商人になるんだ」
「但是,被提出了條件,給做了約定達成條件的話就給予做為實習。我已經跟瑪茵一起達成條件了,得到了成為實習的許可。瑪茵不管在或不在,我都會成為商人」

 自分で自分の道を作り始めたルッツに気付いて、ようやくきちんと目を向けたカルラおばさんは少し厳しい目でルッツを見据えた。
 注意到自己開始製作自己的道路的路茲,卡露菈阿姨終於好好地將目光轉向用稍微嚴厲的眼神直盯著路茲。

「……ルッツ、お前、見習いの許可をもらったところで、親の反対を押し切って、本当に商人になれると思ってるのかい?」
「……路茲,你,因獲得了實習的許可,而不顧父母的反對,真的想要成為商人嗎?」
「最悪、住み込みの見習いになっても、オレは商人になるって決めてる。話を聞かせてもらって、見習いになるための条件を出されて、やっと見習いになれる道が拓けたんだ。諦めるつもりなんてない」
「最壞,就算成為住宿實習,我也決定要成為商人。接受了打聽談話,被提出了為了成為實習的條件,終於開拓了成為實習的道路。沒有打算放棄什麼的」
「住み込みの見習いだって……?」
「即便是住宿實習……?」

 住み込みの見習いは最悪の生活環境になる。まず、見習いで、週の半分しか仕事ができないので給料が低い。そして、頼れる家族はいない。子供がいきなり一人暮らしで家事全般をするなんて、体力的にも時間的にかなり難しい。
 住宿實習會變成最壞的生活環境。首先,由於實習,只能做半周的工作而薪水很低。而且,無法依靠家人。小孩子突然因一個人生活而做著全盤的家務之類的,在體力上時間上相當困難。

 住むところは最上階の屋根裏部屋になり、夏は暑くて、冬は寒い。雨漏りをすることも珍しくはない。荷物を運ぶのも、水を運ぶのも大変だ。ルッツの家のように屋根裏部屋のスペースで鳥を飼っていることも珍しくないので、匂いもひどい。
 住的地方變成最上層的閣樓房間,夏天很熱,冬天很冷。漏雨也不稀奇。搬運行李也好,搬運水也都很辛苦。由於在像是路茲家的閣樓房間的空間養著雞也不稀奇,氣味很不得了。
 家族向けに貸すための部屋と違って、煮炊きするような場所は無く、店の人に頼んで借りるか、外食が基本になる。
 與為了租賃給家庭向的房間不同,沒有能做飯般的地方,要拜託店裡的人出借嗎,外食成為了基本。

 当然、そんな生活で金が手元に残るわけなんてなく、前借りをして借金ばかりが貯まっていく。死なない程度には店が面倒を見てくれるけれど、一人前になるまではほとんどただ働きになるのが住み込みの見習いだ。
 當然,以那種生活錢是不會殘留到身邊之類的,做了預支就只有負債持續積攢。雖然說在不會死的程度上店會給予照料,但直到獨當一面為止變成幾乎只在工作的住宿實習。

「ルッツ、よく考えておくれ! そんな生活ができるわけがないだろう!?」
「路茲,要先好好考慮! 那種生活是沒能做到的吧!?」

 息子にそんな厳しい生活をさせたいと思うまともな親はいないだろう。カルラおばさんが悲鳴のような声を上げた。けれど、ルッツは軽く肩を竦めただけだった。
 沒有認為會讓兒子過上那種嚴苛生活的正經父母吧。卡露菈阿姨發出悲鳴似的聲音。不過,路茲就只是輕輕聳了聳肩。

「できるさ。そのための準備はとっくに始めてるんだから」
「做得到喔。因為為了那個的準備早已開始了」

 ルッツの場合は、紙作りで春のうちにお金が貯められる。今まで倉庫に貯めてある白皮や黒皮を使えば、洗礼式までに結構な金額のお金が貯まる。商人見習いになるための服などの準備物を揃えても、ある程度のお金が余る計算だ。
 路茲的場合是,錢用造紙在春季裡被儲蓄著。使用至今有存放在倉庫裡的白皮或黑皮的話,在洗禮式之前能存到相當金額的錢。就算備齊為了成為實習商人的衣服之類的準備物,也會剩下某程度的錢的計算。

 そして、見習い期間中は週の半分が休みになるが、その休みを利用して新しい商品をわたしと開発すれば、その分の利益が手に入る。そうなれば、間違いなく見習いの給料より利益の方が多くなるに違いない。
 然後,雖然實習期間裡半周份變成休息,但與我開發利用了那個休息的新商品的話,就能獲得那個份的利潤。變成那樣的話,毫無疑問肯定會變成比起實習的薪水還要多。
 余裕のある生活はできないだろうが、極貧生活というほどではないはずだ。一人用の部屋が借りられるほどの余裕はないと思うので、住環境のひどさはどうにもできないけれど。
 雖然無法做到有餘裕的生活,但應該不會是所謂極貧生活那樣吧。由於認為沒有一人用的房間被出借那樣的餘裕,但居住環境的惡劣怎樣也無法做到就是了。

「……準備を始めているって、本気なんだね?」
「……是說開始準備,是當真的嗎?」
「本気だ」
「當真的」

 しばらくの沈黙の後、カルラおばさんが深い溜息を吐いた。ルッツの本気を知って諦めたような、まだ諦めきれないような複雑な顔で肩を落とす。
 暫時的沉默之後,卡露菈阿姨深深嘆了一口氣。知道了路茲的認真而放棄似的,用還不死心似的複雜表情垂下了肩膀。

「わたしは浮き沈みの激しい商人より堅実な仕事をする職人の方が安定していて良いと思うけどね」
「雖然我認為比起浮沉不定的商人做著踏實的工作的工匠還可以比較安定呢」
「……親父の言うまま職人になったら、ずっとこのままじゃないか」
「……成為老爸所說的工匠的話,不是一直就都這樣嗎」

 不満そうに唇を尖らせたルッツに、カルラおばさんは目を細めた。今の生活に不満があると言われたも同然で、雰囲気が尖った。
 對不滿似地噘起嘴唇的路茲,卡露菈阿姨瞇起眼睛。由於也等於被說是現在的生活有所不滿,氛圍尖銳著。

「このままって、どういう意味だい?」
「話說就都這樣,是什麼意思啊?」
「兄達に良いように使われて、オレの分は兄達の気分で何だって取り上げられて、オレの手元には何も残らないってことだよ」
「像是好的都被哥哥們用了,我的份依哥哥們的心情什麼都會被拿走,在我手邊什麼都不會剩下這種事唷」
「そりゃあ……兄弟だから、取られることもあるけど、もらえるものだってあるだろう?」
「那個……因為是兄弟,雖然也有被拿的東西,但也有得到的東西吧?」

 カルラおばさんは困ったように眉を寄せた。そんなおばさんの主張をルッツは一蹴する。
 卡露菈阿姨像是傷腦筋地皺起了眉頭。路茲一口回絕了那種阿姨的主張。

「食べ物は食べられたら戻ってこないし、もらえるものは壊れかけのお下がりばっかりじゃないか。あんまりお下がりがひどいからって、たまに新しい物をもらえばすぐに取り上げられるんだからさ」
「食物被吃掉就回不來了,得到的東西盡都是快要壞掉的二手的不是嗎。話說因為剩下的二手的很破爛,所以偶爾得到新東西的話馬上就會被拿走了啊」

 末っ子だから何もかもお下がりなのはわたしも同じだ。けれど、わたしはトゥーリに助けてもらってばかりで、ルッツは男兄弟の宿命か、助け合うよりも支配されてしまう。この差は大きい。
 正因為是最小的什麼東西都是二手的我也是一樣。不過,由於我盡受到圖麗的幫助,路茲是男生兄弟的宿命嗎,比起互相幫助更是被支配著。這個差別很大。

「商人の仕事を目の当たりにして、マインと一緒に色々頑張って、自分の成果が自分の手に残ることを知ったんだ。オレはこのまま邪魔されずに自分の力を試してみたい。職人になりたいとは全然考えていないんだ」
「在眼前做著商人的工作,與瑪茵一起各式各樣努力著,知道自己的成果留存在自己的手上。我不會就這樣被阻礙想嘗試看看自己的力量。想成為工匠完全沒有考慮過」

 ずっと頭を押さえつけられていたルッツは家族に支配されない環境を見つけてしまった。自分の夢を叶えられそうな場所を確保できた。
 一直被打壓著的路茲發現了不會被家人支配的環境。確保了自己的夢想快要被實現的地方。
 カルラおばさんはガックリと項垂れながら呟く。
 卡露菈阿姨一邊洩氣地低下頭一邊嘟噥著。

「ルッツがそこまで本気だとは思ってなかったよ。マインに振り回されているんだとばかり……」
「沒想過路茲會是當真到這地步喔。還以為盡是被瑪茵隨意指使著……」
「それで一生の仕事を決めるなんてしないさ」
「因此決定一生的工作什麼的不會做啊」
「そう考えていたから反対していたんだよ、わたしは」
「因為那樣考慮過而反對著喔,我」

 ハァ、と深い溜息を吐きながら、カルラおばさんは目を伏せる。しばらく考え込んでいたおばさんは、ゆっくりと頭を上げて仕方なさそうな笑みを浮かべた。
 一邊唉、地深深嘆了一口氣,卡露菈阿姨一邊低下頭去。暫時沉思著的阿姨,緩緩地抬起頭浮現無可奈何的笑容。

「そこまで考えて、本気で家を出る準備までするほど、やりたいことなら、やれるだけやってみればいいさ。父さんは反対するだろうけど、ウチの中でわたしくらいは味方してあげるよ」
「考慮到這地步,當真到做到準備離家出走為止般,如果是想做的事情,只要能做試著去做就可以了。雖然爸爸會反對吧,不過在家裡面我這會作為同伴喔」
「ホントか!? ありがとう、母さん!」
「真的嗎!? 謝謝,媽媽!」

 バッとルッツの顔が輝いた。家族に理解されることを諦めていたルッツは、信じられないとばかりに飛び上がって喜ぶ。
 路茲的臉猛然喜形於色。放棄了被家人理解的路茲,不可置信地高興到跳起來。
 先ばかりを見据えて努力していたルッツの年相応な子供っぽい姿に、わたしは頬を緩めた。家族の中に一人でも味方してくれる人がいれば、気分は全く違うだろう。
 對只直盯著前方而努力著的路茲那年紀相應小孩子般的身影,我自然笑了。即使在家人裡面的一人有作為同伴的人的話,氣氛會完全不一樣吧。

 おにいちゃん達が帰って来てからも、ルッツはご機嫌なままだった。みんなで和気あいあいとわたしの新作レシピを作っていく。
 因為大哥哥們回來了,路茲心情依然很好。大家一團和氣地與我製做著新作食譜。

「ザシャにいちゃん達は鉄板を温めてね。ルッツはパルゥの搾りかすにすりおろしたチーズをたっぷり入れて。それから、ラルフはレージの葉を小さく刻んでくれる?」
「扎夏大哥哥們溫熱鐵板吧。路茲在葩乳的果渣裡放進大量的磨碎起司。之後,拉魯夫能去把雷麂切小小的嗎?」

 それぞれに仕事を振り分けながら、わたしはルッツがチーズをすりおろしているボウルの中に、パルゥの油と塩を加えた。
 一邊分配著各自的工作,我在路茲磨碎了起司的葩乳裡面,加入葩乳的油與鹽。
 ラルフが刻んでくれたバジルっぽいハーブを入れた後はよく混ぜて焼くだけだ。
 放入拉魯夫給切好的羅勒般的雷麂之後就只要好好混和煎烤。

「鉄板は温まってきたぜ」
「鐵板熱好了喔」
「じゃあ、これを焼いて。パルゥケーキみたいに」
「那麼,煎烤這個吧。就像葩乳蛋糕那樣」

 溶けたチーズがカリカリになるまでよく焼いて食べる。お好み焼きっぽい見た目だけど、すりおろしたチーズがよく利いていて、味は洋風だ。
 融化的起司在變得酥酥脆脆之前好好煎烤就能吃了。雖然是御好燒般的外觀,但磨碎的起司非常有效,味道是西洋風。
 麗乃時代の茹でて余ったそうめんやスパゲティを小さく刻んでよく作った余り物活用レシピだ。
 將麗乃時代煮剩的掛麵或義大利麵切小小的是經常製作活用剩餘物的食譜。

「簡単だし、腹にたまるな」
「好簡單,肚子受不了了」
「小さく刻んだハムや野菜を入れてもおいしいよ」
「放入切小小的火腿或蔬菜也很美味唷」
「そうすれば、パルゥケーキと違って、ご飯にもなりそうだな」
「那樣的話,與葩乳蛋糕不一樣,快要變成飯了呢」

 みんながおいしそうに笑いながら、同じ料理を食べている。そんな中、おかわりをしたルッツの分をラルフが横から取ろうとして、カルラおばさんから拳骨を食らった。
 大家一邊美味似地笑著,一邊吃著同樣的料理。那樣之中,拉魯夫打算從旁拿路茲的份作為再來一份,而吃了來自卡露菈阿姨的拳頭。

「他人の物を取るんじゃない。意地汚いね。もう一つ焼けばいいだろう?」
「不能拿別人的東西。貪吃呢。再煎烤一個就行了吧?」

 拳骨を食らったラルフもルッツもちょっと目を丸くする。その後、ラルフは自分で焼き始め、安心したように食べ始めたルッツを見て、おばさんが頬を緩めた。
 吃了拳頭的拉魯夫也好路茲也好都有點目瞪口呆。那之後,拉魯夫自己開始煎烤,看著像是放心般開始吃的路茲,阿姨自然笑了。
 ルッツの家庭問題も母親という強力な理解者ができたことで、ひとまず落ち着いたようだ。
 由於路茲的家庭問題也有名為母親的強力理解者而做到了,似乎暫且平息了。


 その後も引きこもり生活は続く。
 那之後避居的生活持續著。
 わたしは手仕事とルッツの家庭教師と門のお手伝いと風邪を引いて寝込むのをぐるぐると繰り返し、ルッツは簪部分をウチに運んで勉強して、たまにベンノの店に完成した髪飾りを持っていく生活を繰り返す。
 我不斷循環重複著手工與路茲的家庭教師與門的幫手與罹患感冒臥床,路茲重複著將髮簪部分搬到我家裡做學習,偶爾將完成的髮飾帶去班諾的店的生活。

 そのうちに、吹雪は少しずつ弱まっていき、引きこもり生活だった冬は終わりを告げた。
 不久,暴風雨一點一滴變弱了,是避居生活的冬季宣告結束了。

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 ルッツの家庭問題もちょっとマシになりました。
 路茲的家庭問題也稍微變好了。
 これで一応冬の話は終了です。
 就這樣姑且冬季的故事完結了。

 次回は春の始まり、紙作りの再開です。
 下回是春天的開始,造紙重新開始。
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