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第一部士兵的女兒 材料與工具的訂購

作者:SPT草包│2017-02-03 18:25:20│巴幣:2│人氣:183
本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~
以下犯上的書癡~為了成為圖書管理員而不擇手段~
作者:香月美夜
第一部兵士の娘 材料&道具の発注
第一部士兵的女兒 材料與工具的訂購
原文連結

 ベンノの部屋を出た後、私とルッツはマルクに案内され、南門に近い倉庫へと向かった。南門の辺りは職人通りになっていて、倉庫が比較的多いらしい。職人は水を使うことも多いので、井戸も住宅地よりは数が多い。
 離開班諾的房間後,我跟路茲被馬爾克帶領著,轉往靠近南門的倉庫。南門的附近變成了工匠街,倉庫似乎比較多。由於工匠使用水的也很多,水井也比住宅區數量多。

 マルクが案内してくれたのも、井戸がすぐそばにある倉庫だった。それほど大きくはなく、パッと見た感じは6畳の部屋くらいだ。もともと職人が材料を置くために使っていた倉庫らしく、壁際に板を打ち付けた棚がいくつか残っていた。
 馬爾克帶領去到的,也是水井就在旁邊的倉庫。並沒有多大,望一眼的感覺是6疊榻榻米大小的房間。似乎原本就是工匠為了放置材料而使用的倉庫,牆壁上還殘留著幾個釘著板子的架子。
 中はざっと掃除がされているようで、少し埃っぽいが、大掃除の必要はなさそうだ。ぐるりと見回すと、すでに隅には鍋と何か袋が置かれている。
 裡面好像大致被清掃過,雖然稍微沾滿灰塵,但似乎沒有大掃除的必要。環視一周後,已經在角落被放置了鍋子與什麼的袋子。

「発注したものが店に一度届いて、店の従業員がここに届けるようになっています。昨日は鍋と灰をここに運びました。あれがそうです。今日は大きめのたらいと重石を運ぶことになっています。荷物が届くまでは、ここにいてください」
「訂購的東西會到達店裡一次,店裡的工作人員會送到這裡。昨天是把鍋子跟底灰搬到這裡。那個就是了。今天會是搬運大的盆子跟重石。貨物送達之前,請待在這裡」

 マルクの指差す方向にある黒い鍋を見て、ベンノの協力に心から感謝した。わたしとルッツだけでは絶対に手に入らなかった鍋がここにある。
 看著在馬爾克手指方向的黑色鍋子,對班諾的協助打心底感謝著。只有我跟路茲是絕對無法得到的鍋子就在這裡。

「うわぁ、鍋だ! ルッツ、この鍋なら運べそう?」
「嗚哇,是鍋子! 路茲,若是這個鍋子能般嗎?」
「あぁ、これくらいなら大丈夫だ。背負子にくくりつけることもできるからな」
「啊,如果是這種大小不要緊的。因為也能綁上揹架呢」
「じゃあ、早速測ろう。蒸し器の大きさを決めなくちゃ」
「那麼,立刻測量吧。必須要決定蒸籠的大小了」

 トートバッグにはベンノのお店から借りている発注書セットが入っている。さっとメジャーを取り出すと、ルッツにひょいっと取り上げられた。
 手提包裡放進了從班諾的店鋪裡借來的訂貨單組。唰地拿出捲尺後,卻突然被路茲給拿走。

「……測るのはいいけど、一旦落ち着いてからな。興奮しすぎたら、また熱出すぞ」
「……雖然測量是很好,但一旦領靜下來後。太過興奮的話,又會發燒的。」
「うっ……」
「嗚……」

 わたし達の一連のやり取りを見ていたマルクが苦笑する。
 看著我們一連串交流的馬爾克苦笑著。

「こちらの倉庫で問題がないようでしたら、私は店に戻ります。明日の朝、材木屋に向かう予定なので、測る物や頼む物などの準備は必ずしておいてください。……そうですね、3の鐘で店を出るので、中央広場には少し後に着くと思います」
「在這邊的倉庫沒有問題的話,我就返回店裡了。由於明天早上,是預訂往木材行去,請務必先把測量的東西跟委託的東西等等的準備好。……說得也是呢,由於是在3之鐘離開商店,我想中央廣場就稍微晚點到吧」
「はい、わかりました。何から何までお世話になります」
「好的,我知道了。各個方面都多謝您的關照了」

 そして、マルクは首にかけられるように鎖の付いた鍵を取り出した。
 然後,馬爾克拿出了為了戴在脖子上附有鎖鏈的鑰匙。

「お二人にこちらの鍵を預けます。この倉庫の鍵です。戸締りは忘れずにすること。それから、ルッツ一人でもいいので、鍵を閉めた後は必ず鍵を店まで戻しに来てください。いいですね?」
「這裡的鑰匙就寄放在你們身上。是這個倉庫的鑰匙。不要忘了關門。然後,因為路茲一個人也可以,鎖上鑰匙後請務必將鑰匙歸還回店裡。可以吧?」
「はい」
「可以」

 ルッツがジャラリと重たい鍵を受け取ると、マルクはくるりと踵を返して帰ってしまった。
 路茲收下鏘啷響的沉重鑰匙後,馬爾克翻轉過腳後跟就回去了。

「ルッツ、何から始めようか?」
「路茲,要從什麼開始呢?」

 今まで使われていなかった倉庫の中には、椅子も腰掛けられるような箱もない。休憩できるような場所ではない。
 在至今都沒被使用過的倉庫裡面,不論是椅子還是好像能被坐的箱子都沒有。沒有像是能休息的地方。

「荷物を運びこむか。作った桁とか、竹とか、釘とか……」
「把東西搬進來嗎。製做的桁啦、竹子啦、釘子啦……」
「そうだね。今日中にやらなきゃいけないのは、蒸し器の大きさを決めて、木の大きさを書きだすことでしょ? 必要な材木を忘れていないか、今までの発注書を見て確認して……あとは、竹ひごの現物を作ることかな?」
「說得也是呢。今天一整天必須要做是,決定蒸籠的大小、要寫上木頭的大了對吧? 不會忘記必要的木材嗎,查閱至今的訂貨單來確認……之後是,製做竹篾的實物嗎?」
「竹を切ったり削ったりするなら、道具もいるな」
「如果是又砍又削竹子,工具也在呢」

 今日中にやることを石板に書いて、倉庫の壁際に置いた。これで、忘れないはずだ。
 將今天一整天該做的事情寫在石板上,放在倉庫的牆邊。這樣,應該就不會忘記了。

 ルッツと二人で家まで帰って、荷物を倉庫へと運び出す。土地勘のないわたしは、現在地が全くわからなかったが、ルッツはちゃんとわかっているようで、ひょいひょいと細い路地を曲がっていく。
 跟路茲兩個人回到家,把東西搬出到倉庫。不熟悉地理情況的我,雖然完全不知道現在所在地,但路茲似乎清楚明白著,輕輕鬆鬆地在小巷子裡拐來拐去。
 どうやら倉庫は南門とウチの間にあるようで、ここはどこだ? と頭に疑問符を並べている間に家に着いた。体力のないわたしには嬉しいことに、かなり近い。
 看來倉庫似乎在南門跟我家之間,這裡是哪裡啊? 地在滿頭問號的期間到家了。對沒有體力的我來說值得高興的事情是,相當的近。

「じゃあ、荷物を籠に入れて、下りて来いよ」
「那麼,把東西放進籃子裡,下來吧」
「わかった」
「知道了」

 ウチに置いてある荷物は、釘だけだ。ルッツの家族は建築関係や木工関係の仕事をしているので、釘を持ちこむと間違われたり、取られたりする可能性が高いらしい。
 放在我家的東西,只有釘子。因為路茲的家人從事的是建築關係跟木工關係的工作,帶進釘子會被搞錯,被拿走的可能性似乎很高。
 逆に、薪に間違われそうな桁や竹は、ウチに置いておくと燃やされる可能性が高いので、ルッツの家にある。
 相反的,會被搞錯成木柴的桁或竹子,因為事先放在我家的話被燒掉的可能性很高,而在路茲家。
 釘の入った袋とナイフを籠に入れて、ふと目についた雑巾とほうきも入れる。椅子になりそうな物がないので、せめて、掃除して、雑巾を広げて座れる場所を確保したい。
 把放進釘子的袋子跟小刀放進籃子,偶然看到的抹布跟掃帚也放進去。因為沒有能成為椅子的東西,至少,打掃一下,想要確保攤開抹布坐下的地方。

 下に降りるとルッツはすでに待っていて、籠からは色々な木の作品のようなものが飛び出していた。
 下到下面後路茲已經在等待了,從籃子裡面突然出現各式各樣像是木頭作品的東西。

「ルッツは何持ってきたの?」
「路茲拿了什麼來呢?」
「この間、ラルフ兄が作ってた何かの失敗作。椅子代わりに使えるんじゃないかと思って」
「是最近,拉魯夫哥哥所做的什麼的失敗作。我想說是不是能代替椅子使用呢」
「ふふっ、わたしも座れるように掃除用具持ってきた」
「呵呵,我也為了能坐而帶來了掃除用具」

 倉庫に戻って、棚の上に釘を置いたり、隅に竹を並べたりした後、わたしはメジャーを取り出した。二人で鍋の大きさを測って、蒸し器の大きさを決めると、必要な木の長さを石板に書きだしていく。
 回到倉庫,把釘子放到架子上,在角落排列竹子之後,我拿出捲尺。兩個人測量的鍋子的大小,決定了蒸籠的大小後,把必要的木頭長度寫到石板上。

「これで大丈夫だな?」
「這樣就不要緊了吧?」
「うん」
「嗯」

 材木屋に頼まなければならない木はたくさんある。
 必須要委託木材行的木頭有很多。
 蒸し器の材料、繊維を叩くための角材、紙床にするための平たい大きめの板と台、紙を張り付けて干すための比較的薄めの平たい板、竹ひごを作るための竹、それから、紙の原料となる木。
 蒸籠的材料、為了敲打纖維的角材、為了做為紙床的平的大的板子或檯子、為了張貼紙張乾燥比較薄的平的板子、為了製做竹篾的竹子,還有,作為紙張的原料的木頭。
  全ての発注書を確認しながら、堅い木がいいのか、柔らかい木がいいのか、よく乾燥された木がいいのか、若い木がいいのか、それぞれ欲しい木の特徴も考えておく。
 一邊確認全部的訂貨單,一邊事先考慮是堅固的木頭好、柔軟的木頭好、好好被乾燥的木頭好、年輕的木頭好,以及各式各樣想要的木頭的特徵。

「後は、竹ひごか」
「之後是,竹篾嗎」
「そう。削れる?」
「沒錯。要削嗎?」
「前は大きめに切ったからな。小さいのはどうだろう?」
「因為之前是切得很大呢。小的話又如何呢?」

 ルッツ主導で竹から竹ひごを作る作業を始めた。
 由路茲主導開始從竹子製做竹篾的作業。
 スパーンと勢いよく豪快に割るのは真っ直ぐに出来ても、細く削るのがなかなか難しいようで苦戦しているのが見える。
 就算能用嘶啪地驚人氣勢豪爽地割成筆直的,要削細卻顯得相當困難似地苦戰著。

「わたしもやってみる。細かい作業ならできるかも」
「我也試著做看看。如果是精細的作業說不定能做到」

 自分のナイフを取り出して、少し細めになった竹を削ろうと試みたが、挑戦した内の大半がポキッと途中で折れて、何とか長さを残した物はガタガタでとても使い物にならなかった。
 雖然拿出自己的小刀,嘗試將削著稍微變細的竹子,挑戰的時候有一大半在中途就啵嘰地折斷了,設法留下長度的東西因為搖搖晃晃而變成非常沒用的東西。

「これ、すごく難しいね」
「這個,非常難呢」
「そうだな」
「沒錯呢」

 少しでもガタガタが少ない竹ひごを桁の大きさに合わせて切って、長さを確定させる。
 將稍微搖搖晃晃沒幾隻的竹篾切成適合桁的大小,確定了長度。
 この作業は出来る人に任せたい。わたし達では時間と技術がなさすぎる。
 這項作業想交給能做到的人。我們太沒時間跟技術了。

「荷物を運んできました!」
「貨送來了!」

 作業しているうちに、ベンノの店の従業員が大きなたらいやルッツが持てる重さの重石を運んできてくれた。鍋と一緒に並べて置いてもらう。
 在作業的時候,班諾的店的工作人員送來了大的盆子跟路茲能拿的重量的重石。請他跟鍋子一起排列放置。

「マイン、荷物も来たし、今日は終わりにしようぜ」
「瑪茵,貨物也來了,今天要結束了喔」

 従業員が帰ると同時にルッツが道具を片付け始める。そろそろお昼になる時間なので、まだわたしの体力的には問題はないはずだ。
 在跟工作人員回去的同時路茲開始收拾起工具。由於差不多是要到中午的時間了,我的體力應該還沒有問題。

「まだ大丈夫だよ?」
「還不要緊的唷?」
「……明日が大変そうだから、今日は休んだ方がいい。お前、今日料理番だって言ってなかったか?」
「……因為明天會很辛苦,今天休息會比較好。妳,不是說過今天輪到妳煮飯嗎?」
「そうだった」
「是沒錯」

 寝込んでいる間に料理番が回ってきたが、トゥーリが代わりにやってくれたので、今日はわたしの番だった。
 在臥床的期間輪流料理輪回來了,但由於圖麗代替我去做了,所以今天是輪到我了。

「それに、オレも明日材木屋に行けるように準備しないといけないんだ」
「而且,我為了明天也要去木材行而必須做準備」
「準備?」
「準備?」
「明日の分の手伝いを終わらせておかないと。だから、マインは帰れ。マインを送って行ったら、オレが鍵を返しておく」
「不事先結束明天份的幫忙的話。所以,瑪茵回去吧。送走瑪茵之後,我要先還鑰匙」
「わかった」
「知道了」

 足手まといの自覚があるわたしは頷いて、すぐに荷物をまとめた。
 有累贅的自覺的我點了頭,馬上打包行李。


 次の日、3の鐘の少し後に中央広場でマルクと待ち合わせて、材木屋へ向かう。ベンノの店は開門する2の鐘の少し前から業者が落ち着く3の鐘の間が一番忙しいらしい。
 隔天,於3之鐘稍微晚點在中央廣場跟馬爾克會合,往木材行去。因為班諾的店開門於2之鐘稍微早點業者安頓的3之鐘期間似乎最忙。

 今日はルッツも一緒だったので、途中で倒れることもなく、無事に材木屋にたどり着いた。
 因為今天也跟路茲一起,不會在中途倒下去,平安無事地到達了木材行。
 丸太が積み重なったり、立てかけてあったりする光景は、日本でも見たことがある材木屋と少し似ていた。
 又是圓木堆積起來、又或是有立了起來的光景,跟在日本也有見過的木材行有點相似。
 ただ、機械でする作業を全て手作業で行うので、筋骨たくましいマッチョが大量にうろうろしていて、大声を出しながら、数人で木を移動させたり、切ったりしている。
 只是,因為將用機械作業改用全部人工作業,而筋骨強健的肌肉男大量地轉來轉去著,一邊發出很大的聲音,一邊又是用數個人將木頭移動、又是切割著。
 非常に活気があった。活気がありすぎて怖いくらいだ。
 非常地有活力。活力多到甚至有點恐怖。

「あぁ、親方。お久しぶりです」
「啊,師傅。好久不見了」
「おぅ、アンタか。ベンノの坊主は元気そうだな?」
「喔,是你啊。班諾的小夥子很有精神嗎?」
「そうですね。元気ですよ。本日の用件ですが、この二人が木を探していまして……」
「說得沒錯呢。很有精神喔。是今天的要件,但是是這兩位正在尋找木頭……」

 ふさふさとした髭には少し白い物が混じってきているのに、頭はつるつるの親方にマルクが挨拶して、わたし達が木を探していることを伝える。
 馬爾克對在茂密叢生的鬍子裡明明稍微混雜著白色的東西,但腦袋卻光溜溜的師傅打著招呼,傳達了我們正在尋找木頭的事情。

「嬢ちゃんと坊主が? 一体何の木がいるんだ?」
「小姑娘跟小夥子嗎? 到底是需要什麼木頭呀?」

 年を感じさせない筋骨たくましい親方にぎょろりとした目で見下ろされて、うひっと小さく息を呑む。
 被感覺不到年紀且筋骨強健的師傅用骨碌碌的眼睛俯視著,嚥下嗚唏地小呼吸。

「あの、蒸し器を作るための木が欲しいんですけど……」
「那個,雖然想要為了做蒸籠的木頭……」
「あぁん? 何の木が欲しいって?」
「啊? 想要什麼的木頭?」

 怪訝そうに聞き返されて、わたしは言葉に詰まった。今までルッツやマルクには通じていたはずなのに、親方には蒸し器が通じないのだろうか? それとも、木の種類を言わなければならないのだろうか?
 詫異似地被反問回來,我頓時語塞了。明明至今對路茲或馬爾克應該都通曉的,但蒸籠對師傅來說無法通曉嗎? 還是說,必須要說木頭的種類呢?

「えーと、蒸気……違う、湯気に当たっても形が変わらないような、堅くて乾燥された木が欲しいです。教えてください」
「呃,蒸氣……不對,想要就算遇上熱氣形狀也不會改變般,堅固又被乾燥過的木頭。請告訴我」
「ほぉ? 堅くて乾燥された木、か。どういう木がいるのか一応わかっているようだな」
「哦? 堅固又被乾燥過的木頭、嗎。需要怎樣的木頭似乎姑且是明白的呢」

 ふんふん、と頷きながら親方が3種類の木の名前を上げた。
 嗯嗯,地一邊點頭師傅一邊列出3個種類的木頭名字。

「ズワンか、トゥラカか、ペディスリー辺りか。どれにする?」
「茲旺嗎、圖拉卡嗎、還是裴迪斯里周邊呢。需要哪種?」
「どれって言われても……ルッツ、わかる?」
「就算被說要哪種……路茲,知道嗎?」

 候補を上げられても、わたしには全くわからない。くるりと振り返って、ルッツを見上げた。
 就算能列出候補,我卻完全不知道。回過頭去,仰望路茲。

「ん~? 扱いやすいのはズワンじゃないか?」
「嗯~? 容易處理的不是茲旺嗎?」
「では、ズワンにしましょう。サイズは決まっていますね?」
「那麼,就要茲旺了。尺寸決定了嗎?」
「はい」
「是的」

 マルクの言葉に頷いて、わたしはトートバッグから発注書を取り出した。一度マルクに見てもらって、不備がないか確認してもらう。
 對馬爾克的話語點頭,我從手提包裡拿出訂貨單。請馬爾克看一遍,以便確認沒有不完備。

「ふむ、問題はないようですね。では、親方。ズワンをこの発注書の通りに切って、店に運んでください」
「嗯,沒有問題呢。那麼,師傅。請把茲旺照這份訂貨單切割,送到店裡」
「おう!」
「喔」

 発注書を流し見た親方が、近くにいた若いマッチョに発注書を渡す。
 瀏覽訂貨單的師傅,把訂貨單交給附近的年輕肌肉男。

「あの、それから、同じように水に濡れても形の変わらない、厚めの板が一枚と板を置くための台も欲しいんですけど」
「那個,還有,雖然想要一樣的就算被水給沾濕形狀也不會改變,厚的板子一片跟為了放置板子的檯子」
「材料は売ってやれるが、台は家具屋で頼むか、自分で作りな。これもズワンでいいのか?」
「雖然是賣材料的,但檯子要委託家具行嗎,還是自己做呢。這個也是用茲旺就可以了嗎?」
「はい」
「是的」

 大きく頷いて、厚めの板の発注書を渡せば、親方はフンと鼻を鳴らしながら、発注書を見る。そんな親方にもう一枚発注書を渡す。
 大大的點頭,交付厚的板子的訂貨單的話,師傅一邊讓鼻子哼了一聲,一邊看著訂貨單。在交付一片訂單給那樣的師傅。

「ずいぶん多いな」
「十分多呢」
「まだまだあります。これは水に濡れてもいい少し薄い板が二枚で……」
「還有很多。這個是就算被水沾濕也可以稍微薄一點的木板兩片……」
「どれくらいの厚みだ? あんまり薄いと堅くてもすぐに曲がるぞ?」
「是多厚的? 太薄的話就算堅固也會馬上彎曲喔?」

 口元を曲げながらそう言われて、わたしはうーんと記憶を探る。
 一邊彎起嘴角一邊被那樣說了,我嗯地尋找記憶。
 紙を張り付けていた板を思い浮かべて、ポンと手を打った。トートバッグから石板を取り出して、カツカツと絵を描いていく。
 回想起了張貼紙張的板子,砰地敲了一下手。從手提包裡面拿出石板,喀吱喀吱地畫起圖來。

「えーと、こんな感じで後ろに補強用の枠を付けて曲がらないくらいの厚みでお願いします。わたしはともかく、ルッツが持てないと困るんだけど……」
「呃,用這樣的感覺在後面加上補強用的框架就不會彎曲般的厚度拜託了。我就算了,不過路茲拿不動的話就傷腦筋了……」
「これくらいの大きさが持てないのは、男失格だ」
「這種左右的大小就拿不動,是不配當男生的」

 そんなムキムキの親方とルッツを比べるなんてできるわけがない。
 把那樣滿身肌肉的師傅跟路茲相比什麼的是不可能的。
 少し不安になってルッツを振り返ると、わたしが口を開くより早く、ルッツが嫌そうに顔をしかめた。
 變得稍微不安而回頭看看著路茲時,比我開口還要早,路茲做出了厭煩似的表情。

「オレ、男だから平気」
「我,是男的沒問題」

 強がって後で苦労するのはルッツだけれど、ここで口出しするのも男のプライドに係わりそうなので、黙っておく。
 雖然說逞強後勞碌的是路茲,但因為在這裡插嘴似乎也關係到男人的自尊心,只好暫時沉默了。

「それから、棍棒とか、洗濯物を叩くみたいな堅い角材。これもルッツが持って、振れる大きさや重さで」
「還有,這棍棒,就像是敲打洗滌物般堅硬的角材。這個也是路茲能拿著、揮舞的大小跟重量」
「こん棒と洗濯棒じゃあ全然違うだろ? 何を叩くんだ?」
「棍棒跟洗滌棒是完全不一樣的吧? 是要敲打什麼的?」

 叩くということで、わたしの頭に思い浮かんだのが、その二つだったけれど、確かに武器としての棍棒と母が持っている洗濯物を叩く棒では、素材が全く違うだろう。
 因為是稱為敲打,而在我的腦海裡回想起的,雖然是那兩個,但確實作為武器的棍棒與母親拿起來敲打洗滌物的棒子來說,素材完全不一樣吧。

「木の繊維です。茹でて柔らかくなったのを綿みたいになるくらいに叩くの」
「是木頭的纖維。將煮到變柔軟的敲打到變成像棉花般」
「何をするんだ?」
「是要做什麼呀?」
「それは教えちゃいけないんです」
「那個可不能說」

 口の前で指を交差させて、バツマークを作ると、親方はまたフンと鼻を鳴らした。
 在嘴巴前面交叉著手指,做個叉叉標誌後,師傅又將鼻子哼了一聲。

「堅さと重さのバランスが大事だな。どっちかっつーと、どんな台の上で打つんだ? 石か? 木か? それによっても変わってくるぞ?」
「硬度跟重量的平衡很重要呢。要說哪邊的話,是要打在哪種檯子上的? 石頭嗎? 木頭嗎? 根據那個也會跟著改變的喔?」

 さぁっと血の気が引いていく。
 唰地臉色發白了起來。
 叩くための台が必要なことはすっかり失念していた。
 為了敲打的檯子是必要的事情完全忘掉了。

「……か、考えてませんでした。そ、そっか、叩くための台もいるんだ! 叩き台と棒とセットでお願いできますか? 今から発注書、書きます!」
「沒、沒有考慮到。是、是嗎,也需要為了敲打的檯子! 敲打檯與棒子弄成套可以拜託嗎? 現在開始寫、訂貨單!」
「セットにするなら、ここに書き足せばいいが……嬢ちゃんが書くのか?」
「如果要做成套,加註在這裡就可以了……小姑娘來寫嗎?」
「そうですけど?」
「是又怎麼了嗎?」

 思わぬミスで頭がいっぱいになっていたわたしは、何とかミスをカバーしようと、すぐさまトートバッグから発注書セットのメジャーとインクとペンを取り出して、棒の裏に叩き台のサイズも書き足した。
 因意想不到的失誤而變得全神貫注的我,想辦法要彌補失誤後,馬上從手提包裡面拿出訂貨單組的捲尺跟墨水跟筆,在棒子的背面加註上敲打檯的尺寸。

「親方、これで大丈夫ですか?」
「師傅,這樣就不要緊了嗎?」
「あぁ。これで注文は終わりか?」
「啊。這樣下定就結束了嗎?」
「いえ、あとは……繊維が長くて、強い木ってありますか? できれば、繊維にねばりけがあって、繊維同士がからみやすくて繊維がたくさん取れるといいんですけど。一年目の木が向いているって聞いたことがあるんです。二年目以降になると、繊維が固くなって、節ができてくるので使いにくくなるって。柔らかくて若い木が欲しいんです」
「還沒,之後是……有纖維很長、很強韌的木頭嗎? 可以的話,纖維裡有黏性,纖維之間容易糾纏且能取得很多纖維的就可以了。有聽說針對第一年的木頭。變成第二年之後的話,纖維會變硬,因為會產生節而變得難以使用。想要柔軟又年輕的木頭」

 紙として使いやすい木の特徴を並べてみたが、親方の反応はいまいち良くなかった。髭をいじりながら、うーんと眉を寄せる。
 雖然試著列出作為紙張而容易使用的木頭的特徵,但師傅的反應不是說很好。一邊玩弄鬍鬚,一邊嗯地皺著眉頭。

「そういう若いのはあまり使い道がないから取り扱ってないな」
「那樣年輕的因為不太有用處而沒有在處理呢」

 材木屋では、特別注文でもない限り、一年目のような若い木は扱っていないらしい。
 在木材行,有著即便特別下訂也不行的限制,似乎無法處裡第一年般的年輕木頭。

「あの、じゃあ、今言った特徴に心当たりがあれば、種類だけでも教えてください。どの木が向いているのか、わからないので、少しずつ採集して調べてみます。決定したら、取り扱ってくれますか?」
「那個,那麼,有現在說過的特徵的線索的話,即使只有種類也情告訴我。因為不知道,是針對哪種木頭呢,要一點一滴地去採集試著調查。決定的話,能處理嗎?」
「量によるとしか言えん。少しだったら、こっちに利がなさすぎる」
「只能根據數量來說。很少的話,對這邊太不利了」
「わかりました。……ルッツ、木の名前とどの辺りで採れるか、覚えてきて。わたし、見分ける自信ない」
「我明白。……路茲,木頭的名字跟在哪個附近能採集呢,記起來。我,沒有能分辨的自信」

 最初は自分たちで採集するしかないようだ。試作品ができて、どの木が良いか決まって、紙を量産することになれば、注文を出すことにしよう。
 最初似乎只能靠我們自己來採集。試作品完成了,決定哪種木頭好,變得能量產紙張的話,就能來下訂了。

 ルッツが若いマッチョに木の種類や見分け方を教えてもらっている間に、わたしは親方に竹ひごを見せながら、問いかける。
 在路茲跟年輕肌肉男請教木頭的種類跟分辨方法的期間。我一邊把竹篾展示給師傅看,一邊詢問。

「あ、そうだ。こんな竹ひごが欲しいんですけど、ここって、竹はありますか?」
「啊,對了。雖然想要這樣的竹篾,但這裡,有竹子嗎?」
「それほど多くないが、ある」
「雖然不是很多,但有」

 親方はそう言いながら、積み上げられた木材の奥を指差した。見慣れた竹が少し覗いている。
 師傅一邊那樣說著,一邊用手指著堆積起來的木材深處。熟習的竹子稍微露出了一點。

「ここで竹ひごは作れますか?」
「這裡能做竹篾嗎?」
「そこまで細い加工は細工師の仕事だ。細工師に頼め」
「那種程度的精細加工是工藝師的工作。去委託工藝師」
「細工師ですね。ありがとうございます。あの、これで注文する物は全部です」
「工藝師嗎。非常感謝您。那個,這樣下訂的東西就是全部了」
「そうか。準備できたら、ベンノの店に運べばいいんだな?」
「是嗎。準備好的話,送去班諾的店裡就可以了嗎?」

 発注書を見ながら、親方がそう言った。わたしが渡した発注書の発注主は全てベンノの名前になっている。
 一邊看著訂貨單,師傅一邊那樣說著。我交付的訂貨單的訂購人全部變成了班諾的名字。

 簡易ちゃんリンシャンの作り方の代わりに初期投資をする契約になっているので、発注主はベンノになるらしい。一度ベンノの店に届けられ、そこから、わたし達に渡すという形式が契約魔術には大事だと言われたのだ。
 因為變成是作為跟簡易潤洗劑的作法交換的初期投資的契約,訂購人似乎變成班諾。被說了對魔術契約來說所謂被送到班諾的店裡一次、再從那裡、交給我們的形式是很重要的。

「はい。よろしくお願いします」
「是的。拜託您了」

 仕事に戻っていく親方を見送って、ルッツが戻ってくるまでの間にわたしはトートバッグに手を入れて、残っている発注書がないか確認した。
 送別返回去工作的師傅,在路茲回來之前的期間我把手伸入手提包內,確認著有沒有剩下來的訂貨單。
 家具屋で頼め、と言われた台と、細工師に頼め、と言われた竹ひごの分の発注書が手元にある。
 被說了、委託家具行的檯子跟,被說了、委託給工藝師的竹篾的份的訂貨單在手邊。

 うーん、紙床(しと)を置くための台はどうしようかな?
 嗯,為了放置紙床的檯子該怎麼辦才好呢?
 ぶっちゃけ、叩き台ならともかく、紙床を置くための台はわざわざ家具屋で頼むほどの物じゃないと思うんだよね。
 坦白說,敲打檯的話姑且不論,為了放置紙床的檯子我認為並不是非得特意委託家具行的東西呢。

「……マルクさん、台になりそうな木箱って、お店に余ってませんか? 家具屋に頼むの、何だかもったいなくて」
「……馬爾克先生,要說能成為檯子般的木箱,店舖裡面有多的嗎? 委託給家具行,總覺得很浪費」
「わかりました。木箱をこちらで用意しましょう。いくつ必要ですか?」
「我明白了。由這邊來準備木箱吧。需要幾個呢?」
「板を置いて台にしたいので同じ大きさの物が2つです。それとは別に大きさが違ってもいいので、他に2つか3つあると嬉しいです」
「因為是想要放置板子的檯子同樣大小的東西2個。還有因為就算是其他大小也可以,有其他2個或3個的話就很高興了」

 家具屋に注文するより安く上がるので問題ないとマルクが請け負ってくれた。
 由於比下訂給家具行還便宜得多且沒問題後就給馬爾克承辦了。
 ルッツが戻ってくると、マルクとはその場で別れることになる。
 路茲回來後,就跟馬爾克在那個當下分別了。

「細工師のところにも後日行きましょう。今日は連絡できていないので、ここで解散してもよろしいですか?」
「工藝師的地方改天再去吧。因為今天無法聯絡,所以可以在這裡解散了嗎?」
「はい。ありがとうございました」
「好的。非常感謝您」

 次の日は森に行って、薪を採集した。
 隔天是去森林,採集木柴。
 ついでに、紙作りに使えそうな木がないか、探索したけれど、木についてはルッツの方が詳しいので、丸投げである。
 順便說下,有沒有能使用在造紙上的木頭呢,雖然搜尋著,但因為關於木頭路茲比較詳細,而全權委託了。
 だって、わたしにはみんな同じような木にしか見えないんだもん。皮とか手触りに差があるのはわかるけれど、種類が多すぎて、覚えきれない。
 因為,大家對我來說是只看得出同樣是樹木般的東西。雖然說樹皮或手感有差是知道的,但種類太多了,完全記不住。

 そして、採集できた物を倉庫に置いておくために倉庫の鍵を借りに行った時、マルクから細工師と連絡が取れたと言われた。
 而且,為了把能採集的東西先放置在倉庫而去借倉庫的鑰匙的時候,被通知了透過馬爾克跟工藝師取得了聯絡。

 マルクさん、マジ有能。仕事速い。
 馬爾克先生,真的很能幹。工作迅速。

 マルクのお陰で、材木屋に行ってから5日後、細工師のところに行くことができた。
 多虧了馬爾克,從去木材行5天後,就能去工藝師的地方了。
 いつも通り中央広場で3の鐘に待ち合わせて、細工師のところへと向かう。細工師の工房は職人通りにあるので、南門に近いところらしい。
 如同往常在中央廣場於3之鐘會合,轉往工藝師的地方。由於工藝師的工坊在工匠街上,似乎在靠近南門的地方。

 材木屋の親方とは違って、細工師はどちらかというと細身な男性だった。自分の仕事をするために必要な筋肉はついているけれど、それ以外は全く必要ないと体現しているような肉付きだ。背中まである灰色の髪は邪魔にならなければそれでいいとばかりに、無造作に縛られている。
 跟木材行的師傅不同,工藝師從哪方面來說都是細長身材般的男性。體現了雖然說為了做自己的工作而帶有必要的肌肉,而那以外則完全沒必要般的穠纖合度。儘管是連後背都有的灰色頭髮只要不礙事就可以了,而被隨意地綁起來。

「どんな仕事だ?」
「是怎樣的工作呢?」

 神経質そうな職人らしい鋭い目に、じろりと上から下まで見られて、わたしは思わずマルクさんの服をつかんだ。
 被像是神經質般的工匠用銳利的目光,凶狠地被從上看到下,我不由自主地抓住了馬爾克先生的衣服。

「こんな感じの竹ひごが欲しいんです。材木屋さんに頼もうとしたら、細工師に頼めって言われて……」
「想要這種感覺的竹篾。委託木材行先生後,被說了要委託工藝師……」

 わたしがトートバッグから竹ひごを取り出すと、そのガタガタ加減に細工師の口元がひくっと動いた。
 我從手提包把竹篾拿出來後,工藝師的嘴角因那個搖搖晃晃的狀態而忽然抽蓄地動著。

「この波型が必要なのか?」
「這個波型是必要的嗎?」
「できれば真っ直ぐにしたかったんですけど……」
「可以的話想要做成筆直的就是了……」
「この不器用さ加減だったら、頼む方が確実だな。わかった。材料はそれか?」
「這種笨拙的程度的話,委託確實比較好呢。知道了。材料是那個嗎?」

 細工師がルッツの籠から見えている竹を指差した。昨日倉庫に運び込まれた竹をルッツが籠から取り出して、並べていく。
 工藝師用手指著從路茲的籃子裡看見的竹子。路茲把昨天被搬進倉庫的竹子拿出來,排列起來。

「用件はこれだけか?」
「要件只有這個嗎?」
「あの! できれば、『簀』も作ってほしいんですけど、出来ますか?」
「那個! 可以的話,希望也能製做『簀』,但做得到嗎?」

 わたしは石板に図を描き、一本だけある竹ぐしを使ったジェスチャーで簀の作り方を説明する。細工師はわたしの拙い説明でも、何となくイメージがつかめたようだ。
 我在石板上畫出圖案,比手畫腳地使用只有一根的竹篾來說明簀的作法。工藝師即便以我笨拙的說明,也似乎總算抓住了印象。

「ずいぶんと面倒な依頼だが、出来ないことはない」
「雖然是十分麻煩的委託,但沒有做不到的」
「本当ですか? すごい!」
「真的嗎? 好厲害!」
「だが、丈夫な糸がないと無理だ。注文する前に丈夫な糸を持ってこい」
「但是,沒有結實的絲線是不可能的。在下訂之前拿結實的絲線過來」

 そう言いながら、細工師はパッパッと手を振って、追い返そうとする。
 一邊那樣說著,工藝師一邊啪啪地揮揮手,打算要趕回去。
 しかし、ここで追い返されるわけにはいかない。細工師が要求する丈夫な糸がどんなものか、わたしには全くわからないのだ。
 可是,在這裡是不能被趕回去的。工藝師要求的結實的絲線是怎樣的東西呢,我完全不知道。

「あの、すみません。わたしにはどれが丈夫な糸なのか、よくわからないんです。一緒に見てもらっていいですか?」
「那個,對不起。我不是很明白,哪個是結實的絲線呢。可以一起來看看嗎?」
「今から糸問屋行けるなら、行ってもいい」
「現在開始去絲線批發商的話,去也可以」
「行きます!」
「走吧!」

 不機嫌そうに見える細工師から意外と協力的な言葉が出てきたことが嬉しくて、即座に手を上げて答える。
 從看起來好像心情不好的工藝師那裡出現意外跟協助的話語而高興不已,立刻舉起手回答。

「こら、マイン」
「等等,瑪茵」

 ルッツに後ろから頭をペシリとはたかれた。
 被路茲從後面巴了一下頭。
 ムッとして頭を押さえて振り返ると、ルッツの緑の瞳が苛立たしそうに細められ、わたしを睨んだ。
 不爽地捂著頭回過頭去後,路茲綠色的瞳孔焦急似地被瞇起,盯著我。

「安請け合いするな。一番に倒れるの、お前だぞ」
「別輕易答應啊。最容易倒下的,是妳呀」
「どうやらマインは今日も抱き上げられて運ばれたいようですね?」
「看來瑪茵今天似乎也想被抱起來搬運呢?」
「ぅひっ!?」
「嗚唏!?」

 前に家まで運ばれた時に嫌がったわたしのことをしっかりと覚えているのだろう、マルクが有無を言わせない笑顔で近寄ってくる。
 把前陣子討厭被搬回家時的我的事情清楚地記住了吧,馬爾克用不由分說的笑容靠近了過來。
 じりじりと後退していると、苛立たしそうな細工師の声が響いた。
 正一步步退後的時候,焦躁般的工藝師的聲音響起了。

「行くのか? 行かないのか? どっちだ?」
「要去嗎? 不去嗎? 是哪個?」
「行きますよ、もちろん。マインがそう言いましたから。ね?」
「要去喔,當然了。因為瑪茵是那樣說的。對吧?」

 マルクに捕獲されて、抱き上げられて、糸問屋に連行される。
 被馬爾克抓住,被抱了起來,被帶往了絲線批發商。
 わたしが歩く速度を考慮する必要がないので、スピードが段違いだ。抱き上げられて運ばれているのに揺れが少ないことに内心驚きつつ、マルクの肩のところで、そっと溜息を吐いた。
 因為不需要考慮我走路的速度,速度相差懸殊。一邊對明明被抱了起來又被搬運著但卻不怎麼搖晃而內心大驚,一邊在馬爾克肩膀的地方,悄悄地嘆了一口氣。

 頑張ってるつもりだけど、迷惑かけてるなぁ。
 雖然說打算要努力的,但添麻煩了呢。

 糸問屋は職人通りにあるので、それほどの距離はない。それでも、マルクに抱き上げられて運ばれるのは精神的な大人として、ものすごく居た堪れないのだ。
 因為絲線批發商在工匠街上,沒多少距離。儘管如此,被馬爾克抱起來又被搬運著作為精神上的大人,是非常非常無地自容的。
 糸問屋でようやく下ろしてもらえて、わたしは店の中に足を踏み入れた。
 終於在絲線批發商被放了下來,我將腳踏入店裡面。

「わぁ、糸がいっぱい!」
「哇,滿滿的絲線!」
「糸問屋だからな」
「因為是絲線批發商呢」

 静かな声で細工師に返されたが、大量の糸が集まっている光景は圧巻だった。
 工藝師用寂靜的聲音回答著,大量的絲線集中起來的光景很精彩。
 ここでは、市場のお店は個人が扱える分の商品しか置いていない露店のようなものだし、通りの一階に並んでいる店は、強盗や泥棒の被害を少しでも減らすため、見本以外は棚の中や倉庫に片付けられていることが多い。
 在這裡,市場的店舖是只放置個人能處理的份量的商品的露天商店般的東西,排列在街道一樓的商店,為了稍微減少強盜或小偷的危害,樣本以外常常被整理到架子裡面或倉庫裡。
 これだけたくさんの商品が所狭しと並んでいる状態を見ることは少ないのだ。
 能看到這些很多的商品狹窄地排列著的狀態是很少的。

「どういうのが丈夫な糸なんですか?」
「怎樣才稱得上是結實的絲線呢?」

 日本なら、簀を作る時に使われるのは強靭な生糸だ。こちらに、絹があるのか、蚕がいるのかさえ分からないわたしには、強い糸を選ぶこともできない。
 日本的話,被使用在製做簀時的是強韌的蠶絲。在這裡,連有絲綢嗎,有蠶嗎都不知道的我,無法選擇堅固的絲線。

「シュピンネの糸が一番強い。特に秋の繁殖期に取れた物が一番だ。だが、高いぞ?」
「修平內的絲最堅固。特別是在秋季的繁殖期被收穫的東西是最好的。但是,很貴喔?」

 どうする? と視線で問われて、わたしはマルクに視線を移した。お金の出所はわたしではない。最終的に決定するのはベンノの財布を預かっているマルクなのだ。
 怎麼辦? 被用那樣的視線詢問著,我將視線移往馬爾克。金錢的來源不是我。做最終決定的是保管著班諾的錢包的馬爾克。

「シュピンネの糸で結構ですが、秋の物にこだわる必要はないでしょう?」
「用修平內的絲就可以了,沒必要拘泥於秋季的東西吧?」
「……まぁ、そうだが、本当にシュピンネでいいのか?」
「……算了,是沒錯,真的用修平內就可以了嗎?」
「結構です」
「可以了」

 どうやらシュピンネの糸というのは、とても高価なものらしい。一番品質が良くて高価なところから、徐々に下げていくつもりだったのだろう細工師は、ぎょっとしたようにマルクとわたしを見比べた。
 看來所謂修平內的絲,似乎是非常昂貴的東西。因為最好的品質有較好高價的地方,是打算慢慢降低下來的吧的工藝師,大吃一驚地比較著馬爾克跟我。

「ただし、失敗と泣き言は許しません。必ず完成させてくださいね」
「但是,不允許失敗跟訴苦。請務必要完成呢」

 マルクは、わたしがトートバッグから取り出した竹ひごと簀の発注書を確認した後、細工師にニコリと微笑んで手渡した。
 馬爾克,認確著我從手提包裡拿出來的竹篾跟簀的訂貨單後,用微微地微笑交付給了工藝師。

「よろしくお願いします」
「拜託您了」
「……あぁ」
「……啊」

 桁に合わせた葉書サイズの簀を2つ。
 配合著桁的明信片尺寸的簀兩個。
 道具に関する注文はこれですべて終了だ。無事に終わってホッと息を吐いた。
 有關工具的下訂到此完全結束了。平安地結束而放心地吐了一口氣。


 その次の日から、わたしは倉庫でお留守番して、荷物が運び込まれるのを見ていた。そして、届いた資材でルッツと一緒に道具を作る。
 從那隔天開始,我在倉庫看著家,看著貨物被搬了進來。然後,用到達的資材跟路茲一起製做工具。

 合い間に森で採集をしたり、お手伝いをして家族からの批判を受けないように立ち回ったりしながら、材料を揃えていく。
 在這期間一邊又是在森林裡採集,又是為了不遭受來自幫忙家務的家人的批評而走來走去,一邊備齊著材料。

 トロロに使うエディルの実か、スラーモ虫の体液が必要だが、今回はエディルの実を使うことにした。
 雖然在黏劑上必須要使用艾迪魯的果實或、史拉蒙蟲的體液,但這次決定使用艾迪魯的果實。
 エディルの実のねばねばは、もっと秋が深まって冬支度の季節になると窓枠につけられて、布を詰めて隙間風を防ぐために使われることが多いらしい。そのため、もう少しすると、市場に出回る数が減り、値段も上がるのだそうだ。
 艾迪魯果實的粘黏稠稠是,更深秋要變成過冬準備的季節時被用在窗框上,似乎常常被使用在為了抵禦塞了布的牆縫風。為此,再晚點的話,在市場上市的數量就會減少,價錢似乎也會上升。
 エディルの実が使えなくなったら、スーラモ虫を使うことで合意した。
 變得無法使用艾迪魯的果實的話,就得同意使用史拉蒙蟲了。

 そして、エディルの実の買い付けは、わたしが熱を出して寝込んでいる間に、マルクがルッツだけを連れて行ってしまった。
 而且,採購艾迪魯的果實,是在我發燒臥著床的期間,馬爾克只帶了路茲前去。
 マルクから、せっかくなのでルッツにも経験を積ませたいと言われて、ちょっとでしゃばりすぎたかな、と軽く反省をする。
 透過馬爾克,被說了因為很難得也想要讓路茲累積經驗,是不是稍微太出風頭了呢,那樣輕輕地反省著。


 材料が全て揃って、わたしの体調が整って、やっと紙が作れそうになった時には、ベンノと初めて会って紙を作ると宣言してから一月半が過ぎていた。
 材料全部備齊,我調整身體狀況,紙張終於變得能製做時是,從跟班諾初次見面宣告要製作紙張之後已過了一個半月。

======================================================================
 やっと道具が揃いました。
 工具終於備齊了。
 ベンノさんには大感謝ですね。
 要大感謝班諾先生呢。

 次回は紙作りに突入です。
 下回是闖入造紙。
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