本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~以下犯上的書癡~為了成為圖書管理員而不擇手段~
作者:香月美夜
第一部兵士の娘 髪飾りの納品第一部士兵的女兒 髮飾的交貨
原文連結 ルッツが作った簪部分と花の部分を縫い合わせて、完成した髪飾りに、ほぅ、と自画自賛の溜息を吐く。 把路茲製做的髮簪部分跟花的部分縫合起來,對完成的髮飾,哦,地吐露自賣自誇的嘆息。
フリーダのために作った髪飾りは、自分が予想していたよりも、かなり豪華な仕上がりとなった。 為了芙莉妲製做的髮飾,變成比自己所預想著的,還相當華麗地完成了。
深い赤のミニバラが4つ配置され、バラの周囲を白いかすみ草をイメージした小花が連なって赤を際立たせている。そして、白い小花の外側にところどころから葉っぱの形の緑が顔を出して、アクセントとなっていた。深紅色的迷你玫瑰被配置了4個,把白色滿天星作為印象的玫瑰周圍的小花連接著烘托出紅色。然後,在白色小花的外側葉子般形狀的綠色從有些地方露出了臉,形成了重點。
「……なぁ、マイン。トゥーリの髪飾りとずいぶん違わねぇ? すっげぇ豪華なんだけど」「……吶,瑪茵。跟圖麗的髮飾十分不一樣呢? 非常的豪華就是了」
完成した髪飾りを見たルッツが、ひくっと顔をひきつらせるくらい良い出来だ。 看到完成的髮飾的路茲,是痙攣抽搐著臉般的好反應。
理由は簡単だ。まず、使っている糸の質が違う。細くて艶のある糸を使っているので、仕上がった花も目が細かくて艶やかだ。 理由很簡單。首先,使用著的絲線的質量不一樣。由於使用著細小有光澤的絲線,完成的花的針眼也很細小艷麗。
そして、技術力が違う。大半をわたしが作ったトゥーリの髪飾りと違って、八割方母とトゥーリによって作られているため、目が揃っていて、緻密なのだ。 然後,技術能力不一樣。跟我製做了大半的圖麗的髮飾不一樣,對於八成被由母親跟圖麗製做著來說,針眼是很統一,細緻的。
「衣装に使われている素材や雰囲気から考えても、フリーダにはトゥーリの髪飾りより絶対こっちが似合うと思わない?」「就算從被使用在服裝上的素材或氛圍來考慮,不認為芙莉妲比起圖麗的髮飾絕對是這邊更適合嗎?」
「似合うとか似合わないって言うのは、オレ、わかんねぇよ」「要說適合或不適合的,我,不知道唷」
頭を振って答えるルッツに、わたしは腕組みしながら考える。 對搖搖頭回答的路茲,我一邊雙手抱胸一邊思考。
「うーん、それも勉強しなきゃね。ベンノさんが扱っている商品って、貴族向けの物が増えているみたいだから」「唔嗯,那也必須要學習呢。因為班諾先生處理的商品,適合貴族的東西好像增加了」
苦手なことからはやはり目を逸らしたいのか、ルッツの視線がふらりと虚空をさまよう。 果然是想要從不擅長的事情中移開目光嗎,路茲的視線搖搖晃晃地徬徨於虛空。
「あ~、マイン。できたやつ、どうする?」「啊~,瑪茵。做好的東西,怎麼辦?」
「一度ベンノさんに見せてから、ギルド長に納品した方がいいと思うんだよね。今からベンノさんのところに行ってみる?」「因為要展示給班諾先生看一次,我認為這樣要交貨給公會長會比較好。要試著從現在開始去班諾先生的所在嗎?」
「そうだな」「也是呢」
完成した髪飾りを小さな籠に入れて、上からウチの中ではまだ比較的綺麗なハンカチを被せて、他の人からは見えないようにした。 把完成的髮飾放進小籃子裡,從上面覆蓋在我家裡面還比較漂亮的手帕,為了不讓其他的人看見。
「マインが籠を持てよ。オレ、そのバッグ持ってやるから」「瑪茵拿籃子吧。因為我,要拿那個包包」
石板、石筆に発注書セットが入ったバッグは、わたしにとって結構重いので助かる。素直に感謝してルッツにトートバッグを渡し、わたしは小さな籠を手に持った。 包含石板、石筆的訂貨單組的包包,因為對我來說相當的重得救了。坦率地感謝著把手提包交給路茲,我手上拿著小籃子。
「おや、今日はどうしました?」「喔呀,今天有什麼事呢?」
マルクがわたし達の姿を見つけて声をかけてくれる。 馬爾克發現了我們的身姿打了聲招呼。
「髪飾りが完成したんです。ギルド長に納品する前に、ベンノさんに一度見せておいた方がいいかなと思ったんですけど……」「髮飾完成了。在交貨給公會長前,雖然想說先展示給班諾先生看一次會不會比較好……」
「どれ、見せてみろ」「哪個,讓我看看」
いきなり背後からベンノの声がかかって、ひゃっと小さく飛び上がる。 突然從背後發出了班諾的聲音,嚇到微微跳了起來。
振り返ると、貴族のところへ行っていたのだろうか、隙なくきっちりと豪華な服に身を包んだベンノが立っていた。 回過頭後,是前去貴族的所在了嗎,毫無縫隙合宜地用豪華的衣服將身體包住的班諾站立著。
「お帰りなさいませ、旦那様」「歡迎您回來,老爺」
「あぁ。……来い、二人とも」「啊。……過來,你們兩個」
マルクに軽く頷き、ベンノが奥の部屋へと向かったので、わたし達もその後をついていく。 馬爾克輕輕點頭,由於班諾轉往了深處的房間,我們也緊跟上那後面。
「それで、出来上がった髪飾りはどこだ?」「那麼,做好的髮飾在哪裡呢?」
テーブルに向かって座ると同時に声をかけられ、わたしは小さな籠の上にかけていたハンカチを取って、ベンノの前にそっと差し出した。 在與轉向桌子坐下的同時被叫了一聲,我將蓋在小籃子上的手帕拿掉,在班諾的面前靜悄悄地遞出去。
「こんな感じでどうでしょう?」「以這種感覺如何呢?」
一つを取り上げて、しばらく眺めていたベンノが髪飾りを籠に戻した後、大きな溜息を吐いた。 把一個拿起來,暫時凝望著的班諾把髮飾返回籃子裡後,大大地嘆了一口氣。
「……マイン、お前、2つ目を値引きする必要はなかったぞ」「……瑪茵,妳,沒必要將第2個打折喔」
「え? これでも結構ぼったくりだと思ってるんですけど……材料費が糸だけでしたから、利益が小銀貨3枚くらいにはなるでしょう?」「咦? 雖然想說這也是相當敲竹槓了……因為材料費只有絲線,利益變成了小銀幣3沒左右不是嗎?」
「物の価値をよく勉強しろ。お前が持ち込んだ物は全て贅沢品だ。高級な贅沢品がどれくらいの値段で扱われているのか知らないと、市場を混乱させることになる」「好好學習物品的價格。妳帶進來的東西全部都是奢持品。不知道高級的奢侈品以多少的價錢被處理的話,會讓市場造成混亂的」
「……すみません」「……對不起」
自分の感覚とこの世界の物価が噛み合っていないことはよくわかっているし、ベンノが市場の混乱を防ぐための防波堤になってくれていることも理解できた。 自己的感覺跟這個世界的物價吻合不起來是非常明白的了,班諾成為為了防止市場的混亂的防波堤也能理解。
衣類や装飾品が高価なことも良くわかっているけれど、どれくらいの物がどれくらいで売られるのか、街の中の店を自由に見て回る体力がないわたしにはわからない。特に、高級品を取り扱う店には、恰好と年齢で入店を断られるので、尚更だ。 雖然說衣裝或裝飾品是昂貴的東西也很明白了,但多少錢的東西以多少錢被販賣呢,對於無法自由地遊歷城市裡面的商店的我來說是不明白的。特別是,對處理著高級品的商店來說,由於因模樣跟年齡都被拒絕進入店裡,更是如此。
……それにしても、贅沢品か。簡易ちゃんリンシャンにしても、紙にしても、髪飾りにしても、当たり前に周りにある物だったからねぇ。 ……儘管如此,奢侈品嗎。不論是簡易潤洗劑,還是紙張,或是髮飾也好,因為是理所當然地存在於周圍呢。
本で読んだ中世の世界にはほとんどないと頭ではわかっていても、感覚ではそうもいかない。無ければ、何かで代用できないか、自分で作れないか、どうしても考えてしまう。 就算在腦海裡明白以在書裡讀過的中世紀的世界來說是幾乎沒有的,以感覺而言那樣也不行。沒有的話,不能用什麼代替嗎,不能自己做嗎,無論如何也要考慮。
「ベンノさん、これをギルド長に納品したいんですけど、どうしたらいいですか? ギルド長に会えるように約束を取り付けたいんです」「班諾先生,雖然想將這個交貨給公會長,但要怎麼做才可以呢? 為了見公會長想著手實行約定」
「そうだな。せっかくだから教えておくか」「說得也是。正因為機會難得要先教妳嗎」
発注書セットを取り出して、板にギルド長との面会予約と書き、名前と用件を書きこむ。 拿出訂貨單組,在板子上寫跟公會長的會面預約,寫上名字跟要件。
「これをギルド3階の受付に渡せばいい。面会の時間が決まれば、ギルド職員が店に面会時間を書きこんだこの板を返してくれる」「將這個交給公會3樓的接待處就可以了。會面的時間決定了的話,公會職員會返還寫進會面時間的這個板子」
「じゃあ、帰りに出しに行こうか?」「那麼,要在回去離開時去嗎?」
「……あ~、待て。二人だけで行ったら、その場で餌食だ。俺が一緒に行く」「……啊~,等下。只有兩個人去的話,那當場就是餌食了。我要一起去」
受付に予約票を持っていくだけに大袈裟な、と思うんだけど。 只是拿預約票去接待處也太誇張了,雖然是那麼想。
商業ギルドに行って、今回は自分のカードを出して、上の階へと向かう。 去商業公會,這次是拿出自己的卡片,往上個階層。
カウンターで予約票を出して、一仕事終えた感動に、ルッツと笑いながら帰ろうとしたら、受付の人に呼び止められた。 在櫃檯拿出預約票,對結束一項工作的感動,一邊跟路茲笑著一邊打算回去之後,被接待處的人叫住了。
「少々お待ちください」「請稍微等一下」
「へ!?」「咦!?」
「マインとルッツと名乗る者が来たら、通すように言われています」「自稱瑪茵跟路茲的人來的話,被說了進來吧」
本当にギルド室に通された。部屋に来るよう言われて、右往左往するわたし達にベンノが「それ見たことか」と呟く。 真的進到了公會室。被說了來房間吧,班諾對東奔西跑的我們嘟噥著「看到那個了嗎」。
おぉう、ベンノさん、大正解! ベンノさんがついてきてくれてよかったよぉ。 喔哦,班諾先生,大正解! 跟著班諾先生真是太好了唷。
ギルド長の部屋に通され、ギルド長がちょっと嫌な顔をしながら、ベンノも一緒に迎え入れてくれた。 進到公會長的房間,儘管公會長做出稍微討厭的表情,但班諾也一起迎接進來了。
「今日はどうした?」「今天怎麼了?」
「髪飾りができたので、持って来ました」「由於髮飾完成了,帶來了」
「では、見せてもらおうか」「那麼,能展示嗎」
持っていた小さい籠を出して、ハンカチを退けて、そのままずいっとギルド長の前へと押し出した。ベンノからOKをもらったのだから大丈夫だとは思うが、心臓がバクバクするのは止められない。 將帶來的小籃子拿出,褪去手帕,就那樣一鼓作氣地往公會長面前推出去。雖然想說因為收到來自班諾的OK就不要緊了,但心臟的怦咚怦咚無法被停止。
ギルド長は籠の中を覗きこんで、髪飾りを一つ取り出すと、眉を寄せて検分する。クッと眉を上げて、わたしを見た。 公會長窺視進了籃子裡面,取出了一個髮飾後,皺起了眉頭實際調查。使勁地揚起眉毛,看著我。
「……これは、前に見せてもらった物とずいぶん違うようだが?」「……這個,跟以前展示過的東西相當不一樣吧?」
「一応値段に合わせた特別仕様なんです。もしかして、前に見せた物の方が良かったでしょうか? フリーダさんとお話をして、髪型や衣装に合うように作ったつもりなんですけど……」「姑且是配合價錢的特別做法。難道,之前展示的東西比較好嗎? 雖然是跟芙莉妲小姐談過話,打算為了配合髮型或服裝製作的……」
気に入られなかったか、と顔を青くするわたしにギルド長は慌てたように首を振った。 公會長對做出是不被中意嗎,那樣發青表情的我慌慌張張的搖搖頭。
「いや、ここまで素晴らしい物になると思っていなかったので、驚いただけだ。確かにフリーダによく似合うだろう」「不是,因為沒想過會變成至今為止最美妙的東西,只是很驚訝。確實很適合芙莉妲的吧」
「そうですか。よかったです」「是那樣嗎。太好了」
お断りされたわけではないと胸を撫で下ろしたわたしに、ギルド長が目をギラリと光らせた。 對並不是被拒絕而鬆了一口氣的我,公會長讓眼神放出閃亮的光芒。
「マイン、やはりウチ……」「瑪茵,果然我家……」
「マイン、用件は終わったな。帰るぞ」「瑪茵,要件結束了。回去吧」
ギルド長に最後まで言わせず、ベンノがわたしとルッツの腕をつかんで立ち上がる。用件が終わったので、このままお暇でも良いかな、とおとなしくベンノについていこうとすると、ギルド長が必死に引き留めてきた。 不讓公會長說到最後,班諾抓住我跟路茲的手臂站了起來。由於要件結束了,就這樣告辭了好嗎,那樣老實地跟上班諾後,公會長拚命地挽留了。
「いや、待て。せっかくなので、直接フリーダに渡してやってほしい。女の子の友達ができたことをとても喜んでいたぞ。フリーダに同じ年頃の友人ができるなんて、わしは初めて聞いて、感動している」「不,等下。因為很難得,希望直接交給芙莉妲。非常高興著能作為女孩子的朋友。能跟芙莉妲做同年紀的朋友什麼的,老夫是第一次聽到,很感動著」
ほへー、フリーダは初めての友達できたんだ。それはめでたいね。 哦嘿,能作為芙莉妲第一個的朋友。那還真是恭喜呢。
他人事として呑気にそう思いながら、ギルド長の感動を聞いていると、ベンノがしゃがんで、こそっと耳打ちしてきた。 一邊當作別人的事悠閒地那樣想,一邊聽著公會長的感動後,班諾蹲了下來,偷偷地耳語了起來。
「……お前、友達になったのか?」「……妳,成為了朋友嗎?」
「え!? わたし!?……えーと、どうなんでしょう?」「咦!? 我!?……呃,是怎麼一回事?」
一方的に気に入られたことはわかっているが、これを友達というのは違うと思う。でも、孫娘に友人ができたことをこれほど喜んでいるギルド長の前でハッキリと否定はしにくい。 雖然明白是單方面的被中意了,但我想將這個稱為朋友是不一樣的。但是,在能作為孫女的朋友就這麼樣高興著的公會長的面前很難清楚地否認。
「いつ遊びに来てくれてもいいようにお菓子を作って待っているはずだ」「為了何時來玩都可以應該會製作點心等待著的」
「……お菓子?」「……點心?」
つい反応してしまったわたしの額を、ベンノがビシッと指で弾く。隙を見せるな、ということだとはわかるが、甘い誘惑に反応してしまうのは止められない。 不小心做出反應的我的額頭,班諾用手指用力彈了一下。雖然明白是所謂,別露出空隙,但對甜蜜的誘惑起了反映是無法被制止的。
「よし、わしがフリーダのところへ連れて行ってやろう」「好,老夫來帶妳去芙莉妲的所在吧」
フリーダを抱き上げることもあるのか、ギルド長は軽々とわたしを抱き上げて、部屋を出る。 是也有抱起過芙莉妲嗎,公會長輕輕地抱起了我,離開房間。
目の前で掻っ攫われたことに、ぎょっと目を剥いたベンノとルッツが慌てて追いかけてきた。 對在眼前被強搶走,嚇到目瞪口呆的班諾跟路茲慌慌張張追了上來。
「こら、待て。俺も一緒に行くぞ」「喂,等下。我也要一起去喔」
「マインが行くならオレもだ」「如果瑪茵要去我也要去」
何だか行くことに決定しているようだが、ギルド長の家は城壁の間近で、ベンノの店よりウチから遠くなる。正直、行ってしまうと、家に帰るだけの体力が残らないと思う。 總覺得雖然好像決定了要去,但公會長的家在城牆的跟前,比起班諾的店從我家會變得更遠。老實說,去了之後,我認為不會剩下能夠回家的體力。
「……ギルド長、わたし、体力ないから、今日はこれ以上歩けないんです」「……公會長,我因為沒有替力,今天不能走更多路了」
「別に歩く必要はない。馬車を使うからな」「不需要特別走路。因為要使用馬車呢」
「馬車!?」「馬車!?」
乗り物という発想はなかった。 沒有名為交通工具的想法。
大通りを行き交う行商人や農民は荷馬車や荷車を使っているけれど、わたし達の生活圏では、荷車さえ一家に一つあればいいというもので、使えるのは大人だけだ。 雖然說往來大街的旅行商人或農民有在使用貨運馬車或貨車,但在我們的生活圈,連貨車都是所謂一家一個就可以的東西,能使用的只有大人。
当たり前だが、ゴムのタイヤなどないので、荷物を乗せると大人でも引くのに相当力がいる。子供が使えるようなものではない。というより、子供は一家に一台あるかないかの大事な荷車なんて使わせてもらえない。移動手段は自分の足。そういうものだった。 雖然很理所當然,但因為沒有橡膠輪胎,裝上行李後即便是大人拉的話也要相當的力氣。不像是小孩子能使用的東西。不如說,小孩子不能使用一家有沒有一台的重要的貨車之類的。移動手段是自己的腳。就是所謂那種東西。
しかも、馬は高い。ロバは比較的雑食だが、馬は食料にする草が高いので、維持費がとんでもないらしい。 而且,馬很貴。雖然驢比較雜食,但由於馬作為飼料的草很貴,維持費似乎不合情理。
くぅ、お金持ちめ。 咕,可惡的有錢人。
ギルド長の金持ち具合をひがんでいるうちに、商業ギルドの一階についていて、ギルド長の馬車に乗せられていた。 在懷抱公會長的有錢狀況的偏見的時候,來到了商業公會的一樓,被搭載於公會長的車馬裡。
ハッと我に帰った時にはベンノもルッツも馬車に乗り込んできて、全員でフリーダのところへ納品に行くことになった。 在突然回歸自我的時候不論班諾或路茲都搭乘進了馬車裡,變成全員都往芙莉妲的所在去交貨。
馬車なんて初めてだ。 馬車什麼的是第一次。
去年の冬支度の頃に荷車には乗せられたことがあるけれど、動物が引く乗り物に乗るのは初めてだ。ルッツと二人できょろきょろしているとギルド長に苦笑された。 雖然說在去年的過冬準備期間有過被搭載於貨車上,但乘坐動物拉的交通工具是第一次。跟路茲兩個人東張西望起來時被公會長苦笑了。
「ほぅ。マインは馬車が初めてか?」「哦。瑪茵是第一次搭馬車?」
「門や大通りを通っているのを見たことはありますけど、わたしやルッツの周りで持っている人なんていませんから」「雖然有看過通過門或大街的,但因為在我或路茲周圍沒有擁有的人什麼的」
本来は大人二人乗りの馬車なので、かなり狭い。きちんとした座席に大人二人が座り、わたしとルッツは荷物を置くための台のような場所に申し訳程度にお尻を置いているだけだ。わたしとルッツが子供だから何とか乗れているだけで、きゅうきゅうだ。 因為本來是兩位大人乘坐的馬車,相當狹窄。在端正的座位上兩位大人坐下了,我跟路茲只能在像是為了放置行李的檯子般的地方放置屁股。就只是因為我跟路茲是小孩子總算能乘坐了,但好擁擠。
「……窮屈だな。ベンノ、下りろ」「……好拘束呢。班諾,下去」
「それなら、マインも連れて帰る」「若是那樣,瑪茵也要帶回去」
しばらくベンノとギルド長が睨みあっていたが、結局、きつきつのまま馬車はゆっくりと動きだした。 班諾跟公會長暫時瞪了起來,但結果,仍在對峙馬車就慢慢地動了起來。
「うわわわわっ!」「嗚哇哇哇哇!」
揺れがひどくて、とてもじっと座ってなんていられない。ルッツは乗り降りするための取っ手にしがみついていて無事だが、わたしは捕まるところもないので、ガクンガタンと揺れるたびに椅子から飛びそうになる。 搖晃的好厲害,非常不需要動也不動的坐著。雖然路茲緊緊抱住為了上下的把手而沒事,但由於我沒有抓住的地方,變成每次猛然劇烈地搖晃就會從椅子上飛起似的。
「マイン、こっちに来い」「瑪茵,過來這裡」
見かねたベンノが膝の上に座らせて、お腹に腕を回して、飛ばないように押さえてくれた。それでも、揺れればお尻が浮きそうになるし、ちょっと油断すればわたしの頭がベンノの顎にダメージを与えそうになる。 看不下去的班諾要我坐到膝蓋上,在肚子上回手臂,為了不飛起來而按住了。儘管如此,搖晃的話屁股也變得好像要浮起來,變成稍微疏忽大意的話我的頭就會給予班諾的下巴打擊似的。
サスペンションがない馬車が揺れることはわかっていたが、ここまでひどいとは思わなかった。 雖然明白沒有懸吊系統的馬車會搖晃,但沒想過會如此嚴重。
馬車なんて、全然優雅じゃないよ。 馬車什麼的,完全不優雅唷。
「フリーダ、マインが髪飾りを持ってきてくれたぞ」「芙莉妲,瑪茵帶髮飾過來了喔」
「まぁ、マイン。いらっしゃい」「哇,瑪茵。歡迎」
ふんわりとした桜色の髪を揺らして、フリーダがやんわり穏やかそうな笑顔を浮かべてやってくる。 搖曳著作為蓬鬆的櫻花色頭髮,芙莉妲婉轉浮現出了平穩似的笑容。
「お邪魔します」「打擾了」
「フリーダ嬢、はじめまして。ベンノです。マインからお話を伺っています」「芙莉妲小姐,初次見面。我是班諾。從瑪茵那聽說過了」
「まぁ、どんな風にマインが話してくれたのかしら?」「哎呀,瑪茵都說了些什麼樣的話呢?」
穏やかでにこやかな挨拶なのに、寒気がするよぅ。 明明是平穩而笑容滿面地寒暄著,但卻渾身發冷唷。
ベンノとフリーダの挨拶に背筋を震わせていると、ルッツがぎゅっと手を握ってくれた。ちらりとルッツを見ると、心なしか青ざめて見える。 對班諾跟芙莉妲的寒暄顫抖著脊梁時,路茲緊緊地握著手。瞄了路茲一眼後,心理作用嗎能看見蒼白的臉色。
わたしもルッツも商人同士の目に見えない争いにはまだ加われない。いつかあんな風に微笑みながら火花を散らし合うような真似ができるようになるんだろうか。 不論我或路茲都還沒加入商人之間眼睛看不見的爭鬥過。哪時會變成能做到一邊用那種樣子微笑一邊互相散發著火花的模仿呢。
「フリーダ、わしはベンノと話がある。お前はマイン達からお前の髪飾りを受け取って、報酬を払っておいてくれ」「芙莉妲,老夫跟班諾有話要說。妳從瑪茵他們那裡接收下妳的髮飾,事先支付報酬」
「わかりました、おじい様」「我知道了,爺爺」
ギルド長はそう言うと、ベンノを連れてギルド長の部屋へと向かい、わたしとルッツは前回と同じように応接室に通された。 公會長那樣說後,帶著班諾轉向了公會長的房間,我跟路茲就像上次一樣進到了接待室。
それと同時に甘い飲み物と甘いお菓子が運ばれてきて、テーブルの上にうっとりするような甘い匂いが立ちこめる。 與此同時甜的飲料跟甜的點心被送了進來,在桌子上陶醉似地瀰漫著甘甜的氣味。
「女の子は甘い物が好きだから、いつ遊びに来てくれてもいいように準備しているのよ。マイン、暇があったら遊びに来てね」「因為女孩子喜歡甜甜的東西,為了就算何時來玩都可以而準備著的唷。瑪茵,有空的話過來玩吧」
「はい!」「好的!」
わたしが超絶笑顔で答えると、ルッツにテーブルの下で手を抓られた。 我用超絕笑容回答後,被路茲在桌子底下捏了手。
あぁ、そうだ。甘い誘惑に負けちゃダメだった。負けちゃダメ。負けちゃ……くんくん、幸せ~。 啊,對喔。不可以輸給甜蜜的誘惑。不可以輸。可以輸……哼哼,好幸福~。
薄いピザ生地の上に蜂蜜漬けのナッツを置いて焼いてあるように見えるお菓子が切り分けられた。 看起來好像在薄披薩麵皮上放置蜂蜜醃漬的堅果燒製著的點心被分切開來。
「さぁ、マインもルッツも召し上がれ」「好了,瑪茵跟路茲都來吃吧」
「いただきます」「我開動了」
はむはむ。たっぷりの蜂蜜が甘くて美味しい。なんて贅沢なお菓子。ここは天国ですか?大口咬下。滿滿的蜂蜜是甜蜜又美味。多麼奢侈的點心。這裡是天堂嗎?
日本で食べたナッツのタルトを思い出しながら、ひとしきり食べて満足した。やっぱり甘い物を食べると幸せな気分になる。 一邊回想起在日本吃過的堅果餡餅,一邊吃了一陣子而滿足著。果然吃了甜的東西後會變成幸福的氣氛。
「ごちそうさまでした。とても美味しかったです」「多謝款待。非常的美味」
「そんな風に喜んでもらえると嬉しいわ。料理人にも伝えておくわね」「能那麼受到喜愛我很高興喔。也要先傳達給廚師呢」
わぁお、料理人ですってよ、奥さん。 哇喔,要說是廚師,就是太太。
お菓子を作って待っているって、料理人がお菓子を作って、フリーダは待っているだけってことだったんだ。何この格差社会。 是說製做點心等候著,是廚師製做點心,芙莉妲只是等待著這種事。這算什麼差別社會。
「では、髪飾りを見せていただいてもよろしいかしら?」「那個,可以請妳展示髮飾嗎?」
「はい。あ、その前に、余った糸、お返ししますね」「好的。啊,在那之前,多於的絲線,要返還呢」
「……あら、別によかったのに」「……啊啦,明明不用刻意還來」
いえいえ、こんな高価な糸はもらえません。 不不,這種昂貴的絲線不能收下。
ギルド長やフリーダと話していると、無料ほど怖いものはないと、心の底から思う。安易に物を受け取ってはならない。誘いに乗ってはならないのだ。 跟公會長或芙莉妲說話時,沒有免費之類恐怖的東西,打心底想著。不可以輕易地收下東西。不可以搭上邀請的。
「これが、フリーダさんの……」「這就是,芙莉妲小姐的……」
「マイン、わたくし達はお友達なのだから、フリーダと呼んでくださいな」「瑪茵,因為我們是朋友,請稱呼我為芙莉妲吧」
可憐で可愛い幼女に、にこやかな笑顔でそう言われて、「友達じゃないよね?」なんて言えるわけがない。しどろもどろになりながら、逃げ道を探す。 被可憐又可愛的小女孩,用春風滿面的笑容那樣說,是說不出什麼「才不是朋友呢?」。一邊吞吞吐吐,一邊尋找逃生路。
「え? でも、お客様だから……」「咦? 但是,因為是客人……」
「あら。……では、これで、お客様は終わりよ」「啊啦。……那麼,這樣就,結束客人了唷」
ニッコリと笑ったフリーダが、髪飾りの入った籠を自分の手前に引き寄せる。代わりに、わたしとルッツの間に小銀貨を6枚並べた。 微微地笑著的芙莉妲,將放入髮飾的籃子拉進到自己的跟前。作為代替,在我跟路茲之間並列著6枚小銀幣。
「商品も受け取りましたし、お金も払いましたもの。これで心置きなくお友達になれるわね」「商品也收下了,錢也付錢了事了。這樣就能毫無隔閡地成為朋友了呢」
「……はい」「……是的」
完全に逃げ道を塞がれ、否と言わせない空気に、わたしは諦めて頷いた。 完全地被堵塞住逃生路,對無法說不的氣氛,我放棄了點點頭。
考えようによっては、外見詐欺の変わったお友達なのだから、わたしが多少変でも問題ないかもしれない。前向きに喜ぼう。 根據思考,因為是外表詐欺的奇怪朋友,我搞不好多少有點奇怪也沒問題。積極地感到高興。
名前はフリーダと呼び捨てで、言葉もちょっと崩した方がいいかな? 由於名字是芙莉妲且捨去稱謂,言詞也稍微不嚴謹會不會比較好呢?
「えーと、じゃあ、フリーダ。髪飾りを見てもらっていい?」「呃,那麼,芙莉妲。可以請看一下髮飾嗎?」
「もちろん、見せていただくわ」「那當然,請展示吧」
そっとフリーダが指でつまんで、ハンカチを退ける。 芙莉妲輕輕地用手指捏著,褪去手帕。
籠の中から髪飾りを一つ取り出して、目を丸くした。 從籃子裡面拿出了一個髮飾,目瞪口呆了。
「まぁ! なんて素敵! わたくしは冬の洗礼式だから、式の頃には雪が降り始めて、髪飾りにする花や木の実もないでしょう? 春や夏に洗礼式をする子がとても羨ましかったの。植物が枯れていく冬に色鮮やかな花や緑の葉っぱを身にまとうことができるなんて、本当に嬉しいわ」「哇! 多麼的棒啊! 因為我是冬季的洗禮式,在儀式的時候雪就開始下了,沒有作為髮飾的花或樹木的果實對吧? 在春季季或夏季做洗禮式的小孩子非常令人羨慕。能在植物逐漸枯萎的冬季將色彩鮮艷的花或綠葉穿上身,真的很高興喔」
「喜んでもらえてよかった」「能受到喜愛就太好了」
そういえば、トゥーリも飾りにはその辺りの花を使う、と最初は言っていた。だったら、冬の方が、髪飾りは売れるかもしれない。 這麼說來,圖麗最初也說過,使用那附近的花在裝飾上。這樣的話,冬季,髮飾說不定能暢銷。
「付けてみて。フリーダの髪にどんな風に合うのか、知りたいの」「試戴看看。在芙莉妲的頭髮上是適合怎樣的風格呢,想要知道」
「どう付けていいのかわかりませんの。マインが付けてくださる?」「要怎麼戴才好我不知道。瑪茵來戴吧?」
「いいよ。貸して」「可以唷。借我一下」
髪飾りをツインテールの結い紐のところに挿しこむ。 將髮飾插進雙馬尾的繩結處。
淡い桜色の髪に深い赤の小さなバラがとても映えて、フリーダの大人びた上品な雰囲気を一層引き立てていた。 在淡淡櫻花色的頭髮上深紅色的小玫瑰非常映襯,將芙莉妲大人樣的高雅氛圍更提升了一層。
やっぱりバラで正解だったね。 果然用玫瑰是正確解答呢。
「可愛いよ、フリーダ。まるで花の妖精みたい」「很可愛唷,芙莉妲。簡直就像花之妖精一樣」
「褒めすぎですわ。おじい様みたいですわよ」「稱讚過頭了喔。好像爺爺唷」
クスッと笑ってフリーダは流そうとするが、これは褒めすぎではない。趣味さえ知らなかったら、いつ誘拐されてもおかしくないくらいに可愛い。 雖然決定不管噗哧地笑著的芙莉妲,但這並不是過分稱讚。連興趣都不知道的話,就算幾時被誘拐也不奇怪般的可愛。
「褒めすぎじゃないよ。可愛いし、似合うもん。ルッツもそう思うよね?」「才不是過分稱讚唷。很可愛,很適合咩。路茲也是那樣想的吧?」
「あぁ。飾りだけ見た時はそこまで似合うと思わなかった。マインがフリーダに似合うように作っただけのことはある。すげぇ可愛いと思うぞ」「啊。只看裝飾得時候還沒想過會那麼適合。瑪茵有著只為了適合芙莉妲而製做的。我認為非常可愛喔」
「……」「……」
少し頬を赤らめて、頬を膨らませるフリーダは、明らかに褒められ慣れていない。兄弟や友達がいないことがすぐにわかる反応だ。 稍微紅著臉頰,讓臉頰鼓起的芙莉妲,明顯地不習慣被稱讚。是馬上就能明白沒有兄弟或朋友的反應。
この世界、家族間や友人間で褒め言葉がかなり頻繁に行き交うのだ。わたしもトゥーリを褒めちぎるし、トゥーリもわたしを褒めてくれる。ルッツだって何かやった時には褒めてくれるし、わたしも褒める言葉を口にできるようになってきた。 這個世界,在家人間或朋友間稱讚的話語是相當頻繁地往來著。我也極力稱讚圖麗,圖麗也稱讚著我。就連路茲也會在做到什麼的時候給予稱讚,我也變得很能將讚揚的話語掛在嘴邊起來。
最初はビックリして固まっていたわたしが、最近は社交辞令と流せるようになってきたくらいだ。 最初嚇了一跳僵住了的我,最近社交辭令似乎變得好像流暢了起來。
「それにしても、糸でこんな立体的な花ができるなんて……」「不過,用絲線能做到這種立體的花什麼的……」
そっと髪飾りを抜いたフリーダは、ベンノやギルド長がしていたようにまじまじと目を凝らして検分し始めた。目が完全に商人の物になっている。 輕輕地抽出髮飾的芙莉妲,就好像班諾或公會長做過一般目不轉睛地固定著視線開始檢查。眼神完全變成商人的東西。
「そんなに難しくはないんだよ。わたしでもできるんだから」「沒有那麼的困難唷。因為我也能做到」
「……作り方を見出したということが、とても大事なのよ、マイン」「……所謂找到作法這件事,是非常重要的唷,瑪茵」
「え?」「哎?」
ハァ、と軽く息を吐いたフリーダが思いのほか真面目な顔でわたしを見つめる。 唉,地輕輕嘆了一口氣的芙莉妲用出乎意料的認真表情凝視著我。
「上流貴族の奥さまやお嬢様は、隙間なく刺繍がされた色鮮やかなヴェールをまとうことがあるし、魔術で時を留めた本当の花を飾りにすることもあるわ。でも、これのように形のある飾りを付けたことはないの」「上流貴族的太太或小姐,有會裹上被刺上毫無縫隙的刺繡且色彩鮮艷的面紗,有將用魔術留住時光的真正的花作為裝飾。但是,不會像是這樣配戴有形體的裝飾」
贅沢品を使う貴族が魔術を使うから、こういう飾りが発達しなかったのではないだろうか。 使用奢侈品的貴族因為使用魔術,所以這種裝飾不會不發達嗎。
むーんと唸るマインにフリーダは、この飾りのどこが素晴らしいのかと語る。 芙莉妲對唔嗯地呻吟的瑪茵,訴說了這個裝飾的哪裡令人感嘆嗎。
「刺繍をあしらった布は、この家にもたくさんあるけれど、立体化されたものはないのよ。糸だけで作られたこの立体的な赤い花は、とても画期的なの」「能用作刺繡的布,雖然說在這個家也有很多,但沒有被立體化的東西唷。只用絲線被製做的立體的紅色的花,是非常劃時代的」
そこまで言われて、初めてわかった。ベンノが半額にする必要はなかったと言った意味が。これはいわゆる新技術に等しいのだ。完全に悪目立ちしている気がする。 被說到了那裡,才第一次明白。班諾所說沒有作為半價的必要的意義。這個等於是所謂的新技術。感覺完全就是過分突出了。
もしかして、わたし、結構まずいことしちゃった? 難道,我,做了相當糟糕的事情?
さぁっと血の気が引いていくわたしの手をフリーダがぎゅっと握った。 芙莉妲將突然臉色發白的我的手緊緊握住。
「マインは意外と知らないことも多いのね? だったら、わたくしが色々な事を教えてあげるわ。だから、今度はお仕事じゃなく、お喋りに来てほしいの。たっぷり甘いお菓子お準備しておくから、女の子同士のお喋りを楽しみましょうよ」「瑪茵意外地不知道的事情很多呢? 這樣的話,我來教妳各式各樣的事情吧。所以,這一次不是工作,希望能來聊天。因為會事先準備滿滿的甜的點心,來期待女孩子之間的聊天吧」
「あぁ、それは……」「啊,那個……」
楽しみだ、と答える前に、くんっと髪が引っ張られた。思わず振り向くと、ルッツが険しい顔で、首を横に振っている。 在回答,很期待之前,頭髮被迅速地拉扯。不由得轉過頭去時,路茲用嚴峻的表情,把頭左右搖著。
うっ、危ない。うっかり女の子同士のお喋りに同意してしまうところだった。 嗚,好危險。一不留神就同意女孩子之間的聊天了。
うっかり同意してしまうと、ルッツもベンノも排除される危険性がある。何と答えればいいのかわからなくて言葉に詰まったわたしの代わりに、ルッツが口を開く。 一不留神就同意的話,有路茲跟班諾都被排除的危險性。代替不知道該怎麼回答才好而頓時語塞的我,路茲開口了。
「これからは忙しいから、残念だけど、あまり遊びに来る余裕はないな」「因為之後會很忙碌,雖然很遺憾,但沒有太常來玩的餘裕唷」
「あら、あなたには聞いてませんけど?」「啊啦,雖然沒有問你?」
ニコリと笑ったまま、フリーダはそう言ったけれど、わたしの外出なんて、基本的にルッツ次第だ。 仍舊微微地笑著,雖然芙莉妲那樣說,但我的外出什麼的,基本上是要看路茲。
「マインはオレがいない状態で外出するのを、家族にさえ止められているんだ。オレがいないで、マインがここに来ることはない」「瑪茵因為我不在的狀態而要外出,是會被家人給阻止的。因為我不在,瑪茵不能來這裡」
「……あぁ、そうでしたわね。でしたら、仕方ありませんわ。ルッツも一緒にいらっしゃい」「……啊,是那樣的呢。那樣的話,就沒辦法了喔。路茲也一起歡迎」
身食いという病気持ちだったからだろう。フリーダはすぐにわたしの状況を理解したように頷いた。 是因為擁有名為身噬的疾病吧。芙莉妲馬上像是理解了我的狀況而點頭。
しかし、ルッツは頷かない。お断りの態度を崩そうとはしない。 但是,路茲沒有點頭。沒有要鬆懈拒絕的態度。
「だから、忙しいんだって」「所以,是很忙碌的」
「忙しいというのは?」「所謂忙碌是?」
「冬支度が本格的に始まるんだ。冬を乗り切るために家族総出で準備するんだから、お喋りのために出かける余裕なんて、本当にないんだよ。それに、雪が降り始めたら、外には出られなくなるだろう?」「過冬準備要正式開始了。因為為了度過冬季要以家族全體出動做準備,為了聊天而出門的餘裕什麼的,真的沒有唷。而且,開始下雪的話,就變得不能來到外面了對吧?」
そう、お金で全ての薪が買えるフリーダの家と違って、大量の薪を準備したり、ろうそくを準備したり、冬支度はとても大変だ。 沒錯,跟用錢買下全部的木柴的芙莉妲家不同,是要準備大量的木柴,又是要準備蠟燭,過冬準備是非常辛苦的。
フリーダも冬支度の大変さを知らないわけではないようで、それ以上誘うことはなく、肩を落とした。 芙莉妲似乎也並不是不知道過冬準備的辛苦,沒有再繼續邀請,垂下了肩膀。
「……春まで無理ということですか」「……是說到春天為止都不行嗎」
「春になれば、フリーダが見習いになっているでしょう? 大丈夫?」「到了春天的話,芙莉妲就成為了實習了對吧? 不要緊嗎?」
「それは大丈夫ですわ。見習いの仕事は毎日あるわけではありませんもの。春になったらお菓子をたっぷり準備するから、遊びにいらして」「那個不要緊喔。實習的工作並不是每天都有的東西。到了春天的話因為會準備滿滿的點心,歡迎來玩」
春になったら、わたし達が紙作りで忙しくなるかもしれないけれど、ベンノがギルド長に隠しているようなので、口を滑らせることはできない。 雖然說到了春天的話,我們搞不好會因為造紙而變得很忙碌,但因為班諾好像隱瞞了公會長,不能說溜嘴。
うん、と大きく頷きながら、わたしはルッツを見た。 一邊嗯,地大大點著頭,我一邊看著路茲。
「そういえば、ルッツは甘い物にあんまり反応しなかったね? いつもなら、食べ物にはすぐに飛びつくのに、なんで?」「這麼說來,路茲對甜的東西沒太大的反應呢? 如果是平時,明明會對食物馬上飛過來,為什麼?」
「ベンノの旦那によく見てろって言われたし、マインが作るパルゥケーキや料理の方がおいしいからな。たまのお菓子より、いつもの料理だ。マインを取りこまれる方が困る」「因為被班諾老闆說要好好看著,而且瑪茵製做的葩乳蛋糕料理還比較好吃呢。比起偶爾的點心,還是平常的料理。把瑪茵拿走還比較困擾」
いつもお腹を空かせているルッツには、たまに食べる甘いお菓子より、普段の食生活の充実の方が重要らしい。だったら、また新しいレシピを持って、ルッツの家に行った方が良いかもしれない。 對總是空腹的路茲來說,比起偶爾吃到的甜的點心,似乎還是平常的飲食生活的充實重要。這樣的話,又要帶新的食譜,去路茲的家還比較好也說不定。
「あら? パルゥケーキなんて、初めて聞くわね。マインが作ったお菓子なら、わたくしも食べてみたいわ」「啊啦? 葩乳蛋糕什麼的,第一次聽到呢。如果瑪茵會製做點心,我也想吃看看喔」
「え? それは、ちょっと……」「咦? 那個,有點……」
さすがにこんな家のお嬢様に、鳥の餌にされているパルゥの搾りかすを使ったお菓子なんて出せない。じいちゃんが青筋立てて怒るだろうし、栄養管理しているはずの料理人さんがひっくり返ると思う。 畢竟對這種家庭的大小姐,使用被作為雞飼料的葩乳的果渣的點心什麼的拿不出來。我想老爺爺會豎起青筋生氣的吧,應該做營養管理的廚師先生會摔倒。
「ルッツは良くて、わたくしはダメだとおっしゃるの?」「路茲真好,說是我不行?」
悲しげに眉を寄せられると、苛めているみたいで、こちらが慌てるけれど、パルゥケーキはお嬢様に出せるものではない。 由於悲哀地皺起了眉毛後,很像欺負著,雖然說這邊很驚慌,但葩乳蛋糕不是能拿出給大小姐的東西。
「材料が材料だから……フリーダみたいなお嬢様には出せないんだよ」「因為材料是材料……不是能對像是芙莉妲般的大小姐拿出來的唷」
「ルッツばかりずるいですわ」「淨是路茲好狡猾喔」
フリーダが拗ねた。唇を尖らせて拗ねた。 芙莉妲鬧彆扭了。嘟起嘴唇鬧著彆扭。
そんなに可愛く拗ねられても、無理な物は無理だ。ウチにはフリーダに食べさせられそうな食材なんてない。 就算被那麼樣地可愛鬧著彆扭,不行的東西就是不行。在我家沒有好像能被芙莉妲吃的食材什麼的。
それに、お菓子を作るには人手がいる。わたしができる作業なんて、実はほとんどない。ルッツの家で新作レシピの披露が多いのは、食べるためなら労力を惜しまない男の子が4人もいるからだ。 而且,製做點心要有人手。我辦得到的作業之類的,其實幾乎沒有。在路茲的家新作食譜的公布很多,是因為如果是為了吃而不惜勞力的男孩子有4個人。
材料と人手がないとお菓子なんて作れない。現身食いのわたしはもちろん、元身食いのお嬢様のフリーダに腕力や体力を期待する方が間違っている。 沒有材料跟人手的話是做不了什麼點心的。現任身噬的我不用說,對原身噬的大小姐的芙莉妲期待腕力或體力更是搞錯了。
「……えーと、じゃあ、今度、春になったら、この家の材料で一緒にお菓子作りしようか? ここの料理人さんにも手伝ってもらって。それなら、材料の心配をする必要もないし、作れる人もいるし、家族の方も安心でしょ? どう?」「……呃,那麼,這一次,春天的話,要用這個家的材料一起製做點心嗎? 也請這裡的廚師來幫忙。若是那樣,就不需要擔心材料,也有製做的人,家人那邊也會安心的吧? 如何?」
「まぁ、素敵! 約束ですわよ」「哇,好棒! 約定了唷」
一緒にお菓子作りすることで決着がついた時、ドアがノックされてギルド長とベンノが入ってきた。 因一起製做點心而收尾的時候,門被敲了而公會長跟班諾進來了。
「おい、そろそろいいか? 帰るぞ」「喂,差不多好了吧? 回去吧」
「はい。あの、ベンノさん。このお金……」「好的。那個班諾先生。這個錢……」
フリーダからもらった報酬は小銀貨6枚、大金だ。正直、自分で持っているのは怖い。ベンノに差し出して預かってもらおうとしたら、ベンノはギルド長に声をかけた。 從芙莉妲那裡收到的報酬是小銀幣6枚,是鉅款。老實說,自己拿著很可怕。打算遞出去請班諾保管之後,班諾對公會長打了聲招呼。
「悪いが、少し応接室を借りていいか? 帰る前に精算を終わらせてしまいたい」「不好意思,但可以稍微借一下接待室嗎? 想要在回去之前結束結算」
「あぁ、無理を言って連れてきたのは、こちらだ。使ってくれ」「啊,難為了帶過來的,是這邊。去用吧」
応接室から、ギルド長とフリーダが出ていくのを待って、ベンノが小銀貨を受け取り、テーブルの上に並べ始めた。 等待公會長跟芙莉妲,從接待室裡面離去,班諾收下小銀幣,開始排列在桌子上。
「材料費と手数料を引いた小銀貨3枚が、お前達の取り分だ。2個目を半額になんてしなかったら、小銀貨があと2枚は手に入ったのにな」「扣掉材料費跟手續費是小銀幣3枚,是你們的應得份。沒有將第2個做為半價之類的話,明明小銀幣還能得到2枚呢」
「……これで十分ですよ。髪飾り一つでこれ以上儲けたら、次の安売りする髪飾りを作るのが嫌になります」「……這樣就很足夠了唷。因髮飾一個賺超過這個的話,製做下個廉價的髮飾會變得很討厭」
わたしの言葉にフンとベンノが鼻を鳴らし、財布を取り出した。 班諾對我的話語讓鼻子哼了一聲,拿出了錢包。
「金はどうする? 全部持って帰るか?」「錢要怎麼辦? 全部帶回去嗎?」
「小銀貨1枚は商業ギルドに預けて、大銅貨5枚を持ち帰ります」「小銀幣1枚寄放商業公會,把大銅幣5枚帶回去」
「オレも」「我也是」
そう言うのがわかっていたように、ベンノはギルドカードと大銅貨を取り出した。 好像那樣說就明白了,班諾拿出了公會卡片跟大銅幣。
カードを合わせて、精算を終え、大銅貨5枚をハンカチに包んで、トートバッグに入れる。 合併卡片,結束結算,將大銅幣5枚包進手帕裡,放入手提包內。
「ギルド長が馬車で商業ギルドまで送ってくれると言っている。乗って行け」「公會長說了要用馬車送到商業公會。去搭乘吧」
「ベンノさんは?」「班諾先生呢?」
「店まで歩く。あの馬車は狭いからな。明日の午後、店に来い。糸が届く予定だ。値段も決めないといけないからな」「走到店為止。因為那個馬車太狹窄了。明天的下午,過來店裡。是絲線到達的預定。因為價錢也不決定不行呢」
「はい」「好的」
ギルド長と何の話し合いをしたのだろうか。ベンノの警戒心が、先程までとは違ってかなり薄れているようだった。 是跟公會長協商著什麼嗎。班諾的警戒心,跟剛才為止不一樣好像是相當稀薄。
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無事に髪飾りの納品が終わりました。 平安無事地髮飾的交貨結束了。
冬の洗礼式でフリーダが注目されること、間違いなしです。 在冬季的洗禮式上芙莉妲被關注,是肯定的。
次回は冬の手仕事と冬支度です。 下回是冬季的手工跟過冬準備。