萬葉集 卷四 607 (作者:笠女郎)
皆人乎 宿與殿金者 打禮杼
君乎之念者 寐不勝鴨
みなひとを ねよとのかねは うつなれど
きみをしおもへば いねかてぬかも
鐘聲鳴 促人睡 吾思卿 豈能寐
萬葉集 卷十 2301 (作者:不詳)
忍咲八師 不戀登為跡 金風之
寒吹夜者 君乎之曾念
よしゑやし こひじとすれど あきかぜの
さむくふくよは きみをしぞおもふ
欲與卿絕 永矢弗諼
蕭蕭金風 瑟瑟寒夜
孤悵寂寥 不免思卿
拾遺和歌集 卷十六 雜春歌 1006 (作者:菅原道真)
東風吹かば 匂ひおこせよ 梅の花
主なしとて 春を忘るな
こちふかば にほひおこせよ うめのはな
あるじなしとて はるをわするな
梅花綻放滿枝條 東風輕拂寄芬芳
且盼莫忘春明媚 此去西行路茫茫
古今和歌集 卷九 羈旅歌 406 (作者:阿倍仲麻呂)
百人一首 七 阿倍仲麻呂
天の原 ふりさけ見れば 春日なる
三笠の山に 出でし月かも
あまのはら ふりさけみれば かすがなる
みかさのやまに いでしつきかも
舉目望天闕 蒼穹浩無絕
皎皎玉盤懸 春日三笠月
古今和歌集 卷二 春歌下 113 (作者:小野小町)
百人一首 九 小野小町
花の色は 移りにけりな 徒に
わが身世にふる ながめせしまに
はなのいろは うつりにけりな いたづらに
わがみよにふる ながめせしまに
櫻色今朝已褪 細雨連綿不頓
徒枉度餘生 遲暮卻遺方寸
休恨 休恨 垂首靜思消悶
新古今和歌集 卷十三 戀歌三 1149 (作者:高階貴子)
百人一首 五四 儀同三司母
忘れじの 行く末までは 難ければ
今日を限りの 命ともがな
わすれじの ゆくすゑまでは かたければ
けふをかぎりの いのちともがな
你說永遠牢牢記 但我清楚這沒戲
所以我祈求上帝 乾脆今天讓我去
千載和歌集 卷十七 雜歌中 1151 (作者:藤原俊成)
百人一首 八三 皇太后宮大夫俊成
世の中よ 道こそなけれ 思ひ入る
山の奥にも 鹿ぞ鳴くなる
よのなかよ みちこそなけれ おもひいる
やまのおくにも しかぞなくなる
茫茫浮世盡哀苦 環顧四方覓無途
遠遁深山圖幽靜 卻聞群鹿鳴嗚嗚
新敕撰和歌集 卷八 羈旅歌 525 (作者:源實朝)
百人一首 九三 鎌倉右大臣
世の中は 常にもがもな 渚漕ぐ
海士の小舟の 綱手哀しも
よのなかは つねにもがもな なぎさこぐ
あまのをぶねの つなでかなしも
世間有情願長久 漁父破浪撐小舟
停泊引繩尋常景 肺腑感懷難自休
續後撰和歌集 卷十七 雜歌中 1202 (作者:後鳥羽天皇)
百人一首 九九 後鳥羽院
人も惜し 人も恨めし 味気なく
世を思ふ故に 物思ふ身は
ひともをし ひともうらめし あぢきなく
よをおもふゆゑに ものおもふみは
人可憐亦可恨兮 此間百無聊賴
思塵世之庸俗兮 吾沉吟之軀也