創作內容

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第一部士兵的女兒 班諾的説教

作者:SPT草包│2017-07-20 21:57:07│巴幣:2│人氣:401
本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~
以下犯上的書癡~為了成為圖書管理員而不擇手段~
作者:香月美夜
第一部兵士の娘 ベンノのお説教
第一部士兵的女兒 班諾的説教
原文連結

 神殿長と神官長、二人の目がギラギラしていることに、及び腰になってしまう。思わず顔を引きつらせたわたしに気付いたのか、神官長が聖典を持ってきた。
 神殿長與神官長,對兩個人的眼睛閃閃發光這件事,變得膽怯了。是注意到不由得抽蓄著臉的我嗎,神官長將聖典拿了過來。
 ルッツの迎えが来るまで、聖典を読んでもらうことになって、さっきと同じように膝の上で色々と教えてくれるのは嬉しいが、妙な圧力を感じるというか、非常に逃げ出したい気分になる。
 直到路茲來迎接為止,變成接受閱讀聖典,雖然像是跟剛才一樣在膝蓋上教導了各式各樣的很高興,但該說是感受到奇妙的壓力嗎,變成了非常想逃出去的氣氛。

「マインを迎えに来たという、ルッツと名乗る少年が門に来ています」
「說是來迎接瑪茵,自稱路茲的少年來到門口了」

 灰色の神官が部屋に入ってきたのは5の鐘が鳴り響いてから少したってからのことだった。待ちわびた迎えがやってきたことにわたしはホッと胸を撫で下ろす。
 灰色的神官進來了房間是從5之鐘響起稍微經過後的事情。因焦慮等待的迎接終於來了我呼地鬆了一口氣。

「ルッツが来てくれたの? じゃあ、わたし、帰らなきゃ。神殿長、神官長、今日は長々とお世話になりました」
「路茲來了嗎? 那麼,我,必須回去了。神殿長,神官長,今天多謝你們長久的關照」
「では、マイン。これをご両親に渡してほしい」
「那麼,瑪茵。希望將這個教給妳雙親」

 手渡されたのは招待状だった。神殿長からの招待状なんて断ることができない召喚状と同じだ。示された日時は明後日の3の鐘の時間だった。コクリと息を呑んで、わたしはその木札を受け取った。
 被遞交的是邀請函。來自神殿長的邀請函之類的無法拒絕是跟傳喚信一樣。被標示的日期是後天的3之鐘的時間。咕嚕地吞了一口氣,我收下了那個木牌。

「ルッツ~! 迎えに来てくれてありがとー!」
「路茲~! 謝謝你過來迎接!」
「な、なんだ!?」
「什、什麼!?」

 神殿を出たところで待っていてくれたルッツを見た瞬間、何とも言えない安堵感が広がっていく。感情のままにギュッと抱きついて感謝感激を表現すれば、少しよろけたけれど、ルッツは転ぶこともなく持ちこたえてくれた。
 看到在走出神殿的地方正等待著的路茲的瞬間,無法言說的安心感逐漸擴散。任由感情緊緊地抱緊表現出感謝感激的話,雖然說有點踉蹌,但路茲沒有跌倒撐著我。
 ルッツの肩の辺りに頭をぐりぐり押し付けていると、ルッツは溜息を吐いた。
 將頭在路茲的肩膀附近來回按壓後,路茲嘆了一口氣。

「もしかして、また何かやらかしたか?」
「難道,又幹了什麼了嗎?」
「……多分、やらかした。自分が何をやったかわからないけど、最大級の自爆っぽいことをやらかした気がする」
「……大概,幹了吧。雖然自己不知道幹了什麼,但感覺幹了最大級的自爆般的事情」

 ポンポンとわたしの頭を軽く叩いていたルッツがニッコリと笑った。
 碰碰地輕輕敲打著我的頭的路茲微微地笑了。

「旦那様も血管浮き立たせた笑顔で待ってるぞ」
「老闆也用浮起血管的笑容等待著喔」
「え?……もうおうちに帰っていいかな? 今日は疲れちゃって」
「咦?……已經可以回家去了吧? 今天很累了」
「首根っこ引っ掴んでも連れて来いって言われてるし、今のマインの顔色ならまだ大丈夫だ」
「被說了即便抓住後頸也要帶過來,如果是現在的瑪茵的臉色還不要緊的」
「あああぁぁぁぁ……」
「啊啊啊……」

 神殿ですでに神経をすり減らしたのに、ベンノのお説教フラグに突っ込んでいくしかないなんて。味方だと信じていたルッツに裏切られた気分だ。
 明明在神殿已經磨損了神經,卻只能闖進去班諾的說教旗什麼的。是被相信是同伴的路茲背叛的心情。

 ドナドナされる子牛の気分でベンノの店に連れていかれると、ベンノは待ち構えていたようで、すぐに奥の部屋へと通された。
 以被待宰小牛的心情被帶去了班諾的店,般諾似乎正等待著,馬上被通往深處的房間。
 いつもの席に座るように言われて座ると、正面にベンノ、ベンノの後ろにマルクが立ち、ルッツはわたしの隣ではなく、ベンノの隣寄りにいる。
 被說了像是坐在老位子上坐下後,班諾在正面,班諾的後面站著馬爾克,路茲不在我的隔壁,是靠近在班諾的隔壁。

「久し振りだな、マイン」
「好久不見了呢,瑪茵」
「……はひ」
「……是地」
「さて、言いたいことは山ほどあるが……」
「接下來,雖然想說的事情有像山一樣……」

 これから出てくる話が非常に長くなりそうで、わたしは身を固くする。ベンノはゆっくりと息を吐いて、口を開いた。
 這之後出來的話題好像會變得非常地長,我整頓身形。班諾緩緩地吐露氣息,開口了。

「俺の話の前にコリンナからの伝言だ。洗礼式で着ていた晴れ着や髪飾りを見せてほしいと言ってた。ずいぶん変わった衣装だったな。かなり人目を引いていたぞ。何を考えてあんな衣装にしたんだ?」
「在我的說話之前是來自柯琳娜的傳話。說了想要看看在洗禮式上穿著著的盛裝跟髮飾。是十分奇怪的服裝呢。相當引人注目喔。是想些什麼而做了那種服裝的?」
「トゥーリのお下がりをお直ししただけですよ。意味なんてありません。わたしは見せるくらい別に構わないんですけど、衣装の持ちだしに関しては作った母に聞いてみないとわかりません」
「只是將圖麗的二手衣做了修改唷。沒有什麼意義。雖然我並不在意宛若展示,帶有關帶服裝出來不試著問過製作的母親就無法知道」
「そうか。なら、聞いておいてくれ」
「是嗎。那麼,就先去問吧」

 ベンノは軽くそう言った後、テーブルの上で手を組んで、やや身を乗り出すようにして、じろりとわたしを見据えた。
 班諾輕巧地那樣說了之後,在桌子上交叉著手,做出像是微微探出身子,銳利地直盯著我看。

「さぁ、洗いざらい吐いてもらおうか。神殿で何があったかによって、お前の今後の扱いを考えなければならないからな」
「好了,要毫不隱瞞地吐露嗎。因為必須要根據在神殿發生了什麼,來思考妳今後的對策呢」
「え? ルッツから聞いてるんじゃ?」
「哎? 沒從路茲那聽過嗎?」

 洗礼式から数日がたっている。とっくにルッツから話を聞いていると思っていたけれど、ベンノは聞いていないらしい。
 自洗禮式後經過了數天。雖然說早已認為從路茲那聽過了,但班諾似乎沒聽過。

「人伝の情報はどうしても歪む。当人に聞ける機会があるのに、わざわざルッツに聞く必要はないだろう? それに、敢えて隠している情報があるかもしれないからな」
「人傳播的情報無論如何都會扭曲。明明有能問當事人的機會,沒必要特意問路茲對吧? 而且,因為說不定有膽敢隱瞞著的情報呢」

 獲物を見つけた猛獣のような目に、ぅひっと小さく息を呑んだ。これは追及の手が厳しそうだ。
 對好像發現獵物的猛獸的眼睛,唏地小小喘不過氣。這個追究的手似乎很嚴苛。

「……どこから話せばいいですか?」
「……要從那裡說才好呢?」
「洗礼式で倒れた後だ。ルッツと別行動になってからのことを、隠し事なく、話せ」
「是在洗禮式倒下之後。從變成跟路茲個別行動的事情,沒有隱瞞的事情,快說」

 倒れて、水場を探して迷子になって、貴族スペースに入り込んでしまった。そこで巫女に拾われて、図書室を発見した話をすると、ベンノが驚いたように軽く目を見張った。
 倒下,變成尋找水源處的迷路小孩,進入到貴族領域。說到在那裡被巫女撿到,發現圖書室後,班諾像是事驚訝地輕輕睜大了眼睛。

「図書室? そんなものが神殿にあったのか……」
「圖書室? 那種東西在神殿裡有嗎……」
「ベンノさんも知らなかったんですか?」
「班諾先生也不知道嗎?」
「貴族が使う場所にふらふら迷い込むような危険な真似、普通のヤツはしないんだ。自分の間抜けさ加減を自覚しろ。自分から危険に踏み込んでどうする?」
「搖搖晃晃陷入迷途貴族所使用的地方般的危險模仿,普通的傢伙是做不到的啊。自己的愚蠢多少自覺一下。因為自己而踏進了危險要怎麼辦?」
「ぅぐぅ……」
「咕……」

 確かに、普通の人が出入りする場所ではなかったので、ベンノの意見は完全に正しい。迷い込んだことで図書室を見つけたのだから、わたしとしてはかなり嬉しいことだったけれど。
 的確,由於不是普通的人進出的地方,班諾的意見完全正確。雖然說因為陷入迷途而發現圖書室,作為我是相當高興的事情。

「その巫女さんに神殿関係者以外は図書室に入れないって言われたので、手っ取り早く巫女見習いになろうと思って、許可を出してくれる神殿長に直訴しました」
「由於被那個巫女小姐說了神殿關係者以外不能進入圖書室,想著要直接了當成為實習巫女,就直接上訴能給出許可的神殿長了」
「少しは頭を使え! この考え無し!」
「稍微用點腦子! 這個無腦笨蛋!」
「いらい、いらいっ!」
「好動,好動!」

 身を乗り出したベンノに両の頬をぐにっとつねられる。マルクとルッツは当然の顔をして、助けてくれなかった。
 被探出身子的班諾使勁地抓住兩邊的臉頰。馬爾克與路茲做出當然的表情,沒有給予幫助。
 ひりひりする頬を押さえるわたしに、ベンノは不機嫌そうな顔で先を促す。
 對壓著火辣辣的臉頰的我,班諾用不愉快的表情催促後續。

「それで? 許可は出たのか?」
「然後呢? 許可發出了嗎?」
「両親の許可と寄付があれば、見習いにしてくれるって言われました」
「被說了有雙親的許可跟捐獻的話,就能給予做為實習」
「寄付? したのか?」
「捐獻? 做了嗎?」

 ベンノがくっと眉を寄せて、厳しい顔つきになる。わたしが考え無しに寄付をして、許可を得られなかったことを心配している顔だとすぐにわかった。
 班諾用力皺起眉毛,變成了嚴峻的相貌。能明白是在擔心著我毫無考慮地做了捐獻,卻沒有獲得許可的表情。
 ベンノを安心させるため、わたしはグッと胸を張って答える。
 為了讓班諾安心,我使勁地挺起胸口回答。

「いえ、まだです。大まかな本の値段と自分が持っている貯金を考えた結果、図書室の利用料として、大金貨1枚までなら出せるかなぁって話をしただけで、まだ寄付はしてません。さすがに入れると決まっていないのにお金を払うほど、わたしだってバカじゃないんです」
「不,還沒。考慮到粗略的書本價格與自己所擁有的存款結果,作為圖書室的利用費,就只是說了如果只到大金幣1枚能不能拿出來呢,還沒有做捐獻。畢竟明明還沒有決定要進去卻支付了金錢般,我也不是個笨蛋」

 安心させるつもりだったのに、ベンノを初め、マルクもルッツも頭が痛いと言わんばかりに頭を抱えて、肩を落とした。
 明明是打算讓他們放心,最初是班諾,馬爾克跟路茲也幾乎是在說頭好痛而抱著頭,垂下了肩膀。

「金額がバカバカしすぎて、言葉にならんぞ」
「金額愚蠢過頭了,成不了話語喔」
「お陰で扱いはよかったですけど……」
「雖然托福而對待得很好……」
「当たり前だ!」
「那是當然的!」

 高額の寄付だろうとは思っていたが、どうやら、大商人が頭を抱えるくらい、わたしが提示した寄付の金額は高額だったようだ。
 雖然有想過是鉅額的捐獻吧,但看來,宛如大商人抱頭煩惱,我出示的捐獻金額好像是鉅額。

「それで、家に帰って両親に話したら、神官や巫女は孤児がなるものだからダメだってすごく怒られました」
「還有,回家跟雙親說了之後,說了神官或巫女是當了孤兒的東西所以不可以而非常生氣」
「それはそうだろう」
「那是當然的吧」
「神官長は貴族の子もいるって言ってたんですけどね」
「雖然神官長有說過也有貴族的孩子」

 父が怒る理由がよくわからなくて首を傾げていると、ベンノがガシガシと頭を掻きながら、神官について説明してくれた。
 不太明白父親憤怒的理由而歪頭不解時,班諾一邊猛烈地搔著頭,一邊就神官給予了說明。

「神官や巫女には青い衣装と灰色の衣装がいただろう?」
「神官或巫女有著藍色服裝跟灰色的服裝對吧?」
「はい」
「是的」
「青い服を着ているのが貴族で、灰色が孤児だ。青の神官や巫女の従者や下働きとして、給料もなく奴隷のようにこき使われて、神殿で働いているのが灰色の神官や巫女だ」
「穿著藍色衣服的是貴族,灰色是孤兒。作為藍色的神官或巫女的隨從或雜役,像是沒有薪水的奴隸被驅使著,在神殿工作的是灰色的神官或巫女」
「っ!?」
「!?」

 色の違いは見習いと正式な神官くらいの差だと思っていたが、まさかそんな違いだったとは思わなかった。
 雖然有想過顏色不一樣是宛若實習跟正式的神官的差別,但沒想到竟是如此的不一樣。

「貴族ではないお前が神殿に入るとすれば、灰色の巫女見習いになる。親が許すわけがないだろう」
「不是貴族的妳進入神殿的話,會成為灰色的實習巫女。父母不會允許的對吧」

 わたしはコクリと頷いた。父が激昂した理由がわかった。それは間違いなくわたしにできる仕事ではないし、娘ラブな父が神殿入りを嫌悪するわけだ。
 我輕微地點頭。明白了父親激動的理由。那肯定不是我能做的工作,是寵愛女兒的父親厭惡進入神殿的理由。

「それで、今日は断りに行くとルッツは言っていたが、お前、本当に断れたのか?」
「於是,雖然路茲說過今天是要去拒絕,但妳,真的拒絕了嗎?」
「……えーと、身食いことを話したら、礼拝堂の石像が抱えている金の聖杯みたいなものを持ってこられて、触ったら光ったので、両親への招待状をいただいてしまいました」
「……呃,說了身噬的話之後,將像是禮拜堂的石像所抱著的金色的聖杯般的東西拿了進來,由於碰了之後發光了,收下了給雙親的邀請函」

 こめかみを揉みほぐすようにグリグリと指先で刺激しながら、ベンノが大きく溜息を吐いた。
 一邊像是揉開太陽穴般用指尖用力繞圈地刺激著,班諾一邊大大嘆了一口氣。

「……これは完全に取りこまれるな。延命できる事を喜んでおくしかない。お前は運が良い」
「……這完全是被收入囊中了呢。就只有高興於能延命這件事。妳運氣很好」
「えーと?」
「呃?」

 神殿に取りこまれるのに運が良いと言われて、わたしは首を傾げた。意味がわからないわたしを放置して、ベンノは何やら考え込んでいる。
 明明被神殿收入囊中卻被說運氣很好,我歪頭不解。將不明白意義的我放置著,班諾總覺得正在沉思著。
 くっと顔を上げたベンノが真剣な目でわたしを見据えた。
 用力抬起頭的班諾用認真的眼神直盯著我。

「マイン、契約魔術を交わす気はないか? お前が作った物はこちらで取り扱うと」
「瑪茵,沒有交換契約魔術吧? 妳所製作的東西要在這裡處理」
「……どうしてですか?」
「……是為什麼呢?」

 いきなり契約魔術などという言葉が出てきて、わたしは思わず警戒してしまう。ベンノは顎を撫でながら、わたしを見た。
 突然說出所謂契約魔術的話語我不假思索地警戒著。班諾一邊撫摸下巴,一邊看著我。

「今すぐのことにはならなくても、お前は確実に貴族に取りこまれる。貴族を牽制するなら、契約魔術は必須だ」
「就算不會變成立即的事情,妳確實被貴族收入囊中了。如果要牽制貴族,契約魔術是必要的」
「……もしかして、最初の契約魔術の時から、貴族に取りこまれると思っていたんですか?」
「……莫非,從最初的契約魔術的時候,就有想過會被貴族收入囊中了嗎?」
「いや、あの時はただの保険のつもりだった。お前がどんな子供かもよく知らなかったから、きっちりと線引きしたいというのが一番強かった。……ただ、身食いかもしれない可能性はあったからな。マインが生き延びるには貴族と契約することになる。契約した貴族を黙らせるには効果的だとは思っていた」
「不,那個時候只是保險的打算。因為還不是很了解妳是怎樣的小孩,所謂想要好好規劃是最強烈的。……只是,因為有可能是身噬的可能性呢。瑪茵要死裡逃生就會變成與貴族做契約。我認為要讓做了契約的貴族沉默是有效果的。」

 とても対等とは言えないわたしやルッツと契約魔術を交わしたのは、貴族が出てくることを想定していたからだったらしい。
 跟無法說是非常對等的我或路茲交換契約魔術,似乎只是因為假定了貴族會出現。

「わたし、貴族と契約なんてしませんけど?」
「我,不會跟貴族契約什麼的就是了?」
「今までは貴族と接触しなかったから、お前の意思だけで何とかなったが、神殿に取りこまれたら無理だ。取りこまれることを前提に行動しろ。これだけ商品を生み出せる身食いを取りこもうとしない貴族はいないはずだ。今は特に、な」
「因為至今沒有跟貴族接觸,雖然只能依妳的想法來設法,但被神殿收入囊中就不行了。要以被收入囊中為前提做行動。應該沒有不會將產生出這些商品的身噬收入囊中的貴族。特別是現在,呢」
「今はってどういうことですか?」
「你說現在是怎麼一回事啊?」

 これは最近になってようやくこちらに回ってきた情報だが、と前置きしながら、ベンノはわずかに声をひそめた。
 一邊以那是到了最近才終於轉到這邊來的情報、為前置,班諾一邊微微地壓低了聲音。

「ここの領主は中立というか、我関せずという態度を貫いたから、余波は少なかったが、もっとでかい領地は中央の政権争いに相当巻き込まれたらしい。大規模な粛清が行われ、貴族の数が激減したと聞いた」
「這裡的領主因為貫徹該說是中立嗎、還是於我無關的態度,而於波很少,但更大的領地似乎相當捲入了中央的政權爭鬥裡。實行了大規模的肅清,聽說貴族的數量銳減了」
「え?」
「咦?」

 いきなり物騒な話になった。歴史の知識を引っ張り出してみるが、そもそも今がどの辺りの時代になるのか、これから先にどのような展開が待っているのか、すぐに察することができない。情報もないし、俯瞰して見ることもできない渦中のわたしには全くわからないのだ。
 突然變成了騷動不安的話題。試著抽出歷史的知識,但說到底現在變成了哪個附近的時代呢,今後在等待著怎樣的展開呢,無法馬上推測。是也沒有情報、也做不到俯視而看的漩渦中的我完全不知道的。

「当然、激減した貴族の穴を埋めるために、傍系を探したり、養子縁組をしたり、結婚が増えたり、と新しい繋がりや利権を求めて、人も金も物も動き始めた。人数がいないんだから、今までは厄介者のように神殿に放り込まれていた青い神官や巫女が大量に貴族社会へと戻っていくことになる。そうなると、神殿がどうなるかわかるか?」
「當然,為了掩埋銳減的貴族的坑,又是尋找旁系,又是做結成養子,又是結婚增加,那些尋求新的聯繫或利益權,不論人還是錢或物品都開始流動了。變成因為人數不夠了,而至今像是食客般被放入進去的藍色神官或巫女大量地回歸往貴族社會去。神殿會變成怎樣知道嗎?」

 ベンノにじろりと睨まれて、わたしは首を傾げた。マルクやルッツに助けて、と視線を送ってみたが、マルクからは澄ました微笑み、ルッツからは同じように首を傾げる反応しか返ってこない。
 被班諾銳利的瞪著,我歪頭不解。雖然試著向馬爾克或路茲放送、求助般的視線,但來自馬爾克的是清澈的微笑,來自路茲的只有回覆一樣般歪頭不解的反應。

「えーと、貴族がいなくなって困ることって、何かあるんですか? 神殿の仕組みや仕事さえわからないわたしには思い浮かばないんですけど。灰色の神官達をこき使う人が減るならいいんじゃないですか?」
「呃,要說變得沒有貴族而困擾,會發生什麼呢? 連神殿的構造和工作都不知道的我什麼都想不出來就是了。如果驅使灰色的神官們的人減少不是很好嗎?」
「まず、寄付が減る。それから、孤児達を使うヤツが減るんだから、孤児が仕事にあぶれる。孤児達は生きることすら困難になる」
「首先,捐獻會減少。那之後,因為使用孤兒們的傢伙減少,孤兒多出於工作。孤兒們連生存都變得困難」
「大変じゃないですか!」
「這不是很嚴重嗎!」

 わたしが思わず叫ぶと、ベンノは溜息混じりに首を振った。
 我不假思索地大叫後,班諾參雜著嘆息搖了搖頭。

「もっと大変な事がある。お前が触らされたと言った聖杯。神殿のヤツらはあれを神具なんて言っているが、実際のところ魔術具だ。青い神官や巫女が魔力を注いで溜めこみ、春の祈念式で使うけれど、その力が溜まらなくなる。そうなったら、農作物の収穫が減る」
「有更嚴重的事情。說是被你觸碰的聖杯。雖然神殿的傢伙們管那個說是神具什麼的,但實際的地方是魔術具。藍色神官或巫女注入魔力並積存,雖然是在春季的祈求式上使用,但那個力量會變得無法積存。變成那樣的話,農作物的收穫會減少」
「ええぇぇ!?」
「哎哎!?」

 そんな重大事にあの聖杯が直結しているとは思っていなかった。光ったことに驚いたが、神の威厳を見せつけるためのお金のかかった飾りくらいにしか考えてなかった。
 從不認為那個聖杯會跟那種重大事情有所直接連結。雖然吃驚於發光了,但只考慮到宛如是為了展現神的威嚴而花了錢去裝飾。
 農作物の収穫は生きるために絶対に必要な物だ。収穫量が減って一番に困るのはわたし達のような街に住む貧民だ。
 農作物的收穫是為了生存而絕對必要的東西。收穫量減少最困擾的是像我們一樣住在城市裡的貧民。

「政変前までは貴族の子が余っている状態だった。身食いなんて、魔力を独占したい貴族にとっては目障りな存在でしかなかった。だが、貴族が減って、魔術具を使うことが難しくなった今、身食いは神殿に取ってかなり必要な存在になる」
「直到政變之前貴族的小孩是剩餘的狀態。身噬什麼的,只是對想要獨佔魔力的貴族來說礙眼的存在。但是,貴族減少,使用魔術具變得困難的現在,身噬變成對神殿來說相當必要的存在」
「あの、身食いと魔力って何か関係があるんですか?」
「那個,是說身噬與魔力有什麼關係嗎?」

 わたしの質問に、ベンノは顎が落ちそうなほど驚いた顔をして、信じられないと頭を抱えた。
 對於我的提問,班諾做出像是下巴掉了般的驚訝表情,無法置信地抱著頭。

「お前、まさか知らなかったのか? 身食いは身体の中の魔力が暴れる状態を言うんだ」
「妳,難道不知道嗎? 身噬指得是身體裡面的魔力活躍的狀態」
「えぇ!?」
「咦!?」
「魔術具に魔力を移すことで、自分の力で制御できる状態にするんだ」
「由於將魔力轉移到魔術具上,而呈現能用自己的力量控制的狀態」
「初めて知りました」
「第一次知道」

 わたし、魔女っ子だったらしい。魔力持ちだなんて、それって、転生のお約束じゃないですか。わたしにもとうとう見せ場が来たってことですね。溢れる魔力でバーンと敵を倒しちゃったり、派手な魔法を使ったりできるってこと?……ん? 敵って何?
 我,似乎是魔女之子。擁有魔力什麼的,話說那個,不就是轉生的約定嗎。我也終於來到了值得一看的地方了呢。話說能夠又是用滿溢的魔力磅地打倒敵人,又是使用華麗的魔法這件事?……嗯? 話說敵人是什麼?

 初めて知った情報にちょっとだけ心を遠くに飛ばしていると、聞け、とベンノに軽く頭を叩かれた。
 只是有點對第一次知道的情報讓心飛到了遠方後,聽著,地被班諾輕輕敲了頭。

「貴族も上級貴族の方は魔力が強く、下級貴族は魔力が弱い傾向がある。そして、金もない貧乏貴族は生まれた子供全員のために魔術具を準備できない。魔力の多い跡取りだけ家に残して、他の子供は神殿に預けるということも珍しくはないそうだ」
「貴族也是上級貴族那方魔力較強,下級貴族有魔力較弱的傾向。然後,沒有錢的貧窮貴族無法為被生下來的全體小孩準備魔術具。只有魔力多的繼承人會留在家裡,所謂其他的小孩寄放在神殿似乎也不太稀奇」

 つまり、今、神殿にいる青い神官は、育てられないと親に放り出された貴族達ということになる。いないと困るけれど、悲しい存在だと思う。
 也就是說,現在,在神殿的藍色神官,成為了所謂被無法養育的父母扔出去的貴族們。我認為是雖然沒有很困擾,但卻是可悲的存在。

「つまり、今まではそれほど強くない魔力の貴族が人海戦術で溜めこんで神事をこなしていたのに、人数が激減すると一人一人の負担が重くなる。今は下手したら足りていない状態かもしれない。洗礼式で青の神官はどれくらいいた?」
「也就是說,至今那些沒多強魔力的貴族明明是以人海戰術積存著處理神事,但人數銳減後一個人一個人的負擔變重了。現在是不小心的話就會不夠的狀態也說不定」
「10人くらいです」
「是10人左右」

 華麗に揃ったグ○コに腹筋崩壊させられた記憶はまだ新しい。
 被華麗地整齊固○果崩壞腹肌的記憶猶新。

「常時20人ほどいるのが、10人だ。それも魔力のあるヤツから家に呼び戻されるのだから、残っている若いヤツの魔力は推して知るべし。強い魔力を持つ身食いは喉から手が出るほど欲しいに違いない。ただ、これはおそらく今だけだ。貴族の数が激減し、これから生まれた貴族が成長するまでのほんの短い期間だけだと思え」
「雖然經常有20人左右。但是10人啊。那也是因為從有魔力的傢伙開始被召回家裡,剩下來的年輕傢伙的魔力推測就能知道了。擁有強力魔力的身噬肯定是要從喉嚨裡伸出手般的想要。但是,那恐怕只有現在。貴族的數量銳減,我認為只有之後被生下來的貴族成長為止的短期間」
「はぁ」
「是」

 短い期間だったら、神殿で魔力提供のためにお勤めしても良いかもしれない。魔力提供と図書閲覧の交換条件を出せば、呑んでくれるだろうか。
 是短期間的話,搞不好為了在神殿提供魔力就算工作也可以。提出提供魔力與圖書閱覽的交換條件的話,會吞下去嗎?
 むーん、と考えていると、いつの間にかわたしの背後に回ってきていたベンノが拳骨で頭をぐりぐりし始めた。
 唔、地思考著時,不知在何時迴轉到我的背後的班諾用拳頭開始用力轉壓著頭。

「俺の話を聞いているのか?」
「有在聽我說話嗎?」
「いだい! いだい!」
「好痛! 好痛!」
「お前は魔力も金を生み出す商品も持っている。いい加減自覚しろ! 貴族にとって自分がどれだけおいしい獲物なのか」
「妳不論是魔力或產生金錢的商品都擁有。多少有點自覺! 對貴族來說自己是多麼美味的獵物嗎」

 真剣な声に思わず姿勢が伸びる。ベンノはハァ、と溜息を吐きながら、拳骨を頭から離して軽く手を振った。
 認真的聲音不假思索伸展的姿勢。班諾一邊唉、地嘆了一口氣,一邊將拳頭從頭離開輕輕揮了揮手。

「だからこそ、貴族に取りこまれる前に契約を済ませておいた方がお前のためだ」
「正是如此,在被貴族收入囊中之前先完成契約是為了妳」
「……何の契約ですか?」
「……是怎樣的契約呢?」
「お前が作った物をルッツが売るという契約だ」
「是所謂路茲販售妳所製做的東西的契約」
「え? 何のために?」
「咦? 是為了什麼?」

 身食いと神殿とどういう関係があるのか、全くわからない。どさくさにまぎれて利益を得たいだけではないのか。眉を寄せたわたしに、ベンノは椅子に座りなおして、丁寧に説明し始めた。
 身噬與神殿是有著怎樣的關係嗎,完全不明白。不只是趁著慌亂獲得利益嗎。對皺起眉頭的我,班諾重新坐到椅上子,開始仔細地做說明。

「今の段階では、ただの保険だ。迂闊で短絡的で考え無しなお前が、貴族の策にはまって城壁の向こうに連れ去られた時、連絡が付くようにするためだ。それでなくとも、貴族と契約させられた場合のことを考えてみろ。城壁の向こうへと行くには許可がいる。それは知っているだろう?」
「在現在的階段,只是個保險。為了粗心又短路的無腦笨蛋妳,陷入於貴族的策略而被帶去城牆的對面的時候,所能添加的聯絡。而且至少,試著考慮被迫與貴族契約的情況。有著前往城牆的對面的許可。那個是知道的對吧?」
「はい」
「是的」

 門の仕事もしていたので、城壁を越えるには許可が必要な事は知っている。わたしが頷くと、ベンノは少しだけ苦い顔になった。
 由於也有做著門的工作,知道要越過城牆許可是必要的事情。我點頭後,班諾變成了稍微苦澀的表情。

「ギルド長の孫娘は、城壁の向こうに行っても家族と会える。あそこの一族は貴族に認められた商人だからな。だが、お前の家族はどうだ?」
「公會長的孫女,就算去了城牆的對面也能跟家人見面。因為那邊的一族是被貴族認可的商人。然而,妳的家人是如何呢?」

 わたしは沈黙で答えるしかなかった。家族と会えなくなるから、貴族との契約を選ばなかったのだ。会えるわけがない。
 我只能用沉默來回答。因為會變得無法跟家人見面,所以沒有選擇跟貴族的契約。沒有見面的理由。

「お前の家族が城壁を越えられるとは思えない。だったら、せめて、貴族に邪魔されない契約魔術を使って、神殿や貴族に取りこまれる前にルッツと繋がりを作っておかないか? そうすれば、その契約を口実に俺はルッツを城壁の中に連れていくことができる」
「不要認為妳的家人越得過城牆。那樣的話,至少,使用不會被貴族妨礙的契約魔術,在被神殿或貴族收入囊中之前不能先創造出跟路茲的聯繫嗎? 那樣的話,我就能以那個契約為藉口把路茲帶去城牆裡面」

 ハッとしてベンノを見た。ルッツを見た。二人とも目が合うと小さく頷いてくれる。
 迅速地看著班諾。看著路茲。跟兩個人四目相交後給小小點了頭。

「ルッツが仲立ちすれば、手紙なり、伝言なり、何がしかの連絡は取れる。お前も家族の状況を知ることができる。何より、ルッツを通じて状況を知ることができれば、お前を案じる家族にとって少しは安心できる材料にはなるだろう。まぁ、俺と契約しておきたいなら、それでも一向に構わないが?」
「路茲作為媒介的話,信之類、傳話之類,怎樣的聯絡都能取得。妳也能知道家人的狀況。最好,能透過路茲知道狀況的話,對於掛念著妳的家人是會變成能稍微放心的材料的吧。反正,如果想先跟我契約,儘管如此一點也沒關係嗎?」
「ベンノさんじゃあ家族の様子はわからないじゃないですか」
「那班諾先生不也不知道家人的狀況嗎」

 貴族に取りこまれるような想像はしたくないけれど、もし、そうなってしまった時にルッツと会える状況を作っておくのは、わたしにとっては悪くない。家族に会えるだけで心強いとフリーダも言っていた。
 雖然說不想做被貴族收入囊中般的想像,但假如,先創造出變成那樣的時候跟路茲見面的狀況,對我來說也不壞。芙莉妲也說過就只是跟家人見面就能壯膽。
けれど、それにルッツを巻き込んでもいいのだろうか。
但是,即便那樣會將路茲捲進來也可以嗎。

「ルッツはどう思ってるの?」
「路茲是怎麼想的?」
「貴族の街に行けるなら行ってみたいし、連絡係くらいなら別に構わないと思ってる。マイン一人にする方が心配だ。何をやらかすかと考えると頭が痛い」
「我認為如果能去貴族的街道想去看看,如果像是聯絡員並不特別介意。瑪茵一個人還比較擔心。考慮到幹了什麼就頭痛」

 軽く肩を竦めるだけで、ルッツ本人はすでに契約する気になっているようだ。だが、貴族を牽制するための契約だ。契約相手であるルッツにかかる負担を考えると、そう簡単に頷くことはできない。
 就只是輕輕聳了聳肩,路茲本人似乎是已經變成做了契約的樣子。但是,為了牽制貴族的契約。考慮到施加在作為契約對象的路茲的負擔,沒辦法那麼簡單點頭。

「契約しちゃうってことはそんなにお気楽な立場でもないでしょ? 危険な目に遭ったり、ルッツが嫌な思いをしたりするんじゃない? それに、その契約だったら、ベンノさんの利益は少ないですよね? ルッツが引き抜かれたら、それまでじゃないですか」
「是說做了契約並非是那麼樣安逸的立場對吧? 不是又是遭遇危險的事,又是路茲做了討厭的思考嗎? 而且,是那個契約的話,班諾先生的利益沒多少呢? 路茲被掃地出門的話,不就到此為止了嗎」

 わたしが唇を尖らせると、ベンノは呆れたように溜息を吐いて、緩く首を振った。
 我噘起嘴唇後,班諾像是吃驚般嘆了一口氣,緩緩搖了搖頭。

「他人の心配をしていられるほど、お前は呑気な状況じゃない。ルッツにも利益があるからそれでいいんだ」
「比起擔心他人,妳並不是悠閒的狀況。因為對路茲也有利益那樣就可以了」
「ルッツにどんな利益があるって言うんですか?」
「是說對路茲是有怎樣的利益嗎?」
「お前が知る必要はない。マインは自分の利益だけを考えろ。正直、招待状をもらっているなら、先に手を打てる時間はほとんどないんだ」
「妳沒有必要知道。瑪茵只要考慮自己的利益。老實說,如果接受了邀請函,幾乎沒有能先採取措施的時間」

 情報が多くて、周りが見えているベンノが、当事者のわたしより焦っているよう見える。神殿に取りこまれる前にしておくことを並べていく。
 情報很多,看得見周圍的班諾,看起來比當事人的我還焦躁。逐個排列在被神殿收入囊中之前能先做的事情

「まずはマイン工房を作って、工房長としてギルド登録をして、商品の販路は確保しておけ。金で待遇が変わるなら、金を手に入れる環境を作って神殿と交渉しろ。あっちも金は欲しいだろうから、交渉次第で何とかなる」
「首先是創作瑪茵工坊,作為工坊長做公會登記,先確保商品的銷路。如果用前改變待遇,得到金錢創造環境跟神殿交涉。因為那邊也想要前對吧,以交涉狀態來設法解決」

 確かに大金は力の一つだ。高額の寄付を提示しただけで対応が丁寧だったのだから、自分を守るために、お金は持っていた方が良い。
 的確大錢是力量之一。因為就只是出示了巨額的捐獻對應就很謹慎,為了保護自己,擁有錢是最好的。
 そして、商品を作っても、神殿に全て取り上げられたら、自分の手元には利益が全く残らないことになる。信頼できる販路は必須だ。ちょこちょこ騙されたり、試されたりしているが、ベンノは今のわたしが一番信頼できる相手でもある。
 然後,就算製做商品,全部被神殿奪取的話,就會變成自己的手邊利益完全沒殘留。能信賴的銷路是必須的。雖然做著又是漸漸被欺騙,被測試,但班諾也身為現在的我最能信賴的對象。
 わたしが頷くと、ベンノも頷き返してくれた。
 我點頭後,班諾也點頭回覆。

「貴族にとっては平民一人なんて大した価値はないと思って、用心しろ。生き延びる道、逃げ道は思いつく限り準備しておけ。保険になると思ったものは何重にも準備して自分を守れ」
「要認為對貴族來說平民一個人什麼的沒多大價值,留神點。死裡逃生的道路、逃跑的道路能想到的要盡可能先做準備。認為能成為保險的東西也要準備好幾層來保護自己」
「はい」
「好的」

 普通に膝に乗せてもらって聖典を読んでもらったり、丁寧に対応したりしてくれたので、何となく良い人だと思っていたが、保険も逃げ道も準備しておいて損はない。備えあれば憂いなしだ。ここでの常識や知識が足りなすぎて、何をどう準備すればいいのかわからないところが歯痒い。
 由於給做了又是普通地接受坐到膝蓋上閱讀聖典,又是謹慎地對應,雖然總覺得認為是個好人,但不論保險或逃跑的道路都先做準備沒有損失。是有備無患。在這裡的常識或知識太過不足了,不知道要如何做些什麼準備才好的地方令人焦急。
 ベンノはわたしをじっと見たまま、言葉を連ねる。
 班諾仍然盯著我看,連接著話語。

「今だって神殿には貴族が10人はいるんだろう? その中から搾取されるだけでなく、利用し合える相手を探せ。貴族に掻っ攫われ、飼い殺されるだけから、少しだけ選択肢が広がるんだ。よく見て、選べ。考えろ。ぼんやり流されるな。生きるためにあがけ」
「就連現在在神殿的貴族有10個人對吧? 不要只從那裡面被搾取,尋找互相利用的對象。因為被貴族橫奪,就只能被眷養到死,多少也要擴大選項呀。好好看著,選擇。思考。別呆呆地被沖走。要為了生存而掙扎」
「なんでベンノさんが、そこまで……」
「為什麼班諾先生,要做到那裡…」

 並べたてられた対策や注意事項は、相当情報を集めて、色々と考えなければ出てくるようなものではない。この店の見習いにもなれなかったわたしのためにそれだけの手間をかけてくれる意味がわからない。
 被列舉的對策或注意事項是,收集相當的情報,若沒有考慮過各式各樣是不會得出般的東西。不明白為了也沒有成為這家店的實習的我那樣費事的意義。

「お前が生き延びたら、新商品ができる。ウチと繋がりがあれば、こちらの利益にもなる。お前はこうして情報を手に入れることもできるんだから、お前の利益にもなっているだろう? おとなしく受け入れろ」
「妳死裡逃生的話,能完成新商品。與我家有聯繫的話,也會成為這邊的利益。因為妳能像這樣獲得情報,也能成為妳的利益對吧? 乖乖地接受吧」

 ムッとしたように眉を寄せるベンノの後ろでマルクがフッと柔らかい笑みを浮かべて苦笑した。
 馬爾克在像是唔地皺起眉頭的班諾身後浮現出呼地柔和的笑容苦笑著。

「旦那様は心配なだけですよ。いつだって危なっかしくて、思わぬことを引き起こすので、マインを見ているのは実に心臓に悪い」
「老闆只是擔心著喔。由於無論何時都會引起危險、意想不到的事情,看著瑪茵實在對心臟不好」
「マルク、黙れ」
「馬爾克,閉嘴」

 ベンノが振り返ってそう言ったが、マルクは薄く笑ったまま言葉を続ける。
 雖然班諾回頭那樣說,但馬爾克依然淺薄笑著繼續說話。

「見習いに入る子供達は生家で基本的な教育を受けてお預かりする存在で、今まで旦那様の身近にはここまで面倒をみなければならない子供がいませんでした。我が子のように、とは申せませんが、親戚の子供程度には親身になって心配しているのです。もちろん、このマルクも」
「由於進入實習的小孩子們是在生身家庭預先接受基本的教育的存在,至今在老闆身邊不存在像這樣必須要照料的小孩子。雖然沒有說,像是我的孩子,但像對親戚的小孩的程度如親屬似地擔心著。當然,在下馬爾克也是」
「ありがとうございます。マルクさん」
「非常感謝你。馬爾克先生」
「マルクかよ」
「馬爾克喔」

 感激してお礼を言うと、ベンノがふてくされたように吐き捨てた。わたしとマルクは顔を見合わせて吹き出した。
 感激道謝後,班諾像是嘔氣似的唾棄著。我與馬爾克面面相覷噴笑了出來。

「もちろん、ベンノさんにも感謝してますよ。……契約魔術とギルドへの工房登録、お願いします」
「當然,班諾先生也很感謝唷。……契約魔術與向公會的工坊登記,拜託了」

======================================================================
 やきもきしているベンノさんのお説教でした。
 是為焦躁不安著的班諾的說教。

 次回は契約魔術と工房登録です。
 下回是契約魔術與工坊登記。
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