本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~以下犯上的書癡~為了成為圖書管理員而不擇手段~
作者:香月美夜
第一部兵士の娘 ギルド長と髪飾り第一部士兵的女兒 公會長與髮飾
原文連結「これは……」「這個是……」
そう呟いて、ギルド長が固まった。 那樣嘟噥著,公會長僵住了。
トゥーリがこの髪飾りを使ったのは洗礼式の時だけだ。その時に何かあったのだろうか。今までの飄々とした笑顔がいきなり消えたことにドキリとして、ベンノに助けを求めて振りかえる。 圖麗使用這個髮飾只有洗禮式的時候。在那個時候發生了什麼的吧。對至今為止飄飄然的笑容突然消失而驚恐不已,回頭向班諾尋求幫助。
ギルド長が固まっちゃったんですけど、大丈夫? 雖然公會長僵住了,但不要緊嗎?
心配になったわたしと違って、ベンノは肉食獣が舌なめずりでもするような表情を一瞬だけ見せて、ニッコリと黒い笑顔を浮かべた。 跟變得擔心的我不一樣,班諾只有一瞬間顯露出好像是肉食動物舔嘴唇般的表情,浮現微微地黑色笑容。
「ギルド長が探していた髪飾りはこういうものではなかったかな?」「公會長在找的髮飾會不會是這種東西呢?」
「これを売るのか!?」「要賣這個嗎!?」
ギルド長がカッと目を見開いて、ベンノとわたしを交互に見た。笑顔のない、食らいつくような顔が怖くて、ぅひっと小さく息を呑む。 公會長忽然張開眼睛,交互看著班諾跟我。沒有笑容,像是要吃掉般的表情很恐怖,嗚唏地停止小小的呼吸。
……ルッツ、ずるい! ベンノさんの後ろに隠れてる! ……路茲,好狡猾! 藏到班諾先生的後面去了!
わたしもこっそりベンノの後ろに回りこもうとしたが、ベンノに肩を掴まれて、グイッと前に出された。 雖然我也打算悄悄地轉進到般諾後面,但被般諾抓住了肩膀,用力地推舉到前面。
「あぁ、冬の手仕事になる予定だ」「是啊,預定會成為冬季的手工」
「冬の手仕事……ならば、今すぐこれを売ってくれんか?」「如果是冬季的手工……的話,能立刻賣這個嗎?」
ギルド長がわたしの持っているトゥーリの髪飾りを手に取ろうとした。取られたら絶対に返ってこないような爛々と光る目にぎょっとして、わたしは髪飾りを慌ててバッグに入れる。 公會長打算拿走我擁有的圖麗的髮飾。驚嚇於被拿走的話就好像絕對不會還回來的閃閃發光的眼神,我慌慌張張地把髮飾放入包包。
「ダメです。これはわたしがトゥーリのために作ったんです。売れません」「不可以。這個是我為了圖麗而製作的。不能賣」
「これだけ出そう」「我出這個樣子」
ビシッと突きつけるように三本の指を立てられた。おそらく値段を表しているサインだと思うが、意味がわからない。 突然地豎起了像是對人示意般的三根指頭。雖然認為恐怕是表示著價錢的暗號,但不明白意義。
おろおろしながらベンノを見ると、笑みを濃くしている。 一邊嗚嗚咽咽一邊看著班諾時,更加深了笑容。
「ふむ、そうだな……。もう少し色を付けてくれたら、優先的に作ることはできそうだ。どう思う、マイン?」「呼唔,說得也是呢……。再稍微多出一點的話,似乎能優先製作。妳怎麼看,瑪茵?」
「ベ、ベンノさんのおっしゃるとおりです」「就、就跟班諾先生說的一樣」
反論なんて考えられない。引きつる笑顔でベンノに追従しておく。 無法考慮反駁之類的。用痙攣的笑容預先效法著班諾。
「今から作れば、孫娘の冬の洗礼式には十分間に合う。そうだよな、マイン?」「從現在開始做的話,十分趕得上孫女冬季的洗禮式。是那樣對吧,瑪茵?」
「はい、大丈夫です」「是的,沒有問題」
……あぁ、なるほど。夏の洗礼式の時にトゥーリの髪飾りを見た孫娘が同じような物が欲しいと言ったんだ。 ……啊,原來如此。在夏季洗禮式的時候看到圖麗的髮飾的孫女說了想要像是一樣的東西。
ベンノの言葉で、やっと事情が分かった。 由於班諾的話語,終於明白情況了。
商業ギルドのギルド長なら、この街で流通しているものに関しては、一番情報を持っているはずの立場なのに、髪飾りが見つからない。 如果是商業公會的公會長,關於在這座城市裡流通著的東西,明明應該是擁有最多情報的立場,卻找不到髮飾。
ウチの家族がトゥーリのために作っただけで売り物でもないし、似たような飾りも売っていないし、冬の洗礼式はどんどん近付いてきているし、困り果てていたのだろう。 只是為了我家的家人圖麗而製作的不是販售品,相似般的飾品也沒有在販售,冬季的洗禮式不斷地靠近了過來,是一籌莫展了吧。
「……あと一月ほどしかないが、作れるのか?」「……雖然還只有一個月左右,能做嗎?」
そういえば、小さい花を作るのに意外と時間と糸が必要なので、雪に閉じ込められてやることがない冬ならともかく、今の季節は忙しくて、とても作っていられない、と母は言っていた。けれど、お金をもらってする仕事なら、それにかかりきりになっても問題ない。 這麼說來,由於在製做小花上意外地需要時間跟絲線,如果是被雪關起來無事可做的冬季姑且不論,現在的季節很忙碌,非常不需要製做,母親那樣說過。但是,如果是收錢的工作,而且就算變得要專一也沒問題。
糸を仕入れたり、その孫娘の希望を聞いたりするので、少し時間はかかるだろうけれど、それでも冬の洗礼式までなら、十分に間に合う。 由於又要採購絲線,又要聽取那個孫女的希望,雖然要花上一些時間吧,儘管如此如果要到冬季的洗禮式,十分地趕得上。
「はい。これは売り物じゃないですけれど、新しく作る分には問題ありません。ね、ルッツ?」「是的。雖然說這個並不是販售品,但在製做新的份上沒有問題。對吧,路茲?」
「あぁ、できるぜ」「啊,能做喔」
わたしとルッツが大きく頷いて請け負うと、わたしの横で頷きながら話を聞いていたベンノがニヤリとした笑みを浮かべて、付け加えた。 我跟路茲大大地點著頭承擔下來後,一邊在我側邊點著頭一邊聽著話的班諾浮現奸笑的笑容,補充著。
「ただ、二人の登録ができていないせいで、せっかく作っても売買はできないのが残念だがな……」「只是,因為無法替兩個人登記的關係,就算難得做了也無法販售而很遺憾呢……」
「くっ……。ならば、仮登録の後に注文することにしよう……」「咕……。這樣的話,在臨時登記後來做下訂吧……」
ベンノとギルド長の勝敗はあっさりと決したようだ。 班諾跟公會長的勝負似乎爽快地決定了。
たいした難癖をつけられることもなく、紙の情報を出すこともなく、仮登録ができたことにベンノはご機嫌で、ギルド長の部屋を出ようとする。 沒怎麼被大加刁難,也沒有釋出紙張的情報,班諾對能夠臨時登記心情很好,打算出去公會場的房間。
「じゃあ、下に戻るか」「那麼,回到下面嗎」
「待て。子供達はここでギルドカードができるのを待てばいい。注文もしたいからな」「等下。小孩子們可以在這裡等待公會卡弄好。因為也想要下訂呢」
ギルド長の言葉にちっと軽く舌打ちをして、ベンノが笑顔で振り返る。 對公會長的話與嘖地輕輕咋舌,班諾用笑容回過頭來。
「子供だけで置いておいたら、どんな粗相をするかわからんから、オレもここで待たせてもらうよ」「因為只把小孩子放置不管的話,不知道會出怎樣的差錯呢,也請讓我在這裡等待吧」
「いやいや、躾の行き届いた子供達のようだ。ベンノがいなくても問題はなかろう。なぁ?」「不會不會,似乎是家教嚴謹的小孩子們。就算班諾不在也沒問題吧。是吧?」
ギルド長の笑顔は、優しそうに見えても何かを企んでいるようで怖い。いつの間にか丸めこまれていそうな気がするので、わたしは思わずベンノの手を握った。 公會長的笑容,就算看起來好像很溫柔但似乎在策劃著什麼很恐怖。因為像是感受到會在不知不覺間被攏絡,我不由得握住般諾的手。
「は、初めての場所だから、ベンノさんにもいてほしい」「因、因為是第一次來的地方,希望班諾先生也在」
「だそうだ」「也是呢」
勝ち誇った笑みでベンノはギルド長の部屋にあるソファのような固い椅子に腰かける。 班諾用誇耀勝利的笑容坐到在公會長房間裡面像是沙發般的堅硬椅子上。
わたしをひょいっと抱き上げて、自分の太股の上に座らせると、よくやった、と小さく囁いて、頭をぐりぐりと撫でた。かなり機嫌が良いようだ。 輕輕地把我抱了起來,讓我坐到自己的大腿上後,幹得好,那樣小小低語著,用力搓地摸起了我的頭。似乎心情相當好。
その後、わたしはベンノの隣に場所を移動して、その隣にルッツが座った。正面にギルド長が座って、髪飾りの商談が始まった。 那之後,我把地方移動到班諾的旁邊,路茲在那個旁邊坐著。公會長在正面坐著,開始了髮飾的洽談。
「では、髪飾りを一つ。冬の洗礼式までに頼む」「那麼,一個髮飾。在冬季的洗禮式之前拜託了」
「えーと、何色の花にしましょう? お孫さんのお好きな色とか、髪に合う色とか……」「呃,要做什麼顏色的花呢? 令孫喜歡的顏色啦,適合頭髮的顏色啦……」
「わしはそういうことにはあまり詳しくない。それと同じでいい」「老夫對那種事情不太清楚。跟那個一樣就可以了」
わたしのトートバッグを指差して、ギルド長がそう言った。けれど、そんな堂々と言い切られても困る。 用手指著我的手提包,公會長那樣說著。但是,就算那樣堂堂地被斷言也很困擾。
多分、ベンノが料金をふっかけたはずなので、せめて、孫娘に喜んでもらえるような髪飾りにしたい。孫のために情報を集めていただろうおじいちゃんには、孫娘の笑顔プライスレスに違いないのだから。 大概,是因為班諾應該有浮報費用,至少,想做能讓孫女高興的髮飾。因為會為了孫子而收集情報的老爺爺,孫女的笑容肯定是無價的。
「あの、もし、お孫さんとお話できるなら、本人の希望を伺ってもいいですか? その方が喜ばれると思いますけど」「我說,如果,若能夠跟令孫交談,不也可以打聽到本人的希望嗎? 我認為那樣會讓對方很高興就是了」
「秘密で贈って、驚かせたいのだ」「是想要秘密贈送,讓她驚喜」
出た! 迷惑なサプライズ! 出現了! 令人困擾的驚喜!
秘密で贈って喜ばれるのは、普段から好みや希望を熟知していて、欲しいと思っているタイミングにピッタリはまった場合だけだ。 秘密贈送而讓對方高興,是要從平時開始就熟知著喜好跟希望,而在認為著想要的時機上恰當崁入的場合呀。
孫娘の好きな色さえ詳しくないと言いきってしまうおじいちゃんには、かなり難易度が高い。 對連孫女喜歡的顏色都直言說不清楚的老爺爺,難易度相當高。
「……あの、でも、髪飾りは服と合わせる必要もあるし、髪の色と合わなかったり、すでに別の飾りを用意されたりしていると、もらってもすごく困ることになるかもしれませんよ?」「……我想,但是,髮飾跟衣服配合也是有必要的,做了跟髮色不配合,又或是已經被準備了其他的飾品的話,會變成就算收到了也非常困擾的事情也說不定唷?」
「そうか?」「是嗎?」
冬の洗礼式なら、衣装はすでに準備されているはずだ。もしかしたら、髪に飾るものも孫娘とその母親で準備しているかもしれない。 如果是冬季的洗禮式,服裝應該已經被準備好了。或許,裝飾頭髮的東西也是孫女跟那位母親準備好了也說不定。
「せっかく一から作るんですから、好みに合わないものより、希望に沿ったものを贈った方がずっと大事にしてもらえると思います。驚いた顔より、喜んだ顔の方が素敵だと思いません?」「因為難得做出了一個,比起跟喜好不相配的東西,我認為贈送遵從希望的東西還更慎重得多。比起驚訝的表情,不認為喜悅的表情更美妙嗎?」
「ふぅむ、なるほど……」「呼唔,原來如此……」
ギルド長が髭を撫でながら、何か考えるように上を向いた。 公會長一邊撫摸著鬍鬚,一邊像是思考著什麼仰著頭。
「マインと言ったか?」「跟瑪茵說嗎?」
「はい」「是的」
「お前、ウチの店に来ないか?」「妳,不來我家的店嗎?」
「却下だ!」「駁回!」
わたしがどんな反応をするよりも速く、ベンノが即座に却下した。 比我做出任何反應還快,班諾立即駁回。
「ベンノの店よりも大きいし、長いこと商売をしている。条件はいいぞ? まだ、洗礼式が終わって正式に見習いとなったわけでないのだから、ウチの見習いになることもできる。どうだ?」「比班諾的店還大,做著很長久的生意。條件很好吧? 因為還沒,結束洗禮式並沒有正式成為實習,能夠成為我家的實習。如何?」
どうだ? と言われても、あれだけ援助してもらって、いきなり店を変えるような不義理をするつもりはない。 就算被如何? 地說了,也接受了那些援助,沒有打算突然改變店家般忘恩負義。
「ベンノさんに返しきれない恩があるんです」「對班諾先生有還不清的恩情」
「ふむ、わしが代わりに返してやろう」「呼唔,我來代替妳還吧」
「えぇ? えーと……」「咦? 呃……」
断ったつもりなのに、断れていない。押しの強いギルド長にあわあわしていると、ベンノの機嫌が急下降していく。 明明打算拒絕的,卻拒絕不了。對魄力強大的公會長不知所措時,班諾的心情逐漸盪到谷底。
眉間に皺をくっきりと刻んで、こめかみをトントンと軽く指で叩きながら、ベンノがわたしをギロリと睨んだ。 在眉間清楚地刻劃下了皺紋,一邊咚咚地輕輕用指頭敲著太陽穴,班諾目光閃動地盯著我。
「マイン、ギルド長にハッキリと答えてやれ。お断りだ、とな」「瑪茵,對公會長要清楚地去回答。我拒絕,那樣呢」
「お、おお、お断りします!」「恕、恕恕、恕我拒絕!」
「むぅ、残念だが、今回は諦めるとしよう。怖い見張りがいては、本音を言うこともできんからな」「唔,雖然很遺憾,這次就放棄吧。因為有恐怖的看守在,也說不出真心話呢」
今回はって何ですか!? 是說這次是指什麼!?
本音で喋っているつもりですけど! 雖然是打算以真心話來說的!
「孫娘のフリーダに話を聞きにくるのは、明日でいいか? 早目に決めた方が良いだろう?」「要去跟孫女芙莉妲打聽情報的話,明天可以嗎? 提早決定會比較好吧?」
「あの、ベンノさんも一緒でいいですか!?」「那個,班諾先生也可以一起嗎!?」
本日の教訓として、「ギルド長と一人で会うな」が心にしっかりと刻み込まれている。ギルド長に対応できる人もいない状態で、会うのは危険だ。 作為本日的教訓,「別一個人跟公會長見面」被好好地刻進心中。由於沒有能應對公會長的人在,見面是很危險的。
しかし、ギルド長は首を振った。 但是,公會長搖了搖頭。
「残念ながら、明日はベンノもわしも会議がある日だ。同じ年頃の女の子同士が会うのに、いかついおじさんの同伴は必要ないだろう?」「儘管很遺憾,但明天是不論是班諾還是我都有會議的日子。明明是同樣年紀的女孩子之間的會面,不需要嚴肅的叔叔同伴吧?」
「……そうですね、子供同士なら」「……說得也是呢,如果是小孩子們」
ベンノとギルド長の戦いの中で、孫娘のフリーダの希望を聞く図を思い浮かべて、げんなりとしてしまったわたしは、同じ年頃の女の子同士で会うという言葉に思わず頷いた。 由於班諾跟公會長在長期鬥爭中,想像著聽取孫女芙莉妲希望的情景,作為厭煩了的我,對所謂同樣年紀的女孩子之間的會面這話不假思索地點頭了。
ギルド長の意見に同意してしまったわたしの横で、ベンノさんが舌打ちした。 在同意了公會長的意見的我側邊,班諾先生咋舌了。
え!? 何かまずかった!? 哎!? 有什麼不好了!?
眉間の皺を復活させたベンノと笑顔が復活したギルド長を見比べて、自分が迂闊な返事をしてしまったことを悟った。「子供同士」と同意したなら、マルクについてきてもらうこともできない。 相比讓眉間皺紋復活的班諾跟笑容復活的公會長,領悟到自己做了粗心的回答。如果同意了「小孩子們」,也無法請馬爾克跟過來。
どうしよう、と頭を必死でフル回転させて、両隣を見回して、ハッとする。 怎麼辦,地死命地旋轉頭部,環顧左右兩邊,靈光一閃。
「い、一緒に作っているので、ルッツが行くのはいいですよね? こ、子供同士だし!」「因、因會是一起做的,路茲可以去的吧? 都、都是小孩子們!」
一人で乗り込むのは怖すぎる。ルッツを巻き込む提案をすると、ベンノはわずかに表情を和らげた。 一個人深入太恐怖了。提議把路茲捲入後,班諾略為地緩和了表情。
「まぁ、いいだろう。では、明日、中央広場に3の鐘でどうだ? フリーダに迎えに行かせよう」「算了,也可以。那麼,明天,在中央廣場3之鐘如何? 讓芙莉妲去迎接吧」
「はい」「好」
話がまとまるのを待っていたように、仮会員カードを持った職員さんが入ってきた。どうやら無事に仮登録が終わったようだ。 像是等待著達成協議般,拿著臨時會員卡的職員進來了。看來似乎平安地結束臨時登記了。
「これが商業ギルドの仮会員カードだ。これも魔術具の一種だ。商談の時には必ず必要になる。詳しいことはベンノに聞けばいい。二人のカードは店の見習いに準じたものだから、上の階にも上がれるようになっている」「這個是商業公會的臨時會員卡。這個也是魔術具的一種。在談生意上必定會變得需要。詳細的事情跟班諾打聽就行了。因為兩個人的卡片是照著商店實習的東西,所以也變得能上來上層」
薄い金属のカードで光に当てると虹色に反射する不思議なカードだ。普段触っている物とあまりにも差がありすぎる。どこからどう見てもファンタジーなカードで、説明を聞けば聞くほど、感心する。魔術具のすごさに目を瞬くしかない。 是薄薄的金屬卡片受光後反射著彩虹色不可思議的卡片。跟平常在碰觸的東西相差太多了。從哪怎麼看都是幻想的卡片,說明越聽,越欽佩。對魔術具的厲害只能眨著眼睛。
「では、最後にそれぞれ、自分の血を自分のカードに押し付けて、認識させなさい。そうすれば、他人が勝手に使うことはできなくなる」「那麼,最後各自,用自己的血按住各自的卡片,請讓它認識。那樣的話,其他人會變得無法擅自使用」
「うぇっ!? 血!?」「嗚!? 血!?」
魔術には血が必須なのか。以前に契約魔術で指に傷を付けて血判を押したことは記憶に新しい。 在魔術上血是必須的嗎。在以前由於契約魔術而弄傷手指按了血印還記憶猶新。
「諦めろ、マイン」「放棄吧,瑪茵」
「ルッツ~……」「路茲~……」
「いいから手を出せって。……どうせ自分じゃできないんだろ?」「好了伸出手。……反正妳自己做不到吧?」
「うぅっ……」「嗚……」
泣く泣く手を出せば、ルッツに針で指先を突かれた。ぷっくりと盛り上がってきた血をカードに押し付けて染み込ませる。 難過哭泣著伸出手的話,就被路茲用針戳了手指頭。將澎起般隆起來的血在卡片上按住滲入。
その瞬間、カードが光った。 那個瞬間,卡片發光了。
「うひゃあっ!?」「嗚呀啊!?」
一瞬光っただけで、その後は先程と全く変わらないカードだった。血痕も指紋も残っていないという意味で、全く変わっていない綺麗な物だった。 因為只是一剎那發光,那之後是與剛才完全沒變的卡片。因為是所謂不論血跡或指紋都沒殘留的意思,是完全沒變的美麗東西。
魔術具、便利かもしれないけど、怖い。 魔術去,雖然很方便也說不定,但好可怕。
わたしが血を出すのにおびえたり、カードが光って慌てたりするのを見ていたせいか、ルッツは淡々と作業を終わらせる。 是看到我害怕出血,還是驚慌於卡片發光的關係嗎,路茲淡然地結束作業。
「これで登録は終了だ」「這樣就結束登記了」
「お世話になりました」「多謝關照」
もう用はないとばかりに部屋を出ていくベンノを追いかけて、わたし達も商業ギルドを後にする。 追趕一已經沒有用後就出去房間的班諾,我們也離開了商業公會。
登録だけなのに、ぐったりと疲れてしまった。 明明只是登記,就筋疲力盡地疲憊不堪。
「お帰りなさいませ。無事に登録が終わったようですね」「歡迎您回來。好像平安地結束登記了呢」
ベンノの店に戻ると、マルクが待っていてくれた。時々商人らしい黒い笑顔も浮かび上がるけれど、基本的には味方であるマルクの笑顔に癒しを感じる。 回到班諾的店後,馬爾克正等候著。雖然說有時會浮現出像是商人的黑色笑容,但對基本上作為同伴的馬爾克的笑容感覺很療癒。
「おぅ、今日はマインのお陰で完全勝利だったぜ」「喔,今天託瑪茵的福是完全勝利喔」
「ほぅ、それは珍しい」「哦,那還真是稀奇」
「あのくそじじいに目を付けられたけどな」「不過被那個臭老頭注目了呢」
「……厄介なことになりそうですね」「……似乎變成麻煩事了呢」
マルクのギルド長に対する印象も厄介らしい。 對於馬爾克的公會長的印象似乎也是麻煩。
心から同意させていただきます。 請讓我打心底贊同。
「こちらへどうぞ。試作品の精算ができるように準備してあります」「請往這邊。為了能做試作品的結算而有所準備了」
「じゃあ、サクッと終わらせるか」「那麼,要爽快地讓它結束嗎」
マルクがベンノの部屋のドアを開けて、わたし達を招き入れる。試作品の精算と聞いて、わたしはビシッと挙手した。 馬爾克打開班諾房間的門,招呼我們進入。聽了試作品的結算,我用力舉手。
「はい! お願いがあります。お金について教えてもらっていいですか?」「是! 我有個請求。關於金錢可以告訴我嗎?」
「ぁん?」「嗯?」
ベンノは意味がわからないとばかりに、眉を寄せる。マルクも同じように首を傾げている。 班諾盡只是不明白意義,皺著眉頭。馬爾克也一樣似地歪頭不解著。
「えーと、わたし、今までお金に触ったことがなくて……数字は読めるんですけど、数字とお金がいまいち結びついていないんです。……例えば、5640リオンで、一体どの硬貨をどれだけ払えばいいのか、わからないんです」「呃,我,至今還沒有摸過錢……雖然數字會看,但數字跟錢根本就連結不在一塊。……例如說,5640里昂,到底要支付哪種硬幣多少才好,我都不知道」
「はぁ!?」「啥!?」
ベンノだけでなく、マルクもルッツも、素っ頓狂な声を上げた。 不只有班諾,不論馬爾克跟路茲,都發出了冒犯的聲音。
「金、触ったことがないって……まぁ、商人でもない、その年の子供なら、それほど珍しくもないのか? いや、珍しいだろ?」「是說錢,沒有碰過……也對,如果連商人都不是,那個年齡的小孩子,也不是那麼稀奇的吧? 不,很稀奇吧?」
「……そうか。マインはおつかいにも行ったことがないんだ。ぶっ倒れるから」「……對了。瑪茵沒有去跑過腿。因為會趴倒下去」
「あぁ……」「啊……」
ルッツの言葉に、みんなの口から納得の溜息が漏れてきた。 對於路茲的話語,理解的嘆息從大家的口裡洩漏了出來。
「門で計算はしても、商人と実際にお金のやり取りをするところは見たことがないし、マルクさんと発注に行った時も、発注書を出すだけで実際にお金のやり取りはしなかったし、母さんと一緒に市場に行った時に小さい硬貨を払っているのは見たけど、それが何かは知らないんです」「就算在門做著計算,也沒看過跟商人實際上做著金錢交流的地方,跟馬爾克先生去訂購時也是,只是提交訂貨單而實際上沒有做過金錢的交流,只有在跟媽媽一起去市場的時候看過支付小小的硬幣,不知道那個是什麼」
わたしの言葉に布袋を持ったマルクがベンノの前に進み出て、ジャラリとマルクが机の上に硬貨を広げた。 為了我的話與拿著布袋的馬爾克走上前到班諾的面前,馬爾克鏗鏘地把硬幣攤開在桌子上。
「では、まずは、お金の種類をお教えしましょう」「那麼,首先,來教妳金錢的種類吧」
銅のような茶色の硬貨が3種類と大小の銀貨と金貨があった。 像銅般茶色的硬幣有3種跟大小的銀幣與金幣。
ルッツがゴクリと喉を鳴らして、机の上の金貨に見入っているのがわかる。 路茲似乎咕嚕地讓喉嚨鳴響,明白是對桌子上的金幣看入迷了。
「この小銅貨1枚が10リオン。穴が開いている中銅貨が100リオン、大銅貨が1000リオン、小銀貨が10000リオン。その後、大銀貨、小金貨、大金貨と続きます」「這個小銅幣1枚是10里昂。有開著洞的中銅幣是100里昂,大銅幣是1000里昂,小銀幣是10000里昂。那之後,繼續是大銀幣,小金幣,大金幣」
10枚で大きいのと交換と覚えればいいので、とても気が楽だ。 因為記住用10枚來跟大的交換就可以了,非常輕鬆寫意。
ほぅほぅと納得しながら聞いているわたしの隣で、ルッツが小さく唸り声を上げる。どうやら桁が大きくなると完全にわからなくなったようだ。 在一邊哦哦地理解一邊聽著的我旁邊,路茲發出了小小的呻吟聲,看來似乎位數變大後就完全變得不明白了。
冬に頑張って勉強しようね。 在冬季要努力去學習了呢。
自分でお金を持つようになれば、お金の計算は嫌でも覚えると思うので、多分大丈夫だろう。 因為我認為自己變得能有錢的話,金錢的計算即使討厭也會記住的,大概不要緊吧。
ベンノは試作品の紙を6枚持ってきて、机の上に並べていく。 班諾拿來了6張試作品的紙張,逐漸陳列在桌子上。
「羊皮紙一枚が小金貨1枚。普段使う契約書の大きさで大銀貨1枚。これくらいの大きさなら、小銀貨5枚ってところだな」「羊皮紙一張是小金幣1枚。平時使用的契約書大小是大銀幣1枚。如果是像這個的大小,是小銀幣5枚呢」
葉書サイズで小銀貨2枚って……。 明信片尺寸是小銀幣2枚……。
紙が高いことは知っていたけれど、目の前にお金と一緒に並べられるとよくわかる。そういえば、契約書サイズが父の給料一月分って言っていたはずだ。 雖然說紙張很貴是知道的,但在眼前跟錢一起被陳列後就更明白了。這麼說來,應該有說過契約書尺寸是父親的一個月份薪水。
「今回は一応羊皮紙を基準に値段を決めるからな。フォリン紙は小銀貨2枚で、品質が良いトロンベ紙が小銀貨4枚だ。そこから、手数料として6割引く。それから、試作品ができるまでの先行投資とこれから先に必要な簀桁(すけた)は別だ。簀桁の料金は分割で引かせてもらう。原価として5割だ」「因為這次姑且決定將羊皮紙作為價錢基準呢。由於佛林紙是小銀幣2枚,而品質好的特隆貝紙是小銀幣4枚。從那裡面,扣除作為手續費的6成。然後,直到試作品完成的先行投資跟在這之後必要的簀桁是另外算。簀桁的費用請分割吸收。是作為原價的5成」
「はい」「好的」
試作品ができたので、これから先は道具や原料を発注すると原価にしっかり組みこまれることになる。 由於試作品完成了,變成這之後訂購工具跟原料的話會好好地被編入原價裡。
わたしが頷くと、ベンノはニヤリと笑った。 我點頭後,班諾賊賊地笑了。
「今回のお前達の取り分は2割でどうだ? 原料になる木を材木屋から仕入れたり、紙が流通することで値段が下がったりすれば、また見直しが必要になるだろうが……」「這次你們的應得份是2成如何? 要是從木材行採購成為原料的木頭,紙張流通而價錢下降的話,又會變成需要重新評估了吧……」
「それでいいです」「那樣就可以了」
わたしが頷いてルッツに視線を向けると、よくわからない顔のままでルッツも頷いた。 我點了頭把視線轉向路茲後,路茲以依然不是很明白的表情也點了頭。
ベンノが机の上にドンと計算機を置いて、ルッツの前に押し出した。 班諾咚地把計算機放在桌子上,推出到路茲的前面。
「ルッツ、フォリン3枚とトロンベ3枚でいくらになるか、わかるか?」「路茲,佛林3張跟特隆貝3張會變成多少錢呢,知道嗎?」
計算機を少し動かして、フォリン3枚分は入ったけれど、その後、指を伸ばしたり曲げたりしていたルッツが、しょぼんとして首を振った。一桁の計算はできても、数が多くなったり、種類が増えたりするとお手上げらしい。 稍微動著計算機,雖然說放入佛林3張份,但那之後,又伸又彎著手指的路茲,無精打采地搖了搖頭。就算能做一位數的計算,但數量變多,種類增加之後似乎束手無策了。
「マインは?」「瑪茵呢?」
「えーと、『三二が6と三四12』だから、小銀貨18枚ですね。その2割なので、小銀貨3枚と大銅貨6枚がわたしとルッツの取り分で、一人分は小銀貨1枚と大銅貨8枚になります」「呃,因為『三二得6跟三四12』,是小銀幣18枚呢。因為是那個的2成,所以小銀幣3枚跟大銅幣6枚是我跟路茲的應得份,一人份變成是小銀幣1枚跟大銅幣8枚」
やや目を瞬いてわたしを凝視しているベンノの後ろに控えていたマルクさんが苦笑した。 靠在稍稍眨著眼睛凝視著我的班諾後面的馬爾克先生苦笑著。
「正解です。計算機も使わずに即座に計算ができるのだから、すごいですね」「正確答案。因為計算機也沒使用就能立即計算,很厲害呢」
わたしの場合は、計算機が使えないんだから、冬の間にルッツと練習しないとダメだ。なるべく周りと馴染むようにしたい。 因為我的情況是,不會使用計算機,在冬季期間不跟路茲做練習是不行的。想要盡量適應周遭。
「あとは……ルッツの石板や石筆の費用だが、これは個人から徴収だな。ルッツの取り分から大銅貨2枚を引く」「之後是……路茲的石板跟石筆的費用,不過這個要從個人徵收呢。從路茲的應得份扣除大銅幣2枚」
ルッツは大銅貨を2枚引かれて、代わりに石板と石筆をいくつか受け取った。 路茲被扣除了2枚大銅幣,作為代替接受了石板跟幾個石筆。
「現金を渡すこともできるし、保存場所に困るなら商業ギルドに預けておくこともできるが、どうする?」「交付現金也可以,如果為保存場所傷腦筋也可以預先存放在商業公會,不過要怎麼做?」
どうやら、商業ギルドは銀行のような機能も持っているらしい。 看來,商業公會似乎也有著像是銀行的機能。
現金をたくさん持つのって怖いし、いつか本を買うために貯金はしていきたい。 帶著很多現金很恐怖,為了遲早能買書本而想要去存錢。
「大銅貨はください。母さんに渡します。小銀貨は預けておきます」「請給我大銅幣。要交給媽媽。小銀幣要預先存放」
初任給で家族孝行するの、麗乃時代の夢だったんだよね。ここで夢をかなえてもいいかな? 用第一筆薪水孝敬家人,是麗乃時代的夢想呢。在這裡實現夢想也可以嗎?
「わかった。ルッツはどうする?」「知道了。路茲要怎麼做?」
「オレも、マインと同じ」「我也是,跟瑪茵一樣」
「そうか」「那樣啊」
わたしが大銅貨8枚をもらって、ベンノのカードとわたしのカードを合わせる。ピンと弦を弾いたような音がした後、カードが返ってきたけれど、何も変わったところはない。 我接受大銅幣8枚,合併班諾的卡片跟我的卡片。突然發出彈弦般的聲音後,雖然說卡片回去了,但沒有什麼改變的地方。
「これで、お前の金はギルドの三階で取り出せるようになった。そのうち、練習させに行かないと駄目だな」「就這樣,你們的錢變得能在公會的三樓拿出來了。其中,不去練習是不行的呢」
「そうですね」「說得也是呢」
カードをくるくると回して見ているわたしに、ベンノが苦笑して、マルクも同意する。 對把卡片轉來轉去看著的我,般諾苦笑著,馬爾克也同意著。
ルッツも同じようにカードを合わせた後、大銅貨を6枚もらった。手の中の冷たい重みに心が浮き立つ。 路茲也一樣合併卡片後,接受6枚大銅幣。內心對手中冰冷的重量很愉悅。
「わたし、お金持ったの、初めて」「我,有了錢,是第一次」
「これ、オレ達が稼いだんだよな?」「這個,是我們賺到的呢?」
自分達が納得できる紙が仕上がるまでの失敗の数々を思い返して、お金を見ると感動で心がいっぱいになる。 回想著我們自己直到能理解紙張完成為止的失敗種種,內心因看到金錢的感動變得滿滿的。
「春になったら、いっぱい紙を作って、いっぱい売ろうね」「到春天的話,要做滿滿的紙張,滿滿地賣掉呢」
「おぅ」「喔」
初めてのお金にうっとりしながら、わたしはやりきった満足感でベンノを見上げた。 一邊陶醉於第一次的金錢,我一邊以完成了的滿足感仰望班諾。
「これで全部、終わったんですよね?」「這樣就全部,都結束了吧?」
しかし、ベンノはわたしの言葉に思い切り顔をしかめて、わたしの額を指で弾いた。 但是,班諾對我的話語皺起了覺悟的表情,用手指彈了我的額頭。
「おい、バカなことを言うな。お前の戦いは明日だ。大人のいないところで、あのくそじじいの孫娘とやりあうんだぞ? 気の抜けた顔をしている場合か!?」「喂,別說蠢事。妳的戰鬥是明天。在沒有大人的地方,要跟那個臭老頭的孫女爭執吧? 該是做著鬆懈表情的情況嗎!?」
「え? でも、子供だし、女の子同士ですよね?」「咦? 但是,是小孩子,是女孩子們呢?」
戦いというようなことになるとは思えない。わたしはフリーダの希望を聞きに行くだけだし、ギルド長も会議でいないし、やり合うようなことがあるだろうか。 沒想過會變成名為戰鬥般的事情。我只是去聽取芙莉妲的希望,公會長也因為會議而不在,會有爭執般的事情嗎。
「噂によると、くそじじいいが溺愛している孫娘で、数いる孫の中でも一番じじいに似ているらしい」「根據傳言,由於是臭老頭溺愛著的孫女,就連數位孫子中也似乎最跟老頭相似著」
「お、おじいちゃん似?」「跟,跟老爺爺相似?」
ギルド長の顔の女の子を想像してみたけれど、全く想像できない。 雖然說是著想像公會長的臉的女孩子,但完全無法想像。
「まぁ、ルッツを連れていけるだけ、マシだ。呑まれるなよ。ルッツ、お前は無理に会話に入らなくていいから、マインが今日みたいに引き抜きかけられそうになったら、絶対に阻止しろ。じじいの罠はどこに潜んでいるか、わからないんだ。いいな?」「算了,只把路茲帶過去,也好。別被吞了喔。路茲,因為你不用勉強加入對話就可以了,瑪茵變得像今天一樣快要被拉攏的話,絕對要阻止。老頭的陷阱在哪裡潛伏著嗎,我不知道。可以嗎?」
「わかった」「知道了」
ルッツが真面目な顔つきで大きく頷いているけど、そこまで大袈裟にする必要あるかな? だって、相手は洗礼前の女の子だよ? 雖然路茲以認真的表情大大地點著頭,但直到那裡有必要做得那麼誇張嗎? 因為,對方是洗禮前的女孩子唷?
わたしが首を傾げると手の中で硬貨が擦れて音を立てた。 我歪頭不解時在手中的硬幣摩擦發出了聲響。
「……そういえば、フリーダの髪飾りって、いくらで請け負ったんですか? ギルド長の指のサインが理解できなかったんですけど」「……這麼說來,芙莉妲的髮飾,以多少錢承包了呢? 雖然無法理解公會長的手指暗號」
「爺の出したサインが小銀貨6枚。色を付けさせて、小銀貨4枚だ」「老頭發出的暗號是小銀幣6枚。讓他多出一點,是小銀幣4枚」
ベンノの言葉にぎょっとする。糸の値段を考えても、髪飾り一つにそれはふっかけすぎだ。 對班諾的話語大吃一驚。就算考慮絲線的價錢,在髮飾一個上那太過浮報費用了。
「ちょ、え、えぇ!? ふっかけすぎですよ!」「等,咦、咦!? 太過浮報費用了唷!」
「きっちり仕上げろよ。冬の手仕事の宣伝にもなるし、売れ具合に係わってくるからな」「恰好完成喔。也能變成冬季手工的宣傳,因為是關係到銷售狀況」
「あの、金額の訂正は……」「那個,金額的修正……」
わたしの一縷の望みは、ベンノの一睨みで霧散する。 我的一絲期望,由於班諾的一瞪而煙消雲散了。
「俺があのじじい相手にすると思うか?」「想我做那個老頭的對手嗎?」
「いいえ、全く」「不,完全沒有」
答えた後で、カクンと項垂れる。 在回答之後,無力地垂下了頭。
小銀貨4枚に見合うだけの飾りを作らなければならないのだから、こちらのプレッシャーが半端ない。 因為必須要製做跟小銀幣4枚相稱左右的飾品,這邊很有壓力。
「俺の紹介料と手数料と原価考えても、お前達の取り分が5~6割くらいになるか。気合入れろよ。大丈夫だ。やっと見つけたことと、お前が今持っている飾りを売らなかったことで、さらに手に入りにくい印象が付いただろう? それに冬の手仕事を前倒しで忙しい冬支度の時にねじ込む罪悪感と売り出し前の誰もつけていない冬の洗礼式で付ける特別扱いに対する金額だ。あまり気にするな」「就算考慮我的介紹費跟手續費跟原價,你們的應得份會變成5~6成左右嗎。加把勁吧。不要緊的。終於找到東西時,由於妳不賣現在擁有的飾品,附加了更難以得到的印象吧? 而且是對於把冬季的手工提前塞進忙碌的過冬準備期間的罪惡感跟加諸於出售前誰都沒有配戴的冬季的洗禮式上的特別處理的金額。別太在意了」
いくら理由つけたところで、ぼったくりもいいところじゃないですか。 在多少附加了理由的地方,不也是可以敲竹槓的地方嗎。
マジ勘弁してください。 真的請放過我吧。
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ぼったくりました、ベンノさん。 敲著竹槓,班諾先生。
マインは胃痛がします。 瑪茵感到胃痛。
次回は、ギルド長の孫娘です。 下回是,公會長的孫女。