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第一部士兵的女兒 紙張的完成

作者:SPT草包│2017-03-02 22:37:28│巴幣:2│人氣:352
本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~
以下犯上的書癡~為了成為圖書管理員而不擇手段~
作者:香月美夜
第一部兵士の娘 紙の完成
第一部士兵的女兒 紙張的完成
原文連結

「ああぁぁぁ、ボロボロ……」
「啊啊,破破爛爛了……」
「こっちもだ」
「這邊也是啊」

 トロンベで作った試作品は良い出来だったが、違う素材で作った物は出来が良くなかった。
 雖然用特隆貝製作的試作品很好的完成了,但用不一樣的素材製作的東西完成的不是很好
 繊維自体に粘りがないせいだろうか、繊維が思ったよりも短いのだろうか、うまく繊維が絡みあわなくて、くっつかなくて、乾かす途中でボロボロになってしまった。
 是纖維本身黏性不好的原因嗎,是纖維比所想的還短的嗎,纖維無法順利互相交纏,無法黏合,在乾燥的途中就變得破破爛爛了。

「トロロを多めに入れたら、大丈夫かな? どうだろう?」
「多放點黏劑的話,會不會不要緊呢? 你認為呢?」
「思いつくことをどんどん試してみるしかないよな」
「只能試著不斷嘗試所想到的事情了呢」

 繊維が固まりやすいようにトロロを多めに入れて、破れにくいように、次は少し厚めの紙を漉いてみた。
 纖維為了容易凝結而多放點黏劑,為了不容易破掉,下次試著抄稍微厚點的紙。

「これでどうよ?」
「這樣如何呢?」
「乾いてみないとわからねぇけど、うまくいけばいいな」
「雖然不試著乾燥就不知道,但能順利就好了呢」

 トロロ多めで、厚めに漉いた紙はカチカチに固まっていて、板から剥がす途中でパキンと割れた。ポロポロと散りながら落ちていく欠片を見て、呆然としてしまう。
 由於黏劑很多,厚一點的抄紙硬梆梆地凝結了起來,在從板子上剝離的途中就啪地裂開了。看著破破爛爛地一邊散開一邊逐漸掉落的碎片,整個呆住了。

「失敗だよな?」
「是失敗了呢?」
「うん、破れたというより割れたよね? 少なくとも紙じゃなかったよ」
「對啊,比起所謂破掉更像是裂開呢? 至少不算是紙張了唷」

 繊維とトロロと水の割合がうまくいかないのか、素材自体がうまく噛み合っていないのか、よくわからない。
 是纖維跟黏劑跟水的比例無法順利進行嗎,是素材本身無法順利契合嗎,不是很明白。
 植物なら一応紙っぽい物ができると本で読んだけれど、ここではいまいちわたしの常識が通用しない。どうしてこうなった? って叫びたくなるような失敗が出てくる。
 雖然在如果是植物姑且能完成紙張般的東西的書上讀過,但在這裡我的常識幾乎都無法通用。出現了似乎會變成想要大叫怎麼會變成這樣? 的失敗。

「いっそトロンベの量産ができたらいいのにね」
「乾脆可以量產特隆貝的話就好了呢」
「できねぇよ!」
「辦不到唷!」
「トロンベの種があれば何とかならないかな?」
「有特隆貝的種子的話是不是能設法做到呢?」

 あの時に拾ったような赤い実があれば、トロンベを刈ることはそう難しいことではないと思ったが、ルッツはぶるぶると首を振った。
 有像是在那個時候撿到的紅色果實的話,我認為割取特隆貝並不是那麼困難的事情,但路茲打起冷顫地搖著頭。

「そんなもん探すな! 森を潰す気か!?」
「別找那種東西! 想搗爛森林嗎!?」
「種があったら、この間みたいに生え始めをみんなで刈れるんじゃない?」
「有種子的話,不能像前幾天那樣從開始生長就讓大家去割掉嗎?」

 いつ生えてくるかわからないなら困るけれど、種を見つけて何人もが待ち構えた後で、トロンベを生やせば、対処できると思う。
 雖然說如果不知道何時會長出來而困擾,但在發現種子的幾個人蓄勢待發後,種下特隆貝後,我認為是可以應付的。
 しかし、ルッツはこめかみを押さえて、絶対にダメだと言い張った。
 但是,路茲按住太陽穴,堅決主張絕對不可以。

「トロンベはいつ生えてくるかわからないんだ! 危険すぎる!」
「不知道特隆貝何時會長出來啊! 太危險了!」
「そうなんだ」
「是那樣啊」

 どうやらあの時はたまたま生えてくる寸前のトロンベの種をわたしが拾っただけで、どの種も拾ってすぐに生えてくるとは限らないようだ。
 看來那個時候我只是撿到偶然要長出來之前的特隆貝種子,似乎撿哪種種子也未必會馬上生長出來。
 ルッツがあんまり怒るので、不思議なにょきにょっ木は諦めることにした。
 因為路茲相當生氣,不可思議的雨後春樹只能決定放棄了。

「……早くこっちの常識、覚えてくれよ」
「……早點將這邊的常識,給記住唷」
「これでも頑張ってるんだけどね」
「這個也是會努力就是了呢」

 生まれてからほとんど家を出たことがないマインの記憶より、前世と思われる本須 麗乃の記憶の方が長くて濃密なせいで、どうしても判断基準の全てを麗乃の記憶に頼ってしまう。
 比起從出生就幾乎沒出來過家裡的瑪茵的記憶,由於認為是前世的本須 麗乃的記憶還比較長而濃密的關係,無論如何一切的判斷基準都是依靠麗乃的記憶。
 しかし、マインの中に別の記憶があるということをルッツと話したことで、最近では、ちょっとずれた思考をすると、ルッツが訂正してくれるようになった。
 但是,因為把所謂在瑪茵體內有其他記憶的事情跟路茲說過了,而變成在最近,思考稍微偏離的話,就會被路茲給予訂正。

「とにかく、トロンベは危険なんだ。生える時に辺りの土の力を根こそぎ持って行って、トロンベが生えたところは、しばらく何も生えない土地になる。量産なんて無理だ」
「不管怎樣,特隆貝是很危險的。在生長的時候會將附近土壤的力量連根拔起,特隆貝生長的地方,會變得暫時什麼都無法生長的土地。量產什麼的是不可能的」
「えぇ!? そんなに危険な物だったの!? この間はそんなことにならなかったよね?」
「咦!? 是那麼危險的東西呀!? 前幾天並沒有變成那種事情呢?」
「だから、変だって言ってただろ? 聞いてなかったのか?」
「所以,有說過很奇怪的吧? 沒有聽到嗎?」
「普通のトロンベがどんな物で、どう変なのか、全然わからなかったんだよ」
「普通的特隆貝是怎樣的東西,是如何的奇怪呢,完全不知道的唷」

 トロンベが一番品質良かったけれど、秋にしか出ない上に危険すぎる木なので、量産は無理だ。
 雖然說特隆貝品質最好,但由於是只會在秋季出現之上且非常危險的樹木,量產是不可能的。
 無い物を望むよりは、ある物で何とかできないか考える方が有意義なので、試行錯誤を続けるしかない。
 由於比起期望沒有的東西,還是用現有的東西去思考能不能設法做到還比較有意義,只能持續錯誤嘗試。

 そして、その辺りで普通に採れる木で量産できるように、色々な割合を考えたり、繊維をもっと潰してみたり、エディルの実ではなく、スーラモ虫のトロロを使ってみたり、少しずつ改良していった。
 而且,為了能用在這附近普通採集到的木頭做到量產,又是思考各式各樣的比例,又是試著將纖維砸得更爛,或者不是用艾迪魯的果實,而是試著使用史拉蒙蟲的黏劑,一點一滴地去做改良。

「この中ではフォリンが一番向いてるな」
「在這裡面佛林是最適合的呢」
「うん。フォリンにスーラモ虫のトロロを少し多目に混ぜた物なら、商品化もできそうだね」
「嗯。如果在佛林裡面混合綜合了稍微多一點史拉蒙蟲的黏劑的東西,似乎就能商品化了呢」

 材木屋で教えてもらった柔らかめの3種類の木で挑戦してみた結果、フォリンという木が一番薄い紙を作ることができた。
 試著用請木材行教導過柔軟一點的3個種類的木頭去挑戰的結果,名為佛林的木頭能夠做出最薄的紙張。
 フォリンは他の2つに比べて繊維が少し硬いので、叩く時が大変だが、叩けば叩くほど繊維から粘りが出てくるようだ。それが分かってからは、徹底的に叩けば、比較的良い紙ができるようになった。
 由於佛林跟其他2個相比纖維有點硬,雖然敲打的時候很辛苦,但似乎越敲打越能從纖維中產生出黏性。明白了那個之後,徹底的敲打的話,變得好像能做到比較好的紙張。
 そして、船水(ふなみず)を作る時の割合を少しずつ変えた結果、一番良さそうな割合を発見した。発見した割合を石板に書いて、パンパンと指先の埃を払う。
 然後,把製作船水的時候的比例一點一滴地改變的結果,發現了好像是最好的比例。將發現的比例寫在石板上,啪啪地拍掉指尖的灰塵。

「これでいいんじゃない?」
「這樣不就好了嗎?」
「おう、この通り作ったら、量産もできそうだな」
「喔,照這樣製作的話,似乎能做到量產呢」

 やっと見つかった比率にルッツの表情も明るい。出来上がった紙を嬉しそうに何度も指で撫でている。
 對終於發現到的比率路茲的表情也明亮了。高興似地將做好的紙張用手指撫摸了好幾次。

「でも、量産は春になってからだね。今は木を採るのも大変だし、冬に向けて皮がどんどん固くなってるから」
「但是,量產要到春天以後了呢。現在採集木頭也很辛苦了,因為轉到冬季皮就會不斷地變硬了」
「そうだな」
「也是呢」

 春の息吹の季節になってから、柔らかい木や柔らかい枝を採りに行った方が、良い紙ができそうだ。
 到了春天吹拂的季節之後,去採集柔軟的木頭或柔軟的樹枝,似乎就能製作良好的紙張了。
 それに、すでに川に皮をさらすのが辛い季節になっている。ルッツのためにも暖かくなってからにしたい。
 而且,馬上就要到在河裡漂洗皮很痛苦的季節了。也是為了路茲想在變暖之後再去做。

「じゃあ、早目にできあがった紙をベンノさんのところに持っていこう。冬はわたし、オットーさんのお手伝いに門に行くから」
「那麼,提前把做好了的紙張帶去到班諾先生那裡吧。因為冬季我,要去門當歐拓先生的幫手」
「あぁ。もう少ししたら冬支度も本格的に始まるし、さっさと終わらせようぜ」
「啊。再做一些的話過冬準備也要正式地開始了,趕快把它結束掉吧」
「うん。わたし、明日は門に行って、オットーさんにお礼の文章の書き方を教えてもらうよ。せっかく紙を作ったんだもん。お礼状、渡したい」
「好。我,明天要去門,請歐拓先生教我感謝的文章的寫法唷。難得製作了紙張咩。想遞交,感謝函」

 わたしの提案にルッツは頷きながら、本日の失敗作をまとめて積み上げる。
 路茲一邊對我的提案點頭,一邊將今天的失敗作整理堆疊起來。

「お礼の文章は任せるな。それで、こっちの失敗作はマインが持って帰るんだろ?」
「感謝的文章就拜託妳了呢。還有,這邊的失敗作瑪茵要帶回去的吧?」
「うん、成功した紙はベンノさんのところに持っていくけど、穴が開いていたり、ちょっと剥がすのを失敗したりした紙で、本を作るの」
「對,雖然成功的紙張要帶去班諾先生那裡,但要用破洞的、剝離失敗的紙張,製作書本」

 大量にある失敗作なら持ち帰ってもいいとマルクにも確認をとってある。これで、初めての本作りができそうだ。
 也要跟馬爾克就如果有大量失敗作就算帶回去也可以取得確認。而且,似乎能做到最初的寫書。


 次の日、わたしは久し振りに門へ行った。冬の決算期に向けて、計算処理が必要な書類がだんだん増えてきているようで、オットーは顔を輝かせてわたしを歓迎してくれた。
 隔天,我久違地往門過去。面對冬季的結算期,必須要計算處理的文件好像漸漸地增加了起來,歐拓喜出望外地歡迎著我。

「やぁ、マインちゃん、待っていたよ」
「呀,小瑪茵,我正等著喔」

 ポンポンと傍らに積み上がった木札を叩きながら、イイ笑顔で手招きされた。木札に書かれた品名と数を集計して、書類に書いていく作業の真っ最中だったようだ。
 一邊砰砰地敲打著在旁邊堆積起來的木牌,一邊被用美好的笑臉招手了。總計著被寫在木牌上的品名跟數量,似乎正在書寫著文件的作業當中。
 それを手伝いながら、わたしはオットーにお礼状の書き方について尋ねてみることにした。
 一邊幫忙著那個,我一邊決定試著詢問歐拓關於感謝函的寫法。

「オットーさん、わたし、お礼状の書き方を教えてほしいんです」
「歐拓先生,希望,能教我感謝函的寫法」
「お礼状? 貴族達がやり取りしているような?」
「感謝函? 像是貴族們交換著的嗎?」

 いや、別に貴族達のものじゃなくていいんですけど、と言いかけて、止まった。もしかしたら、貴族の間だけで行われている習慣かもしれない。
 不,雖然不必要特別是貴族們的東西就可以了,但剛要說,就停下了。難道說,是只在貴族間進行的習慣也說不定。

「あの、紹介状があるなら、紹介してもらった礼状もあるんじゃないかと思ったんですけど……もしかして、無いんですか?」
「那個,我是想說如果有介紹信,是不是也有承蒙介紹的感謝函呢就是了……難道,沒有嗎?」
「貴族同士のやり取りなら、存在していることは知っているけど、商人がわざわざ書くことはないな。契約でもないのに紙を使うのがもったいない」
「如果是貴族之間的交換,雖然我是知道存在著的,但商人是不會特意去寫的呢。明明不是契約卻要使用紙張是很浪費的」

 確かに、紙は高価なものなので、そう気軽に使えるものではない。
 確實,由於紙張是昂貴的東西,並不是能那麼輕易使用的東西。

「じゃあ、お礼ってどうすればいいんですか?」
「那麼,答謝要怎麼做才好呢?」
「商人なら、お礼は自分が扱っている物の中から、相手が望む物を贈るのが普通だ。従者に持たせるか、本人が持っていくかは別にして、礼状ではなく、物を贈るんだよ」
「如果是商人,答謝是從自己正處理的東西裡面,贈送給對方所期望的東西是很普遍的。讓隨從帶著嗎,本人帶過去嗎是另外一回事,不是感謝函,而是贈送東西喔」

 紹介状のようにお礼状の書式があって、その通りに出来上がった紙でお礼状を作ろうと思っていたのに、お礼状は使われておらず、物を贈るのが普通だったとは。
 明明是想著有著像是介紹信般感謝函的書寫格式,就照那個樣子用做好的紙張製作感謝函,但感謝函沒有被使用,贈送東西是很普遍的。

「……うわぁ、予想外でした。ねぇ、オットーさん。ベンノさんに贈るって何を贈ればいいと思いますか? わたしやルッツからベンノさんに贈れるような物なんて全然思い当たらないんですけど」
「……嗚哇,出乎預料。喂,歐拓先生。你認為贈送給班諾先生要送什麼才好呢? 來自我或路茲能贈送給班諾先生的東西什麼的完全想不到就是了」

 わたしが持っている物で、ベンノが欲しがりそうな物など、全く思い当たらない。ベンノなら何でも持っていそうだ。
 在我擁有的東西裡面,班諾好像很想要的東西之類的,完全想不到。如果是班諾似乎什麼都擁有了。
 オットーは軽く肩を竦めて、助言をくれた。
 歐拓輕輕地聳了聳肩,給予了建議。

「二人で作った紙でいいんじゃないか? 二人が扱う商品ってそれだけだろ? それに商品価値があれば、初期投資が報われるんだからベンノにとっては一番だ。あとは……何か新しい商品の情報とか、ね」
「用兩個人製造的紙張不就好了嗎? 要說你們兩個人所處理的商品就只有那個了對吧? 而且有商品價值的話,因為初期投資被回報了對班諾來說是最好的。還有就是……有什麼新商品的情報嗎、這樣」
「わかりました。ありがとうございます、オットーさん」
「我明白了。非常感謝您,歐拓先生」

 紙の商品価値を高めるのと、新しい商品の情報か……。それなら何とかなるかも。
 提高紙張的商品價值與,新商品的情報嗎……。若是那樣說不定能想到辦法。

 わたしは次の日、早速ルッツにお礼のための紙を作ることを提案した。
 我隔天,立刻對路茲建議製作為了答謝用的紙張。

「お礼状じゃなくて、商品から気に入りそうな物を贈るのが、商人のお礼なんだって。だから、トロンベでちょっと特別な紙を作ろうと思うの。トロンベの白皮ってまだ残ってたよね?」
「並不是感謝函,而是贈送從商品裡面好像很中意的東西,是商人的答謝。所以,我想用特隆貝製作稍微特別的紙張。特隆貝的白皮還有剩的吧?」
「あぁ。旦那への贈り物なら、最高の紙がいいもんな?……マイン、それ、何持っているんだ? レグラース?」
「啊。如果是給老闆的禮物,最好的紙張是好東西呢?……瑪茵,那個,拿著什麼呢? 蕾古拉絲?」

 わたしは自分が持っている赤い葉っぱを見下ろした。
 我俯視了自己拿著的紅色葉子。

「そういう名前なの? 井戸の周りに生えてたから、昨日摘んで、押し花っぽくしてみたんだけど」
「是叫那個名字嗎? 因為是生長在水井周圍,昨天摘的,要試著做押花就是了」
「そんなの、何に使うんだ?」
「那樣喔,是要用在什麼上面?」
「もちろん、紙を作る時に使うんだよ」
「當然,是使用在製做紙張的時候唷」

 レグラースは赤いクローバーのような植物だ。和紙の間に入った紅葉の代わりに挟み込んで漉いてみようと思いついたのだ。
 蕾古拉絲是像紅色三葉草般的植物。我是想著試著代替放進和紙之間的紅葉夾進去抄看看的。
 栞や便せんの模様になるようなデザインで端の方にレグラースを並べたメッセージカードと、レグラースの葉っぱを小さく千切って、ハート模様のように全体に散らして千代紙のような紙を作った。
 用變成像書籤或便條的模樣般的設計在周邊排列著蕾古拉絲的留言卡,將蕾古拉絲的葉子撕得小小的,像是愛心的模樣散佈在整體上製作成彩色印花紙般的紙張。

 メッセージカードには、「ベンノさんのおかげで、この紙は完成しました。ありがとうございます」とわたしとルッツの連名で書く。
 留言卡上是,寫著「託班諾先生的福,這張紙完成了。非常感謝您」與我跟路茲的聯名。

「この紙、すごく綺麗だな」
「這張紙,非常漂亮呢」
「レグラースを挟んであるから、絵が描かれたみたいに華やかになるでしょ?」
「因為有夾著蕾古拉絲,好像被畫上畫一樣變得很華麗對吧?」
「こっちはどうするんだ?」
「這邊是要怎麼做?」
「『折り紙』にするの」
「要做成『摺紙』」
「オリガミ?」
「折指?」

 千代紙風に作った紙は、ナイフで正方形に切った後、祝い鶴を折る。
 做成彩色印花紙風的紙張,用小刀裁切成正方形後,摺成祝福紙鶴。
 昔の記憶では、海外に行った時なら手裏剣が一番喜ばれたけれど、ここでは手裏剣なんて見てもわからないだろうし、くす玉のような大物を作るには紙が足りない。
 在從前的記憶裡,如果是去海外的時候手裏劍是最讓人興喜的就是了,但在這裡手裏劍什麼的就算看了也不知道的吧,要製作彩球般的大東西紙張就不夠了。
 一枚の紙で手軽にできて、見栄えがするのが祝い鶴だった。クジャクみたいに後ろに広がるので、普通の折り鶴より豪華に見える。
 用一張紙就能簡單地做到,能做到體面的就是祝福紙鶴了。因為就像孔雀一樣在後面展開,看起來比普通的摺紙鶴還豪華。

「どう? これなら、見栄えもするでしょ?」
「如何? 這樣的話,也能很體面對吧?」
「……す、すげぇ。紙がなんでこんなことになるんだ? マインが何をやったか、全然わからなかったぞ」
「……好、好厲害。紙張為什麼能變成這個樣子啊? 瑪茵做了些什麼呢,我完全都不知道耶」

 恐る恐ると言った感じでルッツが鶴を指先で突く。
 路茲用戰戰兢兢說話的感覺用指尖戳著紙鶴。
 その扱い方に、ハッとした。
 對於那個處理方法,突然就做了。

 この折り鶴の原価っていくらよ?
 話說這個摺紙鶴的原價是多少啊?

「……よく考えたら、紙の飾りってすごく贅沢じゃない?」
「……好好思考的話,紙張的裝飾不是非常奢侈嗎?」
「あ~、ま、まぁ、旦那に渡す分だから、いいだろ」
「啊~,算、算了,因為是要交給老闆,可以的吧」

 折り紙なら気軽で手軽にできる割に珍しくていいんじゃない? と思っていたけれど、ここでの紙の値段を考えたらもったいなすぎることをしてしまったかもしれない。
 如果是摺紙隨便就能簡單地做到比較稀奇不是很好嗎? 雖然是那麼樣想的,但考慮到在這裡的紙張的價錢做了太過浪費的事情了也說不定。

 ……開いて伸ばしたら、折り目はいっぱいあるけど使えるよ、ってベンノさんに教えておいた方が良いかな?
 ……打開攤平的話,雖然有滿滿的摺痕但還能用唷,這樣事先告訴班諾先生會不會比較好?

「他には新しい商品になりそうな物の情報って言われたんだけど……」
「其他就是被說了像是能成為新商品的東西的情報就是了……」
「そういうのはマインの方が思いつくだろ?」
「那樣說就是由瑪茵來思考的對吧?」

 ルッツが軽い口調でわたしに丸投げしてきた。
 路茲用輕鬆的語調全權委託給我。
 全く思いつかなかったわけではないけれど、本当に売れるのかわからないので、ルッツの意見を聞いてみたいのだ。
 雖然並不是完全沒有想到,但因為不知道真的能賣掉嗎,而試著聽看看路茲的意見。

「……初めて会った時、ベンノさんが簪に興味持ってたから、簪でもいいかなと思ったけど、これって木の棒じゃない?」
「……初次見面的時候,因為班諾先生對髮簪抱有興趣,雖然我認為髮簪是不是也可以,但要說這個不就是木棒嗎?」

 わたしが自分の頭を指差すと、ルッツも大きく頷いた。
 我指著自己的頭後,路茲也大大地點著頭。

「そうだな。ただの棒だ」
「說得也是呢。只是個棒子」
「商品になると思う?」
「你認為能成為商品嗎?」
「……自分で作れるから、わざわざ買うやつなんていないだろ?」
「……因為能自己做,沒有會特地來買的傢伙之類的吧?」

 珍しくても、商品にはならないと思ったが、ルッツの予想も同じだった。
 雖然想過就算稀奇,但也無法成為商品,路茲的預料也是一樣的。

「商品になる簪なら、あれがいいんじゃないか?……ほら、トゥーリが洗礼式の時につけてた簪とか、さ」
「如果是要成為商品的髮簪,用那個不就好了嗎?……妳看,圖麗在洗禮式的時候配戴的髮簪如何,呢」
「ルッツ、天才! あれは確かに周りの反応もよかった! 今年の冬仕事にちょうどいいかも」
「路茲,天才! 那個確實周圍的反應也很好! 當今年的冬季工作說不定正好」

 これでベンノに贈るものも準備できた。後は都合を聞いて、会える時間を作ってもらわなければならない。
 就這樣贈送給班諾的東西也準備好了。之後是打聽情況,必須要給騰出見面的時間。

「ねぇ、ルッツ。今日、鍵を返す時、マルクさんにベンノさんの予定を聞いておいてほしいんだけどいい?」
「喂,路茲。今天,返還鑰匙的時候,希望能事先跟馬爾克先生打聽班諾先生的預定但可以嗎?」
「あぁ、いいぜ」
「啊,可以呀」


 マルクから指定があった日、ルッツと二人で作った紙を持っていく。
 經由馬爾克所指定的那一天,跟路茲兩個人帶著製作的紙張過去了。
 完成品はトロンベとフォリンの2種類で、厚みの違いが3種類あるので、全部で6種類の紙が準備できた。
 完成品是用特隆貝與佛林的2個種類,因為有厚度不一樣的3個種類,全部6個種類的紙張準備好了。
 それから、ベンノに贈るための、レグラースで彩りを付けたメッセージカードと祝い鶴。最後に、相談するためのトゥーリの簪をトートバッグに入れた。
 然後,為了贈送給班諾的,用蕾古拉絲添加色彩的留言卡跟祝福紙鶴。最後,將為了商量用的圖麗的髮簪放入手提包內。

「ベンノさん、おはようございます。紙の試作品ができたので、持って来ました。ベンノさんの初期投資のお陰で、とてもいい感じに仕上がりました」
「班諾先生,早安。由於紙張的試作品完成了,而帶了過來。託班諾先生初期投資的福,以非常好的感覺完成了」
「オットーから聞いてはいたが、もうできたのか?」
「雖然從歐拓那聽說了,已經完成了嗎?」
「はい。これです」
「是的。就是這個」

 トートバッグの中から紙を取り出して、ベンノの机の上に並べた。
 從手提包裡面取出紙張,陳列在班諾的桌子上面。
 紙を見たベンノが軽く目を見張った後、一枚目に手を伸ばす。
 看著紙張的班諾輕輕地張大眼睛後,對第一張紙伸出了手。

「どれ、確認してやろう」
「哪個,來做個確認吧」

 透かしたり、手触りを確認したりした後、ベンノはインクを取り出した。上の方の一部分を切り取って、ペンを走らせる。
 又是透著光,又是確認手感之後,班諾拿出墨水。切下上方的一部分,振筆疾書。

「……書けるな。羊皮紙よりも引っ掛かりが少なくて、書きやすいが、少しにじむところがある。それほど気になるわけでもないが……ふむ」
「……能寫呢。沾附的比羊皮紙還少,雖然書寫容易,但有些許滲出的地方。不過那點程度並不需要去在意……呼唔」
「合格ですか? ルッツ、見習いになれますか?」
「是合格嗎? 路茲,能成為見習嗎?」

 ベンノが顎の辺りを撫でながら、ニヤリと笑って、次の紙に手を伸ばす。
 班諾一邊撫摸著下巴附近,一邊賊賊地笑著,對下一張紙伸出了手。

「あぁ、そういう約束だったからな。これは、どれくらい作れる?」
「啊,因為是那種的約定呢。這個,大概能做多少?」
「えーと、試作のためだったので、本格的に作るなら、道具を大きくしたいです。これじゃあ、ちょっと小さすぎると思うんです。一番よく使う紙の大きさってどれくらいですか?」
「呃,由於是為了試作的,如果要正式的製作,想要把工具做大。這個的話,我認為稍微太小了。是說最常使用的紙張大小是哪種大小呢?」

 門で見る紹介状の大きさはバラバラで、作る紙の基準がわからない。
 因為在門看到的介紹信大小七零八落的,無法明白造紙的基準。
 本当の和紙を作るような大きさの簀桁は大きすぎて、漉く時にものすごく力がいる。ルッツやわたしの力で綺麗な紙が作れなければ意味がないので、一番よく使う大きさの紙を量産したい。
 像是製作真正的和紙大小的簀桁太大了,在抄的時候非常非常需要力氣。由於以路茲或我的力氣不能製作漂亮的紙張就沒有意義了,想要量產最常使用的大小的紙張。

「……そうだな。紹介状や契約書に使うのが、だいたいこれくらいだ。はっきりとは決まってない」
「……也是呢。使用在介紹信或契約書上的,大概是這種大小。很清楚還沒決定」

 ベンノが棚から取り出して見せてくれた羊皮紙の大きさはA4~B4くらいの大きさだった。簀桁を振るにも程良い大きさだ。
 班諾從架子拿出來給我看的羊皮紙的大小是大約A4~A5的大小。也是搖晃簀桁的適當大小。

「じゃあ、それくらいの大きさで簀桁を新しく作りたいです。でも、紙を実際作るのは春になります。今からじゃあ、素材が採れないんですよ」
「那麼,想要用那個左右的大小製作新的簀桁。但是,實際製做紙張要到春天。若要從現在開始,是採不到素材的唷」
「春までに道具の準備をすればいい。マルクに頼んでおけ。これなら、十分商品になる」
「在到春天之前準備好工作就可以了。預先委託馬爾克。若是這個,十分能成為商品」
「はい!」
「是的!」

 ベンノに紙が認められた。努力が実ったことが嬉しくて、ルッツと二人で顔を見合わせて、笑う。
 紙商被班諾認可了。努力得以取得成果很高興,跟路茲兩個人互相對看,笑了。

「品質はこっちの方がいいな」
「品質是這邊比較好呢」

 ベンノが手で触れてそう言ったのは、トロンベで作った紙だ。一目で品質の違いがわかる。色の白さや滑らかさが段違いなのだ。
 班諾用手觸摸那樣說的是,用特隆貝製做的紙張。一看就知道品質的差異。顏色的白皙與滑順是相差懸殊的。

「これはトロンベが材料なんです」
「這個特隆貝就是材料」
「トロンベだと!?」
「竟然是特隆貝!?」

 ぎょっとしたようにベンノが顔を上げて、わたしとルッツを交互に見た。
 班諾好像大吃一驚抬起了頭,交互看著我路茲。
 やはりトロンベというのは、かなり危険な植物として有名らしい。変な事を口走らないように、説明はルッツに任せて、わたしは一歩下がった。
 果然名為特隆貝的是,作為相當危險的植物而似乎非常有名。為了不說漏嘴奇怪的事情,說明就交給路茲,我退後了一步。
 わたしの意図が通じたようで、ルッツが一歩前に出て、口を開く。
 像是明瞭我的意圖,路茲走上前一步,開口了。

「森で採集している時に、生え始めたところをマインが見つけて、たまたま手に入ったんだ。入手が大変だし、不安定だから、滅多に作れないと思う」
「正在森林裡採集的時候,瑪茵發現了開始生長的地方,是純屬偶然得到的。因為到手很辛苦,又不穩定,我認為無法隨便製作」
「まぁ、そうだろうな……。しかし、トロンベか」
「算了,是那樣呢……。但是,特隆貝嗎」

 何とか量産できないか、とベンノが脳内で必死に考えているのが、手に取るようにわかる。商人らしい計算顔になっているが、希少なので、そう手に入るものではないだろう。
 無法想辦法量產嗎,雖然班諾在腦袋裡拚命地思考著,但明白是為了要取得。雖然化成了像是商人般的算計表情,但因為很稀少,不會是能那樣得到的東西吧。

「いくつか試した結果、トロンベが一番品質はよかったんですけど、材料が手に入らないんじゃ商品にはなりません。そして、これがフォリンを使った紙です。商品として作るなら、素材としてはこちらの方が量産には向いています」
「嘗試了幾個的結果,雖然特隆貝是品質最好的,但材料若無法得到就不能成為商品。然後,這個是使用佛林的紙張。如果作為商品,作為素材是這邊會比較傾向於能量產」
「なるほど。フォリンなら、確かに量産に向いているな」
「原來如此。如果是佛林,確實是很適合量產呢」

 ベンノが何度も頷いて、紙については納得したようなので、今度はお礼の品を取り出した。
 班諾點了好幾次頭,因為好像對於紙張有所了解,這一次拿出了答謝的物品。

「それから、これ……ベンノさんへのお礼状です。オットーさんに聞いたら、作った紙に商品価値を付けるのが一番喜ばれるって聞いたので、特別な紙を作ってみました」
「還有就是,這個……給班諾先生的感謝函。跟歐拓先生打聽後,因為聽說給製作的紙張附加商品價值是最讓人興喜的,而試著做出特別的紙張」
「お礼状? 上級貴族に出したことはあるが、俺がもらったことはないぞ。何と言うか、偉くなった気がするな」
「感謝函? 雖然有對上級貴族發出,但我可沒收到過勒。說了些什麼呢,感覺變得很偉大了呢」

 フッと嬉しそうに口元を綻ばせてメッセージカードを開いたベンノが、カードを見つめたまま、軽く目を見張って固まった。
 忽然高興似地綻放嘴角打開了留言卡的班諾,就那樣凝視著卡片,輕輕地張大了眼睛僵住了。

「あの、作る途中でレグラースを入れたんです。……どうですか?」
「那個,是在製做的途中放入了蕾古拉絲。……感覺如何呢?」
「あ? レグラースって、この時期にはあちこちに生えている雑草だよな?……こうして見ると、美しいな。こういうのは貴族の奥方や御令嬢に受けが良さそうだ」
「啊? 是說蕾古拉絲,是在這個時期到處都有生長的雜草吧?……像這樣看的話,很漂亮呢。像這種的似乎對貴族的夫人或千金都很能接受吧」

 すぐに購買層を思い浮かべるベンノは、商人として考えるなら、とても頼もしい。その商人の目で見て、貴族に向けて売れそうだ、と判断してくれたということは、商品価値を付けることに成功したということで、間違いないだろう。
 馬上就想到購買階層的班諾,如果作為商人來考慮,是非常可靠的。用那個商人的眼光來看著,針對貴族似乎能賣掉,所謂給予了那種判斷這件事,就是說附加商品價值是成功的,是毫無疑問的吧。

「えーと、こっちは先行投資へのお礼の品というか、贈り物というか……紙で作った飾りです。『祝い鶴』って言います」
「呃,這邊該說是給先行投資的答謝物品嗎,還是說禮物呢……是用紙做成的裝飾。稱之為『祝福紙鶴』」
「ほぉ! これが紙か?」
「哦! 這是紙嗎?」

 畳んであった祝い鶴を机の上で広げて見せると、ベンノが目を輝かせて手に取った。色々な角度から見ているが、飾り以外の使い道はない。
 在桌子上把摺起來的祝福紙鶴打開展示後,班諾閃耀著目光拿到了手上。從各式各樣的角度觀看著,沒有裝飾以外的用處。

「作った後で、すごく贅沢な使い方をしたことに気付いたんです。飾るしか使い道がないんですよ。あ、でも、折っただけですから、広げたら折り目は残るけど、普通に紙としても使えます」
「做了之後,才發現到做了非常奢侈的用法。除了裝飾以外毫無用處唷。啊,但是,因為只有用摺的,攤開的話雖然會留下摺痕,但也可以普通地當作紙來用」
「いや、飾りでいいだろう? ウチで売る紙の良い宣伝になりそうだ」
「不了,用來裝飾也可以的吧? 似乎能成為在我家販賣紙張的良好宣傳」

 紙を売ることになれば、その棚にでも飾ろうとベンノは呟いて、自分の棚へと祝い鶴を移動させた。しばらくは棚の上が祝い鶴の場所になるらしい。
 班諾變得能賣紙的話,也能裝飾在那個架子上了這樣嘟噥著,將祝福紙鶴往自己的架子上移動。架子之上似乎暫時成為了祝福紙鶴的位置。
 正直、折り紙でここまで喜ばれると思っていなかった。贈り物として作って良かった、と素直に思う。
 老實說,我沒想過會因摺紙而就此感到興喜。作為禮物而做真是太好了,我坦率地那麼認為。

「正直、木から紙ができるとは思わなかった。品質もオレが予想していたよりずっと良い。これから、商品として十分に通用する。よくやった。量産できる春を楽しみにしているぞ」
「老實說,我從沒想過能從木頭做成紙張。品質也比我所預想的還要好很多。今後,作為商品能充分地通用。幹得好。我期盼著能量產的春天喔」

 ベンノからの高評価にわたしとルッツは手を取り合って喜んだ。品質改善の苦労を思い返して、思わず涙ぐんでしまう。
 對來自班諾的高度評價我跟路茲互相拉起手感到興喜。回想起改善品質的勞苦,不禁眼眶泛淚。

「やったな、マイン」
「做到了呢,瑪茵」
「ルッツが頑張ったからだよ」
「是因為路茲很努力唷」

 喜ぶわたし達に苦笑しながら、ベンノが机の上の紙を全て重ねて揃えた。
 一邊對興喜的我們苦笑,班諾一邊將桌子上的紙張全部重疊整齊。

「この紙は俺が買い取る。帰りに金を渡すから、マルクに声をかけてくれ」
「這些紙張我買下了。因為要在回去時交付金錢,去跟馬爾克喊一聲」
「本当ですか!?」
「真的嗎!?」

 そういえば、洗礼式までは原料費と販売にかかる手数料を引いた残りがわたし達の取り分になると話をしていたはずだ。
 說起來,應該是有說過直到洗禮式之前扣除掉原料費跟花在販售上的手續費而剩下的就會變成我們應得的份。

 初めての現金、GETですよ!
 初次的現金,獲得了唷!

 残っている白皮を全部紙にして、売るのもいいかもしれないと考えたところで、ハッと思い出した。売り物にした物の相談をしようとトゥーリの簪を持ってきたことを。
 在思考著說不定把留下來的白皮全部做成紙張,賣掉也不錯的時候,突然想起來了。打算商量做為販售品的東西而帶來了圖麗的髮簪這件事情。

「……あと、ベンノさんに相談があるんですけど、これって、売り物になりますか?」
「……還有,雖然是有要跟班諾先生商量,是說這個,能成為販售品嗎?」

 わたしはトゥーリの髪飾りとして使った簪をベンノの机に取り出して置いた。短めの簪には青や黄色の小花のブーケが付いている。
 我把作為圖麗的髮飾而使用的髮簪拿出來放上班諾的桌子。短短的髮簪上添加了藍色跟黃色的小花花束。
 何故か簪を見たベンノがひくっと頬を引きつらせた。
 不知為什麼看到髮簪的班諾忽然讓臉頰抽搐了一下。

「嬢ちゃん、これは何だ?」
「小姑娘,這個是什麼?」
「髪飾りです。普通に髪を紐でまとめた後に飾りとして使います。……こんな風に」
「是髮飾。普通地用繩子把頭髮整理好後作為裝飾使用。……像這個樣子」

 わたしはトゥーリの髪飾りを、自分の簪の脇に挿して見せた。
 我將圖麗的髮飾,插在自己髮簪的側邊展示著。

「これは姉の洗礼式のために作った物なので、売れませんけど、冬の間に手仕事でこんな感じの飾りを作ろうと思うんですけど、売り物になりますか?」
「由於這是為了姊姊的洗禮式而製做的東西,雖然不能賣,但我想在冬季期間當作手工來製做這種感覺的裝飾,能成為販售品嗎?」

 わたしが問いかけると、ギラギラした目で髪飾りを睨んでいたベンノが、唸るような低い声を出した。
 我詢問了之後,用著閃閃發光的眼神盯著髮飾的班諾,發出了如同呻吟般的低沉聲音。

「……なる」
「……可以」
「じゃあ、作ります。それで、ですね。ベンノさんに売ってもらうので、これも先行投資、お願いできませんか?」
「那麼,要做。接下來,是呢。因為要請般諾先生販售,這個也要先行投資,可不可以拜託呢?」

 ハァ、と溜息を吐いて、ベンノがこちらを見た。ベンノがすごく疲れているように見えるのは気のせいだろうか。
 唉、地嘆了一口氣,班諾看著這邊。班諾看起來好像非常疲憊著是錯覺嗎?

「一体何が必要なんだ?」
「到底需要些什麼啊?」
「糸です。品質はそれほど高くなくてもいいですけど、出来るだけたくさんの色の糸が欲しいんです」
「是絲線。品質雖然不用那麼高檔也可以,但盡可能想要很多顏色的絲線」

 全てを同じ色で作るなんて面白味もないし、誰だって自分に似合う色が欲しいはずだ。色やデザインはたくさんある方がいい。
 全部都用同樣顏色去做什麼的就不有趣了,不論是誰應該都會想要跟自己相配的顏色。有很多顏色或設計會比較好。

「糸だけか? 他には?」
「只有絲線嗎? 其他呢?」
「木が少しあれば嬉しいですけど、薪にするための木も採ってきているので、特にありません」
「雖然稍微有木頭的話就很高興了,但因為也有在採集為了作為木柴的木頭,所以沒特別需要」
「これは嬢ちゃん一人で作るのか?」
「這個是小姑娘一個人做的嗎?」

 じろりとベンノが睨んできた。
 班諾凶狠地瞪視了起來。
 そういえば、「マインが考えて、ルッツが作る」ことになっていたはずだ。ルッツにも手を貸してもらった方が良いかもしれない。
 這麼說來,應該已經形成「瑪茵思考,路茲製做」這種事。說不定請路茲也來協助比較好。

「……木の部分がルッツで、この飾りの部分がわたしの予定です。もちろん、一緒に作りますよ。ね、ルッツ?」
「……木頭的部分是路茲,這個裝飾的部分是作為我的預定。當然,是一起做的唷。是吧,路茲?」
「そう、木のところはオレが作る」
「沒錯,木頭的部分是我做的」

 グッと手を握ってそう言うと、ルッツも慌てて頷いた。
 使勁地握了手並那樣說之後,路茲也驚慌地點了頭。
 何か言いたそうにベンノがわたし達をじろじろと見てきたが、ニッコリと愛想笑いで誤魔化しておく。
 像是要說什麼的班諾打量起了我們,事先以微微地假笑來欺瞞著。

「まぁ、いいだろう。それで、お前達、これから動けるだけの時間と体力はあるのか?」
「算了,也可以。接著,你們,這之後有能動用的時間跟體力嗎?」
「大丈夫です」
「不要緊的」
「そうか。では、商業ギルドに連れて行こう」
「是嗎。那麼,帶你們去商業公會吧」
「商業ギルド!?」
「商業公會!?」

 うわ、また何か新しい言葉が出て来たよ。
 嗚哇,又有什麼新的詞語出來了唷。
 これは、中世ヨーロッパ的なギルドなのか、ファンタジー的ギルドなのか。一体どんな所なんだろう?
 這個是,中世紀歐洲般的工會嗎,幻想般的公會嗎。到底會是個怎樣的地方呢?

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 試作品は無事に完成して、認められました。
 試作品平安地完成了,被認可了。
 マインはちゃっかり失敗作を自分の本作りのために集めています。
 瑪茵精明地為了自己寫書而把失敗作收集了起來。

 次回はベンノさんと一緒に商業ギルドに行きます。
 下回是跟班諾先生一起去商業公會。
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