本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~以下犯上的書癡~為了成為圖書管理員而不擇手段~
作者:香月美夜
第一部兵士の娘 冬支度第一部士兵的女兒 過冬準備
原文連結 わたしは採ってきてもらった茎で、すぐさまパピルスもどきを作るつもりだったけれど、困ったことに、すぐには取りかかれなかった。 我雖然打算用採集回來的莖,趕緊製作仿造紙莎草,但傷腦筋的是,不能馬上拿到。
「マイン」「瑪茵」
「ぅひっ!?」「咿!?」
「どこに行くつもり? 今日から冬支度始めるって言ったでしょ?」「是打算要去哪裡嗎? 說過要從今天開始過冬準備了不是嗎?」
植物の茎を解して繊維を取り出すために井戸へ行こうとしたところを、母に首根っこを掴まれて阻止されてしまったのだ。 針對為了取出拆解植物的莖來得到纖維而打算要去水井這點,被母親抓住了後頸根給阻止了。
ここはもうじき雪に閉ざされてしまうらしいから、長い冬に対する備えは必須なのはわかる。 因為這裡似乎就快因雪而封閉了,我明白應對漫長冬季的準備是必須的。
でも、何故、全く役に立たないわたしまで駆り出されてしまうのだろうか。 但是,為什麼,就連完全派不上用場的我都要被驅使呢。
いくらマインの記憶を探っても、基本的に風邪を引いたり、役に立たなくてうろうろしていた記憶しかない。 就算尋找多少瑪茵的記憶,基本上只有罹患感冒、派不上用場而徘徊打轉的記憶。
つまり、わたしも完全に役立たずなのだ。風邪を引いて寝込んでいないだけマシって程度の。 也就是說,我完全是個廢物呀。只是比沒有因為罹患感冒而臥床要好點的程度。
「マインは父さんの手伝いだ。おいで」「瑪茵是爸爸的助手呀。過來」
「父さん、仕事は?」「爸爸,工作呢?」
「しばらく休みだ。交代で休みを取らないと、冬支度に困るだろう?」「暫時休息了。不換班取得休假的話,過冬準備會很困擾的吧?」
……冬支度休暇があるなんて、意外と良心的な職場ってこと? それとも、男手がないとどうしようもないくらい冬支度が大変ってこと? ……有過冬準備休假什麼的,是意外地有良心的職場嗎? 還是說,沒有男性勞力就宛如毫無辦法的過冬準備是很辛苦的事情?
どちらにせよ、父が家にいて、わたしとペアになるのは珍しいことだ。兵士という職業からわかるように、どちらかというと脳筋の父は、健康で気遣いなく連れ回せるトゥーリと行動することが多かった。 哪邊都好,父親在家,與我兩人一組是很稀奇的事情啊。從名為士兵的職業就能知道般,從哪來說都是滿腦肌肉的父親,與健康又不用操心能帶著到處跑的圖麗一起行動比較多。
家族全員が家にいる以上、逃げ出すこともできそうにないし、父からのご指名が入ってしまったし、諦めて父のお伴をするしかない。 既然家族全員都在家,溜出去是做不到的,來自父親的指名,放棄吧只能陪伴父親了。
「……冬支度って、何するの?」「……過冬準備,要做什麼呢?」
台所の窓の前で、父は工具らしきものを取りだしながら、答えてくれた。 在廚房個窗戶前面,爸爸一邊拿出像工具的東西,一邊回答了。
「これからするのは、家の中の点検と補修だな。吹雪になると板戸を閉めるから、蝶番の緩みや錆び、板戸の穴の有無を確認していくんだ。それが終わったら、煙突や竈の掃除をして、冬の間、問題なく使えるようにする」「之後要做的是,家裡的檢查和修補啊。因為變成暴風雪時要緊閉木板窗,所以要去確認合頁的鬆弛或生鏽、木板窗有沒有洞。那些結束的話,要去打掃煙囪與爐灶,為了在冬季期間,能夠毫無問題的使用」
「へぇ」「哦」
仕事内容は理解したが、この仕事で、一体わたしが何の役に立つというのか。 理解了工作內容,在這個工作上,是說我到底派得上什麼用場嗎。
ドライバーも持てないし、回せない、重い荷物も持てない、この軟弱な細腕が目に入らんか!? 沒有拿螺絲起子、也轉不動、沉重行李也拿不了,是看上了這樣軟弱的纖細手腕嗎!?
しかし、多少張り切って、ちょっとくらい役に立つところを見せなければ、この家の中でわたしの株が上昇することはないだろう。 可是,若不能多少加把勁、盡量展現派得上用場的話,在這個家裡面我的價值是不可能上升的吧。
蝶番の緩みや錆びを見分けるくらい、わたしの現代知識を持てば、簡単なこと。 像是分辨合頁的鬆弛或生鏽,保有我的現代知識的話,是很簡單的事情。
「父さん、この蝶番も、こっちの釘も錆びてるよ?」「爸爸,這個合頁,還有這邊的釘子都生鏽了喔?」
「……それはまだいける」「……那個還撐得下去」
いや、どう見てもボロボロで今にも朽ちそうですけど? 不,那算是不管怎麼看都破破爛爛而眼看就要腐朽了吧?
父の言うことを信用していいのか、一瞬悩む。これから、冬になり、吹雪を防ぐための板戸なら、途中で壊れてしまうと困るだろう。 可以信任父親所說的話嗎,瞬間苦惱著。之後,到了冬季,若是為了防範暴風雪的木板窗,在中途壞掉的話很麻煩吧。
わたしは椅子に上って、ちょっとガタガタと揺らしてみる。これで何ともなければ、父の言葉も信用できるが、壊れてしまえば、これから先はわたし基準で判断した方がいいはずだ。 我爬上椅子,試著稍微嘎嗒嘎嗒地搖著。若什麼都不做的話,父親的話也可以信任,但若壞掉的話,不久之後應該可以用我的基準去判斷吧。
数回揺らしたところで、ガキッと音がして二つあった蝶番の下が割れた。 在搖了幾下的地方,發出了嘎嘰的聲音有兩個合頁下方裂開了。
不安定にブラブラ揺れる板戸を見て、わたしはやっぱりと思ったが、父は真っ青になって揺れる板戸を見つめていた。 看著不穩定地晃來晃去搖晃的木板窗,我想著果然啊,父親臉色發白地凝視著搖晃的木板窗。
「マ、マイン!?」「瑪、瑪茵!?」
「ほ~ら、壊れた。これじゃあ冬の間もたないって。さぁ、父さん。ちゃんと直して」「你~看,壞掉了。這樣的話冬季期間保不住吧。來吧,爸爸。好好地修理吧」
びしっと板戸を指差すと、父は自分の判断ミスを棚に上げて、わたしを椅子から下ろして、溜息を吐いた。 手指著斷裂的木板窗,父親將自己的判斷失誤置之不理,把我從椅子上放下來,嘆了口氣。
「マイン、母さんの手伝いをしてくるんだ」「瑪茵,去幫媽媽的忙吧」
判断ミスを娘に指摘されたのが、それほど気に入らなかったのか。 是被女兒指出判斷失誤,沒那麼合意了嗎。
わたしは、やれやれと肩を竦めて、首を振った。母に言われた以上、わたしは父の傍で指摘を続けなければならない。 我,哎呀哎呀地聳聳肩、搖搖頭。既然被母親說了,我就必須繼續在父親旁邊指出。
全ては自分が安全快適に冬を過ごすためだ。 一切都是為了自己能安全舒適地度過冬天。
「え? わたしは父さんを見張ってるよ。冬の間に壊れないように補修するのに、そんなボロボロのまま置いていたらダメじゃない」「唉? 我要監視爸爸唷。為了不在冬季期間壞掉而修補的說,就那樣破破爛爛地放著的話不是不行的嗎」
「全部を直す金がないのに、マインがいたら全部壊されそうだ。母さんのところに行っておいで」「沒有修理全部的錢呀,瑪茵在的話好像全部都會被弄壞。過去媽媽那裡吧」
……ここでも金か! ……這裡也是錢嗎?
父がもう少し大事に使うつもりだった蝶番を壊してしまったわたしは、おとなしく父の言葉に従って母とトゥーリのいる寝室へと向かった。 弄壞了父親打算再稍微慎重地使用的合頁的我,乖乖地遵從父親的話轉往了母親與圖麗在的臥室。
二人は寝室で毛布や上掛けを干して使えるようにしたり、竈に一番近い場所にベッドを移動したり、少しでも温かく過ごせるように内装を整えていた。 兩人一下在臥室將毛毯與罩衫晾乾以期能夠使用,一下又把床移動到最靠近爐灶的地方,一點也好為了能溫暖的度過而整理著內部陳設。
「どうしたの、マイン?」「怎麼了嗎,瑪茵?」
「父さんが母さんの手伝いをしろって……」「爸爸要我來幫媽媽的忙……」
「そう? ここは終わったから、灯りのための準備をするわよ。今年はたまたま採れた蜜蝋が少しあるでしょ。それに、牛脂や木の実から、ランプのためのオイルやキャンドルを作るの」「是嗎? 因為這裡結束了,要做點亮的準備了唷。今年偶然有些採到的蜜蠟對吧。而且呢,要從牛油與樹木的果實中,為了油燈而製作油與蠟燭」
聞いただけで実に臭そうな作業である。ここ数日は色々な家から動物の油の匂いがしているので、我が家の台所で同じ匂いがするだけだと思っても気が滅入る。 是個只是聽著就確實好像很臭的作業。由於這幾天從各個住家散發出動物油的味道,就算只是想到在我家的廚房發出同樣的味道就深感鬱悶。
トゥーリは物置で木の実から油を取る作業を始めたが、力が足りなくてハンマーがろくに扱えないわたしには逃げ場所なんてない。 圖麗開始在儲藏室從樹木的果實取油的作業,力量不足無法好好使用鐵槌的我幾乎無處可逃。
母の隣で、一番大きい鍋に入れられ、火にかけられる牛脂を見ているしかできない。 在母親的旁邊,除了看著被放進最大的鍋子裡,點上火的牛油以外什麼都不能做。
臭っ! 好臭!
耐えろ、わたし。 忍著點,我。
しかし、わたしがこれだけ臭いのを我慢しているのに、なんと母は牛脂を温めて溶かして、上に浮いてきたゴミを取るだけで、牛脂の準備を終えようとした。 可是,明明我忍耐著這些惡臭,但母親竟然只是將牛油溫熱融化,拿掉浮在上面的垃圾,就打算結束牛油的準備了。
「ちょっと待って、母さん。それで終わり? 『塩析』しないの?」「稍等一下,媽媽。那樣就結束了? 不做『鹽析』嗎?」
「え? なんて?」「唉? 什麼?」
まずい。『塩析』は当たり前だが、通じなかったようだ。 糟了。『鹽析』是理所當然的,但好像無法通曉啊。
なんか文句でもあるの? と言いだけな母の眼差しに少しばかり怯みながら、わたしはなるべく簡単な言葉で塩析の説明をする。 一邊稍稍膽怯於像是在說是有什麼不滿嗎? 的母親的眼神,我一邊盡可能用簡單的話語說明鹽析。
「だから、えーと、塩水入れて、もうちょっと弱火で煮込んで、ゴミは何度か漉して取らないの?」「所以說,呃,不放入鹽水,再稍微用小火煮滾,然後濾掉幾次垃圾嗎?」
「塩水?」「鹽水?」
「そう。放っておいたら冷えて、上に油だけ固まって、下に塩水って感じで分かれるでしょ? 下の水は抜いて、上澄みの油だけ使うの。ちょっと面倒かもしれないけど、匂いはかなりマシになるし、質が良い油になるよ」「沒錯。放著的話就會冷掉,只有上面的油凝固,下面以鹽水的感覺分開了吧? 倒掉下面的水,只使用上面清澈的油。雖然稍微麻煩也說不定,但氣味會變得相當好,成為品質優良的油喔」
質が良いというところに反応したのか、母は塩析を始めた。 是對品質優良這點起反應嗎,母親開始鹽析。
冬の間、ずっと使うことになる油の質を向上させるのは、わたしにとっても死活問題だ。なにしろ閉めきった部屋で使われるのだ。冬中、家の中が臭いなんて耐えられない。 提升冬季期間,一直使用著的油的品質,對我來說也是存活問題啊。不管怎樣都是在密閉的房間裡使用的。冬天裡,家裡面很臭什麼的無法忍受啊。
さすがに何%の塩水にしろなんて言えないけど、ちょっとはマシになるよね? 畢竟雖然沒說要用幾%的鹽水,但稍微變好了吧?
濃度はかなり適当だけれど、ちゃんと塩析したおかげで、黄みがかっていた牛脂が真っ白になった。 不過濃度相當適當,多虧好好地做了鹽析,帶有黃色的牛油變得雪白。
この牛脂はキャンドルになる分と、春になってから石鹸作りに使う分に分けられ、キャンドル分が鍋に入れてもう一度溶かされる。 這個牛油被分為做為蠟燭的份與,到了春天用來做肥皂的份,蠟燭的份再次放入鍋中被融化。
濾した時に出てきた肉の欠片は、出汁の利いた美味しいスープの具になりました。ごちそうさま。 過濾時出現的肉屑,可以成為有高湯效果的美味湯料。多謝款待。
そして、お昼ご飯を食べた後は、キャンドルの作成になる。 然後,吃完午餐之後,變為蠟燭的編制。
「じゃあ、トゥーリ。キャンドル、お願いね。父さんと母さんは薪の準備に取り掛かるから」「那麼,圖麗。蠟燭,拜託了呢。因為爸爸跟媽媽要開始著手柴薪的準備」
「はぁい」「好的」
……あれ? わたしの役目は? ……奇怪? 我的任務是?
三人がそれぞれ動き始めたので、わたしは少し考えて、玄関を出ようとする母の後ろについて歩くことにした。「母を手伝え」がまだ続いているかもしれないし。 由於三人各自開始動作了,我稍微考慮下,決定跟在打算要出大門的母親後面走,「幫忙母親」還在繼續也說不定。
しかし、母はわたしに気付くと、戻るように指で示した。 但是,母親發現了我,並用手指示意要我回去。
「マインはトゥーリと一緒にキャンドル作りよ。邪魔しないようにね」「瑪茵跟圖麗一起製作蠟燭吧。不可以礙事喔」
「……わかった」「……知道了」
全く信頼がないのは、なんで? 完全沒有信賴,為什麼?
わたしが台所に戻ると、トゥーリは芯となる紐を同じ長さに切って、何本かぶら下げた木の枝をいくつも作っていた。 我回到廚房時,圖麗做了幾個將做為芯的繩子切成同樣長度、垂下了幾根的樹枝。
できあがった紐を牛脂を溶かした鍋に入れたり出したりする。何度も何度も繰り返すことで、紐の回りについた油が固まって、少しずつ太くなり、ろうそくの形になっていく。 將做好的繩子進進出出融化了牛油的鍋子裡面。由於重複了許許多多次,附著在繩子周圍的牛油凝固了,一點一滴地變粗,逐漸變成蠟燭的形狀。
「へぇ、キャンドルって、そうやってできるんだ」「哦,蠟燭,是那樣做出來的啊」
「マインも見てないで手伝って!」「瑪茵也別光看來幫忙啊!」
トゥーリに怒られたので、お手伝いのため、匂い消しのハーブをちぎって、固まりかけのろうそくに張り付けていく。これで消臭効果があったら、来年はもっとちゃんとハーブを漬けこんでやろう。 由於圖麗生氣了,為了幫忙,把消除氣味的香草撕碎了,黏貼在快要凝固的蠟燭上。這樣就能有除臭效果的話,明年更好好地來泡入香草吧。
「マイン! 遊んじゃダメ!」「瑪茵! 不可以玩!」
「……ここの分だけだから。臭くないキャンドルになった方がいいでしょ? お願い、トゥーリ」「……只要這些就好。能成為不臭蠟燭的話很好的吧? 拜託了,圖麗」
「本当に、ここの分だけね?」「真的嗎,只有這些喔?」
トゥーリに念を押されたので、わたしは大きく頷いておく。 由於圖麗再三確認,我大大地點頭附和。
成功するか失敗するかわからないのに、全部香りを付けるつもりなんていない。5本のキャンドルに張り付けるハーブをそれぞれ変えて、どれかいいか比べるくらいはするけど。 是說會成功還是失敗我都不知道,所以沒有將全部都添加上香味的打算。改成在5根蠟燭上各自黏貼香草,雖然像是要比較哪種好而去做的。
そんな感じでトゥーリと二人でキャンドルの準備をしている間、両親は薪の準備だ。これがなくなったら凍死しかねないので、入念な準備が必要になる。 用那種感覺與圖麗兩個人做著蠟燭的準備期間,父母是柴薪的準備。由於沒了這個的話很有可能會凍死,變成必須要細心地準備。
トゥーリが拾ってきた物に加えて、いくつか買い足した物を父が50センチくらいの大きさになるように、父が斧でどんどんかち割っていく。そして、切られた薪は母の手で冬支度のための部屋に運ばれていく。 為了加進圖麗撿來的東西裡,父親將一些添購的東西弄成了50公分左右的大小,父親用斧頭不斷地切割了起來。然後,被劈開的木柴用母親的手搬進了為了過冬準備的房間。
「母さん、どこに行くの?」「媽媽,要去哪裡呢?」
わたしが知らない部屋に入っていく母の姿に驚愕して、母の後ろを追いかけた。 驚愕於進入我所不知道的房間的母親身影,追隨在母親身後。
初めて知ったことだが、普段使っている物置の奥にまだもう一つ物置があった。基本的に冬支度のためにしか使われないらしい。すでに部屋の半分くらいまで大量の木が積まれている。 是第一次知道,在平常使用著的儲藏室深處還有另一個儲藏室。基本上似乎只有為了過冬準備而使用。已經到了大約有房間一半的大量木頭被堆積著。
「え? 何、この部屋?」「咦? 什麼,這個房間?」
「冬支度の部屋でしょ? マイン、今更何言ってるの?」「是過冬準備的房間啊? 瑪茵,事到如今在說什麼呢?」
そういえば、トゥーリが持って帰ってきた籠いっぱいの薪って一体どこに置いているんだろうと思っていたけれど、ここに置かれていたらしい。普段使いの薪は物置に置かれているから、こんな奥の部屋には気付かなかった。 這麼說來,雖然說有想過圖麗帶回來籃子滿滿的木柴到底放到哪裡去了,但似乎都被放到這裡了。因為平常使用的木柴被放在儲藏室裡,所以從沒注意到這麼深的房間。
「……寒いね」「……好冷呢」
「そりゃ、ここは竈から一番遠いからね」「是啊,因為這裡離爐灶最遠呢」
我が家にはリビングと暖炉なんて洒落た物はなく、台所の竈が唯一の熱源になる。普段は基本的に台所で過ごすのだ。 在我家沒有客廳與壁爐之類雅緻的東西,廚房的爐灶變成唯一的熱源。平常基本上是在廚房度過的。
そして、竈と壁を一つで隔てられているのが寝室で、壁にベッドがぴったりとくっつけられている。竈で火が燃えている間、つまり、子供達が寝る時は意外と温かい。 然後,在被用一個牆壁與爐灶隔開的臥室裡,床剛剛好地被貼在牆邊。爐灶裡火燃燒著的期間,也就是說,小孩子們睡覺的時候意外地溫暖。
温かいのは寝始める時だけだ。母が寝る前には火を消して寝るから、朝はキンキンに部屋が冷えている。 溫暖的只有開始睡覺的時候。因為母親在睡覺前把火熄滅才去睡,早上因冷氣凝結而讓房間變冷了起來。
逆に、この冬支度の部屋は台所の竈から一番遠いので、ものすごく寒い。冬場に使う保存食や食料、油も保存しておくのにちょうどいいらしい。天然の冷蔵庫になので、温かくなると困る部屋だそうだ。 相反地,由於這個過冬準備的房間離廚房的爐灶最遠,非常的寒冷。在冬季使用來預先保存加工食品或食物、油似乎剛剛好。因為是天然的冰箱,是變暖和會很困擾的房間呢。
「薪いっぱいだね」「滿滿的木柴呢」
「これでも、ギリギリしかないわよ?」「即便如此,只是勉勉強強唷?」
部屋に半分ほどあるのに!? 明明有房間的一半那樣!?
冬支度部屋に積み上げられた薪を見て、森林伐採の問題が頭をよぎった。一家族でこれだけ燃やすなら、この街だけで一体どれだけ使うのだろうか。 看著被堆積在過冬準備房間的木柴,森林砍伐的問題掠過了腦海。如果一個家庭要燃燒這些,光是這座城市究竟要使用掉多少呢。
「マイン、ぼんやりしないで、手仕事の準備するわよ」「瑪茵,不要發呆,要做手工的準備了唷」
ぼんやりしてないっ! 我才不是在發呆!
結構大事そうなこと考えてたんだよ!? 是在考慮好像相當重要的事情喔!?
反論しようにも母はすでに台所へと向かってしまった。わたしも慌てて追いかける。こんな窓もない暗い部屋に一人で置き去りにされるのは嫌だ。 像是反駁一樣母親已經轉往廚房過去了。我也驚慌追趕著。我討厭被一個人留在這種沒有窗戶的黑暗房間裡。
「母さん、手仕事って何?」「媽媽,手工是什麼?」
「そうね。男の人は仕事道具の手入れかしら? 他には家具を作る予定なら、その材料を集めておかなきゃね」「是呢。要說男人是工作用具的保養維護嗎? 其他如果有製作家具的預定,就必須要先收集那個的材料了呢」
「冬の間にする仕事ってこと?」「是在冬季期間要做的工作嗎?」
わたしの言葉に母は糸巻きの数を数えながら頷いた。 對我說的話母親一邊數著線捲的數量一邊點頭。
「そうよ。女の人は服を作るのが一番の大仕事でしょ? 機織り用の糸や刺繍用の糸を紡いだり、染色したり準備しないとできないわ。母さんの仕事が染色だから、糸の準備は終わってるけど、ウチは代わりに、来年用に紡ぐための羊毛やニルエンのような植物の準備がいるの」「是唷。女人製作衣服是第一的大工程對吧? 不準備紡織織布用的線或刺繡用的線、並染色的話就辦不到囉。因為媽媽的工作是染色,雖然線的準備結束了,但我們家作為替代,有為了紡織在明年用的羊毛與像是尼路安的植物的準備」
「へぇ」「哦」
「しかも、来年の夏はトゥーリの洗礼式があるじゃない。晴れ着の準備も冬の間にしなきゃね」「而且,明年夏天不是有圖利的洗禮式嗎。盛裝的準備也必須要在冬季期間呢」
母は足りない物がないか、鬼の様な形相で確認している。どう見ても邪魔になりそうなので、わたしはトゥーリのところへと移動することにした。 母親用惡鬼般的臉色,確認著有沒有不夠的東西。由於怎麼看都快要打擾到了,我決定往圖利的所在地移動。
「トゥーリは手仕事って、何するの?」「圖麗的手工,要做什麼呢?」
「籠を作るの。春になったら売るんだよ」「要做籃子喔。到春天的話可以賣唷」
トゥーリは自分の手仕事になる籠作りの素材を準備し始めた。森で採ってきた木を井戸に運んで、皮を剥いでいく。そして、ナイフで繊維に沿って切っていくらしい。 圖麗開始準備作為自己手工的製作籃子的素材。將自己採集來的木頭搬到水井、將皮剝下來。然後,好像是用小刀沿著纖維切下來。
「マインはどうするの?」「瑪茵要怎麼做呢?」
「わたし、『パピルスもどき』作るんだ」「我,我要做『仿造紙莎草』」
「何それ?」「那是什麼?」
「うふふ~、ひ・み・つ」「呵呵~,是・秘・密」
わたしもトゥーリを見習って自分の冬の手仕事のために、パピルスもどきの繊維を作ることにした。 我也要學習圖麗為了自己的冬季手工,打算製作仿造紙莎草的纖維。
これは大事な手仕事の準備だ。 這是重要手工的準備啊。
誰に怒られることもない立派な仕事だ。 不會被任何人斥責了不起的工作啊。
繊維の取り方は、多分トゥーリと同じようにすればできるだろう。草の皮を剥いで、水にさらして、乾かすのだ。 拿取纖維的方法,大概像是跟圖麗一樣去做的話就可以了吧。剝下草的皮,在水中漂洗,曬乾它。
冬支度までにあまり日数がなかったので、それほど多くの茎が集まっているわけではない。せっかくなので、全部繊維にしてしまおう。 由於到過冬準備為止沒有多少天數,並沒有收集到那麼多的莖。因為很難得,所以全部的纖維都做吧。
「トゥーリ、わたしもお水欲しい」「圖麗,我也想要水」
「……わかった」「……知道了」
「トゥーリ、この繊維だけ取り出すのってどうしたらいいと思う?」「圖麗,妳認為只把這個纖維拿出來要怎麼做才好呢?」
「え? えーと……」「哎? 呃……」
「トゥーリ、ここで乾かしても飛んでいかないかな?」「圖麗,在這裡曬乾難道不會飛走嗎?」
「……」「……」
出来上がった繊維を束ねて持つ。それほど多くないけれど、試しに一枚か二枚くらいはできるだろう。 拿著捆起做好的纖維。雖然說沒有那麼多,但嘗試一下也能做到一張兩張左右吧。
これで、一応自分のための冬支度は終了だ。就這樣,基本上為了自己的過冬準備結束了。
ふぅ、わたし、よく働いたね。 呼,我,好好地勞動了呢。
あれ? なんでトゥーリったら不機嫌そうな顔をしてるの? 奇怪? 為什麼圖麗會做著那麼不高興的表情呢?
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マインは時々役に立つけれど、基本的には役立たず。 雖然說瑪茵有時派得上用場,但基本上是個廢物。
それが、家族の見解です。(笑) 那個是,家人的見解。(笑)
冬支度、楽しんでいただけたでしょうか? ゆっくりと本なんて読んでいられる状況ではない生活感を感じてくださったら、嬉しいです。 過冬準備,能夠享受到嗎? 感受到不能慢慢看書的情況的生活感的話,我會很高興的。
次回も内容としては冬支度の続きで、石板GETします。 作為下回的內容是在過冬準備的延續裡,獲得石板了。