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第一部士兵的女兒 新生活

作者:SPT草包│2016-11-02 18:37:39│巴幣:0│人氣:887
本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~
以下犯上的書癡~為了成為圖書管理員而不擇手段~
作者:香月美夜
第一部兵士の娘 新しい生活
第一部士兵的女兒 新生活
原文連結

 ダンッ! ダンッ! と何かを床や台に叩きつけているような音と共に、わたしが寝ている場所がぐらんぐらんと揺れた。振動するたびに、まるで頭を殴られているように頭が痛み、わたしは小さく呻きながら眉をきつく寄せた。
 伴隨著咚! 咚! 作響的某物激烈地敲擊著地板或檯桌般的聲音,我睡著的地方搖搖晃晃地搖著。每次震動的時候,簡直就像毆打著頭一樣頭很痛,我一邊小小地呻吟著一邊緊鎖著眉毛。

 うるさい……。マジうるさい。
 吵死了……。真的吵死了。

 その迷惑な騒音と揺れはすぐに終わるものではないようで、一定のリズムで続いてて、とても寝ていられない。
 那個擾人的噪音與搖晃似乎不會立刻結束,以一定的節奏持續著,怎麼也無法成眠。
 ぐわんぐわんと頭に響いてくる振動に意識が覚醒したわたしは耳を塞いで騒音をやり過ごそうとした。
 因在頭昏腦脹的腦內響起的震動而意識甦醒的我摀住了耳朵打算讓噪音過去。
 それなのに、身体が自分の思った通りに動かない。インフルエンザにでもかかったような高熱と関節の痛みが全身に広がっている。
 然而,身體卻無法如自己所想的那樣動起來。就像患上了流行性感冒一樣高燒與關節的疼痛擴散於全身。

「うっ……」
「嗚……」

 現状把握には眼鏡が必要だ。わたしは目を閉じたまま、いつだって枕元に置いてあった眼鏡を探した。身体中がじんわりと痺れているようで、手の動きは鈍い。
 要掌握現狀就需要眼鏡。我閉上了眼睛,尋找著一直放在枕頭邊的眼鏡。就好像全身漸漸地麻痺了,手的動作很遲鈍。
 もそもそと動く手の動きに合わせて、カサカサと自分の体の下で紙や草のようなものが擦れるような音がした。
 配合著磨磨蹭蹭地動著的手的動作,窸窸窣窣地在自己身體下方發出紙或草那樣的東西摩擦般的聲音。

「……何の音?」
「……什麼聲音?」

 熱のせいでかすれているはずなのに、高くて幼い声がわたしの口から出た。どう考えても聞き慣れた自分の声ではない。
 明明應該因為發燒而沙啞著,卻從我口中發出了又尖又稚嫩的聲音。怎麼想都不是聽慣了的自己的聲音。
 高熱で全身がだるいので寝ていたいが、自分を取り巻く異常性をこれ以上無視することもできず、わたしはゆっくりと重い瞼を開けた。
 因高燒而全身倦怠著想要睡覺,但再也無法無視圍繞著自己的異常性,我緩緩地睜開沉重的眼睛。
 結構高い熱があるようで、わたしの視界は潤んで歪んでいる。涙が眼鏡の役割でもしているのだろうか、普段の視界よりずっと鮮明に見えた。
 似乎有著相當高的發燒,我的視野濕潤又扭曲。淚水或許是扮演了眼鏡的角色吧,看起來比平常的視野鮮明得多。

「え?」
「咦?」

 目に入ったのは、元はおそらく白かったのだろうが、煤けて黒く汚れた天井と何本も組み合わされた黒っぽい太い柱と巨大な蜘蛛の巣。
 映入眼中的是,原本大概是白色的吧,燻黑骯髒的天花板與幾根被組合起來黑漆漆的粗柱子與巨大的蜘蛛網。
 どれもこれもわたしの記憶には全くないものだった。
 不論哪個都是完全不在我的記憶之中的東西。

「……ここ、どこ?」
「……這是,哪裡?」

 潤んだ目から涙が零れないように気を付けながら、眼球だけで周りを見回せば、明らかにわたしが生まれ育った日本ではないことだけはすぐにわかった。
 一邊注意不要讓淚水從濕潤的眼中溢出,一邊只用眼珠環顧四周的話,明顯地只有這不是生養我的日本這件事是馬上就能明白的。
 天井の形状から察する建築様式は和風ではなく、西洋風。それも現代の鉄骨のものではなく、昔のものっぽい。
 從天花板的形狀可以察覺這不是和風的建築格式,是西洋風。那也不是現代的鋼骨結構,都是過去的東西。
 わたしが寝かされているベッドは固くて、マットレスがない。そして、異様にチクチクする素材がクッション代わりに使われている。上掛けとして掛けられている薄汚れた布からは変な臭いもするし、ノミやダニがいるのか、身体のあちこちが痒い。
 我所睡的床是硬梆梆的,沒有床墊。然後,異常地扎人的素材代替靠墊被使用著。從做為罩衫而被披著且髒兮兮的布上也發出奇怪的臭味,是有跳蚤或塵螨嗎,身體到處都在癢。

「ちょっと、待って……」
「稍微,等一下……」

 わたしの記憶の最後にあるのは大量の本に押しつぶされたことだが、何とか救出されたというわけでもないようだ。少なくとも、こんな薄汚れた布に患者を寝かせる不潔な病院は、わたしの知る限り、日本には存在しない。
 存在我記憶最後面的是被大量的書本所壓爛,似乎並非意味著被設法救出了。至少,讓病人睡在如此髒兮兮的布上的不乾淨的醫院,就我所知,在日本是不存在的。
 恐る恐るわたしは自分の手を目の前にかざしてみた。視界に映ったのは痩せこけた細くて小さな子どもの手だった。
 我小心翼翼地試著將自己的手舉到眼前。映在視野中的是又瘦又細且小小的小孩子的手。
 わたしは基本的に屋内に引きこもって、本を読んでいたので、日焼けしていなくて不健康そうなところは同じだ。だがしかし、22歳だったわたしの手はきちんと大人の手だった。こんな栄養失調っぽい小さな子どもの手とは違う。
 我基本上是在室內閉門不出的,由於都在看書,那種沒有曬黑而不健康的地方是一樣的。但話說回來,22歲的我的手是規矩的大人的手。與這種營養失調般小小的小孩子的手不一樣。
 握ったり、開いたり、わたしの意思で動く子供の手。自分の意思で動かせる身体が見慣れた自分のものではない。あまりの衝撃に口の中が干上がったようにからからになっていく。
 握起,放開,依我所想而動作的小孩的手。依自己所想而動作的身體並不是我所熟悉的自己的東西。因過於衝擊而讓整個口腔乾涸地變得乾燥不已。

「……何、これ?」
「……這算,什麼?」

 これはもしかしたら転生だろうか。わたしの願いを聞き届けた神様が、また本を読めるように転生させてくれたのだろうか。
 這個或許就是轉生了吧。批准了我的願望的神明大人,為了能再次看書而讓我轉生了吧。
 わけがわからない。
 毫無頭緒。
 わたしは少しでも情報が欲しくて、重たい頭を上げて熱のある身体をゆっくりと起こす。汗でべったりと髪が首元に張り付いているのにも構わず、部屋の中を見回した。
 我盡可能地想要情報,抬起沉重的頭緩緩地讓發熱的身體爬起來。因汗水而濕黏的頭髮緊貼在脖子上也沒關係,環顧整個房間。
 ベッドらしき台と、その上にかけられた薄汚れた上掛けと物を入れておくための木箱がいくつかあるだけで、本棚は見当たらない。
 只有像是床的檯桌與,鋪在那上面髒兮兮的罩衫與幾個為了放置東西的木箱,找不到書櫃。

「本、ないし……」
「沒有,書……」

 ドアが空いたままの出入り口があった。いつの間にか、頭に響く騒音はなくなっていたが、誰かがいて、バタバタと足音を立てて歩きまわり、何かしている音が聞こえている。
 門是有著空蕩蕩般的出入口。不知不覺間,在腦中響起的噪音已經不見了,是有誰在,發出慌亂不已的腳步聲來回走著,聽得見正在做著什麼的聲音。
 どういう状況なのか全くわからない。
 完全不明白這是什麼樣的狀況。
 柱や壁の様子、部屋の中の家具を見れば、昔の西洋風だと思う。ただ、現代のものではない。あまり文明的ではない国か、過去にタイムスリップでもしたのだろうか。一体どうすれば現状把握ができるだろうか。
 看著柱子與牆壁的樣子、房間裡面的家具的話,我認為像是以前的西洋風。但是,沒有現代的東西。是不怎麼文明的國家嗎,是時空轉換到過去了嗎。到底該怎麼做才能把握現況呢。

「死に際に変な夢でも見てるってこと?」
「是在臨終之際會看到奇怪的夢那種事情?」

 高熱でぼんやりとする頭で悩んでいると、わたしの動く音に気付いたのか、声が聞こえたのか、一人の女性が姿を現した。
 在對因高燒而模糊的腦袋苦惱著時,是注意到我活動的聲響嗎,還是聽到了聲音呢,一位女性的現出了身影。
 三角巾のようなものを頭にした20代後半くらいの残念美人だ。顔立ちは美人なのだが、小汚い。服も顔も洗って、清潔で小奇麗にすればいいのに、残念すぎる。
 三角巾般的東西將頭包起宛如20幾歲後半的遺憾美女。五官分明是個美人,卻不太乾淨。把衣服跟臉都洗一洗,整理乾淨到整潔的話就好了的說,太可惜了。
 わたしは清潔で見苦しくなければ、自分に対しても他人に対しても恰好には大してこだわらない。裏を返せば、不潔で見苦しいのはいくら美形でも勘弁してほしい。
 我若整理乾淨到看得上眼的話,不論是對自己還是對別人都不太會拘泥於外型。反過來說,骯髒到看不下去的地步再怎麼貌美都讓人無法忍受。

「マイン、%&$#+@*+#%?」
「瑪茵、%&$#+@*+#%?」
「ぃあっ!?」
「啊!?」

 意味がわからない女性の言葉を耳にすると同時に、一気にわたしのものではない記憶が堰を切ったように流れ込んできた。
 在不明白意思的女性的話語傳入耳朵的同時,不屬於我的的記憶一口氣如同潰堤般地湧了進來。
 数回瞬きするくらいの時間に数年分の記憶が押し込まれて、脳味噌がぐちゃぐちゃに掻き回されるような不快感にわたしは思わず頭を押さえた。
 在眨了數次眼左右的時間裡數年份的記憶被擠了進來,腦漿黏黏糊糊地被攪來攪去般的不舒服感使我不由得壓著頭。

「マイン、大丈夫? 全然目覚めないから心配したのよ」
「瑪茵,不要緊嗎? 因為妳完全沒醒過來我很擔心喔」
「……母さん?」
「……媽媽?」

 ゆっくりと頭を撫でて顔を覗きこんでくる女性は自分の母親だと、マインというのが自分の名前だと、流れ込んできた記憶が訴えてくる。
 慢慢地摸著頭張望起來的女性是自己的母親,稱做瑪茵的是自己的名字,這些都是湧入進來的記憶所強調的。
 先程まではわからなかった言葉もわかるようになっているが、大量の情報をいきなり受け取った頭はひどい混乱状態だ。正直、情報を流しこむにしても、体調を考慮してほしい。
 直到剛才還不明白的語言也變得能明白了,突然接收到大量情報的腦袋呈現嚴重的混亂狀態。老實說,就算湧入了情報,也希望能考慮一下身體狀況。
 本が読みたくて転生したいと望んだのは自分だけど、実際に転生してしまうと、目の前の女性を母親だと認識していても素直に受け入れることなどすぐにはできない。
 雖然期望著想要看書而想轉生的是自己,實際上轉生的話,就算將眼前的女性認知為母親也無法馬上就能坦率地接受。

「気分はどう? 頭が痛そうね」
「感覺如何? 頭還在痛吧」

 自分の額に向かって伸びてくる指先が、黄色や緑で斑に染まっている。この母親は染色を仕事にしているのだろうか。日本で見た藍染職人の指先がこんな感じに染まっていたことを思い出した。
 朝自己額頭伸過來的指尖,被黃色與綠色斑駁地沾染著。這位母親是從事著染色工作嗎。回想起在日本看到的藍染工匠的指尖同樣沾染著這樣的感覺。
 記憶の中には存在して、知っているけど知らない母親に何となく触れられたくなくて、伸ばされた手を避けるように、わたしは臭い布団に寝転がった。
 存在於記憶裡面,雖然知道但總覺得不想被不認識的母親所觸碰,為了避開伸過來的手,我側躺進臭棉被裡。
 そして、そのまま目を閉じることで、接触を拒否する。
 然後,就那樣閉上了眼睛,拒絕接觸。

「……まだ、頭痛い。寝たい」
「……頭,還在痛。我想睡覺」
「そう、ゆっくり休みなさい」
「是嗎,那就慢慢地休息吧」

 ぎゅうぎゅうにベッドが並べられた寝室らしき部屋を出ていく母親を待って考える。
 打算等到母親走出被緊緊地並列著床鋪宛如臥室般的房間。
 高熱で頭がくらくらしているが、こんなに混乱したまま、おとなしく寝ていられない。
 因高燒而腦袋暈眩不已,就這麼樣地混亂了起來,沒法乖乖地睡覺。

「間違いなく……死んだ、んだよね?」
「毫無疑問……我死了,死了吧?」

 ふと脳裏に浮かんだのはわたし自身の母親の姿。もう会えない母に心の中で謝罪する。
 突然在腦海裡浮現了的是我自己本身母親的身影。對已經不會再見面的母親在心裡面謝罪著。
 きっと怒っているはずだ。「だから、本の数を減らせって何度も何度も言ったのに!」って、泣いて怒っているに違いない。
 應該一定在生氣著。說著「所以,我明明說了好多次好多次要減少書本的數量的!」,肯定是哭著生氣著。
 だるくて重い手を持ち上げて、目尻の涙を拭った。
 抬起倦怠又沉重的手,擦拭眼角的淚水。

「母さん、ごめん……」
「媽媽,抱歉…」

 届かない謝罪を呟いた後、わたしは意識的に思考を切り替えて、たった今流れ込んできた幼いマインの記憶の数々をゆっくりと反芻し始めた。
 嘟噥著傳達不了的賠罪之後,我有意識地轉換了思考,開始慢慢地反芻著剛才湧入進來的眾多年幼的瑪茵的記憶。
 マインの直近の記憶は熱で苦しくて、苦しくて、たまらなかったこと。
 瑪茵最近的記憶是因熱而痛苦不已、痛苦不已,到忍受不了的地步。
 何となくだけれど、この身体の本来の持ち主であるマインが死んで、わたしが憑依したのではないかと思う。それとも、高熱に浮かされたため、前世の記憶を取り戻したのだろうか。
 雖然說總覺得,身為這個身體本來的持有者瑪茵死了,而我在想這會不會就是附身了呢。還是說,因高燒而意識不清的緣故,而恢復了前世的記憶呢。

「どっちでもいいよね。これからマインとして生きていかなきゃいけないのは変わらないんだし……」
「算是哪一種都可以呢。今後必須要作為瑪茵而活下去才行是不會有所改變的……」

 ならば、覚えている限りのマインの記憶から周囲の状況を少しでも理解しないと、いきなり家族に不審がられてしまう。
 如此說來,從所記得的瑪茵的記憶中不盡可能地將周圍的狀況作個理解的話,突然就會被家人給懷疑的。
 必死に思い返すが、マインの記憶はまだ言葉が発達していない幼女の記憶なので、父親や母親の言葉がはっきりと理解できない。意味がわからない。必然的に使える語彙が少なくて、記憶の大半が意味不明だ。
 死命地重新思考,就因為瑪茵的記憶還是語言不怎發達的小女孩的記憶,父親與母親的話語還無法清楚的理解。不能明白意思。能使用的詞彙必然很少,大半的記憶都是意義不明的。

「うわぁ、ちょっと、これ、どうするよ……」
「嗚哇,等下,這樣,該怎麼辦呀……」

 幼いマインの視線から見た記憶から確信を持てたのは、4人家族で、先程の女性が母親であること。姉、トゥーリがいること。マインの父親は兵士のような職業についていること。
 因為從年幼的瑪茵的視線裡所看見的記憶而能確信的是,一家四口,剛才的女性是為母親,姊姊,有圖麗。瑪茵的父親從事的是如同士兵般的職業。
 そして、大事なことは、ここが地球ではないことだ。
 然後,重要的事情是,這裡並不是地球。
 マインの記憶の中に、三角巾を取った母親の姿もあったのだが、髪の色がなんと翡翠のような緑だった。染めているような不自然な色ではなくて、本当に緑。驚きのあまり引っ掴んで、かつらじゃないか確認してしまいたくなるような色だ。
 在瑪茵的記憶裡面,也有拿掉三角巾的母親的身影,髮色是多麼像翡翠的綠色。不是染色般那樣不自然的顏色,而是真正的綠色。我因過於驚駭而用力抓了一下,變得想要去確認不是假髮嗎那樣的顏色。
 常にかつらをつけて生活している薄汚れたコスプレイヤーが母親だと考えるよりは、世界が違うと考えた方が現実的だろう。
 比起去考慮經常戴著假髮生活著的髒兮兮的角色扮演者是母親,不如去思考世界是不一樣的還比較實際吧。
 ちなみに、姉の髪は青緑で、父の髪は青。マインの髪が紺色だ。黒に近くて良かったと思うべきか、コスプレ家族の仲間であることを嘆くべきか。
 順帶一提,姊姊的頭髮是藍綠色,父親的頭髮是藍色。瑪茵的頭髮是深藍色的。我想這應該很接近黑色了吧,還是應該感嘆這算是角色扮演家族的夥伴呢。
 とりあえず、家の中には鏡がないようで、いくら記憶を探っても、髪の色以外の自分の詳しい容姿についてはわからない。まぁ、両親の顔立ちと姉の顔立ちから察するに、元はそれほど悪くないと思う。そして、薄汚れているのは間違いない。
 總之,在家裡面好像沒有鏡子,就算搜尋多少記憶,關於髮色之外自己的詳細姿容都不知道。反正,從父母的容貌與姊姊的容貌來推斷,我想基本上不會那麼糟糕。而且,有點髒肯定是不會錯的。

「あぁ、お風呂入りたい。……けど、あるのかな?」
「啊,好想去洗澡啊。……但是,會有嗎?」

 実際、生活する上で自分の顔立ちなんて、それほど問題ではない。一番問題なのは、新しく生活することになるウチがものすごく貧しいことだ。
 實際上,在生活方面自己的容貌如何,沒有太大的問題。要說最大的問題是,要過上新生活的我家非常的貧窮啊。
 自分の回りを見てみれば、嫌でもわかることだが、病人である自分が包まれている布が擦り切れて薄くなっていて、すでにぼろぼろだ。姉のお下がりにしてもひどすぎる。
 看看自己的周圍的話,即便討厭也會明白的,身為病人的自己所包裹的布磨破而變薄了,已經破破爛爛的。就算作為姊姊的二手衣也太過分了。
 最初は嫌がらせでもされているのかと思ったが、マインの記憶にある母の服も継ぎ接ぎが当たり前の襤褸だし、姉の服も似たり寄ったりだ。これが新しいウチの標準なのだろう。
 想來最初即便是不願意也會接受的吧,存在瑪茵的記憶裡母親的衣服也是縫補得理所當然的破舊,姊姊的衣服也是差不多的。這就是新家的標準了吧。
 父親だけが比較的丈夫そうで、継ぎ接ぎの少ない服を着ているようだが、これは兵士の仕事着で数年に一度支給されるかららしい。
 似乎只有父親是穿著比較結實,沒多少縫補的衣服,這好像是因為作為士兵的工作服而幾年一次被支付的。
 この家も一軒家ではないようで、一番間近にあるレンガのような石造りの壁の向こうからは階段を上るような足音とお隣さんらしき人の声が聞こえてくる。もしかしたら、集合住宅のようなところだろうか。
 這個家好像也不是獨立房舍,從在最眼前磚瓦般的石造牆壁對面聽到了爬樓梯般的腳步聲與像是鄰居人的聲音,難道說,這裡是集合住宅般的地方嗎。

 ねぇ、転生ってさ、普通お貴族様みたいな……生活に不自由しないところに生まれない?
 我說,轉生的話,怎不生在好像普通貴族那樣……生活不會不方便的地方呢?

 あまりの環境に思わず溜息を吐いた。前世は日本でごく普通の一般家庭だったのに、ずいぶんと生活力に差がある。
 不假思索地對這過分的環境嘆了一口氣。前世在日本是極為普通的一般家庭的說,生活能力十分地有著差異。
 今生きているここが、いつの時代のどこの国か知らないけれど、日本は良い国だった。当たり前に良いものが溢れていた。肌触りの良い布とか、柔らかいベッドとか、本とか、本とか、本とか……。
 現在生活著的這裡,雖然說不知道是什麼時代哪裡的國家,日本是個好國家啊。理所當然地充斥好東西。觸感良好的布呀,柔軟的床鋪呀,書本呀,書本呀,書本呀……。

「ハァ、本読みたい。読んだら熱が下がる気がする」
「唉,好想看書。感覺看了的話燒也會降下去」

 どんなに劣悪な環境でも、本があれば我慢できる。わたしは軽く頭に指を当てて、記憶の中で本を探す。一体家の中のどこに本棚があるのだろうか。
 不管多麼惡劣的環境,有書的話就能忍耐。我輕輕地將手指貼近頭上,在記憶裡面尋找著書本。到底在家中的哪裡會有書架呢。

「マイン、起きてる?」
「瑪茵,起來了嗎?」

 思考を邪魔するように、7~8歳くらいの幼女が足音も軽く入ってきた。記憶にあった姉のトゥーリだ。
 像妨礙思考般,7~8歲左右的小女孩腳步聲輕快地走了進來。是在記憶裡的姊姊圖麗。
 無造作に三つ編みにした青緑の髪は大した手入れをされていないのがすぐにわかるぱさつき具合。母親と同じく薄汚れた顔も洗って欲しい。可愛い顔立ちなのにもったいない。
 隨意地綁著麻花辮的藍綠色頭髮不怎麼被保養而馬上就知道是毛躁的狀態。跟母親一樣髒兮兮的臉希望能洗一下。明明是可愛的臉孔真是浪費。
 わたしがついついそう思ってしまうのは、外国からは病的な清潔好きと言われる日本人の視点で見るからだろうか。
 我會下意識地那麼想,是因為被從外國說是病態般愛乾淨的日本人的觀點來看的吧。
 でも、貧乏ならなおさら衛生環境に気を付けなければ、病気になって医者にかかる方がお金はかかるはず。
 但是,如果貧窮又更加不注重衛生環境的話,生了病就會要花錢找醫生了。
 だが、そんなことはどうでもいい。今、この状況で一番大事なのは一つだけだ。
 不過,那種事情怎樣都好。現在,在這種狀況下最重要的事情只有一個。

「トゥーリ、『本』持ってきて?」
「圖麗,有帶『書』來嗎?」

 これくらいの姉もいるのだから、家の中に絵本の10冊くらいはあるはずだ。病気で寝ていても本くらいは読める。
 因為有這年齡層的姊姊在,在家裡面應該會有10本左右的圖畫書。就算因生病而睡著也能有書可看。
 せっかく生まれ変わったのだ。異世界の本を堪能することが何より大事に決まっている。
 好不容易轉世了。我決定將異世界的書精通是比什麼都還重要的。

「トゥーリ、お願い」
「圖麗,拜託了」

 可愛い妹のおねだりに、トゥーリはきょとんとした顔で首を傾げた。
 面對可愛妹妹的央求,圖麗只是用發呆的表情疑惑歪頭。

「え?『本』って何?」
「欸?『書』是什麼?」
「何って……えーと、『絵』や『字』が『書かれた』もので……」
「要說是什麼……呃,是『被寫上』『圖畫』或『文字』的東西……」
「マイン、何言ってるかわからないよ? ちゃんとしゃべって?」
「瑪茵,我不知道妳在說什麼喔? 好好地說出來吧?」
「だから、『本』!『絵本』がほしいの」
「所以說,『書』!我想要『圖畫書』」
「それ、何? わからないよ?」
「那個,是什麼? 我不知道喔?」

 どうやらマインの記憶にない言葉は日本語の発音になってしまうようだ。
 看樣子不在瑪茵記憶裡的詞語會變成日語發音的樣子。
 わたしがどんなに一生懸命に説明しても、トゥーリは不思議そうに首を傾げるだけだ。日本語で「本を出せ」と言っても通じるはずがない。さっさと言葉を覚えなければ。
 就算我是如何拚命地說明,圖麗也只是不可思議般地疑惑歪頭。就算用日文說「拿書出來」應該也無法通曉。不趕快記住詞語的話。

「あぁ、もう!『翻訳機能、仕事しろぉっ』!」
「啊,夠了!『翻譯功能,工作吧』!」
「マイン、なんで怒るの!?」
「瑪茵,怎麼生氣了!?」
「怒ってない。頭が痛いだけ」
「沒生氣。只是頭在痛」

 言葉が通じないことをトゥーリのような子供に八つ当たりするのはさすがにおとなげなさすぎる。もうしちゃったけど。
 因為語言不通而遷怒到像是圖麗般的小孩身上果真是太沒大人樣了。雖然是這麼說。
 まずは、人の声に耳を澄まして、少しでも多くの言葉を覚えることに全力を尽くさなければならない。幼い子供であるマインの柔軟な脳味噌に、大学卒業した22歳のわたしの理性と知性が加われば、言葉を覚えるのは簡単……だったら、いいけれど。
 首先,注意聽人的聲音,然後必須要用盡全力去記住盡可能多的詞語。在身為年幼孩童的瑪茵那柔軟的腦子裡,加上大學畢業22歲的我的理智與才智的話,將詞語記住是很簡單……的吧,雖然說那很好。
 少なくとも、前世で他国の本を読もうと言語を覚えるために苦労したことを思い出せば、大した苦労ではない。わたしの本にかける情熱と愛は、失敬な事に周囲の人が引くレベルだった。
 至少,想起在前世為了讀別國的書而去記住語言的辛勞的話,就不會太辛苦了。我花費在書本上的熱情與愛,是會把周圍的人拉進失禮的事情裡的等級的。

「……まだ熱あるから怒るの?」
「……因為還在發燒所以生氣了?」

 熱を測るつもりなのだろう、トゥーリの汚い手が自分に向かって伸びてくる。わたしは思わずその手をはしっと掴んだ。
 是打算要測試熱嗎,圖麗的髒手向自己伸了過來。我不假思索地迅速抓住那隻手。

「まだ熱いから、うつるよ?」
「因為還在發燒,會傳染的?」

 相手を心配しているように見せかけて、自分にとっては嫌なことから逃げる。大人ならではのテクニックでわたしはトゥーリの汚い手で触られることを回避した。
 裝作是在擔心對方一樣,就自己來說要從討厭的事中逃掉。用大人才有的技巧來迴避掉被圖麗的髒手碰觸這件事。

「そうだね。気を付ける」
「說得也是呢。我會小心的」

 セーフ。
 安全迴避。
 清潔にしてくれたら良いお姉ちゃんだが、今は触られたくない。こうなったら、何とかして衛生観念を叩きこむしかない。環境の改善をしなければ、生きていけない気がする。
 能整理乾淨的話就是個好姊姊,但現在不想被觸摸。變成這樣的話,就只能設法將衛生觀念敲進去。若做不到改善環境的話,感覺上無法活下去。
 記憶にある限りでは、どうやらマインは身体が弱い子で、よく熱を出して寝込んでいたらしい。ベッドでの記憶が多すぎる。
 在有限的記憶裡,看樣子瑪茵是身體虛弱的小孩,似乎時常因發燒而臥床。在床上的記憶太多了。
 わたしが心置きなく本を読むためにも、自分とその周囲は健康でなければならないのだ。貧乏っぽいのだから、病気になっても医者になんてかかれない気がするし、この環境の生活レベルから想像する医療行為にもお世話になりたくない。
 我為了能毫無顧慮地看書。自己與那些周圍就必須要是健康的。正因為貧窮不已,感覺就算生病了也沒辦法去看醫生,不想受到從這種環境的生活等級來想像的醫療行為所照顧。

「トゥーリ、夕飯の支度を手伝ってちょうだい」
「圖麗,請來幫忙準備晚餐吧」
「はい、母さん」
「好的,媽媽」

 どうやら、どこからか母の声がして、トゥーリがパタパタと駆けていく。
 多半,是從哪裡傳出了母親的聲音,圖麗啪嗒啪嗒地跑了過去。
 窓の外の日差しの傾き具合から考えれば、おそらくこれから夕飯準備だろう。トゥーリはまだ見た感じ小学校の低学年くらいなのに、しっかりお手伝いをしているようだ。
 從窗外陽光的傾斜狀態來考慮的話,恐怕是之後晚餐的準備吧。明明圖麗看起來還感覺像是小學低年級左右,卻似乎已經確實地在做著家務事了。
 この貧しい状況だ。間違いなく子供も労働力の一つと考えて間違いない。
 這種貧窮情況。毫無疑問考慮到小孩也是勞動力之一肯定是不會錯的。

「うわぁ、嫌だ……」
「嗚哇,好討厭……」

 自分が成長した時のことを考えると憂鬱な気分になる。どう考えても、一人だけお手伝いを免れるはずがない。読書の時間が減るのは確実。
 考慮到自己成長過程的事情就變得憂鬱的心情。就算再怎麼考慮,只有一個人應該是避免不了要幫手的。讀書的時間肯定是減少了。
 日本の家電を使うお手軽な家事でさえ面倒で、読書に時間を使いたい駄目人間だったわたしが、ここの生活に馴染めるだろうか。
 我就連使用日本家電的簡單家務都嫌麻煩,將時間使用在讀書上如此沒用人類的我,能夠適應這裡的生活嗎。

 ダンッ! ダンッ! と豪快な音が断続的に響いてくる。夕飯の準備をすると言っていたので、多分料理をしている音だとは思うが、一体何が起こっているんだろう。寝転がっているこの場からは見えないが、正直見たくない気もする。
 咚!咚!地豪爽聲音正斷斷續續地響起。因為說是晚餐的準備,我想大概是正在做料理的聲音,但到底在發生著什麼吧。從側躺著的這個地方是看不見的,而且老實說我也覺得不想看。
 せっかく転生できたのだから、もっとポジティブに考えなければ駄目だ。地球にはなかった本が読めるのだから、そのためにも、まずは体調を整えよう。
 正因為好不容易轉生過來了,若不更積極地思考是不行的。正因為能看到不存在於地球的書,也是為了那樣,首先要整理身體狀況。
 そう考えながら、ゆっくりと目を閉じていく。
 一邊那麼思考,一邊慢慢地逐漸閉上眼睛。

「ただいま」
「我回來了」
「おかえり、父さん」
「歡迎回來,爸爸」

 ガッシャガッシャと金属の擦れる音をさせながら、父が帰宅する頃には夕飯の準備はできたようだ。
 一邊發出嘎唦嘎唦的金屬磨擦聲,一邊似乎在父親回家之際做好了晚餐的準備。
 まだご飯を食べることができない高熱のマインを除いた家族団欒を少し遠くに感じつつ、意識がゆっくりと落ちていくのがわかった。
 明顯感受到除了因高燒而還沒辦法吃飯的瑪茵之外的家族團聚有點遙遠,卻也明白意識慢慢地逐漸墜落。
 意識が暗闇に落ちながら、考えることは一つだけ。
 意識一邊墜入幽暗,一邊考慮的事情只有一個。

 あぁ、何でもいいから本が読みたい。
 啊,隨便怎樣都行好想看書。

======================================================================
はい、本編の始まりです。
是的,正篇開始了。
まぁ、下剋上ですからね。底辺からの始まりで当然ですよね。
反正,因為是以下犯上咩。從底層開始是當然的啦。
町民だから、完全に底辺ってわけでもないんですよ。頑張れ、マイン。
因為是村民,所以也算不上是徹底的底層唷。加油吧,瑪茵。
……これを書いてみて、私自身は転生するなら、やっぱり日本人に生まれたいなぁ、と思いました。
……試著寫上這些,如果我自己轉生了,果然還是想生為日本人啊,我是這麼想的。
現代日本、便利すぎ。
現代的日本,太方便了。
引用網址:https://home.gamer.com.tw/TrackBack.php?sn=3373254
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果果日記小屋更新 歡迎進來參觀 謝謝^^看更多我要大聲說昨天21:41


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