歌声が聞こえる。そこは、紅い世界だった。
一面に紅い花が咲き乱れ、隙間なく大地を埋め尽くしている。
何もない、ただ蒼いだけの空が広がる。
草原には、誰の姿も見えない。
それでも歌声は、紅と蒼の空間を流れていく。
それは、ゆっくりで、アップテンポで、なめらかな歌だった。
楽しそうに、悲しそうに、歌は続く。
きれいな高音が伸びて、歌は終わった。
すぐにどこからか、
「アンコール」
声が聞こえた。
「もう二、三曲聞きたい。もしくは……」
声が言った。別の声、さっきまで歌っていた声が聞く。
「もしくは?」
「起こして」
最初の声が答える。
「あはは。分かった。」じゃあもう少し――」
紅い草原に、再び声が聞こえた。
そしてそれが終わった時、最初に聞こえた声が訊ねる。
「これからどうするの?」
別の声は、
「いつかと同じさ。どこかへ行こう」
すかさず答えた。
「そうだね。そうしよう。」
最初の声が、嬉しそうに同意した。
そして言う。
「そろそろホントに起こしてほしいなあ。キノ」
翻譯:能夠聽得見歌聲。
那是一個紅色的世界。
沒有間隙的、一整片盛開的紅花將大地填滿。
無雲的天空湛藍而廣闊。
草原上,看不見任何人的蹤影。
即使如此,歌聲仍迴盪在空氣中。
那是首曲調緩慢而快速、悅耳的歌曲。時而快樂、時而憂傷,歌曲持續迴響著。
隨著最後拉長的清脆的高音,歌曲結束了。
緊接著,不知道從哪裡冒出了「安可」的聲音。
「還想再聽兩、三首曲子呢。又或者是……」
聲音這麼說了。另外一個聲音、直到剛才仍在唱歌的聲音反問。
「又或者是?」
「扶我起來。」
最初的聲音回答。
「哈哈,我知道了。那就再稍微—–」
在紅色的草原之間,歌聲再次響起。
而當歌聲結束時,最初聽到的聲音這麼問了。
「接下來要怎麼辦呢?」
「跟平常一樣啊。去哪裡旅行吧。」
另外一個聲音立刻回答。
「也是,就這麼做吧。」
最初的聲音開心地同意了。
然後接著這麼說。
「真的差不多想請你扶我起來了呢,奇諾。」