31番目のお妃様第31位王妃殿下
作者:桃巴
31番目の妃*25第31位妃子*25
原文連結漫畫生肉 退室したサブリナと公爵夫婦の顔は冷えている。あれほど憤怒していた公爵の顔は、密偵たる侍女の動きを指摘され一気に冷えていた。 退出房間的薩布莉娜與公爵夫婦的臉很冰冷。那麼樣憤怒著的公爵的臉,被身為密探的侍女以行動指出後一口起冷了下來。
「父上、王城の侍女を勝手に解任したのです。こちら側も首を切れとのことでしょう。専属二名を連れ帰ってくださいませ。私の失態です。後宮の侍女が王城をうろついたら目ざわりでしたでしょう。それに、あの田舎邸は奥まった所にありますもの、関係のない侍女は目立ったのでございましょう」「父親擅自免職了王城的侍女。我們這邊也會被解雇吧。請把兩位專屬帶回去。是我的失態。後宮的侍女在王城徘徊的話會很礙眼的吧。那棟鄉下宅在偏僻的地方,沒有關係的侍女會很顯眼吧」
サブリナは顔には出さなかったが、強く握られている手から、感情を圧し殺しているのがうかがえる。 薩布莉娜雖沒表現在臉上,但從緊緊握住的手上,可以看出是在扼殺感情。
「サブリナ、引き際を考えておけ。意固地な妃として王城を後にすることのないようにな」「薩布莉娜,要考慮好離開的時機。不要作為固執的妃子離開王城啊」
公爵はすでに王の意向を汲んでいた。あれほどの態度だ。わからぬほど愚鈍ではない。 公爵已經體察到國王的意圖。就是那樣的態度。不是愚昧得無法理解。
「ええ、ですが、簡単には引きませんわ。王妃の座は、田舎者が勤めるほど安易な席ではありませんでしょ。見せつけねばなりませんのよ、その座がどういうものか。誰が座るべきかを……しかと王様に判断願わねば。冷静な目で見ていただけたら、きっと王様もおわかりになるはずよ」「好,但是,不會簡單地退出喔。皇后寶座可不是鄉下人坐得起的簡單席位對吧。必須要展現的吧,那寶座是怎樣的東西呢。應該由誰來坐……會確實地拜託國王陛下做判斷的。以冷靜的目光看著的話,國王陛下一定也應該會明白吧」
サブリナは引く気などない。 薩布莉娜無意退出。
公爵はそんなサブリナをたくましく思いながらも、不安を抱いた。あのミミリー侯爵令嬢の話は聞き及んでいる。サブリナも同じように、そこに足を踏み入れたのかもしれない。簡単に落ちるようには育ててはいないが、一抹の不安が心を覆った。握りしめた手が公爵にそう思わせたのだ。 儘管公爵認為那樣的薩布莉娜很剛毅,但懷抱著不安。有聽說過那位米蜜莉侯爵千金的事。薩布莉娜也一樣,或許會踏足進入那裡。雖然沒有養育得會簡單地消沉,但一抹不安籠罩著內心。緊握的手讓公爵如此認為。
「いずれにしても、残った時間は少ないと思え。王の足がない妃邸が九ヶ月も続けば、お前の価値は無くなるぞ」「不管怎樣,我認為剩下的時間不多了。國王不踏足的妃子宅持續九個月的話,妳就沒有價值了喔」
「ご安心を。すでに手はうってありますわ」「請放心。我已經開始著手了喔」
***
フェリアはひとり壁の華だ。キュリーが別室に行ってからは、常にひとりである。ミミリーは、たった一言の発言をもって恩を返したとばかりに引いた。ブッチーニ侯爵がフェリアに軽く会釈をし、ミミリーを引き取ったのだ。 菲莉亞是一朵壁花。因為居禮去了其他房間,經常是一個人。米蜜莉僅僅只用一句發言來報恩就退開了。布奇尼侯爵輕輕對菲莉亞點頭,把米蜜莉帶了回去。
『あんまり美味しくないわ』『不怎麼好吃呀』
軽食を口にしたフェリアの感想である。食は進まず、そっとテーブルに皿を置いた。 是把輕食放進口中的菲莉亞的感想。不再進食,輕輕地把盤子放在桌子上。
『まだ11番目』『又是第11位』
ビンズの呼び出しで妃らは次々と別室に向かう。フェリアは自身の31番までが遠く感じている。足裏が少し痛みだした。走りすぎて足裏がヒリヒリしている。皮がめくれるかもしれないと、小さくため息を吐いた。 妃子們因賓茲的傳喚一個個地朝向其他房間。菲莉亞覺得到自己的31號還很遠。腳底有點痛了起來。跑太久腳底刺痛著。小小吐露出皮或許捲起來了的嘆息。
カツカツカツ 喀喀喀
ため息を吐いた床に現れた靴の音に、フェリアは顔を上げる。 嘆了一口氣的菲莉雅,對出現在地板上的鞋子聲抬起頭來。
「今晩は、フェリア嬢」「晚安,菲莉亞小姐」
フェリアには知らぬ顔だ。元より、この夜会で知っている者はいない。一領主の妹が出会えるなど思えぬ人々の集まりであるから。 是菲莉亞不認識的臉。本來這場晚宴上就沒有認識的人。因為是一位領主妹妹沒想過會遇見的眾人聚會。
「今晩は」「晚安」
フェリアは相手の名がわからぬゆえ、挨拶のみを返した。 由於菲莉亞不知道對方的名字,只能回以問候。
「アルカディウスと申します」「我叫阿卡狄奧斯」
そう名のられても、フェリアにはどう返していいかわからない。ただ、軽く膝を折った。 就算被如此自報姓名,菲莉亞也不知道該如何回應才好。只能輕輕灣下膝蓋。
「……」
「……」
互いに無言だ。 彼此沉默不噢。
「私を知らないとは、実に驚きだ」「妳不認識我,實在讓我驚訝」
「私、ここで知っている殿方はただおひとりだけですの」「我在這裡認識的男士只有一位」
王マクロンしか知らぬ、私に声をかけるなと返したようなものだ。何とも上手いあしらいである。後見のいない妃候補である者に、単体の殿方が声をかける。それを一寸の間もなくさばいたフェリアを、遠くから見ていたキュリーはニンマリと扇子の内側で素晴らしいと笑った。フェリア自体、わかってやっているわけではない。胡散臭い男としゃべりたくない、ただそれだけである。 回答得像是我只知道國王馬庫隆、別跟我搭話的東西。是多麼高明的對待。單位男士對身為沒有監護的妃子候補者搭話。從遠方看著不用一會兒就處理好那個的菲莉亞,居禮很滿意並在扇子內側美妙地笑了。菲莉亞本身並不是知道才做。是不想跟可疑的男人說話,僅僅只是那樣。
「これは参りましたな。実に素晴らしい妃候補であらせられる。私の妹もあなたのように育ってほしいものです。私はアルカディウス・セナーダ、隣国セナーダの第三王子であり、1番目の妃の後見人だよ」「這真讓人傷腦筋呢。實在是很優秀的妃子候補。希望我妹妹也能成長得像妳一樣。我是阿卡狄奧斯・賽納達,是鄰國賽納達的第三王子,第一位妃子的監護人喔」
そう聞かされたとて、フェリアの態度は変わらない。軽くそうですかと返すのみだ。 即使聽到這麼說,菲莉亞的態度也沒有改變。唯獨輕輕回以是那樣嗎而已。
「七歳の妹は眠いらしくてね、意向面談を終えて邸に退いてしまったのだ。後見人として夜会に出席しているが、当の妹がいないものだから心寂しくてね。フェリア嬢は面談まで一番時間がおありだろう。私と時間潰しでもしようではないか」「七歲的妹妹好像很困呢,結束意向面談就要離開宅院了。雖作為監護人出席晚宴,但因為妹妹本人不在而感到寂寞呢。菲莉亞小姐直到面談還有最多的時間吧。要不要和我一起消磨時間呢」
フェリアの横にすかさず移動したアルカディウスは、フェリアと距離をつめるべく、飲み物を渡そうとする。 阿卡狄奧斯立刻移動到非麗亞旁邊,盡可能縮短與菲莉亞的距離,打算遞杯飲料。
フェリアはその飲み物がアルコールであると知っているし、隣国王子からの杯を受け取らないのは失礼であることも知っている。手を伸ばしグラスを受け取ろうとした。その時、アルカディウスの手のグラスが傾き、飲み物がフェリアのドレスにかかった。 菲莉亞知道那杯飲料是酒精飲料,也知道不接過來自鄰國王子的杯子是很失禮的事。打算伸手去接過酒杯。那個時候,阿卡狄奧斯手裡的酒杯傾倒了,飲料灑到菲莉亞的禮服上。
「失礼した! なんということか! どうぞ、こちらへ」「非常抱歉! 怎麼會這樣呢! 還請跟我來」
アルカディウスが夜会会場からフェリアを連れ出そうとした。 阿卡狄奧斯打算把菲莉亞從晚宴會場帶出來。
フェリアはアルカディウスの促しをするりとかわす。そして、テーブルにある別の飲み物に手を伸ばした。フェリアに一歩踏み出したアルカディウスにグラスを傾ける。 菲莉亞流利地閃過阿卡狄奧斯的催促。然後伸手朝向桌上的其他飲料。把酒杯倒向往菲莉亞踏出一步的阿卡狄奧斯上。
「これでおあいこですわ」「這樣就扯平了喔」
飲み物はアルカディウスのズボンにかかっていた。アルカディウスは目を丸める。予想だにしなかったフェリアの対応に固まった。それは、夜会にいた誰もがそうである。まさか、隣国の王子に飲み物をかけるなど、他の令嬢では決してやれないことだ。 飲料灑在了阿卡狄奧斯的庫子上。阿卡狄奧斯瞪大雙眼。對菲莉亞出乎預料的反應僵住了。那是在晚宴上的任何人都會如此的事。居然會把飲料潑向鄰國王子,其他千金是絕對做不到的。
そのほんの少し前、夜会会場にサブリナらは戻ってきていた。フェリアとアルカディウスの様子を遠からず見ていた。その瞳が嬉々としていることに公爵は気づき、サブリナに小声で問う。『あれが手か?』と。サブリナは薄く笑む。『アルカディウス・セナーダ、麗しき高貴な女たらしですわ』と答えた。貴族界では有名人である。 在那不久之前,薩布莉娜他們回到了晚宴會場。在不遠處看著菲莉亞與阿卡狄奧斯的情況。公爵注意到那眼神正歡喜著。小聲的問薩布莉娜。說『那就是手段嗎?』。薩布莉娜淡淡一笑。回答說『阿卡狄奧斯.賽納達,華麗高貴的勾搭男喔』。是貴族界裡的有名人。
サブリナはアルカディウスに囁いていた。『後見人も居ず、31番目まで長い間待つ妃がおりますわ。是非、王子様がお相手をさしあげてくださいませ。ひとり、この貴族社会の中で領主の妹というおかわいそうな方ですの。王子様に声をかけていただけたら、他の遠巻きの皆様も気兼ねなく接しられますから』と。一見、優しげな言葉かけであるが、サブリナの思惑は女たらしの発揮である。フェリアに男の噂をたてることが目的だ。下賎な妃は、隣国の王子をたらし込めた……そう噂されるように。 薩布莉娜對阿卡狄奧斯低語著。說『有位沒有監護人,直到第31位還要等長時間的妃子在喔。』。王子殿下,請務必與其作伴。是一位,一個人在這個貴族社會中名為領主妹妹的可憐人。只要被王子殿下搭話的話,其他遠觀的眾人也會毫不顧慮的接待吧。乍看之下,雖然是句溫柔的話語,但薩布莉娜的意圖是要勾搭男的發揮。給菲莉亞豎立男性傳聞就是目的。下賤的妃子勾引鄰國的王子……就像如此的被流傳。
しかし、思惑は外れる。はたから見ても、フェリアとアルカディウスは親しげには見えないのだ。あろうことか、アルカディウスに飲み物をかけるということまでやっている。思惑は外れはしたが、サブリナはニンマリと笑んだ。隣国の王子に失礼をするとは、妃たるにふさわしくないと大手を振って言えるのだ。だが、自ら言うことはしない。サブリナは父である公爵を促した。『あの者を罰し、隣国の顔をたててくださいまし』と。 可是,意圖落空了。就算從旁來看,菲莉亞與阿卡狄奧斯看起來也不親近。怎會這樣,甚至連對阿卡狄奧斯潑飲料都做了。意圖雖然落空了,但薩布莉娜竊喜地係了。對鄰國的王子失禮,可以大肆宣傳說不配當妃子。但是,不會親自去說。薩布莉娜催促身為父親的公爵。說『懲罰那個人,給鄰國賞個臉』。
「これはどういうことかね?」「這是怎麼回事呢?」
公爵は悠々と歩き、フェリアとアルカディウスの前に立った。 公爵悠悠地走著,站到了菲莉亞與阿卡狄奧斯面前。
「あ、ああ、公爵か……見ての通りだよ」「啊,啊啊,公爵嗎……就如你看到的喔」
アルカディウスは肩を竦めた。そこに憎悪の感情はなく、楽しげだ。公爵は眉を少し上げた。どう解釈すればいいのかと、頭を回転させた。ただ、これだけは言わねばならぬと口を開く。 阿卡狄奧斯聳了聳肩膀。那裡沒有憎恨的感情,很愉快。公爵稍微揚起眉毛。該怎麼解釋才好地、讓腦袋運轉。但是,只有這個不說不行地開口了。
「……謝りなさい。隣国の王子様であらせられるのだ。田舎での馬鹿騒ぎのような集会の無礼講なら許せるかもしれないが、今は王城での夜会である。礼儀も知らぬのか? 妃としての資質を問われますぞ」「……請道歉。這是鄰國的王子殿下。若是在鄉下胡鬧般集會的酒宴或許會原諒,但現在是在王城的晚宴。禮儀都不懂嗎? 會被質問作為妃子的資質喔」
フェリアはうんざりした。無礼講ではない。おあいことは、粋な計らいだ。これに口を挟む無粋な公爵にはうんざりだと、フェリアはアルカディウスと同じように肩を竦めた。つまり、フェリアはアルカディウスと堂々と渡り合ったようなものであるのだ。 菲莉亞很厭煩。並不是酒宴。彼此做的純粹是個處置。菲莉亞對在這事上插嘴不識趣的公爵很厭煩,跟阿卡狄奧斯一樣聳了聳肩。也就是說,菲莉亞與阿卡狄奧斯是坦蕩地交鋒這回事。
「素敵なお召物ですね、フェリア嬢」「很出色的服飾呢,菲莉亞小姐」
「アルカディウス様こそ、素敵な出立ちですわ」「阿卡狄奧斯大人才是,很出色的打扮喔」
互いの衣服のシミを見て目で笑み合う。 看著彼此衣服上的污痕用眼神互相微笑。
「失礼、私の見立てのドレスを褒めていただき、ありがとうございます」「失禮了,非常感謝您能稱讚我挑選的禮服」
そこに、キュリーも参戦する。 在那時,居禮也參戰了。
「これはこれは、キュリー嬢! こちらこそ、お声をかけていただきありがとうございます」「哎呀這是、居禮小姐! 這邊才是,非常感謝您能來搭話」
キュリーの国とアルカディウスの国、ダナン国は同等位の国である。ダナンを挟んで二国は成っている。両国は反目はしていないが、浅い関係で成り立っていた。今まで、深く繋がる駒がなかった。 居禮的國家與阿卡狄奧斯的國家、達南國是同等地位的國家。隔著達南形成了兩個國家。兩國雖沒有對立,但維持著淡薄的關係。至今,都沒有能深入聯繫的棋子。
「アルカディウス様でらしたわね」「是阿卡狄奧斯大人對吧」
アルカディウスは嬉々としてキュリーと接する。繋がりの糸口たるキュリーであるからだ。 阿卡狄奧斯高興地與居禮接洽。因為是身為聯結線頭的居禮。
公爵は話し込む二人の横で、自身の発言が宙に浮いている状態にため息をつくしかない。その視線はフェリアに移る。凜と立つその姿は、田舎者には到底見えなかった。このような王城での夜会で、物怖じせず立っていられるのだ。王子に飲み物までかけて。 公爵只能在聊得忘我的兩人旁邊,嘆息著自己的發言飄在空中的狀態。那道視線移到了菲莉亞上。凜然站立的那身影,根本看不出是鄉下人。在像這樣的王城裡的晚宴上,毫不膽怯地站著。甚至給王子潑飲料。
「公爵様、素晴らしい口添えでしたわね。さすがにございます。私、ダナンの底力を見せていただきましたわ」「公爵大人,真是美妙的說情呢。真不愧是您。讓我看到了達南的潛力喔」
フェリアはすらすらと発し、公爵を称えた。宙に浮いた言葉のお返しとばかりの言いようである。フェリアは笑む。謝罪せよなど言いませんわよね、との含みを持って。 菲莉亞流利地發言,稱讚著公爵。是幾乎像是回應飄在空中話語的說法。菲莉亞笑著。擁有著不會讓你說謝罪吧的含意。
「……」
公爵はヒクヒクと口角を震わせ、無言でフェリアに笑んだ。言葉を引っ込めるとの了承の意味を込めて。そのぎこちない笑みに、フェリアは『ふふふ』と微笑んだ。 公爵的嘴角微微地顫抖著,無言地對菲莉亞笑著。包含同意收回話語的意義。菲莉亞對那生硬的笑容『呵呵呵』地微笑了。