あら王子様、婚約破棄した私に何の御用ですか?啊啦王子殿下,找解除婚約的我有什麼事嗎?
作者:日又猫
逆転逆轉
原文連結「なっ……!なぜ!」「為……!為何!」
思いもよらなかった、という表情。見開いた二つの目はマリアを真っ直ぐに捉えていた。所謂出乎意料、的表情。睜大的兩顆眼睛筆直地捕捉住了瑪麗亞。
「先程、貧乏貴族の娘をあてがわれたとおっしゃってましたが……」「剛才、雖說是許配了貧窮貴族的女兒……」
マリアはティーカップに口をつける。ほのかな温かさが体の奥へ染み込んでいった。瑪麗亞以茶杯就口。略微的溫暖往身體深處滲透了進去。
「そもそも、貴方との婚約を持ちかけてきたのは王様の方からですよ?」「但說到底,向我提議與你訂婚的是國王陛下那邊喔?」
「…………えっ!?」「…………咦!?」
「あれ、見てください」「哎呀,請看看」
目を白黒させるライリー。マリアの指差す方向にあるのは、壁にかけられた写真だ。驚恐不已的萊利。存在於瑪利亞所指的方向上的,是被掛在牆上的照片。
王立魔法学院の卒業証書、首席卒業の記念勲章と一緒に並べられたそれには、白ひげの目立つ男性とマリアが映っている。在與王立魔法學院的畢業證書、首席畢業的紀念勳章一起被陳列的那個上,映照著白鬍子很醒目的男性與瑪利亞。
「……なっ! そ、そんな……!」「……什! 怎、怎麼會……!」
ライリーは震える口で言葉を紡ぐ。青く染まった唇から、小さな声が漏れ出た。萊利以顫抖的嘴編織著話語。從染藍的嘴唇哩,洩露出小小的聲音。
「なんで、親父とマリアが……!?」「為什麼、老爹和瑪莉亞會……!?」
「知らなかったんですか? お父様のことでしょう?」「你不知道嗎? 是你父親的事吧?」
エトワール王国国王――ジルフェニスが王立魔法学院の学長を務めているのは、生徒たちなら誰でも知っていることだった。艾特瓦爾王國國王――吉爾菲尼斯擔任著王立魔法學院的校長,若是學生們是任誰都知道的事情。
「エトワールの魔法教育に力を入れるため、ここ数年から自ら学長を務め始めたのですよ。国王の仕事も大変だというのに、頭が下がります」「為了給艾特瓦爾的魔法教育注入力量,這幾年來就開始親自擔任校長了喔。明明國王的工作也很辛苦,卻還低下頭」
真っ青になるライリーを横目に、マリアは溜息を一つ。一瞥變得鐵青的萊利,瑪麗亞嘆了口氣。
「……ライリー様は他のご兄弟に比べて魔力が弱いせいか、ふてくされてろくに鍛錬しない。王様はそう言っておられました」「……是萊利大人的魔力比起其他兄弟還弱的緣故嗎,賭氣不正經地鍛鍊。國王陛下曾如此說過」
女遊びが激しく、王子の権力を振りかざして周囲を困らせていたという。そんなライリーを案じた王は、マリアに婚姻を持ちかけてきたのだ。據說激烈的找女人玩、擺弄著王子的權利讓周圍困擾不已。擔憂那樣的萊利的國王,向瑪麗亞提議了結婚。
「貧乏貴族の私でしたが、王様はとても評価してくださいました。ライリー様と結ばれればきっと素晴らしい才を持った子が産まれるだろうと」「雖是作為貧窮貴族的我,國王陛下也給了非常高的評價。說是與萊利大人結婚的話一定能誕生擁有非常美妙才能的孩子吧」
病気に倒れた両親の援助はする、何か困ったことがあれば必ず力になろう――と王様は言っていた。會援助病倒的雙親,有什麼困擾的話必能成為力量吧――國王大人曾說過。
正直気は進まなかったが、入学当初から王様には何かとお世話になっていたし、両親の病気のこともあり婚約を結ぶことにしたのだ。老實說雖不想去做,但從入學當初國王陛下就各種關照,也有雙親生病的事才決定訂婚的。
「な、ならなおさら……! お前と一緒に帰れば、親父も許してくれるんじゃ……!」「那、那就更應該……! 與妳一起回去的話,老爹也會原諒我的……!」
「あいにくですが、それはできません」「很不湊巧,那可辦不到」
ライリーの発言をばっさり切り捨てる。そんなこと、もう無理だ。直接了當地割捨了萊利的發言。那種事、已經不可能了。
「私、もう婚約している方がおりますので」「我、已經訂婚了」
「なっ……!」「什……!」
信じられない、と言った顔でこちらを見つめるライリーに、引き出しから取り出した紺色の箱を見せる。面對以一臉不可置信的表情注視著這邊的萊利,把深藍色的箱子從抽屜拿出來給他看。
中には指輪と、紋章の形をしたブローチが入っていた。在裡面放入了戒指與、徽章形狀的胸針。
「こ、この紋章は!アルディア王国の……!」「這、這個徽章是!阿爾迪亞王國的……!」
アルディア王国。エトワールの隣国であり、世界でも有数の大国だ。阿爾迪亞王國。是艾特瓦爾的鄰國,也是世界屈指可數的大國。
「国を追われた後、国際会議のために出払っていたルカ様とお会いしまして」「被趕出國後,與為了出席國際會議的盧卡大人相遇了」
「ルカって……アルディア王国の第一王子じゃないか!」「盧卡……不就是阿爾迪亞王國的第一王子嗎!」
「ええ。私を見て、声をかけてくださいました。王立魔法学院の卒業式で私を見たそうで。首席の方ではないかと」「是的。看到我、跟我打招呼了。似乎是在王立魔法學院的畢業典禮上看過我。說了這不是首席嗎」
エトワール王立魔法学院は、他国出身の生徒も多数在籍している。卒業式には来賓(らいひん)の一人として参加したそうだ。艾特瓦爾王立魔法學院,他國出身的學生也有很多在籍。似乎是在畢業典禮上作為一位來賓來參加。
「事情を話したところ、ルカ様が私と婚姻を結びたいとおっしゃってくださったのです」「說完事情的時候,盧卡大人說了想要跟我結婚」
「なっ……そ、そんな……!」「什……怎、怎麼會……!」
「病気の両親の援助もしてくれるそうで、ありがたくお受けいたしました。この別荘は、ルカ様からいただいたものです」「似乎給予生病的雙親援助,我很感激的接受了。這棟別墅、是盧卡大人給我的」
近頃、アルディアは他国との不和で治安がいいとは言えず、マリアを心配したルカがこの別荘にしばらくいるように言ってきたのだ。最近,因阿爾迪亞與其他國家不合不能說治安很好,擔心瑪麗亞的盧卡說了暫時住在這棟別墅裡。
「毎日兵士の方が見守りに来てくださいますし、今日はルカ様も一緒に来るそうです」「每天都讓士兵一行來看守,今天盧卡大人似乎也會一起來」
だからお茶の用意をしていた。時間的にそろそろ来る頃だと思っていたが、先に予想外の客人――ライリーが来てしまった。所以才準備了茶。雖然認為時間上差不多是該過來的時候了,但意料之外的客人――萊利先來了。
「まさか……そんな……そんなわけ……」「怎麼會……那種……那種事……」
ガタガタと震えるライリー。目を瞬かせ、歯をカチカチと鳴らしている。嘎嗒嘎嗒地顫抖的萊利。眨著眼睛、牙齒咯咯作響。
「……いいのですか? ライリー様。まだここにいて」「……這樣好嗎? 萊利大人。還在這裡」
「え……?」「咦……?」
「もうすぐルカ様と護衛の方がここに来ます。そこに汚れた格好の、今は王子でもない貴方がいたら……どうなるかお分かりですよね?」「盧卡大人與護衛一行就快要到這裡來了。有著骯髒裝扮的、現在不再是王子的你在那邊的話……你是知道會變成怎樣的吧?」
ライリーが言葉の意味を理解し、顔を青くした瞬間だった。萊利理解了話語的意義,是臉色發青的瞬間。
「マリア! 俺だ! 会いにきたぞ!」「瑪麗亞! 是我! 來見妳了喔!」
外から響く爽やかな声。ルカのものだ。ガチャガチャと甲冑(かっちゅう)の鳴る音が聞こえるから、護衛もいる。從外面響起爽朗的聲音。是盧卡。因為聽到甲冑鏗鏘地作響聲,護衛也在。
「マ、ママママリア! 助けてくれ!」「瑪、瑪瑪瑪瑪麗亞! 救救我!」
泣きそうな顔で足元に縋(すが)り付くライリー。用快哭了的表情抱住腳邊的萊利。
今自分の安否に敏感になっているルカに見つかれば、確実に投獄は免れないだろう。被對現在自己的安危變得很敏感的盧卡發現的話,確實會難逃牢獄之災吧。
プライドの高い王子だったライリーの姿は、もうどこにもなかった。萊利驕傲自大的王子身影,已經哪都看不到了。
「ライリー様、以前……私との婚約を破棄した時、何て言ったか覚えておりますか?」「萊利大人,以前……解除與我的婚約的時候,還記得說過了些什麼嗎?」
「えっ……」「咦……」
ドキリとした顔。口を半開きにしたライリーは、その場で凍りつく。嚇了一跳的表情。嘴巴半開的萊利、當場凍住。
「私も同じ気持ちです」「我也是同樣的心情」
マリアは足を掴んでいたライリーの手を思いっきり蹴飛ばす。呻(うめ)き、痛みに顔を歪ませるライリーを見下ろしながら、一言だけ言った。瑪麗亞狠狠踢飛了抓著腳的萊利的手。一邊俯視呻吟、痛苦地讓臉扭曲的萊利,一邊只說了一句話。
「下民(げみん)が、身の程を知れ」「下民,別太放肆」
END