Vol.2
「あの、ミチル」
「え?」
書類仕事をしていたら、突然アイラから声をかけられて私はビックリした。
アイラの方から話しかけてくることなんて、滅多にないから。
「どうしたの?」
アイラはモジモジしつつ、遠慮がちに口を開いた。
「ハーブティーには、どんなお茶うけが合うと思う?」
「お茶うけ……」
アイラはいつもみんなのためにお茶を淹れてくれる。ハーブを自分で育てることまでしていて、本当に献身的だ。
「課長に、リクエストされて。でも私、そういうの、よく分からないので」
「それで私に?」
「ミチルは、いつもお昼のお弁当、自分で作ってるでしょう?」
「まあね。でも、お茶うけかあ」
自分用のお弁当を作るのとはちょっとわけが違うからなあ。
でも、ここで適当な返事はできない。せっかくアイラが私を頼ってくれたんだから、なんとかその期待に応えないと!
「お茶うけもお茶の種類によって合う合わないがあるのよね。例えば紅茶ならクッキー、スコーンとかショートブレッドが定番だし。ちょっと変わったところだと、ドライフルーツなんかも合うと思う。それとも、和菓子の方がいいのかな? どら焼きとか、お団子とか、羊羹とか」
「すこーん? ようかん?」
……よく分かってなさそうな顔だ。
「知らないの!?」
まさか、ここまでなにも分からないなんて。ハーブのことにはやたら詳しいのに。
「お茶うけって……難しい」
アイラはしょんぼりして肩を落としている。
「難しく考えすぎよ。はあ、しょうがないわね、じゃあ今度、私がなにか作ってきてあげるわよ」
「え……でも」
「いいっていいって。作るのは好きだし。ハーブティーになにが合うか、それでいろいろ試してみましょう」
我ながらお節介だとは思うけど。
「ありがとう、ミチル」
普段無表情なアイラが、ちょっとだけ嬉しそうな顔をしてくれたように見えたから。
「べ、別にお礼なんていいわよ」
私としては、満足だった。
電撃G's Magazine 2015年2月号掲載
「那個,滿」
「唉?」
正在做文書處理,突然被艾拉的聲音叫住的我嚇了一跳。
因為被艾拉搭話什麼的,太稀奇了。
「怎麼了嗎?」
艾拉扭扭捏捏的,而且有所顧慮的開口了。
「對香草茶來說,要配什麼樣的茶點比較合適?」
「茶點……」
艾拉總是為了大家沏茶給我們。甚至連香草也是自己種的,真的很有奉獻精神。
「被課長拜託了。但是我對這方面不太懂」
「所以找上我?」
「滿總是自己做午餐的便當對吧?」
「是呢。但是茶點的話」
跟做給自己便當好像有點不太一樣的說。
但是,這可不是個適合的回答。難得艾拉都拜託我了,所以不想辦法回應這份期待的話!
「茶點也是根據茶的種類而有適合或不適合的呢。例如紅茶的話餅乾、司康餅和奶油酥餅是常例。稍微換點類型的話,水果乾似乎也很合適。還是說日式點心比較好? 銅鑼燒啦、糰子啦、羊羹啦」
「絲糠? 楊庚?」
……一副完全不明白的表情。
「不知道嗎!?」
難道說,到剛剛為止什麼都不懂嗎。明明對香草熟悉的很。
「茶點什麼的……好困難」
艾拉垂頭喪氣得垂下肩膀。
「你想得太難了啦。哈…真沒辦法呢,那麼這次讓我來做點什麼給妳吧」
「唉……但是」
「可以的可以的。我也喜歡作東西。香草茶適合什麼樣的,就來多方嘗試看看吧」
雖然連我都覺得有點多管閒事了。
「謝謝妳,滿」
平時面無表情的艾拉,似乎能看到稍微有點開心的臉龐。
「不、不用特別給什麼謝禮喔」
就算是我,也已經滿足了。