はてしない物語 【やなぎなぎ】
請欣賞~
違う世界で目覚めた
終わらない物語
ページを捲る音
白く柔らかい背中に乗って
空中の海を泳ぐ
君だけが虚無の群れを見る
君だけが文字を愛している
思い出と引き換えに手に入れた王冠は
砂を固めたように崩れ
私にはやく はやく
名前をつけて
そうしたらいつかは終わってしまう
君の愛しい想像を
守ってあげられるの
薄い紙切れに描いたスペル
幻想だけが本当になる
僕だけが月を見上げる
僕だけがどちらかを選ぶ
名前すら捨てたこの痛みに気付いても
いつか帰る道があるの?
全てを失くしたひとたちが住んでいる
可哀想な王達の街から
冷たい水に触れて そしてやっと
歩いてきた跡をそっとなぞれるように
幼い僕らは何度も夢を見るから
昼と夜はひとつになれないから
切なくても
私にはやく はやく
名前をつけて
そうしたらきっと君は目覚める
続く先は また別のお話
果てしのない世界は誰かのために
二度と戻れない 僕は
それでも文字を愛しているよ