2.辛く楽しい一日(辛苦卻快樂的一天)
エリンギが今朝見たという、 星の形をしたきのこ。
それはとても珍しいものらしい。
杏鮑菇今早看見的那朵,有著星星形狀的蘑菇。
這東西似乎很少見的樣子。
エリンギ:
きのこは繁殖力が高いんです。
こうしている間にも、
どんどん増えてしまうかもしれないんですよ?
杏鮑菇:
蘑菇的繁殖能力相當的高。
或許現在這個時候,
說不定還在不斷增加著呢?
エリンギ:
その星の形をしたきのこが、
実は強い毒を持つきのこだったりしたら、
大変なことになるかもしれません。
そう考えると、 わたしはいてもたってもいられなくで……
杏鮑菇:
那朵星星形狀的蘑菇,
如果其實是有著劇毒的蘑菇的話,
也許會很糟糕。
這麼一想,我就會開始坐立不安了……
ふむふむ、 なるほど……と話を聞いていると、
少し外の日差しが弱くなってきた。
嗯嗯,原來如此……在聽完這些話之後,
外頭的陽光似乎減弱了。
エリンギ:
あっ、 本当です……。
雲で日が隱れてきたみたいですね
杏鮑菇:
啊,真的呢……。
太陽好像被雲朵擋住了
エリンギ:
それでは……団長さん、 行きましょう
杏鮑菇:
那麼……團長先生,我們走吧
いつの間にか、なぜか、
エリンギと一緒に行くことになっていた。
面白そうだから、 全然構わないのだが……。
不知何時,也不知為何,
我突然決定和杏鮑菇一起去。
看起來挺有意思的,應該完全沒有關係吧……。
エリンギと一緒に街へ出ると、
しばらくしてから、 また日が照り始めた。
和杏鮑菇一起上街時,
過了一會兒,陽光又開始變強了。
エリンギ:
あ、あぁぁっ…………!
杏鮑菇:
啊,啊啊…………!
エリンギは呻くように声を絞り出すと、
信じられないスピードで日陰に向かって走っていった。
急いでこちらも彼女を追いかける。
當杏鮑菇呻吟般的發出聲音時,
她以難以置信的速度朝著背陰處跑去。
我也急忙的去追上她。
エリンギ:
危なかったです……。
ふっ……
杏鮑菇:
真的好危險啊……。
呼……
こちらも遅れて、 エリンギのいる日陰へと到達した。
彼女は本当に日差しが苦手なようだ。
這邊稍微慢了一點,到了杏鮑菇所在的陰涼處。
她好像真的很怕陽光啊。
エリンギ:
また、 日が出てきました……これでは……
杏鮑菇:
太陽又出來了……這樣一來就……
エリンギ:
あっ……!
ひ、 日が陰りました……!
杏鮑菇:
啊……!
太,太陽被遮住了……!
ここぞとばかりに日陰を出るエリンギ。
しかし──。
杏鮑菇剛好看上天氣轉陰而跑了出來。
然而──。
エリンギ:
あ、あぁぁっ……!
また、日差しが……!
杏鮑菇:
啊,啊啊……!
太陽又出來了……!
日の光に翻弄されながら、
日陰と歩道の猛ダッシュを繰り返すエリンギ。
その勢いで日差しの中も突っ走り、
そのまま本屋まで行ってしまえばいいのに……。
一邊被陽光玩弄,
一邊重複往背陰處和人行道的猛然衝刺的杏鮑菇。
在陽光下也能以這種勢頭猛衝直撞,
那直接去書店不就好了嗎……。
走る訓練なのかと思うくらいに何度もダッシュを繰り返し、
そろそろそれについていくこちらの限界が見えてきた。
すると、 エリンギが、 日の光が燦々と降り注ぐ街の一角を指差す。
幾乎讓人以為這是什麼跑步的訓練的地步,
不停地反复衝刺,我也差不多快要到了極限跟不上了。
然後,杏鮑菇指著陽光燦爛的街道一角。
エリンギ:
団長さん、 ここです。
ここにきのこが……
杏鮑菇:
團長先生,就是在這裡。
那朵蘑菇就在這裡……
エリンギ:
あ、 あれ……?
ない、 ないです……。
た、 確かにここにあったんですよ、 今朝……!
杏鮑菇:
啊,啊咧……?
沒有,沒有嗎……。
確,確實是在這裡的啊,今天早上……!
こんなに明るいところにきのこが生えていたのか。
きのこと言えば大体、 暗いところにあるものだ。
見間違いということはないのか。
這麼明亮的地方會有蘑菇嗎?
大致上來說,蘑菇是長在陰暗的地方。
難道沒有看錯地方嗎?
エリンギ:
そう、 言われてみれば……。
こんな明るい場所に、 きのこが生えているなんて……
杏鮑菇:
是啊,這麼說來……。
在這麼明亮的地方,竟然長出了蘑菇……
エリンギ:
わたしは、 夢でも見ていたんでしょうか?
久しぶりに外に出たから、
疲れていて、 フラフラしていましたし……
杏鮑菇:
難不成,我是在做夢嗎?
畢竟好久都沒出去了,
疲憊不堪,又搖搖晃晃……
エリンギ:
見間違い、 だったのでしょうか……?
でも、 そんなはずは……
杏鮑菇:
難不成是我看錯了嗎……?
可是,不應該是這樣才對的啊……
しばらくそのあたりを探してみるが、
エリンギの言う、星の形をした黄色いきのこは見つからなかった。
暫時試著在那一帶找了一下,
沒有找到如杏鮑菇所說的,有星星形狀的黃色蘑菇。
そのまま、 失意のエリンギと、
歩道と日陰を転々としながら古本屋に辿りつく。
しかし、 そこに彼女の目当ての本はなかった──。
就這樣,失意的杏鮑菇,
在人行道和背陰處來回走動到了舊書店。
但是,在那裡並沒有她想要的書籍──。
──そして夕方になり、 日差しも弱くなった頃、
彼女と共に戻ってきた。
──到了傍晚,陽光也變弱了。
我就和她一起回來。
エリンギ:
もう、 体力の限界です……。
引きこもりには辛い一日でした……
杏鮑菇:
這已經是體力的極限了……。
對家裡蹲來說是辛苦的一天……
エリンギ:
でも……楽しい一日、 でした
杏鮑菇:
不過也是……快樂的一天
いつもどんよりと暗いエリンギが、 笑顏を見せる。
可愛らしいところもあるではないか。
だんだんと、 外に出ることの楽しさに気づいてきたのかもしれない。
總是陰沉沉的杏鮑菇,露出了笑臉。
這不也有可愛的一面嗎。
也許漸漸地,她開始意識到外出的樂趣了吧。
エリンギ:
いえ。
わたしはやっぱり、
部屋に引きこもっているのが一番好きですから……
杏鮑菇:
不。
果然我還是,
比較喜歡待在房間裡面……
もっとエリンギの笑顔が見たいという思いから、
明日どこかに出かけようと彼女を誘ってみる。
出於想看更多杏鮑菇的笑臉,
明天試著約她去別的地方吧。
エリンギ:
お出かけ、 ですか……?
杏鮑菇:
出門,是嗎……?
エリンギはスッと真顏になった。
彼女に、 どこでも好きなところに連れていってあげる、 と言うと。
杏鮑菇的表情變得嚴肅起來了。
我能帶妳去任何妳喜歡的地方,我這麼回答。
エリンギ:
どこでもいいんですか?
……それならいいですよ
杏鮑菇:
哪裡都行嗎?
……那樣就好了
何と、 興味を持ってくれた。
引きこもりの彼女にも、 行きたいところはあるのだろう。
気が変わらないうちに、
明日の集合場所と時間を取り決めてしまう。
居然,感到有興趣了。
作為家裡蹲的她,也有想去的地方吧。
趁她還沒改變主意的時候,
來決定明天的會合地點跟時間吧。
……そういえぱ、
本ということならここにも書庫があった。
自然に関する蔵書は特に多いから、
もしかしたら、 エリンギの目当ての本もあるかもしれない。
……話說回來,
要說書的話,這裡也有書庫。
因為關於自然的藏書也特別多,
也許有一本杏鮑菇想要看的書喔。
エリンギ:
ほ、 本当ですか?
その書庫は、 どちらにありますか?
杏鮑菇:
是,是真的嗎?
那個書庫在哪裡呢?
書庫の方を指差すと、
すぐにエリンギはその方向へと走っていった。
我指著書庫的方向,
隨後,杏鮑菇就朝那個方向跑去。
やはり、 彼女のきのこに対するモチベーションは半端ではない。
看來,她對蘑菇的興趣並不是那麼簡單的啊。