藤木直人 シュクメイ
木(こ)もれ陽(ひ)、石畳(いしだたみ)を遠(とお)のいて行(ゆ)く背中(せなか)
短(みじか)すぎたその季節(きせつ)を飛(と)び立(た)つかのように
僕(ぼく)は夢中(むちゅう)で追(お)いかけるでもまして待(ま)つ訳(わけ)でもなく
ただ臆病(おくびょう)に籠(かご)の隅(すみ)の方(ほう)で大空(おおそら)を見上(みあ)げては
目(め)を閉(と)じた
届(とど)かないままで消(き)えゆく未来(みらい)は
いつも煌(きら)めいてたのに
僕(ぼく)には見(み)えない永遠(えいえん)の場所(ばしょ)へ
君(きみ)だけを連(つ)れ去(さ)った
月日(つきひ)を積(つ)み重(かさ)ねて染(し)み込(こ)んだ面影(おもかげ)を
揉(も)み消(け)すたびこの心(こころ)は君(きみ)を捜(さが)すけれど…
冷(ひ)えきった手(て)を忍(しの)び込(こ)ませた
悪戯(いたずら)な笑顔(えがお)がまだ今(いま)も
となりでやわらかに揺(ゆ)れるそんな夢(ゆめ)の途中(とちゅう)に
僕(ぼく)はいる
鮮(あざ)やかな風(かぜ)に流(なが)された涙(なみた)君(きみ)はもう捨(す)てたのだろう
最初(さいしょ)で最後(さいご)のわがままに似(に)せた遥(はる)かなる優(やさ)しさで
あまりに無邪気(むじゃき)な約束(やくそく)で互(たか)いを結(むす)んだ淡(あわ)き日々(ひび)
それと引(ひ)き替(か)えに僕(ぼく)たちは何(なん)を手(て)にしたのかな
届(とど)かないままで消(き)えゆく未来(みらい)は
いつも煌(きら)めいてたのに
僕(ぼく)には見(み)えない永遠(えいえん)の場所(ばしょ)へ
君(きみ)だけを連(つ)れ去(さ)った
そして、
この胸(むね)に残(のこ)された夢(ゆめ)を僕(ぼく)は背負(せお)い生(い)きるだろう
きっといつの日(ひ)もこの大地(だいち)に立(た)ち
大空(おおそら)を想(おも)うだろう