武装
V.S.B.R.(Variable Speed Beam Rifle=可変速ビーム・ライフル)。F91の背面側に、フレームのアームを介して左右一門ずつ懸架されている。威力と効率を両立したビーム兵器で発射するビームの収束率を調節が可能で、そしてビームの射出速度の調節も可能。どちらとも連続帯域での微調整などができる。対象物の耐久力や距離に応じて高速で貫通力の高いビーム(特にビームシールドを貫通させる場合は高速のビームで行う)から、低速で威力を重視したビームまでを状況に応じて撃ち分けることができ(作中では使用されなかった)、連射性にも優れる。F91のヴェスバーはジェネレーターに直結する形で配置されており高出力である。懸架時はウイング・バインダーと同様にAMBAC作動肢として機能する。また、新開発された大容量のコンデンサーにより連射も可能であり、本体から分離した状態でも数発は発砲可能である。劇中ではビームシールド越しにデナン・ゾンを撃墜する。また直接トリガーを引かずとも発砲可能でビームライフルと連動して発砲したり、フロンティアI脱出時に四方八方から迫る無人殺戮兵器バグに対処する為、背面に懸架したまま6発続けて発砲している。
左腰内部に2基収納されている。宇宙世紀0090年代から一般的なリミッター機能があり、常時ビームを形成させるだけでなく、低出力で形成させ斬撃の瞬間に発生させる事で、エネルギーの消費を抑えている。また刀身を通常の倍以上に形成が可能で、無人兵器バグとの交戦の際に手首を高速回転させ活用している。
F91用のビーム・ライフル。宙返りをしながらアサルトライフルのように連射をする場面も見受けられた。
威力が高いビーム兵器。砲身後部にEパックを配する。背面腰部にあるマウントラックにて携行できる。多くのゲーム作品やイラストで、これを装備しているF91が良く描かれるが、実際に使用したのはラフレシアとの戦闘時のみである。
頭部両側に一門ずつ、二門設置されている機銃。
メガマシンキャノン
本機の胸部両側に一門ずつ、計二門設置されている大型短銃身式の速射機関砲。接近戦で用いる事により、MSを破壊する威力を発揮する。
ビームシールド
本機の左腕部に設置されている防禦装備。右腰の装甲内に予備を携行する。ブロック毎に展開可能であり、機体と接触する部分は機体側のフィードバック回路により自動的にカットされる。ビーム展開を一方向に限定し、ビームサーベルとして運用も出来る。F91に装備されているビームシールドはコンデンサを搭載し、機体から離れた状態でも短時間は稼動させる事が可能で、劇中では本機能を利用し投擲武器のように投げつける活用もされた。
機能
パイロットがニュータイプ並みの能力を有するケースのみに発動するように設定された稼動モードである。最大稼動モードは運動性や機動性が通常のMSよりも極端に違い、通常のパイロットでは扱えず、リミッターが設定された。最大稼動モードを扱えるパイロットが操縦したとバイオコンピューターが判断した際にリミッターが解除され、最大稼動モードを発動する。
またガンダムF91の最大稼動モード時の機体のスペックは発表されていない。そして発表されている機体のカタログスペックデータはガンダムF91の通常稼動モード時のスペックデータである。
よってガンダムF91とのスペックの比較を公式上でしているMS(アナハイムの小型MS等)は通常稼動モード時のカタログスペックとの比較しかできず、ガンダムF91カタログスペックを基準にした発表をしていると考慮される。
F91に搭載されたバイオコンピューターは、マルチプル・コンストラクション・アーマーで構成された機体を統括する、頭部に設置されたメインコンピューターである。パイロットへ肉体的、精神的な負担をかけない次世代サイコミュの雛形として開発された。本来は障害者向けのインターフェイスが軍事転用されたものである。バイオコンピューターの役割は主に2つある。まず1つは一般パイロットの操縦補助である。機体が得た情報をパイロットの脳に直接伝え、パイロットが思考したことを機体に反映させる。
そしてバイオコンピューターのもう1つの役割はパイロットの技量を分析し、機体性能にリミッターをコントロールする事である。これは機体の性能が高すぎる為にパイロットを保護する目的で設置されている。バイオコンピューターがバイオセンサーを介してパイロットが最大稼働に対応できると判断すれば、機体のリミッター解除を行う。またバイオセンサーやサイコフレームとの同調を調整する働きも担っている。従来のサイコミュとの併用の効果は前例がない為、未知数とされている。
サイコミュのサブ増幅器が操縦席の背に組み込まれており、コクピットの周囲に使われているサイコフレームが主増幅器となっている。ラフレシア撃破後、モニカがバイオコンピューターを介してバイオセンサーを調整し、セシリーを探し出す描写がある。
MCAの採用によって、単一の部材に複数の機能を盛り込む事が可能になり実装された機能。F91は最大稼働時において機体表面が数千度にまで上昇する為、各部の通常の冷却システムでは追いつかない。その為、装甲自体に冷却を行わせる際に装甲表面のビームコーティングの等の特殊な加工(主な材料は金属粒子)を剥離させる。この「MEPE」(金属剥離効果=Metal Peel-off effect )によってバイオコンピューター及び機体各所で強制冷却が始まる。この際の副次的効果として、剥離した金属片が敵機のセンサーに認識されるために本機があたかも分身しているかのように見える(実際は金属片によるセンサーの誤作動であり、CGが再構成したコクピット内の映像である。劇中での台詞から質量を持った残像とも呼ばれる)。これはあくまでも副作用であり、当初から意図されたものではない。劇中1時間46分頃に機体全てを金色のオーラの様なものが覆い始めているが、このオーラに関して説明する資料は見当たらない。残像はレーダーやセンサーのみならず、パイロットの肉眼も欺瞞する
かつてのサイコフレームの生成技術の応用により、構造材にコンピューターチップ以外の電子回路も鋳込んだマルチプル・コンストラクション・アーマー (MCA) 構造と呼ばれる新技術が採用されている。電子機器などの制約により、モノコックやムーバルフレームによる小型高性能化は不可能だったがMCAにより小型化可能になり、モノコックとムーバルフレームの両方の機能をあわせ持つ。さらに回路の取り回しなども構造そのもので兼任出来るため飛躍的な軽量化に繋がり、推力重量比が改善されより高い機動が可能になった。また損傷や故障も想定してブロックごとにフェイルセイフシステムが織り込まれているため、他のブロックで補い一部の故障で作動不能になることはない。
その他
一部の資料では試験的にミノフスキードライブが導入されたともいわれるが、その場合でもごく短時間の間スラスター出力を補う形で使用するのがやっとだったようである。
デザイン
メインメカニックデザインは大河原邦男。監督である富野の発案により、新世代のデザインを目指すべく従来のバーニア型のスラスターは全て廃されている。更に当時、HONDAの連勝などにより注目されていたフォーミュラ1(Formula One、英語発音: /ˈfɔːrmjulə ˈwʌn/ フォーァミュラ・ワン)にあやかり、胴体部や関節部などに車やバイクのラジエーターグリルを連想させるデザインを採用している(形式番号のフォーミュラやパイロットのノーマルスーツがレーシングスーツの意匠を組んでいるなどにも関連)。大河原が1989年の4月から複数のデザイン案を提出し、安彦良和の作画参考ラフ等を経てデザインの完成を見た。背部に今までにない形状のバックパックやV.S.B.R.を配置するなどアイディアに富んでいる。特に胸部の形状は、これまで大河原や他のデザイナーがデザインしてきたガンダムと呼ばれるMSのデザインと一線を画す。そして、ガンダムF91は∀ガンダムをデザインしたことで有名なシド・ミードが唯一、歴代のガンダムの中で従来のデザインの枠を破っていると評価した機体である。
劇中での活躍
- 映画『F91』においては、連邦軍本隊より取り残され、住民によるゲリラ活動の拠点となっていた練習艦スペース・アーク内で整備されていたが、正規の整備マニュアルがほとんど無く、代わりに残されていた開発者のモニカ・アノーの録画映像によるバイオコンピューター接続方法の口頭説明に理解不能の部分があり起動不能であった。その映像を見せられたモニカの娘リィズ・アノーは、その説明がかつて母に教えられていたあやとりの用語だと気付き、無事起動に成功する。
- そして、「工学科の学生でモビルスーツ操縦実習の経験がある」上に「母親が作ったコンピューターだから相性がいいだろう」という理由でリィズの兄であるシーブック・アノーがパイロットを任せられることになり、CVとの戦いで多大な戦果をあげた。現在までのところ、地球連邦軍とそれに関係する機関が開発し、連邦軍が自らのために運用した最後のガンダムタイプである(後のGセイバーでは連邦は崩壊している)。
- ゲーム『フォーミュラー戦記0122』では、運用試験のために連邦軍ラー・カイラム級機動戦艦エイブラムに搬入されたが、オールズモビルとの戦闘に突入したため、ベルフ・スクレット少尉機として運用されている。この時点ではバイオコンピューターは調整が遅れていたために搭載されておらず、通常の学習型コンピューターを搭載していたため100%の性能は引き出せない状態であった。オールズモビルとの戦闘が終結した後の宇宙世紀0122年12月にフロンティアIに搬入され、頭部コンピューターの換装が行われる。
- ちなみに、『機動武闘伝Gガンダム』のガンダム連合の中にこの機体も混ざっており、一瞬だけ姿を見ることができる。
『F91-MSV』に登場。「重装型」ともいう。ヴェスバーが完成しなかった場合を考慮し、代替武器を装備させたタイプ。ヴェスバーの代わりに4連ビームガドリングガンとミサイルランチャー(対艦ミサイル×2)を組み合わせたウェポンユニットをバックパックに2基装備する。ショルダーアーマーも強化され、アポジモーターが増設されている。面制圧には優れるが、威力面ではVSBRに(対艦ミサイルを除いて)劣るタイプである。